2024年9月30日号(経済、経営)
2024.10.02
HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2024年9月30日号
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発行日:2024年9月30日(月)
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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2024年9月30日号の目次
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◇新総裁の財政政策は?
☆水商売からビジネスを学ぶ(その2)
◇2024年からの展望:責任あるAIってなんぞや?
◇これからの中小企業の経営(10)
<HAL通信アーカイブス>http://magazine.halsystem.co.jp
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こんにちは、安中眞介です。
今号は、経済、経営の話題をお送りします。
自民党の新総裁は石破茂氏になりました。
株価が下落し為替が円高に振れたことで、経済界は歓迎していないのかなと思いました。
来月の所信表明の内容に注目です。
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┃◇新総裁の財政政策は? ┃
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前号で、自民党の総裁選への立候補は「最終的に5~6名ぐらいに絞られるかな」と書きましたが、結果は9名と私の予想を大きく上回りました。
これが、石破氏に有利に働いたと考えています。
さて、石破氏の経済政策ですが、正直言って、さっぱり分かりません。
彼の発言内容が聞き取れないからです。
「声が聞こえない」のではなく、常に「主題を明確にせず、結論を“うやむや”にする」ので、「何を主張したいのかが、分からない」のです。
首相になっても、このような言い方に終始するのであれば、短命に終わるでしょう。
来月の国会で首相に指名されるのは確実ですから、最初の所信表明の内容に注目したいと思います。
ですが、その前に私の予測を述べます。
以前にも述べましたが、積極財政の姿勢を明確にしている高市氏に対し、石破氏ははっきりしません。
「地方活性化」を口にしますが、地方に対するリップサービスでしかなく、具体策がありません。
気になるのは、財務省との関係です。
財務官僚をリードできれば良いのですが、その逆になる可能性が危惧されます。
現在の岸田首相がそうでしたから、読者のみなさまはこうした危惧が良くお分かりと思います。
財務省としては、積極財政を公言している高市氏は阻止したかったので、少しほっとしていることでしょう。
ただ、前述したように、石破氏の経済政策は、これまでの言動を見る限りまったく不明です。
もしかしたら、明確な政策を持っていないのかもしれません。
前号で、財務省は石破氏のことを「経済に弱く、コントロールし易い」と考えている節があると書きました。
これまでの石破氏の経済に関する発言内容に鋭さを感じることがなかったからです。
知っている財務省OBも同様のことを言っていました。
そうなると、気になるのは石破氏の経済ブレーンです。
それが誰かが分かると、そのブレーンの意見や考えから、今後の方向を推測できます。
しかし、このブレーンの影もよく見えないのです。
ただ、ちらちら見え隠れする情報から考察すると、石破氏には増税派の匂いがします。
金融所得課税とか法人税率引き上げなどの言動が出たこともあります。
所得税でなければ、国民は反対しないだろうとの思惑があるのかもしれません。
企業経営からすると、この危惧が、かなりの不安要素です。
新総裁は、10月中に総選挙を行う意向のようですが、株価の大幅下落などの現実に焦っている感があります。
また、総裁選を争った有力候補のうち、小泉氏はともかく、高市氏と小林氏の取り込みに失敗し、大きな火種を抱えたことから、早期解散で国民の関心を逸らそうとの狙いも透けて見えます。
まずは、新首相の経済政策に注目です。
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┃☆水商売からビジネスを学ぶ(その2) ┃
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さて、本項では、しばらく私の昔話にお付き合いください。
東京で一人頑張った父は、数年後、私たち母子3人を新潟から呼び寄せました。
鈍行列車で10時間、7歳の私はずっと列車の窓から外を眺めていました。
上野駅に着いた時には蒸気機関車の煙で顔は真っ黒、口の中は“煤(すす)”でじゃりじゃりでした。
それが今では新幹線で2時間を切りますから、隔世の感があります。
東京・世田谷で初めて親子が一緒に暮らすという小さな幸せが始まりました。
しかし、生活の苦しさはひとしおで、私は小学5年から氷配達の小さな地域を受け持ち、自転車に氷を積んで配達する毎日でした。
母は、東京で生まれた二人の妹の世話をしながら、店に買いに来るお客様に氷を切り売りしていました。しかし、冬場は氷が売れないので、炭を売ったり、石焼き芋を売ったりしていました。
私は、同級生たちから「おまえの母ちゃん、イモ売ってるじゃん」と、いじめられました。
あの時代は、「勤め人」は上級国民で、「商売人」は下級という「士農工商」の世界だったのです。
(今の若い方は「ウソだろう」と思うでしょうね)
でも、こうして一家で頑張ったおかげで、暮らしは少しずつ良くなっていきました。
しかし、もともと“山っ気”の強かった父の性格が頭をもたげ、「ここで勝負だ!」と、私が大学に入った年の暮れに突然、水商売を始めたのです。
しかし父は、もちろん水商売の経験など全く無い「元軍人」です。
悲しいかな、文字通りの典型的な「武士の商法」に陥りました。
そして、前回の話に戻るわけです。
父が始めた水商売が、開店3か月にして早くも行き詰ったところにです。
用意した運転資金は底をつき、父は「もうダメだ!」と頭を抱えるだけ。
私は、このままだと折角入った大学も辞めなくてはならないと考え、母に相談しました。
「僕とお袋の2人で店を立て直そうよ」
母は、もちろん水商売の経験はゼロでしたが、子育てと家事、そして父の商売の手伝いと、必死に頑張ってきました。
そうした母の諦めない性格は私以上でした。
しかし、母に何か策があるわけではなく「どうやって?」と私に聞きます。
私は、『とにかく情報を入手することだ』と、こう言いました。
「明日の夜から、僕は店に入り、皿洗いしながら店の様子を探るよ。お袋は、開店時と閉店時だけ店に行き、おカネの動きをチェックしてくれ。1週間もあれば、あの店のお客の内容、注文内容、酒の減り具合、従業員たちの動きと性格、経費の内容を把握できるよ。手を打つのはそれからだ」
時代を超えて、例外なしに言えることがあります。
絶体絶命の時こそ、自分自身の力量を図る絶好のチャンスだということです。
この時の私もそうでした。
もちろん、20歳になったばかりの若造でしたから、そんなことを意識できるはずはありません。
「とにかく、店の現実の情報を得たい」との意識だけでした。
水商売は、1日単位の超短期の世界が連続するビジネスです。
また、様々な人生、様々な欲望、そして意味のない慰めが交錯する世界です。
皿洗いしながらそうした店の様子を観察した私は、1週間でこの店の状況をほぼ把握しました。
そして、全員(といっても、6~7人)を集めて、こう宣言しました。
「あなたたち全員、辞めていただきます。あなたたちの行った不正はすべて記録しました。辞めないと言われるのであれば、この記録を警察に持っていきます」
みな、呆気にとられ声も出ません。
やがて、支配人が「そんなこと出来るのか」と凄みました。
私は、彼をまっすぐ見据えて「あなたは、店に来たご友人たちに、いつもただでお酒を飲ませていましたね。
僕は、お酒の減り具合を毎回チェックし、売上伝票と照合していました。これを警察に持っていっても良いのですよ」
薄ら笑いを浮かべたホステスの一人には「あなたは、お客のつけの回収金をご自分の財布に入れていましたね。その記録もあります」と、記録のコピーを突き付けました。
さて、この顛末はどうなったでしょうか。それは次号で。
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┃◇2024年からの展望:責任あるAIってなんぞや? ┃
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今号は、お休みさせていただきます
来月号をお待ちください。
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┃◇これからの中小企業の経営(10) ┃
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「正奇詭」は、兵法書「孫子」で説かれている戦術を凝縮した言葉で、様々な箇所に登場する言葉です。また、古代中国の他の思想書にも登場する言葉です。
例えば、「老子」には以下の言葉があります。
「正を以て國を治め、奇を以て兵を用ひ、無事を以て天下を取る」
まさに、国家を治める基本の考えを示す言葉です。
私が先生について孫子を学んだ際、実際の軍事作戦においては、正面から敵を攻める「正攻法」と側面あるいはゲリラ戦法で敵の弱いところを攻める「奇攻」の組み合わせ方法が優劣を決めると教わりました。
「たしかにそうですね。では詭とは?」の問いに、先生は「敵を欺くことで、典型的な例は敵の中枢幹部の中に裏切り者を作ることだ」と教わりました。
たとえ、敵の重要人物が実際には裏切らなくとも、トップに「あいつは裏切り者ではないか」との疑念を抱かせる謀略も「詭」の戦術だということです。
孫子の兵法を駆使した戦国大名には、武田信玄などの名前が上がりますが、最も有名なのは中国地方の覇者となった毛利元就です。
元就は、最後の大敵、山陰の尼子を倒すため、この詭計を使いました。
尼子の中でも最も勇猛果敢な最精鋭部隊である新宮党が裏切ったかのような策を弄し、ついに尼子本家が新宮党を滅ぼすという事態を作ったのです。
もちろん、その後、元就はやすやすと尼子の居城月山富田城(がっさんとだじょう)を落とし、中国地方の覇権を確立したのです。
この例は、「詭」の極端な例ですが、「孫子」は「兵は詭道なり」と教えています。
孫子における「兵」は、兵隊や軍隊を指す言葉ですが、「戦争」を指す場合もあります。
上記の「詭道なり」は、明らかに戦争を指しています。
つまり、戦争においては、状況に応じて作戦を変え、敵を騙すことの重要性を説いた言葉なのです。
歴史の話が長くなりましたが、こうした先人たちの教えや行動を、現代の中小企業の経営者は、どう活かしていけば良いのでしょうか。
お客様を「詭計」で騙すことは・・、これはまずいですね。
でも、ライバル企業を「詭計」で出し抜くことは「あり」でしょう。
しかし、乱発はいずれ大きな「しっぺ返し」を食らう恐れがあるので、本当に「最後の手」として温存すべきかと思います。
現代のビジネスは、ITの急激な普及による「情報革命」の渦の中にあります。
中小企業といえども、近代の武器であるIT投資に後ろ向きになるわけにはいきません。
鉄砲が登場した戦国時代後期に、槍や刀だけで武装するのと同じようなことになってしまいます。
しかし、IT投資には大きな魅力がある反面、大きな危険が潜んでいます。
こんなことは、みなさん「分かっているよ」と言われるでしょうね。
では、以下の事象をどう思いますか?
9月の第1月曜日は、米国ではレイバー・デー(Labor Day)と呼ばれ、労働者の社会的および経済的成果を称える連邦祝日になっています。
この直後の9月3日の株式市場で、AI向け半導体メーカー大手のエヌビディアの株は9.5%下落しました。
この1日で、2789億ドル(約40兆5000億円)が吹き飛んだ計算です。
下落の原因は、米国の著名な業界アナリストの2人が「AIを取り巻く熱狂は行き過ぎだ」と懸念を提起したことにあります。
AIとかDXは、まだまだ幻想の世界といえる段階です。
この話、前号から2回連続で休んだ「2024年からの展望(2):責任あるAIってなんぞや?」に、次号から繋げていきます。
今後のIT投資の参考にしていただければと思っております。
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<編集後記>
先日、八王子に降った大粒のヒョウで、駐車場に置いていた車のフロントウィンドウが大きくひび割れし、車体にも傷が付きました。
修理代を考えると懐が痛いですが、能登の豪雨被害を考えると「このくらいで済んで・・」と思いました。
同時に、人の不幸を比較に持ち出す自分の気持ちの小ささに反省でした。
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