2024年5月31日号(経済、経営)

2024.06.03


HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2024年5月31日号
┏━┓┏━┓┏━┓┏━┓┏━┓
   H  A  L  通  信
┗━┛┗━┛┗━┛┗━┛┗━┛ http://www.halsystem.co.jp
発行日:2024年5月31日(金)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2024年5月31日号の目次
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇ギャンブル依存症
◇2024年からの展望(6):責任あるAIってなんぞや?
◇これからの中小企業の経営(6)
 
<HAL通信アーカイブス>http://magazine.halsystem.co.jp
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 
こんにちは、安中眞介です。
今号は、経済、経営の話題をお送りします。
 
最高値から少し下がっていますが、株価の高値が続いています。
だからといって、当該企業にカネが入るわけではなく、かつ、株を持たない多くの国民にとって直接的な恩恵もありません。
その裏側で、ギャンブル熱は上がり、詐欺被害も増えています。
今号は、この話題からお送りします。
 
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃◇ギャンブル依存症                    ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
米大リーグ大谷選手の元通訳がハマったギャンブル依存症。
「バカなやつだ」と片付けるのは簡単ですが、世の中はギャンブルへの誘惑に溢れています。
多くの人は「私は大丈夫!」と思っておられるでしょうが、そうした気持ちが「蟻地獄」へ落ちる第一歩だと自覚したほうが良いように思います。
 
なにしろ、日本国の国家自体がギャンブルを煽(あお)っています。
公営ギャンブルの市場規模は今や7兆円ということですが、10兆円市場になる日も近いと言われています。
財務省は、こうした拡大を歓迎しています。
例えば競馬ですが、掛け金の25%が吸い上げられます。
そのうち10%は税収として財務省のふところに入ります。
公営ギャンブル全体の税収が平均10%と仮定すると、やがて年間1兆円の税収となるわけです。
財務省は「もっとギャンブルを煽り、税収を上げよう」となるわけです。
 
すでに“サッカーくじ”はTOTOとして普及していますが、国は他のプロスポーツに拡大させていこうと考えています。
モナコ王国のように税金ゼロを目指すなら、それも良いかと思いますが、税収増だけが狙いの財務省が税金ゼロを目指すわけはないですね。
 
そもそも、国民は再認識する必要があります。
資本主義経済は“ギャンブル経済”だということをです。
株式市場は企業が出資金を募る場ですが、今やギャンブル場と化しています。
ただし、それが悪いと言うつもりはありません。
企業経営にはギャンブル的要素が付きまとい、多くの国民がその企業に所属しているからです。
その上、資本主義経済の活性化に新規企業の起業は欠かせません。
しかし、創業は確率が極端に低いギャンブルであり、創業者はそもそもギャンブラーです。
私も創業者ですが、かつてを思い返すと「無謀な挑戦」だったなと、今でも冷や汗がでます。
 
それで、あえて言います。
ギャンブラーの素養のない人は、創業など考えるべきではない・・と。
私は、学生時代から馬券を買い、株式取引を行っていました。
さらに、当時の学生の多くがハマっていた麻雀はもちろん、ビリヤード場で賭け勝負をしていました。
半分、ギャンブル中毒になりかけていたわけですが、社会人になったときに株式投資以外のギャンブルは全部止めました。
理由は単純、「時間のムダ」だからです。
 
株式投資は「いずれ創業する時があれば資金が必要」との考えで続けましたが、創業時にすべて売却して創業資金にあて、それ以降は止めました。
企業経営自体がギャンブルなので、株で“勝負のウン”を消費したくなかったからです。
 
こうしたギャンブルの経験は大いに役立ったと思っています。
それで、ギャンブルで勝つための要素をお教えします。
それは、次の4つです。
記憶力、分析力、勝負度胸、そして忘却力です。
最初の3つは「当たり前」でしょうが、最後の忘却力が大事です。
勝っても負けても、その結果に至った分析は必要ですが、結果自体はすぐに忘れることが大事です。
「負けを取り返そう」の意識が働いたら赤信号ですので、その記憶を消すわけです。
これまでの経験から、新規事業や新製品開発の成功率はかなり低く5%ぐらいかなと思っています。
その失敗を引きずることが一番の弊害で、失敗を取り返そうとすると墓穴を掘る結果にしかなりません。
若き日のギャンブル経験は、自分には活きているようです。
 
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃◇2024年からの展望(6):責任あるAIってなんぞや?    ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
前号までで「日本経済が上りきれない理由」は終えましたが、「2024年への展望」を「2024年からの展望」に変え、メインテーマはもう少し続けます。
テーマを「2024年から・・」に変えたのは、現在、世界レベルで起きている変化は2024年では終わらず、2025年以降、おそらく2050年まで続くからです。
 
その中で大きなトレンドの一つとなる「生成AI」の問題を最初のテーマに取り上げます。
「生成AI」は、10年前どころか数年前でも知っている人のほうが希少でした。
それが今では、この言葉を知らないという方は、ほとんどいないという状況です。
 
しかし、どこまで深いレベルまで知っているかとなると、かなり怪しいレベルの人が大半でしょう。
そもそも「生成AI」という言葉自体の定義が“あやふや”です。
AIとは「Artificial Intelligence(アーティフィシャル・インテリジェンス)」という英語の略語ですが、日本語では「人工知能」と訳されています。
ただし、現在、人間の脳細胞のような機能を持つ半導体は開発されていませんので、「人工知能」との言葉には抵抗を感じます。
 
それでも“ブーム”としてのAIの広がりは平原の野火のごとく広がりを増しています。
こうした情勢に危機感を抱いたG7各国(日本だけは“のほほん茶”ですが)は、こうした広がりに危機感を抱き、「責任あるAI」なる概念を打ち出し、規制を掛けようとしています。
しかし、この「責任ある・・」なる言葉で、さらに混乱が広がりそうです。
 
先ほど言及したように、真の意味でAI(人工知能)といえるコンピュータは存在していません。
すべてはソフトウェアの世界にとどまっています。
つまり、半導体で構成されているハードウェアを動かす言語の世界から一歩も出られていないわけです。
そこで第1回の今回は、そのソフトウェア言語を少し専門的になりますが解説します。
 
ハードウェアを構成している半導体を動かすのは電気ですが、電気を通す(on)と通さない(off)の2通りのことしかできません。
この2つの命令で構成されている言語が「0と1」の2進法の「機械語」です。
ここで、50年以上になる昔話をさせてもらいます。
私はNECのシステム事業部でSEをしていましたが、実際に「0と1」の「機械語」でプログラムを組んだ経験もあります。
長いテープに連続して穴を開けてプログラムにするのですが、穴が開いている箇所が「1」、開いていない箇所が「0」ということになるわけです。
もちろん、今ではこんなテープは使われていませんが、最終的には「0と1」の「機械語」でハードを動かしている基本は一歩も進化していないわけです。
量子コンピュータが実用化されれば、ようやく新たな次元に行けるわけですが、実用化まではまだまだハードルが高そうです。
それまで「0と1」の世界が続くわけですが、こうした原理を実体験した人は今ではほんの僅かとなっています。
そんな化石世代の生き残りの一人である私ですが、建設会社時代を経て現在に至るまで、ソフトウェアの開発から離れたことはありません。
それゆえ、現状のIT世界がいまだに化石時代なんだなと思う次第です。
 
次回は、ソフトウェアの進化について解説します。
 
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃◇これからの中小企業の経営(6)             ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
「創業企業が10年生き延びられる・・」を続けます。
前回取り上げた100円ショップのダイソーが苦境に陥っているとの情報があります。
そもそも100円ショップはデフレ時代の象徴ともいえる商売であり、インフレ経済になると続けられない商売でした。
そのことは、故矢野社長も仰っていました。
当初90円の仕入れ価格では赤字で倒産必至でしたが、次第に下げてもらい、やがて60円になり、その差益30円が高い付加価値となって急成長しました。
ところが、デフレからインフレの時代に変わったことで、当然、仕入れ価格が上がってきて粗利の減少を招いています。
しかし、「100円ショップ」という集客に力を発揮してきた強いネーミングが足かせになり、「売値を100円に固定せざるを得ない」という負の側面が際立つ結果となっています。
 
このように、経済の転換期には、それまでの強みが一転して弱みになることがおきます。
今は、そうした大きな転換期にあたり、様々な価値観が逆転することを念頭に置く必要があります。
「ならば、具体的にはどうすれば良い?」という質問を受けますが、答えは単純です。
「売値(単価)を上げなさい」です。
それをせずに(あるいは、できずに)、原価削減に走り、質を落とすことが最悪な手です。
すでに飲食業界でそれが起きていて、「最近、あの店の味、落ちたね」という声があちこちから聞こえてきます。
 
建設業の場合は、より深刻になります。
そもそも受注金額が高額なため、数%の値上げでもユーザー側から見ると「こんなに高くなるの!」と受け止められてしまいます。
公共工事の場合は、自治体の担当者のふところが痛むわけではなく、しかも国が後押ししているので、割と順調に受け止められています。
しかし、民間工事の場合は、そうはいきません。
住宅の場合だと、お客の負担が百万円単位で増えることになるので、そう簡単に受け入れられません。
ビル建築だと、千万円単位から億円単位の負担増となるため、発注企業の資金繰りに影響してきます。
要するに、長く続いたデフレ時代の“つけ”が一気にのしかかってきているわけです。
 
こうした時代の一番の特効薬は減税なのですが、岸田政権は真逆の増税路線をひた走っています。
その批判がこたえたのか「定額減税」で支持率を上げようとしたようですが、あまりにも姑息な手段を弄したために、処理する企業側の負担に悲鳴が上がっています。
現政権下での経済復興は無理と判断するしかありませんが、企業としては嘆いているわけにはいきません。
むしろ、前へ進む体制を再整備することが必須です。
 
しかし、素人の新人を増やすことは勧められません。
人手不足が続く今、零細な中小企業が優秀な新人を確保できる確率はほとんどありません。
大量に流されるコマーシャルに踊らされて人材募集会社を使っても、彼らの餌食になるだけです。
そんなことに資金を使うより、現有社員の給与を上げることや有効な教育、さらにはインフラ整備に資金を使うべきです。
 
そのための資金調達は経営者の一番の仕事です。
弊社も同様なので、金融機関との協議を重ねています。
その中で、以下のことを耳にしました。
3年に渡って大盤振る舞いを続けてきたコロナ融資ですが、この6月末まで延期されました。
この背景には、用意した予算を使い切れず、かなりの余りが出たことがあります。
役所というところは、予算オーバーはもちろんダメだが、予算を大きく余すこともダメなのです。
民間でも、大企業の管理部門には同じような傾向があります。
かつて管理職の時代に、1割以上、部の予算を節約したところ、経理部から「マイナスも5%以内にしてもらわないと困る」と言われたことがあります。
それと同じですね。
 
ところで、この余った(?)コロナ融資を使い切りたい当局は、6月末までに融資を行うべく金融機関への要請を強めています。
しかし、経営状況が悪化している企業への融資ではなく、経営状態の良い企業への融資を勧めよということです。
もちろん、公式にこんなことは言いません。
我々中小企業は、こうした裏の情報も組み合わせて経営を行う時代なんだと認識すべきですね。
 
----------------------------------------------------------------------
<編集後記>
ある建設業界紙に「マンション郵便受けのダイヤル錠はなぜなくならない」と題するコラムが載りました。
そういえば、入口ドアがオート開閉になっているマンションが増えてきたなと感じています。
ポケットにオートロックのカードキーを持っていれば、自動で開閉するという仕組みですね。
スマホでもOKというマンションもあります。
私の車のドアもそうなっていて便利ですが、「キーを紛失したら・・」という逆の不安が芽生えています。
 
しかし、そのようなマンションでも、郵便受けのダイヤル錠はそのままが多いようです。
やはり、このほうが安全と思う人が多いのでしょうか。
 
----------------------------------------------------------------------
◎[PC]配信中止、変更の手続きはこちら
http://www.halsystem.co.jp/mailmagazine/
このメールは送信専用です。お問い合わせはこちらからお願いします。
http://www.halsystem.co.jp/contact/
∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵
【編集・発行】
  株式会社ハルシステム設計
http://www.halsystem.co.jp
 
  〒111-0042 東京都台東区寿4-16-2 イワサワビル
  TEL.03-3843-8705 FAX.03-3843-8740
 
【HAL通信アーカイブス】
http://magazine.halsystem.co.jp
 
【お問合せ・資料請求】
email:halinfo@halsystem.co.jp
tel:03-3843-8705
 
Copyright(c)HAL SYSTEM All Rights Reserved.
∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵