2025年1月31日号(経済、経営)

2025.02.03


HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2025年1月31日号
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発行日:2025年1月31日(金)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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2025年1月31日号の目次
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◇トランプ2の予測と日本の対応
◇ホンダと日産の合併:2人の桜井さん(後半)
☆水商売からビジネスを学ぶ(その6)
◇2024年からの展望(7):責任あるAIってなんぞや?
 
<HAL通信アーカイブス>http://magazine.halsystem.co.jp
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こんにちは、安中眞介です。
今号は、経済、経営の話題をお送りします。
 
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トランプ2が始まりました。
就任初日から公開の場での大統領令乱発というトランプ劇場全開です。
また、コロンビアに対しては不法移民の移送を関税で脅して屈服させました。
自信を深めたトランプ大統領は、こうした姿勢を強めていくでしょう。
今号は、この話題から。
 
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┃◇トランプ2の予測と日本の対応             ┃
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予測不可能と言われるトランプ大統領ですが、以下のことが言えるのではないでしょうか。
1.言葉で脅すが、武力戦争はしない
2.関税が最高の武器だと信じている
3.白人至上主義
4.男性絶対主義
ただし、好き嫌い、または、その時次第で上記の原則を外すことは良くあります。
白人ではない安部元首相を気に入っていたことを考えれば納得できると思います。
 
近年、力を落としているとはいえ、米国は経済も軍事も断トツのトップです。
生粋の米国人は、このトップの座が刺激されると黙ってはいないのです。
日本は、かつて、真珠湾や半導体シェアなどで、トラの尾を踏んでしまいました。
こうした愚を繰り返してはいけないのです。
政治的な話は次号で行うとして、今号は経済的な側面を解説します。
 
イーロン・マスク氏を政府効率化省(DOGE)のリーダーに任命したことが話題になっていますが、「小さな政府」は共和党の伝統的な方針です。ゆえに、政策としては当然といえます。
実際に歳出削減が出来るかを疑問視する声がありますが、今の米国の絶対的課題であることは確かです。
 
初日に大量の大統領令に署名したことが一種のパフォーマンスだとする意見が見られますが、それは違います。
彼が署名した多くの大統領令の中身は「パリ協定からの脱退」に代表される温暖化対策費等の大幅削減です。
良し悪しを横に置いて考えれば、温暖化対策は莫大な予算が掛かる割には実質的な効果の見えない政策です。
もちろん、放置すれば長期的に人類がとんでもない事態に追い込まれる可能性はあります。
だが、その予測を明確に説明できる人はいません。
まして、たった4年間では、投資の割には効果が見えないことが確実です。
ゆえに、この予算をカットして、バイデン政権時代に比べて大幅な予算削減を実現し、「なあ、オレがやれば削減できたろ」と胸を張るほうを採るのは当然です。
 
しかし、当の大統領に、そんな自慢を言える余裕はありません。
上限いっぱいまで膨らんでいる国債発行は、連邦議会の承認がない限り、これ以上は無理です。
連邦予算執行の一時停止は、政府がそれだけ追い込まれている証拠です。
トランプ大統領が、前任者のバイデン氏を「ばか者」と罵倒していることも一理あるのです。
 
一方、誰もが知るとおり、トランプ大統領は関税絶対論者です。
すでに、メキシコとカナダに対し25%の関税を掛けると宣言し、中国には10%の追加関税を掛けるとしています。
しかし、輸入品の関税負担は輸出国ではなく消費国の国民が負うことになり、収まりかけたインフレを再上昇させます。
トランプ大統領がそのことを知らないわけはありません。
「高関税を掛けるぞ」という脅しで相手を揺さぶり、交渉で優位に立とうという戦略です。
 
同時に、相手国への脅しだけでなく、米国民の購買心理を動かそうという意図もあります。
「輸入品の価格が上がれば、消費者は関税がかからない国産品を買うはずだ」という単純思考です。
しかし、その思惑が効くのは、質の劣る国産品でも消費者が「安ければいいか」と我慢できる範囲にある場合だけです。
良い例が車です。
米国に住む複数の知り合いに聞くと、「米国製の車? 半額になっても買わないよ」と言います。
 
第一次世界大戦以降、自由貿易の進展で最大の利益を得たのは米国です。
当然、米国は関税ゼロの自由貿易を世界に要求してきました。
それが、今では「関税ゼロだと米国製品は売れずに、外国製ばかりが入って来る」となってしまったわけです。
ゆえに、トランプ大統領は、米国製品の質を上げることは諦め、脅し戦術に出たわけです。
最初にげんこつを見せて「はーっ」と息を吹きかけて相手を脅すチンピラ戦術ですが、実際のチンピラは、めったに暴力は振るわないものです。
さて、トランプ氏は・・どうでしょうか。
この先を注意深く見ていきます。
 
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┃◇ホンダと日産の合併:2人の桜井さん(後半)      ┃
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「もう一人の桜井さん」とは、ホンダの桜井淑敏(よしとし)さんです。
前号の桜井眞一郎氏は、当時10代の私にとって技術者としてあこがれ続けた人でした。
それに対し、ホンダの桜井さんは、深夜まで酒を酌み交わしたこともある方なので、“さん”付けで呼ばせてもらいます。
 
1964年の「第2回日本グランプリ」で桜井眞一郎氏設計のスカイライン2000GTがポルシェとデッドヒートを演じてから20年後の1984年、桜井さんはホンダの研究所でエンジン開発部門のマネジメントをしていましたが、F1との直接の関わりはありませんでした。
そこに、上司の川本信彦氏(後に第4代社長となる方です)から突然「お前ちょっとF1の現地に行って様子を見てこい」と言われ、そのままF1プロジェクトに関わるようになったということです。
 
かくして、ホンダF1チームの総監督になった桜井さんですが、当時は「TAGポルシェ」のターボエンジンが圧倒的に強い時期で、ホンダはまったく勝負になりませんでした。
桜井さんは「どうしたら良いのか、まったく分からず」で「お先真っ暗」だったと言っておられます。
 
しかし、目的達成のためには「発想を根こそぎ変えられる」のが桜井さんの真骨頂です。
今では当たり前になっていますが、F1の他チームがどこも導入していなかった「テレメトリーシステム(走行中のマシンデータをピットからモニタリングできるシステム)」やコンピュータによるレースマネジメントシステムの採用で、チームのスタッフ全員の「事実情報の共有化」を実現し、ついにF1の「コンストラクターズチャンピオン」および「ドライバーズチャンピオン」の2冠達成で、その頂点に上り詰めました。
 
私が桜井さんと知己を得たのは、桜井さんがホンダF1総監督も本田技術研究所の取締役も退任された後ですが、伝説のF1レーサー、アイルトン・セナがレース中の事故で亡くなった余波がまだ続いていた頃でした。
セナにとって、桜井さんは家族以外で一番親しい友であったと思います。
そのセナの事故死について、桜井さんは、「ホンダが、つまり私がF1から撤退したせいだ」と私に繰り返し話し、時に言葉に詰まることもありました。
桜井さんとセナが真剣に会話しているプライベートビデオを見ながら、夜遅くまで話し合ったことが、つい昨日のことのようです。
桜井さんの著書にセナに関する著述が多いことからも、二人は親友を通り越して、まさに戦友だったことが分かります。
それだけにセナの死は、桜井さんにとって癒しきれない心の傷となっていることが感じられました。
当時は創業から数年の未熟な経営者であった私に、桜井さんの話は経営のバイブルの一つとなりました。
お互いにアルコールが入っていましたので、話は熱を帯び、ここには書けない凄い話も満載でした。
また、世界最高峰のF1レースの裏側の世界の話も、たっぷりと聞くことができました。
桜井さんから聞いた生前のセナの凄さやF1レースの裏話は、いつか、本メルマガでも取り上げたいテーマの一つです。
 
時は流れ、夢中で仕事をしているうちに、わが社もまもなく35期目に入ります。
創業から30年を生き延びられる会社は1000社に2~3社と聞きます。
こんな数字を最初に聞いていたら、絶対に創業はしていませんね。
「聞かない方が良い数字もあるんだな」と、今ではつくづく思います。
 
2回に渡って取り上げた2人の桜井さんは、技術者の端くれとして、今でも深く尊敬するお二人です。
昨今、新入社員を採ろうと大手企業が30万、35万と初任給を釣り上げてきています。
しかし、断言します。
カネに釣られて就職先を決める若者に、未来を切り開く力はありません。
2人の桜井さんは、ただただ車が好きでたまらず、最高の車を作りたい一心で職場を選んだ人です。
比べるべくもありませんが、私もそうでした。
給料なんかどうでも良く、全力で取り組める仕事のチャンスをくれることが会社を選ぶ唯一の選択基準でした。
初任給の高騰に釣られそうな若者に言いたいです。
カネは、自分が全力で取り組み、上げた成果についてきます。
自分の中にある「挑戦したい」という気持ちで企業を選んでください。
そして、2026年から始まる新たな時代に花開く将来の“桜井さん”を目指してください。
 
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┃☆水商売からビジネスを学ぶ(その6)          ┃
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お店はようやく収益軌道に乗りましたが、そこから新たな試練が始まりました。
まずは、水商売につきものの“やくざとのトラブル”です。
今は水面下に潜っていますが、当時は地元の“やくざ”が大手を振って水商売の店から「みかじめ料」なる金銭を強制的に徴収していました(もちろん、当時でも違法行為です)。
この「みかじめ料」とは何かというと、他の暴力団からの“たかり”や嫌がらせからお店を守ってもらい、そのかわりに払う“用心棒代”です。
つまり、良い比較ではありませんが、現代の警備会社のような存在だったともいえます。
もちろん、警備会社の商売は合法ですが、彼らの行為は違法な“たかり”です。
 
私の一家の生計を支えていた、このお店にも“やくざ”は、当然やってきました。
しかし、ここで引いたら“しゃぶり尽くされる”と思った私は、彼らの要求には一切応じなかったので、危うく刃傷沙汰になるところでした。
しかし、私の抵抗が本物だと感じた“やくざ”のほうが引いて、事なきを得ました。
正直、恐怖に体は硬直しましたが、カウンターの中の刺身包丁をとっさに握ったら不思議に震えが止まり、腹が決まりました。
武器の最大の効果は、こうした効果(つまり、専守防衛の備え)なのかなと今では思います。
このときは、この店が一家を支えていたので、文字通り命を捨てても守るとの覚悟でした。
読者のみなさまは決してマネしないでください(もっとも「するわけないだろ」と言われそうですが)。
 
次の試練は、読者のみなさまのご想像どおり、女性問題です。
ホストクラブのように男性が女性のお客をもてなす世界もありますが、今でも本流ではありません。
当時の私のお店にも、当然、ホステス目当てのお客様も来ました。
多くは、お酒を楽しみ、仲間や店のスタッフとの会話を楽しむお客様でしたが、中にはお酒の力も借りて、好みのホステスを本気で狙うような人もいました。
私は、ホステスには「度を越さないように」と何度も注意し、適度な時間で席を移動し、特定のお客様の相手だけをしないように注意していました。
こうしたことは他のお店でも、また現代でも同じ配慮をしているようですね。
 
それでも厄介なことは起きます。
閉店後の掃除をしていた時、一人のホステスから電話が掛かってきました。
「忘れ物かな?」と思って電話を取った私の耳に「チーフ助けて」という彼女の声が響きました。
「どうした!」という私に「お客様が部屋のドアを壊そうとしている」という緊急事態。
彼女の住むアパートはお店の近くにありました。
急いで駆け付けた私が見たのは、ホステスの部屋のドアのカギを壊そうとしている男の姿でした。
物音で住民の何人かが廊下に出ていましたが、誰も怖がって近づこうとしません。
 
私は、ゆっくりと男に近づき、「お客様、私です」と声を掛けた。
男の血走った目つきに恐怖を感じたが、落ち着いて「○○(店の名前)のバーテンです。どうされましたか」と言った。
男は、呂律の回らない口調で「彼女が開けてくれないんだ」とドアを叩いた。
私は「そんな乱暴にドアを叩いたら怖がって余計に開けてくれませんよ」と諭し、「周りの方に迷惑ですから、外で話しませんか」と、穏やかだが有無を言わせぬ口調と男の腕を強めに掴んで誘導した。
男は私をにらみ付けたが、怯む様子のない私に諦めたのか、一緒にアパートの外に出た。
外の夜風に吹かれて頭が冷えたのか、間もなく男は黙って去っていった。
その間30分ぐらいであったが、正直、私は緊張でクタクタになった。
アパートの彼女の部屋の前に戻り、ノックして「終わったよ。安心して」と声を掛けたところ、ドアを少し開けて、怯え切った彼女が顔をのぞかせた。
私は「交番のおまわりさんに事情を話し、パトロールをお願いするから、もう安心して寝てください」と声を掛け、「明日、お店が開く前に来てくれないか。話がある」と言って、そこを去った。
 
翌日、開店前のお店に来た彼女に「あのような男は決して諦めようとしないからね。とにかく姿を消すことだ。僕もこれ以上貴女を守り切れないからね」と諭し、郷里に変えるよう説得した。
結局、恐怖感も手伝ったのだと思うが、彼女は郷里へと帰っていった。
 
ここまでのケースは稀でしたが、暴力がらみや女性がらみの問題にはその後も悩まされました。
そのような折、水商売の経営を揺るがす大きな法改正が行われ、別の意味のピンチに襲われました。
次号に続きます。
 
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┃ ◇2024年からの展望(7):責任あるAIってなんぞや?  ┃
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前号で「AIの技術についての深堀りの解説を続ける」と予告しましたが、このテーマは読者のみなさまの「要る/要らない」が大きく分かれますし、深い内容の解説も必要になります。
途中ですが、本メルマガでは、いったん終わりにします。
 
来月、「AI解説」のサイトを別に立ち上げ、そちらに移行することにしました。
次号、サイト名をお知らせしますので、そちらも引き続きご購読ください。
 
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<編集後記>
不祥事を犯したタレントが、ネットや週刊誌報道の追及を受け引退に追い込まれました。
その不祥事の温床であるTV局の責任が問われましたが、記者会見の大失敗から首脳陣の辞任に発展してしまいました。
“なってはいけない”人が社長になった典型的な例として、中小企業でも「他山の石」とすべきだなと思いました。
 
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