2021年3月15日号(国際、政治)

2021.03.31


HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2021年3月15日号
┏━┓┏━┓┏━┓┏━┓┏━┓
   H  A  L  通  信
┗━┛┗━┛┗━┛┗━┛┗━┛ http://www.halsystem.co.jp
発行日:2021年3月15日(月)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2021年3月15日号の目次
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★新たな冷戦の始まり
◇抑止力という名の軍事力(11)
★慰安婦問題の底に見えるもの
◇リベラリストと呼ぶのは止めよう
 
http://magazine.halsystem.co.jp
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 
こんにちは、安中眞介です。
今号は国際問題、政治問題をお送りします。
 
米国でアジア系住民に対するヘイトクライムが多発し、死者まで出ています。
新型コロナウィルスに対する恐怖が引き金になっているようですが、米国人の根底にアジア系に対する侮蔑意識があることが大きな要因です。
米国におけるアジア系の移民は近代に入ってから増えました。
当然、下働き関係の仕事にしか付けず、生きるため懸命に働きました。
ところが、そのことが下層階級の米国人の職を奪う形になってしまいました。
特に「プアホワイト」と呼ばれる下層の白人たちは、人種差別意識もあり暴力行為に走る傾向が強くなります。
若い頃、米国で「イエローモンキー」と罵られたことが何度かあります。
その時は、怒りよりも恐怖のほうが強かったです。
今、アジア系の米国人たちが置かれている状況を考えると胸が痛みます。
 
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃★新たな冷戦の始まり                       ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
いま世界は、米国を中心にオーストラリア、インド、日本が組んだQUAD(クアッド)連合と、中国を中心にしたロシア、イラン、パキスタンが組んだCRIP(クリップ)連合との新たな冷戦状態に入ろうとしています。
ただ、両陣営とも固く団結しているとは言い難い状況にあります。
 
特に、QUADのインドとCRIPのパキスタンの態度はあいまいです。
この両国は長年の仇敵どうしです。
ゆえに、対立する両陣営に分かれているのは自然に見えます。
しかし、国際政治の世界はそう単純ではありません。
両国と米国および中国との関係は複雑に絡み合っています。
反対陣営に寝返ることはないと思いますが、情勢次第で脱落することはあり得ます。
 
米国は、そうした危惧を当然織り込み済みです。
そのため、まず第一に日米同盟をQUADの核としてより強化する、第二に英仏独を組み入れたアジア版NATO(いわゆるクアッド・プラス)に拡張することに腐心しています。
米国の狙いは、アジアだけでなく世界的な中国包囲網を形成し、インドの脱落を防ぐとともに、中国のCRIPを弱体化させ、孤立させることです。
 
対抗する中国には中露を核とする戦略しかありませんが、ロシアを全面的には信用できない弱みを抱えています。
加えてCRIP加盟国のイラン、パキスタンは、対抗するクアッド・プラス加盟国に比べて国力が大きく劣ります。
 
このように、誰が見てもCRIP側の劣勢は明らかです。
そこで、中国が重視しているのが日本との関係なのです。
日本を味方にするのは無理でも、なんとか中立的立場に追い込もうと画策しています。
「ではなぜ、尖閣への侵入を常態化させるのか」と問われるでしょうね。
たしかに、それは事実ですが、多分に国内向けのパフォーマンスと考えられます。
日本が音を上げることを待つという以上の行動は、今は起こさないでしょう。
 
しかし、台湾への武力侵攻は時間の問題ともいえる緊迫事項です。
尖閣は、台湾侵攻の障害であり、また橋頭堡でもあります。
ゆえに、中国が狙うのは戦略上、理にかなっています。
「必ず奪いに来る」と考えるべきでしょう。
 
もちろん、こうした見方を否定する意見はあるでしょう。
しかし、「軍事侵攻はない」と期待するより、「ある」として備えを固めるべきです。
平和とは自然に訪れるものではなく、作っていくものです。
尖閣のピンチをチャンスに変える外交および軍事戦略の能力が今の日本に問われています。
果たして菅首相に、その気構え、そして戦略思考があるでしょうか。
 
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃◇抑止力という名の軍事力(11)                 ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
「中国の軍事力は日本を凌駕した」と言われて久しいですが、本当のところはどうなのでしょうか。
少し違う視点で考えてみました。
 
アジアで軍事戦争の形態が近代化したのは、明治に入ってからです。
蒸気機関で動き、大口径の大砲を搭載した装甲艦同士の戦争の幕開けは日清戦争が最初といえます。
当時、大国だった中国(清)の圧倒的勝利で終わると見られていた黄海海戦は、真逆の結果となり、世界は驚きました。
定遠、鎮遠という最新鋭・最大級の戦艦を持つ清に対し、日本に勝つチャンスはないと言われていました。
しかし、大口径の大砲より艦の速度や運動性を重んじた艦隊構成を整えたハード面の戦略、その上で、作戦立案能力に長けた幹部の育成、さらには猛訓練により高い戦闘能力を身に付けた兵員といったソフト面の戦略、このバランスで日本は勝利しました。
こうしたバランスの強化で、清より強大なロシアとの戦争でも日本は勝利しました。
ただ、こうした勝利が国民の奢り(おごり)に繋がり、「戦いを避ける道」の大切さを忘れさせてしまいました。
 
同じことを中国側から見てみましょう。
政権は清から共産中国に代わりましたが、それでも日清戦争の敗北は屈辱であり、大規模戦争を経験していない人民解放軍の“日本への恐れ”になっています。
日本と戦争して過去の屈辱を晴らしたい、しかし勝利する自信が今ひとつ持てない状態なのです。
 
現代の中国は、核兵器を持ち、軍艦や戦闘機の数、予算のすべてにおいて日本を圧倒しています。
日本に勝つのは簡単そうです。
実際、そう思って日本と戦争したがっている中国の軍人は多いようです。
しかし、経験不足は隠しようもありません。
中国軍の軍事演習の実態を調べると、演習のための演習といった様子が見てとれます。
 
それに対し日本は、敗戦したとはいえ、米国相手の全面戦争を戦い抜いた経験があり、その経験は今の自衛隊に受け継がれています。
以前、本メルマガで、私の父たちが江田島の自衛隊幹部養成学校を訪問したときのことを書きました。
そのとき校長が、整列した全校生徒に向かって「偉大なる先輩たちに敬礼」と言ったそうです。
この話を聞いて、旧日本軍将校だった父たちを「先輩」と呼んだことに驚きました。
また、兵法の師である武岡先生も、戦場で戦った陸軍将校であり、戦後は陸上自衛隊の教官でした。
こうした経験の継承は、純粋な軍事面では大きな要素なのです。
また、このような事実が、中国が日本との戦争をためらう一要因となっているとしたら、これも立派な抑止力といえます。
 
こうした話は「軍事賛美」と批判されるでしょうが、「幻想的平和」よりマシではないかと思います。
ちょっと考えてみてください。
こうしたソフト面の優位が、とても安上がりな抑止力ということをです。
 
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃★慰安婦問題の底に見えるもの                   ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
米国ハーバード大学のジョン・マーク・ラムザイヤー教授の論文「慰安婦は自発的売春婦」に対し、韓国で大反発が起きています。
反発は予想されたことですが、その執拗さと過激さのエスカレートは異常です。
「日本が裏で操っている」との根も葉もない話まで飛び交う始末です。
ただ、これを「無視すれば良い」と受け流すことには要注意です。
韓国の狙いは、慰安婦問題を「女性差別」という誰も反対できない今の世界世論の流れに便乗させることにあります。
そこで、この「慰安婦=売春」というナーバスな問題を歴史から見てみることにします。
 
戦前においては、日本のみならず世界の多くで売春は合法商売でした。
こんなことは誰もが知っている歴史上の常識です。
しかし現代では、売春は“おぞましい商売”として口にすること自体が難しい問題です。
日本では、戦後すぐに売春は禁止されたと思っている方が多いと思いますが、それは違います。
以下に、禁止に至る経緯を少し説明します。
 
敗戦により日本を統治したGHQは、1946年1月に公娼制度(つまり売春)を止めるよう日本政府に要求しました。
しかし、生活に困窮する者が多く出るということで「自発的な売春」は認めたのです。
ただし、無差別に認めたわけではなく、「特殊飲食店」なる言葉を使い、この許可を得た店での“自発的売春”を許容しました。
ラムザイヤー教授の論文の「自発的売春」なる言葉は、こうした資料からの引用と思われます。
自発的売春は、戦後も合法だったのです。
 
反面、街頭での売春行為は禁止し、厳しく取り締まりました。
ドラマや映画で、こうした「売春婦狩り」が描かれるため、戦後すぐに売春全体が禁止になったと誤解されますが、全面禁止までには1958年4月の売春禁止法の制定まで10年以上を費やしたのです。
 
一方、韓国においては、戦後もずっと売春は合法でした。
私が最初に韓国を訪問した1970年代は、もちろん合法でした。
韓国での接待の代名詞となっていた「妓生(キーセン)接待」は、その後も長く当たり前のように行われていました。
韓国で売春が非合法となったのは、2004年に施行された「性売買特別法」以降ですから、つい最近まで合法だったのです。
 
韓国は、自国のこうした不都合な真実を覆い隠そうと、「強制された従軍慰安婦」という話を膨らませ、日本を貶めようとやっきになっているのです。
韓国の常套文句「歴史の真実に背を向ける歴史捏造・歪曲行為」は、そっくりそのまま韓国にお返ししたい言葉です。
 
これに対し、日本政府の対応は間違っていました。
日本軍による強制連行を示す証拠がまったく出てこないのに、河野談話で強制性を認めてしまったことが最大の間違いです
裏取引で、韓国側から「認めてくれれば、今後一切言及しない」との要請があったからなのですが、文書による証拠を残さず、相手を信用してしまったお人好しぶりに呆れるばかりです。
しかし、日本のお人好しぶりは国民性なのでしょう。
その後も、河野談話を否定することもせず、何度も首相がお詫びを言い、賠償金も支払ってきました。
それでも、韓国は蒸し返すばかりです。
「味をしめた」としか言いようのない韓国の態度に、ついに多くの日本国民の堪忍袋の緒が切れてしまったのが今日の姿です。
 
それでも韓国の日本叩きは収まることはありません。
アニメ映画「鬼滅の刃」が韓国でも封切られましたが、案の定、主人公の耳飾りに抗議(というより、いちゃもん)が付けられ、同アニメのファンとの論争になっています。
あの耳飾りのデザインは花札なのですが、そんなことは「百も承知」の難癖なのです。
こうした「旭日旗ハンティング」で分かるように、韓国では、反日はビジネスなのです。
 
ダートマス大学のジェニファー・リンド准教授が興味深い指摘をしています。
以下にそのコピーをそのまま掲載します。
「韓国人のアンチ・ジャパニズム(反日主義)は韓国の民族主義の重要な要素だ。日本人に対する憤りと屈辱の念は韓国人のアイデンティティの根幹だ」
「米国内の一部専門家は、日韓は慰安婦、元徴用工問題などの歴史認識事案を解決した上で安保、経済関係を改善すべきだ、というが、私は同意できない」
「日韓両国民、官民が挙げて、日韓関係を改善しなければ大変なことになると本気で取り組む機運が生まれなければ、改善はされない。その間、米国が日韓の仲介役になるのは困難だ」
「米国が在韓米軍を撤収し、対韓軍事コミットメントを変更。日韓を震え上がらせるぐらいのことでもしない限り、日韓の亀裂は短期的には埋まりそうにない」
 
しかし、日韓の亀裂は埋まるどころか、広がる一方のような気がします。
そろそろ、日本の防衛ラインは対馬海峡と考える必要があるのかもしれません。
 
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃◇リベラリストと呼ぶのは止めよう                 ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
リベラリストと呼ばれる人たちの言動には、激しい言葉を好んで使う傾向があるように思われます。
かつて、学生運動に傾倒していった友人たちにも同じような傾向がありました。
ただし、彼らを悪人と言いたいわけではありません。
激しい言葉を好んで使う蓮舫氏や辻元氏は分かりませんが、かつての友人たちは、みな善人です。
彼らから見たら、私は相当な悪人になってしまうでしょう。
つまり、それほど純粋なのですが、その純粋さが危険なのです。
 
ここで、あることを思い出しました。
「超純水」という水をご存知でしょうか。
限りなく不純物がゼロ状態の「純粋そのものの水」のことです。
サラリーマン時代、最高純度の超純水を使う研究所などをいくつも建設してきました。
その時の経験です。
超純水を自分の指に垂らし、すり合わせると、すぐにヌルヌルしてきます。
このヌルヌルは、指の皮膚が溶けていることを意味します。
このまますり合わせを続けると、やがて骨まで達し、さらに骨まで溶け出すのです。
水は、あらゆる物質を溶け込ませる性質がありますが、超純水はこの性質が極端に強いのです。
硫酸のように人体を溶かす、まさに劇薬なのです。
 
リベラリストの人たちを超純水と同じというのは少々言いすぎですが、似た要素があります。
実際、かつての友人たちの中には、内ゲバ殺人を犯す、銃砲店を襲うといった犯罪者となってしまった者もいました。
その純粋さゆえに、彼らの中では正義の犯罪として許されてしまうのでしょうね。
 
リベラルとは「自由なこと」という意味ですが、自分の自由は、ときに他人の自由を損なうということを常に念頭に置いておく必要があると思います。
また、自分は何に対しても自由だと思うことは、心の中だけに許されることです。
実際に行動に移すことには自己責任が伴います。
マスコミは、この当然のことに思いが至らない人たちのことを、無定見に「リベラリスト」と呼ぶのは止めるべきです。
その意味からすると、当てはまらなくなる人はかなりいます。
彼らは独善主義者であって自由主義者と呼ぶべきではないと思います。
 
----------------------------------------------------------------------
<編集後記>
開催可否で揺れていたように見えた東京五輪ですが、IOCも日本政府も、最初から中止は選択肢になかったようです。
莫大な利権と費用を考えれば、それは当然といえます。
いやな言い方ですが、大衆の感動は「カネを生む金の卵」です。
そして、スポーツはその大きな道具です。
SNSで大量に感動が再生産される現代においては、その金額は天文学的な額に膨れ上がっています。
米国大リーグや欧州サッカーリーグでは、超一流選手の契約が百億円規模になるのは当たり前になっています。
それとはレベルが格段に違う話で恐縮ですが、競技前に自分のスキー板のメーカーロゴにガムテープを貼らされた昔の光景を思い出すと隔世の感があります。
どっちも異常とは思いますが・・
 
----------------------------------------------------------------------
◎[PC]配信中止、変更の手続きはこちら
http://www.halsystem.co.jp/mailmagazine/
このメールは送信専用です。お問い合わせはこちらからお願いします。
http://www.halsystem.co.jp/contact/
 
∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵
【編集・発行】
  株式会社ハルシステム設計
http://www.halsystem.co.jp
 
  〒111-0042 東京都台東区寿4-16-2 イワサワビル
  TEL.03-3843-8705 FAX.03-3843-8740
 
【HAL通信アーカイブス】
http://magazine.halsystem.co.jp
 
【お問合せ・資料請求】
email:halinfo@halsystem.co.jp
tel:03-3843-8705
 
Copyright(c)HAL SYSTEM All Rights Reserved.
∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵