2018年10月15日号(国際、政治)

2018.10.16

HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2018年10月15日号
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発行日:2018年10月15日(月)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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           2018年10月15日号の目次
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★米朝会談の行方
★文大統領の必死さ
◇憲法改定に世論は後ろ向き?
◇中国の対日微笑外交をどう利用するか
 
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こんにちは、安中眞介です。
今号は国際問題、政治問題をお送りします。
 
米国のマティス国防長官が「辞任するのでは」という憶測が飛び交っていますが、もし本当ならば重大な事態となります。
マティス長官は北朝鮮に対する制裁処置の緩和に強く反対していますが、同時に軍事攻撃にも反対しています。
つまり持久作戦ですが、短気なトランプ大統領が嫌う戦略であり、両者は常に対立してきました。
しかし、トランプ大統領といえども、米軍全体に絶大な信頼がある長官を簡単には罷免できずにいました。
それが罷免という事態になれば、2つの可能性が浮上してきます。
北朝鮮の核放棄をうやむやにした上で終戦宣言へ踏み切るという可能性と、軍事攻撃に踏み切るという可能性です。
どちらにしても良い結果はもたらしませんが、さて、どうなることやら。
 
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┃★米朝会談の行方                    ┃
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金正恩は、米国が要求する「核リスト」の提出を頑(かたく)なに拒んでいる。
「非核化」と言いながら核リストは出さないという態度から、金正恩の本音が分かる。
つまり、彼は「米国からの攻撃はある」という警戒を解いてはいないということである。
 
圧倒的な戦力差から通常戦力での戦闘は考えられない北朝鮮にとって、核兵器こそが最後の拠り所であることぐらい、みな分かっている。
しかし、断固拒否では、逆に米国からの軍事攻撃を招く恐れが多く、苦肉の策としてミサイル発射の自粛や一部の核施設の廃棄で時間を稼ごうとしている。
では、その時間稼ぎで狙っているものとは何であろうか。ここが肝心なところである。
 
最大の期待は韓国との連携であろう。
朝鮮統一へつながる連邦国家制へのロードマップさえ描かれれば、米国からの軍事攻撃の恐れはなくなり、自身も安泰である。
北朝鮮は見抜いているはずである。
トランプ大統領は、軍事的にはまったくの素人で、戦争の自信もないことをである。
しかし、素人ゆえ、軍事行動の危険性を軽視している節があり、短気な性格ゆえ、いきなり「やれっ」と言いかねないことも危惧している。
 
そこで、金正恩は、トランプ大統領との直接交渉の前に、韓国の文在寅大統領を徹底的に利用することを考えた。
文大統領を北朝鮮のスポークスマンとして米国を懐柔する作戦に全力を挙げているのが、目下のところの戦術である。
「完全な非核化の意思あり」という言葉を文大統領から何回も言わせ、2回目の米朝首脳会談への地ならしをさせていることから、この戦術は半ば成功している。
さらに、執拗に「朝鮮戦争の終戦宣言」への願望を文大統領の口から言わせ、「こんな宣言などいつでも撤回できるのだから、良いではないか」という、国家指導者としてどうかと思えるような発言まで文大統領に言わせている。
 
よく考えるまでもなく、こんな幼稚な作戦など米国の首脳部にはお見通しで、通常なら無視されるのだが、トランプ大統領の性格を考えると成功する可能性は結構高いのである。
なにより危惧するのは、米国の首脳部に疲れが見え初めていることである。
その最大の原因は北朝鮮ではなくトランプ大統領であることが深刻な危機といえる。
慎重な外交戦略を勧めるマティス国防長官等の首脳部が政権を去る事態となれば、米国政権の中枢部は、トランプファミリーとその取り巻きで占められることになる。
こうした事態は、北朝鮮問題だけでなく、世界の大きな不安要因となる。
ゆえに、2回目の米朝首脳会談の行方は、11月6日の米国中間選挙の結果にかかっているともいえる。
米国民がトランプ大統領の暴走を防ぐ道を選択するか許すのか、見守っていきたい。
 
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┃★文大統領の必死さ                   ┃
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経済的には不況の足音が高まってきている韓国だが、文在寅政権は左派政権であるため経済に弱い。
大統領に就任以来打ち出している政策は、最低賃金の大幅アップなど、どれも韓国経済を弱らせる政策ばかりである。
 
それを政治的に補おうと、前大統領のみならず、その前の大統領まで監獄に追い込む手に出た。
さらに反日の強化で国民の支持をつなぎとめようとしているが、日本とこれ以上の関係悪化を招くことは経済で致命傷を負いかねない。
その結果、対日政策は支離滅裂となり、外交長官などは国連で対日批判をしたかと思えば、「日本との関係重視を」などと臆面も無く言う。
そんな韓国に対し日本世論は非常に醒めた視線となっている。
いわゆる「ネトウヨ」と呼ばれる過激な意見の「国交断絶」とまではいかないが、「韓国との関係は薄いほうが良い」との意見が大勢を占めているといえよう。
 
こうして、経済、外交とも行き詰っている文政権に残された最後の政策が北朝鮮との融和促進なのである。
文在寅大統領は、ほんとうに必死なのであろう。
先月の南北首脳会談を板門店ではなく平壌で開催し、しかも北朝鮮の「革命の聖地」である白頭山(ペクトゥサン)に金正恩と一緒に登るというパフォーマンスまで演じた。
とにかく、韓国民に北朝鮮との親密ぶりをアピールし、朝鮮統一の夢がかなうかもしれないという思いを抱かせようという文大統領の狙いが、日本にまで伝わってくる。
この狙いは当たり、下降気味であった大統領の支持率は、一気に10ポイントも跳ね上がったという。
 
しかし、こうした事態を「ニヤリ」とほくそ笑んで眺めているのが金正恩である。
韓国を盾として、米国への要求を強化してきているのは周知の事実である。
さらに、中国やロシアとの関係強化を図り、北朝鮮による半島統一も夢ではないと、自身思い始めているのではないか。
残念ながら、こうした事態に日本には打つ手が無く、トランプ大統領が安易な決断をしないことを祈るのみである。
 
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┃◇憲法改定に世論は後ろ向き?              ┃
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安倍首相は次の国会に憲法改正案を上程すると発言していますが、公明党は反対していますし、自民党内ですら懐疑的な声があります。
そんな中、JNNの世論調査で「5割以上の国民が上程に反対」と報道されました。
 
首相の前のめりの発言には「拙速」の感を抱いていますが、JNNの報道には疑問を抱きました。
まず、JNNが安倍政権に批判的なTBS系列であることに注目しました。
そのことで、質問内容に反対への誘導があったのではという疑問が湧きました。
よくあることだからです。
 
次に、質問が携帯電話を含む電話で行われたということですが、この方法は不正確になる恐れがあります。
私も、電話でこうした質問を受けたことがありますが、真剣に考える余裕はなく適当な返答をしてしまいました。
例えば、「次の国会で憲法改正案を出すということですが、性急すぎるとお考えですか?」と問われれば、「はい」と答えてしまうでしょうね。
憲法改正に賛成でも「すぐというのは無理だよ」と思うからです。
 
しかも今回の質問は、憲法改正への賛否ではなく「“次の”国会へ改正案を出すこと」への賛否です。
「改正案を出す」ことへの賛否でもありません。
要するに、「誤解しやすい」のです。
今の時期にこうした世論調査を行えば、「すぐに憲法改正を“すべきか”否か」というように受取られる可能性があります。
JNNの今回の調査では、そうした手続きの不足を理由にした「無理だよ」という意見がすべて「反対」にくくられた結果になっているのではないかと思うのです。
 
憲法問題を、犯罪や環境問題と同列に論じることは非常に危険です。
また、汚職などの政治問題と同列に論じることも出来ないはずです。
前述のような問題では「正義」の側に立った報道も、ある程度は許されるかもしれません。
しかし、憲法改正は、徹底的に中立に立って論じるテーマです。
憲法改正に反対であろうが賛成であろうが、報道機関は一方に偏ってはいけないはずです。
今回のようなTBSの姿勢には大いに疑問が湧きます。
 
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┃◇中国の対日微笑外交をどう利用するか          ┃
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米中貿易戦争の副産物ともいうべきものが、中国の対日政策の変化である。
マスコミ報道は「雪解け」と称して概ね好意的な扱いに終始している。
しかし、今の習近平政権が本気で日本との「雪解け」を願っているはずの無いことは誰もが分かっている。
それでも、日本人の根底には古代から長い付き合いのある中国に対するリスペクトの気持ちが流れており、「仲良くするほうが良い」と思う人は多い。
中国の今の態度は、トランプ政権に仕掛けられた嵐が過ぎ去るまでの一時的なものに過ぎないと分かっていても、その気持ちを隠しようも無いのである。
 
日本政府としては、そうした国民の気持ちを無視できないが、さりとて中国政府を信用するわけにはいかない。
これは敵視政策というより、外交上の常識である。
であるならば、今の状況を徹底的に利用するまでである。
表の外交では、この「雪解け」を促進して日中間の懸案となっている問題を処理していくべきである。
偶発的な軍事衝突を避けるためのホットラインの接続とか情報の相互共有などの仕組みの構築などである。
その一方で、南西諸島のミサイル防衛網の整備や海上防衛力、防空戦力の強化などを早急に推し進めていくべきである。
平和的外交手段と軍事力の整備は、外交上の両輪である。
 
今の状況を利用すれば、中国はこれまでのような単純な非難を浴びせることは難しくなるし、対米戦力の増進を犠牲にして対日軍事政策を優先させることはできないであろう。
今がチャンスであることは誰が見ても明らかである。
 
中国は、日本が中国への攻撃を考えていないことぐらいは分かっている。
中国が日本の防衛力強化に対して懸念するのは、尖閣諸島などの南西諸島を押さえ、東シナ海を中国の内海化することが難しくなるからである。
であれば、なおさら、東シナ海を平和に保つためには、今がチャンスなのである。
 
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<編集後記>
対中政策で「軍事力の増強を」と書きましたが、軍拡競争は果てしない競争で、全面戦争以外に終わりはない「愚かな政策」です。
さりとて、人類の歴史は強者が弱者を軍事力で踏みにじってきた歴史です。
 
皮肉なことに、防御不能な核兵器の発達により大国同士の戦争は抑止され、このジレンマから逃れてきました。
しかし、数千、数万発の核ミサイルの下での平和は、一瞬で消し飛ぶ“か細い”平和に過ぎません。
それゆえ、単純平和主義の主張する「武器を捨てよ」という意見も一定の理解はできます。
 
しかし、そうした世界ができたとしても、誰かが一発の核兵器を持ってしまうことであっという間に崩れてしまいます。
つまり、こうした平和も、一瞬で消し飛ぶ“か細い”平和なのです。
 
人類がひとつになり世界政府ができたとしても、宇宙にはどんな危険が潜んでいるかも分かりません。いえ、必ず人類の存亡を賭けた事態に遭遇するでしょう。
災害の救援に自衛隊の存在が欠かせないように、軍隊は永遠に必要な組織なのだと思います。
 
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