2024年10月15日号(国際、政治)
2024.10.17
HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2024年10月15日号
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発行日:2024年10月15日(火)
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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2024年10月15日号の目次
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◇石破新政権は、どこまで持つか?
◇ノーベル平和賞が日本被団協に
◇平和外交の幻想
<HAL通信アーカイブス>http://magazine.halsystem.co.jp
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こんにちは、安中眞介です。
今号は国際問題、政治問題をお送りします。
自民党の総裁選、決戦投票では高市氏が優勢と思われましたが、石破氏の逆転勝利となりました。
決選投票に残れなかった候補の推薦人の多くが石破氏に投票したことが大きかったようです。
今号は、この話題から入ります。
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┃◇石破新政権は、どこまで持つか? ┃
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まずは、高市早苗氏の敗北要因から。
一言で言うと、浮かれ過ぎからきた油断だと思います。
高市陣営は、第1回投票で予想以上の票を得てトップとなったことで盛り上がっていました。
たしかに、1回目の議員票の結果が72対46の大差だったことは予想外で「これで勝った」と思ったのでしょう。
しかし、議員票のトップは小泉進次郎氏の75票だったことを陣営は軽視したようです。
この小泉票の大半が、決選投票では石破茂氏に入れたことは確実です。
それを切り崩せなかったことが一番の敗因といえます。
その切り崩しの切り札が「最後の5分間の演説」でしたが、高市氏はこれに大失敗してしまいました。
制限時間の5分どころが、6分を超えてしまい、しかも尻切れトンボ気味となる失敗で、万事休すとなってしまったわけです。
高市氏自身が冷静さを欠いていたといえます。
ところで新首相となった石破茂氏ですが、いきなり衆院解散に打って出ました。
これには、各方面から「ええっ」という声が上がっています。
石破氏は、総裁選では小泉進次郎氏の早期解散発言を批判していたのですから、非難を受けるのは当然といえます。
しかも「解散は、時の政権が勝手に行うべきではない」とまで発言したこととの整合性をどう取るというのか。
石破氏は、それらの矛盾を全く説明する気もないようです。
これらのことが意味することは、マスコミが報道しているように、この解散が石破首相の意向ではなく、幹事長に就任した森山裕氏と副総裁となった菅義偉元首相の意向であることは確実なようです。
では、なぜ両氏は、総理就任からわずか9日目という異例の早期解散に持っていきたかったのでしょうか。
それは、石破首相の弱さを危惧してのことです。
首相の言動には強い意志の力が感じられず、言葉には迫力がなく、話す内容も意味不明瞭な上、回りくどくて最後まで聞くことが苦痛になります。
森山、菅両氏は、時間をかけると、こうした弱点がどんどん膨らむと考えたのでしょう。
選挙対策委員長に小泉氏を立て、ミーハー的な選挙民を取り込もうとしていることを見ても、石破首相に関心が集まらないようにという狙いが透けて見えます。
日本国民も、ずいぶんと馬鹿にされたものです。
こうなると、今回の選挙は、日本国民の馬鹿さ加減のリトマス試験紙のようなものです。
かといって、野党を見渡すと、五十歩百歩どころか、自民党より劣ることが見え見えな悲しさです。
立憲民主党の野田代表は「政権交代の選挙だ」と息巻いていますが、野党候補を一本化する動きを見せず、乱立状態になりそうです。
ぼろ負けを覚悟していた与党は、野党の足並みの乱れに「ホッ」としていることでしょう。
国民の一人として、かくも不毛な政治風景を作ってしまった責任を感じ、自分の政治信条は封印し、誰に、そしてどの党に投票することで少しでも政治が良い方向に向かうのかを考え、27日を迎えようと思っています。
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┃◇ノーベル平和賞が日本被団協に ┃
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「ノーベル平和賞をニホンヒダンキョウ(日本被団協)に授与する」。
この発表は日本では驚きをもって報道されましたが、世界のメディアの多くは、この受賞を予想していたようです。
その要因の第一は、ウクライナ戦争において核兵器使用を再三再四ほのめかすロシアのプーチン大統領にあります。
欧米は「本当に使うかもしれない」と危惧しているのです。
もちろん、現段階においてはウクライナ支援を続ける欧米に対する恫喝ですが、ロシアの敗北が濃厚になった段階で核兵器を使用すると欧米は考えているということです。
第二の要因は、中東情勢の悪化です。
ハマスやヒズボラを徹底的に打ちのめしたイスラエルの真の標的はイランです。
イスラエルは敵対勢力を後ろで操っているイランを叩くチャンスは「今しかない」と考えています。
しかし、戦えば敗北必至なイランは軍事衝突を回避したいのです。
子分たちの手前、イスラエルへのミサイル攻撃を行いましたが、完全な及び腰です。
この攻撃はイスラエルの思うつぼで、さらなる挑発を引き出す戦略を練っています。
イスラエルは、公表はしていませんが核兵器保有が確実視されている国ですし、イランが核兵器開発を諦めていないことも公然の秘密です。
つまり、核兵器が「使えない兵器」から「使える兵器」になりつつあるという危機感が、今回の受賞につながっているわけです。
ノーベル賞委員長のフリードネス氏が「(核兵器を使ってはならないという)タブーが圧力にさらされている」と授賞理由で述べたように、この脅威が現実に近付いていることは誰もが感じています。
この受賞を受け、日本の被団協を始めとする被爆者団体が「これを機に核兵器廃絶を」と訴えていますが、長期の目標としてはともかく、現実の目標としては「とても無理」と言うしかありません。
こんなことを書くと「お前は核兵器賛成論者か」とおしかりを受けそうですが、核兵器保有を減らすことはできても無くすことが不可能なことくらい、ほとんどの人は分かっているはずです。
今回の総選挙でも「核兵器廃絶」を声高に叫ぶ政党がありますが、現実を無視した無責任発言です。
フリードネス委員長は、世界各地で続く紛争について触れ「核兵器使用を禁じる基準を守らなくてはならない」と述べ、「被団協は重要な役割を果たしている」と強調しました。
この言葉の裏には、被団協が「核兵器廃絶」の看板を下ろすことは無理だろうが、まずは「使用禁止の国際条約の締結」を目指すという現実解の音頭を取って欲しいとの思いがあります。
私も、一気に理想に向かうことは無理なので、まずは「使用禁止」という一歩を目指すべきだと思います。
被爆者団体の強硬派は、核兵器のみならず、原発廃止、さらには核の研究すら禁止を主張しています。
そうした無理な過激発言に対しては、正直、「無責任」と言いたいです。
米国大統領選でも、トランプ陣営のフェイクといえる過激発言が伝えられますが、それを支持する国民が米国民の半分という現実に寒気がします。
被曝者団体の一部にある過激な主張がトランプ派の主張と同列とは言えませんが、主張の過激さは同じようなレベルといえます。
たしかに、やがて被爆者が一人もいなくなる現実が迫る中、焦りがあるのでしょうが、次世代に伝え、託す分別も必要です。
被団協が焦りから無理な方向に行かないことを願うばかりです。
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┃◇平和外交の幻想 ┃
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こんな表題を掲げると、非難ごうごうとなりそうですね。
しかし、実際「平和外交」などあるのでしょうか。
また、歴史上、そんな外交があったのでしょうか。
断言しますが「平和を装う外交」はあっても、「平和外交」は歴史上、存在しなかったし、現代でも無いと断言します。
そして、今後も世界が統一されない限り、平和外交という外交は無いでしょう。
左翼リベラル派の主張する「武力なき民主主義」は、あまりにも無力で、邪悪な軍事国家に簡単に侵略されてしまいます。
そうした国からの侵略を防ぐための防衛力が必須なのは当然ではないでしょうか。
もちろん、軍備増強だけが防衛ではありませんが、軍備のない防衛はそもそも不可能といえます。
しかし、戦後の日本は、敗戦の痛手から厭戦(えんせん)気分に支配され、また米国の軍事力の傘の下での「ぬるま湯」で“うまく”経済復興を遂げたため、単純な平和主義が主流になってしまいました。
かつて、野党第一党であった日本社会党の「非武装中立論」などはその典型です。
中立国だったスイスやスウェーデンが、強力な軍事国家であることを無視した暴論だったわけです。
そのスウェーデンや同じく中立国だったフィンランドが中立を捨て、軍事同盟のNATOに加盟したことは、現代世界が以前より格段に危険に満ちた世界になっていることの現れです。
今の日本のリベラル派と言われる団体や人物は、中国やロシアなどに対し「日本を侵略する意図は無い」として領海や領空侵犯を非難せず、反対に米国や日本の軍備強化には反対しています。
沖縄議会で「中国による尖閣の領海侵犯や日本漁船を追い回すことを抗議せよ」と野党から何度追及されても、玉城デニー知事は無視して何も語りません。
日本がそんな抗議をしたら、中国が怒って、恫喝や領海・領空侵犯がかえって増えるだろう。
だから何も言わない。
これが平和外交だと言いたいのでしょうか。
石破内閣は、親中派・親韓議員が多いと言われます。
韓国政府が、さっそく石破首相にお祝いのメッセージを送ったこともそのお返しでしょうか。
しかし、韓国は相変わらず日本からの水産物の禁輸を続けていますし、日本のEEZ内で違法操業を取り締まる姿勢も見せません。
中国も、日本の10歳児が刺殺された事件の全容や背景を隠したまま、知らん顔です。
日本は、いいかげん平和外交の幻想から醒めるべきだと主張してきましたが、石破内閣の発足で、それも虚しくなりつつあることを感じます。
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<編集後記>
選挙カーの騒音が始まりました。辛抱を強いられる二週間の不毛さが改善されることはないのでしょうか。
それでも「清き(?)一票」を無駄にしないため、消去法での投票には行きます。
候補者の一本化調整ができない野党の姿を見ると、与党が早期解散に踏み切った真意がそこにあったことが分かります。
この思惑の成否が判明することが、唯一の興味です。
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