2018年10月31日号(経済、経営)

2018.11.16

HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2018年10月31日号
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発行日:2018年10月31日(水)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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           2018年10月31日号の目次
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★相次ぐ優良企業の不正(前半)
☆少子高齢化をチャンスに変える
★株価急落
★企業における社長の力(4)
 
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こんにちは、安中眞介です。
今号は経済、経営の話題をお送りします。
 
トランプ大統領のおかげ(?)で日中関係の改善が進みそうに見えますが、まだまだ不透明です。
経済界の期待は高いですが、対米関係を損なわない範囲での協力関係の模索が続くでしょう。
いっぽう、真っ暗闇に落ちるのが確実なのが日韓関係です。
徴用工裁判の判決を受けて、日本からの投資は一斉に後退すると思われます。
かの国はいったいどこへ行こうとしているのでしょうか。
 
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┃★相次ぐ優良企業の不正(前半)                  ┃
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優良企業といわれてきた大企業の不正が相次いで発覚しています。
「いったいどうしたことか。日本のものづくりはどうなる」といった論調の報道が増えていますが、批判と不安を煽(あお)るだけの浅い報道ばかりです。
誤解を恐れずに言えば、技術上心配する必要のないレベルで不正が発覚したことは良かったといえます。その不正による製品の破損や建物の倒壊といった恐れはほとんど無いと言い切れるからです。
 
こんなことを言い切ると、「おまえ、そんなこと断言できるのか」と非難されそうですので、少し修正します。
「まあ、壊れる確率はゼロに近いでしょう」とです。
 
ところで、少し前、神戸製鋼で品質改竄(かいざん)が発覚したとき、その原因について、京都大学准教授の瀧本哲史氏はこう言われています。
「顧客が必要とする品質よりずっと厳しい基準を設定した結果、現場では、どうせ守れないから破ってもいいと判断されてしまい、不正が生まれたのだと思います」
 
私が言いたいことは、まさにここにあります。
これを「逆説の真理」と言います。
つまり技術者は、安全基準が必要以上に過剰に設定されていることを知っているから、その基準を破っても安全だと、「安心して基準を破る」のです。
 
本来、ルールは「合理的」、「論理的」に制定されるべきで、遵守することが関係者の倫理観に即したものでなければなりません。
ところが、日本ではルール作りそのものが目的化し、過剰なルールが「良いルール」となる傾向があります。
ルール作りを、それを生業とする弁護士やコンサル会社に委託するケースも多いですが、傾向として、彼等は複雑で難解な「さすがプロ」と言われるルールを押し付けてくる可能性があります。
そのほうが儲かるからです。
知り合いの某コンサルタントに言われたことがあります。
「理論的には完璧で、だが、実行不可能なルールを作ることがコンサルの極意だよ」
 
こうした彼等がしきりに口にするのが「コンプライアンス」という言葉です。
この言葉が蔓延したことで、妙に息苦しい社会が出来上がったと感じるのは、私一人だけでしょうか。
次回は、この「コンプライアンス」のことを論じてみたいと思います。
 
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┃☆少子高齢化をチャンスに変える                  ┃
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「少子高齢化が日本を滅ぼす」といった論評が多い中、久留米大学の塚崎公義教授は一風変わった論を展開しています。
塚崎教授は、「少子高齢化による労働力不足によって日本経済の黄金時代が始まった」と主張しています。
「黄金時代」とは少々大げさすぎると思いますが、教授の論にはうなずけることも多いです。
 
この塚崎理論とも言うべき評論の骨子は「失業率の低さ」にあります。
労働力が不足することで失業率が低くなり、労働者の賃金を押し上げる。その結果、企業は合理化を進めざるを得ず、生産性の向上を招くというものです。
副次効果として、ブラック企業が淘汰され、正規・非正規社員の賃金格差も縮小すると主張しています。
諸悪の根源は失業なのだから、低成長経済でも雇用が安定していれば、社会は安定するというのです。
 
この理論の弱点は、少子高齢化でも企業倒産は増えず、従って失業は増えずに雇用環境が維持されるという前提が必要なことです。
教授は、日本人の意識の変化が、その弱点を補うと考えているようです。
以下に、私の見解も入れて、もう少し説明を加えます。
 
バブル後に日本経済が失速したのは、国民の大半が倹約に走ったからです。
みなが倹約すれば、当然モノは売れなくなります。
しかし、バブルで膨れ上がった生産工場からは大量のモノが供給されますから、たちまちモノの価値が下がり、企業は赤字に陥り、生産を縮小し、人員整理を余儀なくされたわけです。
結果、失業の発生が起き、職についている人も「明日はわが身か」と身構え、いっそうの倹約に走りました。
教授の理論によると、そうした時代は、少子高齢化の到来で終わりを告げたというのです。
団塊の世代が高齢者になったことで、それまでの高齢者市場とは様変わりした新たな市場が形成されていることは確かです。
この新しい高齢者は、先輩の高齢者とは違い、倹約を美徳とはしていません。
「爪に火を灯すように・・」なんて考えは毛ほども持っていません。
とにかく楽しい老後を送りたいのです。
幸いなことに、人手不足により高齢者でも働ける職場が増えてきています。
年金で、ある程度の生活の基盤を支えられれば、そうした収入の多くは生活を楽しむために使われます。
少子高齢化のメリットというわけです。
 
ただし、彼等に、よりカネを使わせる工夫が、仕掛ける側の企業に必要になってきます。
TVの広告を見ていると、そうした工夫はまだまだ希薄です。
高齢者向けの商品広告は、サプリメントに介護用品など、気が滅入るものばかりです。
「快適な紙オムツをあなたに・・」なんていう広告を気持ちよく見ている高齢者なんていませんよ。
企業の姿勢を180度変えることが、カギですね。
 
日銀は、物価上昇率を2%以上にしようと躍起になっていますが、無駄なことです。
物価は、現状維持か1%程度の上昇で良いのです。
それでないと高齢者は倹約に走ってしまいます。
政府は、日銀のような姑息な目標は捨て、日本は、これから少子高齢化へ向かう先進国や中国のお手本になるような経済の実現を目指すべきなのです。
日本という国は、それができる国なのですから。
 
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┃★株価急落                            ┃
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株価が急落している。
10月31日の日経平均株価は、多少戻したが22,000円を割り込んだまま。
ニューヨーク市場も低迷が続き、市場回復の材料は乏しい。
米中貿易戦争のあおりを受けて、上海市場は下落したまま、さらに落ち込む可能性が高い。
 
直接の要因はトランプ大統領にあるが、本質的な要因ではない。
そもそも、世界のベース・マネーの過剰は限界にきていた。
トランプ大統領が始めた貿易戦争は、急落の“きっかけ”に過ぎない。
そのことは、以下の数字を見れば明白である。
 
ベース・マネーとは、世の中に出回っている資金と中央銀行に預けられた当座預金の合計金額である。
リーマン・ショック直前(2008年8月)のベース・マネーは、約8720億ドルだったが、リーマン・ショック後に、米国、日本、EUなどの中央銀行が異次元の量的緩和政策を実行した結果、2012年1月には、2兆6480億ドルと、ざっと3倍に膨れ上がった。
 
だが、この異次元の量的緩和によって世界経済が平常な姿を取り戻していったことは事実である。
つまり、金融危機の拡大は過剰流動性によって避けられたのである。
しかし、この政策の後遺症で、世界にはマネーがあふれてしまった。
こうした過剰流動性は至るところでミニバブルを引き起こしている。
この先、日本を含む世界は大きなツケを払わなくてはならないかもしれない。
 
そのひとつの要因は、企業のモラルハザードである。
リーマン・ショックを引き起こした大きな原因の1つが、投資銀行などが行った「自己勘定による金融取引」である。
この取引に、内部留保を溜め込んだ企業や超金持ちの個人が乗ったことが金融ショックの影響を拡大させてしまった。
こうした投資銀行の動きを閉鎖することがリーマン・ショックの解決策ということで、米国では「ボルカールール」、いわゆる銀行の「市場取引規制ルール」が成立したのだが、オバマ政権の成果を片っ端から崩すトランプ政権の誕生によって、このルールは崩壊の危機にさらされている。
 
結局、トランプ政権下で投資銀行は復活し、また元の利益優先の強欲主義がはびこりつつある。
リーマン・ショックを引き起こした投資銀行のCEOなどの責任者は無罪放免となり、「やった者勝ち=バレなければいい」といったモラルハザードが起きてしまっている。
モラルが崩壊した金融業界の姿は、日本でも「スルガ銀行」などの不正で露呈しつつある。
 
昨年から、米国FRB(連邦準備制度理事会)は量的緩和政策を廃止し、金利を引き上げ、肥大化したFRB自身のバランスシートを縮小する作業に取り掛かっている。
ECB(欧州中央銀行)も、今年9月からテーパリング(緩和縮小)を開始し12月には終了させると宣言している。
ニューヨーク市場の株価の下落は、FRBのこうした政策の影響ではなく、トランプ大統領の迷走する政策の影響なのだが、当の大統領は「FRBが悪い」と責任転嫁している。
つくづく、とんでもない大統領だと言うしかない。
 
今、世界では格差社会の拡大が続き、ポピュリズムによる極右政権の台頭が続いている。
経済の混乱が政治や国民生活に影響を及ぼしつつあるのである。
 
日本銀行だけは、依然として量的緩和を続けているが、それが可能なのは、先に述べたような新たな金融投資に乗り遅れたからであり、対外債務が極端に少ないからである。
しかし、経済の実態は少しも改善されていない。
「次に来るリスクは何か」を考え、「国家として生き残るための準備」を行うことが急務となっている。
10月24日から臨時国会が開かれているが、野党の質問は相変わらずの「モリカケ問題」から始まった。
思わず「バッカじゃないか」と、品の無い言葉をつぶやいてしまった。
 
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┃★企業における社長の力(4)                   ┃
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今回は「大曲りした先の日本経済」に対し、舵を切る方向の見極め方と、舵を切るときの注意点を述べると大見得を切りましたが、実は難しいテーマです。
道路が右に曲がるのか左に曲がるのか、その先が霧に包まれて見えない状態ということですから。
 
まず考えられるのは、危ないから「止まる」ということですが、企業経営において「止まる」ことは終わりを意味しますので、これは論外とします。
曲がり角が見えるようになるまで、少しずつ進むというのは「有り」ですが、経営トップとしては「情けない」話になるので、これも却下とします。
 
答えのひとつは「宝くじを買う」です。
と言っても実際に宝くじを買うわけではありません。
ネット商売がその答えです。
実態あるビジネスと違い、ネット商売は「仮想要素」の強い商売です。
最後にはモノやサービスを手に入れるとしても、ビジネスはすべて仮想空間で行われます。
そこでは幻想が際限なく拡大されていきます。
仕掛ける企業の最大の利益は、最終的なモノやサービスではなく、膨らませた幻想なのです。
だから、利幅は大きく、参入する企業が後を絶たないのです。
 
しかしネット商売は、分野ごとに勝者はただ一人なのです。
自動車市場などを考えれば分かりますが、実物商売は、市場が成熟しても、ただ1者だけが残ることはありません。かならず、2者以上が残ります。
ユーザーが1者独占を許さないからです。
しかし、ネット商売は違います。 最終的に勝者は1者なのです。
他が残っても、ごくごく小さなシェアしか取れません。
ライオン1頭に、“あり”が数匹という市場になるのです。
 
ソフトバンクや楽天などが勝者の典型ですし、タレントとの浮名や月旅行などで社長が話題を振りまいているあの企業などもそうです。
ビジネスモデル自体が優れていたのではなく、宝くじに当選したのです。
もちろん、それらの社長を揶揄しているわけではありません。
宝くじの当選者は、思い切って宝くじを買ったから当たったのです。
同様に、必死に集めたカネを、狙いを定めたネットビジネスに投入したから、彼等は成功したのです。
そうした成功確率を高めるためには、狙いを極限まで狭く、小さくすることが戦略です。
「地域限定」とか「今だけ」とか「これっきり」という仕掛けです。
 
ただ、私は、そうしたビジネスは好きではないので、やりません。
では、他にどんな方法があるかですが、私は「ブルー・オーシャン戦略」を勧めます。
Wikipediaから「ブルー・オーシャン戦略」を引用すると、以下のように書かれています。
 
「INSEAD(欧州経営大学院)教授のW・チャン・キム とレネ・モボルニュが著したビジネス書、およびその中で述べられている経営戦略論。
競争の激しい既存市場を「レッド・オーシャン(赤い海、血で血を洗う競争の激しい領域)」とし、競争のない未開拓市場である「ブルー・オーシャン(青い海、競合相手のいない領域)」を切り開くべきだと説く。そのためには、自分の業界における一般的な機能のうち、何かを「減らす」「取り除く」、その上で特定の機能を「増やす」、あるいは新たに「付け加える」ことにより、それまでなかった企業と顧客の両方に対する価値を向上させる「バリューイノベーション」が必要だとしている。」
 
一般的に、競争に勝つには「低価格戦略」か「高付加価値戦略」のどちらかであると言われてきました。
それを「ブルー・オーシャン戦略」では「「減らす」「取り除く」ことで低コストを実現し、「増やす」「付け加える」ことによる顧客にとっての高付加価値を実現することで、両者は両立し得ると主張しています。
正直言って、私には「よく分からない」ので、以下のように簡略化して考えました。
「競争のない未開拓市場を切り開く」ということだろう。
 
しかし、実現には、よほどの能力と支援者と運が必要です。
そのどれもが乏しい私がさらに考えたのが「競争前の競争に勝つ、競争になったら撤退する」という考え方でした。
「孫子の兵法」を教えていただいた故武岡先生から伝授された「弱者の戦略+弱者の戦術」を自分流に具現化した戦略です。
言い換えれば「強者には出来ない、弱者だけが出来る戦法」です。
 
長くなったので、この続きは次回にします。
 
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<編集後記>
韓国は盗撮天国だということです。
トイレットペーパーの中にカメラを仕込む、トイレや更衣室のドア、火災報知機や鏡、掛け時計の中などに仕込むなど、その手口は実に多種多様です。
カメラの小型化、高性能化に加え、通信の高速化により、針の穴程度の大きさでもカメラが設置でき、さらにリアルタイム中継までが可能となっているそうです。
 
ある女性記者が数日間ソウル市内のトイレを見て回ったところ、地下鉄の構内や飲食店が密集した商店街などの女子トイレには、壁やドアに開けられた無数の穴がトイレットペーパーでふさがれていたということです。
それは、盗撮を疑った女性たちが、そうした小さな穴にトイレットペーパーを押し込んだものだったというのです。
実際、いたるところで巧みに設置された隠しカメラが発見されていて、女性たちは盗撮を暴くため、「隠しカメラつぶし」と呼ばれるキリやドライバーを持ち歩いているとまで書かれています。
 
国家間で解決したはずの慰安婦や徴用工問題で騒ぐ韓国ですが、自分たちの社会をまず見直したらと言いたいです。
 
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