2021年5月31日号(経済、経営)
2021.06.02
HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2021年5月31日号
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発行日:2021年5月31日(月)
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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2021年5月31日号の目次
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★日本人は、今も昔も変わっていないな~
◇これからの近未来経済(7):日本は韓国よりも貧しくなった?
◇経済政策の通信簿(その2)
☆商品開発のおもしろさ(12)
<HAL通信アーカイブス>http://magazine.halsystem.co.jp
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こんにちは、安中眞介です。
今号は、経済、経営の話題をお送りします。
五輪開催に対し、世論は反対論が優勢です。
そうした中、五輪運営を請け負う特定企業への業務委託の内容が流出し、最高で35万円という日当額に反対論はさらにヒートアップしそうです。
IOC(国際オリンピック委員会)、は、高まる中止の声に反発するかのように開催強行のアクセルをさらに強く踏んでいます。
一方の日本政府は、「怖くて中止なんて言えないよね・・」の腰が引けた同調姿勢。
IOC幹部の強行発言は、および腰の日本政府の尻を叩く焦りでしょうか。
どちらをとっても地獄の道、結論はトップリーダーの菅首相が出すしかありません。
それとも、その答えを小池都知事が横から出すのでしょうか。
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┃★日本人は、今も昔も変わっていないな~ ┃
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ドイツの識者が、今の日本をこう論評しています。
「日本は『予防すること』には長けていても、想定外の事態に的確に対応するだけの危機管理能力が欠如している」。
私は、「予防も苦手だけど・・」と言いたいですが・・
日本人は、昔から「臨機応変」ということが苦手なのです。
戦前の日本は、戦争の相手は米国ではなくソ連と見ていました。
そのため、陸軍は満州に展開する関東軍に最大の戦力を割いていました。
しかし、真珠湾以降、主戦場は満州ではなく東南アジアになりました。
戦線が拡大するにつれ、南方方面軍だけでは対処できなくなり、関東軍の主力を南方戦線に移動させました。
ここまでは当然の処置といえますが、主戦場が北の満州ではなく南方のジャングルになったことへの対応がすべて後手でした。
典型的な例が、兵隊が着る軍服です。
満州は、北海道以上に寒さが厳しい地です。
当然、兵隊の服装は、極寒を想定したものでしたが、南方戦線は、高温多湿のジャングルです。
しかし、臨機応変の転換が大の苦手の日本は、北方用の軍装のまま、関東軍の兵士を南方に回しました。
兵士たちに夏用の軍服が支給されたのは、半年以上が経ってからでした。
南方の気候を経験された方は分かるでしょうが、派遣された兵隊たちはたまらなかったでしょうね。
昔から、日本はこうなのです。
将校を養成する陸軍士官学校は、当時の最難関校でした。
身体検査および激烈な学科試験に合格した者は、最後に面接試験に臨みます。
ここで、歴代最高点を取った試験官と受験生の問答が残されています。
そのハイライトを以下に。
試験官「君は最前線でひとりとなった。銃の弾薬も尽きた。さあ、どうする?」
多くの受験生は、「石を投げる」とか「徒手空拳で戦う」という回答をしましたが、ひとりの受験生はこう答えました。
「敵を睨み(にらみ)殺します」
この回答が満点を取ったことに日本人の価値観念が凝縮されていると思いませんか。
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┃◇これからの近未来経済(7):日本は韓国よりも貧しくなった? ┃
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オンライン文春が「日本は韓国よりも貧しくなった」という衝撃的なタイトルの記事を掲載しました。
本メルマガの読者の方で読まれた方もいらっしゃると思います。
たしかに、掲載された OECD(経済協力開発機構)の2019年の平均年収の調査結果では、日本は3万8617ドル(約420万円)で、米国の6万5836ドル(約718万円)はもちろん、韓国の4万2285ドル(約460万円)より下になっています。
財閥に支配され、大きな貧富の格差がある韓国より低いという結果は、単純には受け入れがたい思いがします。
統計数字のマジックともいえますが、この数字は、為替や物価の影響も考慮した「購買力平価」なので、ひとつの事実として受け入れざるを得ません。
ならば「なぜ、日本は貧しくなってしまったのか」という疑問が残りますが、ある識者はその答えを「日本人が自他共にみとめる『世界一の勤勉さ』にある」としています。
たしかに残業や休日出勤もいとわず、決められた仕事を忠実にこなしてきた“これまでの”日本人の勤勉さが高度成長の原動力でした。
しかし、最大の長所は「最大の短所」ともいえます。
高度成長の成功体験が、それまでのルールや規則を根本から見直すことへの抵抗となり、新時代のIT化への大きな障害となっています。
言葉だけはAIとかDXなどが意味をよく理解しないまま飛び交っていますが、一種のブームで実態が伴っていません。
電子ハンコの採用をIT化などと言っているレベルでは、お先真っ暗です。
最近も、みずほ銀行のATMトラブルで大騒ぎになりました。
しかし、この程度で大騒ぎする国に、真のIT時代への道は遠いです。
日本は1980年代まではITの最先端国でしたが、今や先進国の最後尾に付いていくのがやっとの状態です。
その原因は「失敗を許さない」社会にあります。
福島原発事故は、その象徴のようなものです。
断っておきますが、あの原発事故を擁護したいわけではありません。
小さな失敗すら許さず「原発反対」を叫び続けたことがあの事故につながったと言いたいのです。
「なにがなんでも反対」を叫ぶ人たちと、その声を政治的利権や金銭的利権につなげる人たちの思惑とが“いびつ”な形で合体して虚構の「安全神話」が作り上げられました。
その「安全神話」が出来た時点で、あの事故の伏線が引かれてしまったのです。
コロナワクチンの開発遅れもまったく同じ構図です。
極端なことを言えば、日本国民の「自業自得」なのです。
変わることを嫌がり、変わらないことで当面のリスクを回避する「現状維持」を選んできた結果なのです。
先の識者がもうひとつ「日本が貧しくなった」原因に上げているのが「中小零細企業が圧倒的に多い日本の産業構造」です。
私は、この意見には賛同しかねる部分がありますが、それは次号で。
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┃◇経済政策の通信簿(その2) ┃
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前回は1989年の海部内閣から2000年の小渕内閣までを採点しました。
できれば読み返してみて、今回の続きをお読みください。
森喜朗(2000年4月~2001年4月)
小渕首相の急死を受け、悪名高き「5人組の密室協議」で誕生した内閣。
経済オンチの首相によって回復傾向にあった景気はデフレ不況に後戻り。
2000年の企業倒産は負債総額で23兆9,874億円と戦後最悪に達した。
通信簿はマイナス70点。
小泉純一郎(01年4月~06年9月)
独特のパフォーマンスで総裁選を勝ち抜き、異色の首相が誕生。
郵政民営化、公共投資削減などの「構造改革」が国民の圧倒的支持を受け、選挙は圧勝。
だが、この「構造改革」は経済政策としては失敗で、デフレ不況の進行を招いた。
通信簿はマイナス50点。
安倍晋三(06年9月~07年8月)
政治とカネによる不祥事で閣僚の辞任が相次ぐ。
第二次安倍内閣を含め、安倍氏の時代は低次元の不祥事が付き物になっている。
5100万件もの年金記録不明が発覚、大騒ぎに。
根本の原因は、国民データのデジタル化を阻止してきた野党と市民団体、そしてマスコミにあるのだが、矢面に立たされたのは厚生官僚だけ。
結局、安倍首相は何もできないまま、体調不良を理由に突然の辞任。
通信簿はマイナス30点。
福田康夫(07年9月~08年8月)
初の親子二代の首相。
だが、官房長官時代が長かったせいか、首相としてのリーダーシップに欠けていた。
(今の首相と同じ?)
経済には弱く、デフレの進行を止める手は何も打てず短命に終わる。
通信簿は0点。
麻生太郎(08年9月~09年9月)
小泉以降、3代続いて短命に終わった最後の政権。
就任後に、戦前の世界恐慌以来といわれるリーマン・ショックが発生。
公共投資の急増で対処したが、独特の言動も災いして批判を浴びた。
政権の対応は、デフレ型の不況対策として正しい政策であったが、国民は理解せず、総選挙で大敗した自民党は政権を失った。
経済政策の通信簿としては80点(意外ですかな?)。
民主党政権(09年9月~12年12月)
最初の鳩山内閣は、国民の歓迎の中で華々しくスタートしたが、「宇宙人」のあだ名の通り、理解不能な政策の連発で、空中分解。
後を継いだ菅内閣の時、東北大震災が発生。福島第一原発の事故対応を誤り、またも空中分解。
最後の野田内閣は、比較的まともであったが、所詮、敗戦処理投手。
消費税増税案により選挙で大敗、民主党政権は3年半で終わりを告げた。
民主党政権は「コンクリートから人へ」をスローガンに公共投資の削減に乗り出し、さらに「事業仕分け」と称する政府支出の抑制を行ったため、経済は失速。
デフレ時の経済政策のイロハも知らない素人政治であった。
通信簿は、マイナス50点
第二次安倍内閣(12年12月~20年9月)
解説するまでもない長期政権。
アベノミクスと称する経済政策は、デフレを食い止める策としては正しかったが、本命の規制緩和が進まないまま、政治的不祥事が続き、またも体調不良で突然の退陣。
前半は60点ぐらいだが、後半はマイナス50点、最終通信簿は10点。
点数は私の独断なので、異論のある方は、ご意見をお願いします。
次回の3回目(最終回)は、この30年間の政府の経済政策全体を総括したいと思います。
前回と今回の通信簿で、合格点を付けた首相は2人だけでした。
この理由も最終回で解説します。
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┃☆商品開発のおもしろさ(12) ┃
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水商売の商品開発は、物理的な商品のように目に見えるものではないので難しいです。
顧客は半ば「期待感」だけで対価を支払うので、お目当ての女の子がいる店か安い店を選びます。
それを例のバーテンは、水商売の商品は「過ごす時間の別世界感」と言ったのです。
その続きをもう少し。
前回、そのバーテンが言った「意味深な言葉」の意味から再開します。
「まだ、この店に“あいつら”は来てないみたいだけど、本番はこれからだよ。そん時、オレは助けられないから、あんたの力で切り抜けるんだぜ」
読者のみなさまは、もうお分かりだと思いますが、“あいつら”“とは、そうです。暴力団です。
私の店があった繁華街は、広域暴力団「住吉連合」の縄張りでした。
店の運営がようやく軌道に乗った頃、先触れの“ちんぴら”がやってきました。
「みかじめ料(用心棒代)を出せ」と言ったので、「払わない」と言って追い返しました。
そんな脅しが何度かあって、毎回断っていました。
このままでは済まないなと思いながらも、「あいつらの食い物にはならないぞ」と心に決めていました。
例のバーテンが言っていた「あんたの力で切り抜けるんだぜ」が、心の拠り所でした。
そのうち、“ちんぴら”ではダメだと分かったのか、兄貴分のような者が来ました。
正直ビビりましたが、腹をくくって拒否しました。
そんなことが何回か続いたある日の深夜、ひとりで店の片付けをしている時、下りていたシャッターをこじ開けて、その男が入ってきました。
アルコールが入っていたようですが、いきなり手に持っていたビール瓶をカウンターのテーブルで叩き割り、こう言いました。
「このままじゃ、示しがつかねえ」
その時の私の本音は、「逃げよう!」でした。
でも、「ここでオレが逃げたら誰がこの店を守るんだ」と思い直し、踏みとどまりました。
しかし、相手はプロのヤクザです。
まともに戦って勝てる相手ではありません。
その時、子供の頃、郷里の祖父に言われた言葉が頭に蘇りました。
「絶体絶命の戦いの時は、自分を守らず、相手への攻撃に全力を集中せよ」
つまり、「相打ちを狙え」ということなのです。
「死ね」というのではなく、相打ちに活路があるという教えだったと記憶しています。
父方の家は、幕末まで村松堀藩に仕える家でした。
村松堀藩は、最後まで幕府に忠誠を誓い、官軍と戦いました。
無論、結果は悲惨であり、生き残ったものは山へ逃げ、ほとぼりが冷めた頃、山裾に下り農業を始めたと聞いています。
もちろん、明治生まれの祖父は幕末を経験していませんが、本人のさらに祖父の代の親族から一族の悲哀は聞いていたのかもしれません。
祖父は剣道の達人でもあり、厳しかったその教えは強く残っていました。
私はとっさにカウンターの中に目をやりました。
水商売の店のカウンターの中には、武器になりそうなものが結構あります。
氷を割る鋭いスティックとか“つまみ”を作るための包丁などです。
私は、とっさに研いだばかりの刺身包丁を手にしました。
刃物を手に持つと、不思議に恐怖は消え、震えが止まりました。
私は、相手の首筋の付け根の一点に意識を集中し、彼が襲いかかってきたら、そこを突こうと狙いを定めました。
すると、彼は「いや、事を荒立てる気はないが・・」みたいなことを言い出し、やがて店から出ていったのです。
私は拍子抜けして、しばらくボーッとしていました。
ことの本質を理解したのは、それから数日後のことでした。
夕方、開店したばかりの、まだ客がいなかった時に、そのヤクザが来たのです。
次回、もう1回だけ、この話の続きをさせてください。
商売の大事なポイントがあります。
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<編集後記>
コロナ禍の影響なのか、戸建て新築の注文が減り、建売住宅の販売が増えています。
住宅市場が「造る」から「買う」に変わったとの断定はできませんが、若い購買層の意識の変化があることは確かです。
住宅建築や購入で、「終(つい)の棲家」とか「一生に一度の買い物」という言葉が死語となる日が近づいているのだと思います。
私は団塊の世代ですが、事業をしていることで、とうにそんな意識は無くなっています。
家も、商品として買ったり(造ったり)売ったりするものだと認識しています。
商売人としては、若い人たちのこうした意識の変化は歓迎です。
モノもカネも動くことが「経済の活性化」ですから、こうした意識の若者たちにカネが回るようにしたいものです。
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