2020年2月15日号(国際、政治)

2020.02.19


HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2020年2月15日号
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発行日:2020年2月17日(月)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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2020年2月15日号の目次
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★中国の夢は実現しない?
★民主主義の欠陥
★第一列島線の攻防(6)
 
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こんにちは、安中眞介です。
今号は国際問題、政治問題をお送りします。
 
昨今のニュースは、新型ウイルス一色の感じです。
見えない恐怖に怯える姿は、福島第一原発の時の放射能騒ぎを思い出します。
あの時と同じで、マスコミは、正しい情報を伝えることより、よりセンセーショナルな報道に傾いているように感じます。
それだけ、今のマスコミには、事実情報の収集能力および分析能力に欠けているのだと思います。
これは、政治、経済を問わず、日本全体の欠陥かもしれませんが。
 
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┃★中国の夢は実現しない?                     ┃
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中国発の肺炎ウイルスが世界中に不安を与えています。
国家衛生健康委員会は、16日現在、感染者6万8500人、死者1665人と発表していますが、実際は、その10倍というような情報が拡散し、中国国民も公式発表を信じていない状況です。
中央政府の隠蔽と言うより、処罰を恐れた地方政府が、独裁を強める現政権への忖度を強めた結果といえます。
 
しかも、この情勢下でも、台湾海峡では台湾に脅しを掛け、尖閣諸島へは相変わらずの侵入を続けています。
これが、「弱みを見せない」という中央政府の指令なのか、軍の独断なのかは定かではありませんが、世界から批判の目で見られている国として、賢い政策とは思えません。
 
現在の習近平政権が掲げる「中国の夢」は、中華思想で世界の覇権を取ろうとする思想です。
読者のみなさまが御存知の通り、中華とは「世界の中心に中国があり、他の国はその中国に従うべき」という思想です。
さらに、中国は民主主義を明確に否定し、共産党の一党支配による独裁国家です。
その意味では、世界を共産主義に染めようとした旧ソ連による国際共産主義思想に近い思想です。
 
習近平主席は、就任以来「偉大な中国の復活」を標榜していますが、念頭にあるのは唐の時代の再現と言われています。
つまり、伝統的な中国の政治思想である「皇帝政治」です。
神にも等しい優れた存在が、万民の幸せを考えて出す施策が最も正しいという思想です。
習近平主席の神格化が進む現状が、そうした政策の方向を裏付けています。
 
唐は、約1400年前、高祖李淵が建国した国ですが、実質的には次男の李世民(二第皇帝・太宗皇帝)が起こしたといえ、現代でも太宗は偉大な皇帝として尊敬を集めています。
その太宗皇帝と4人の側近との会話内容をまとめた「貞観政要」は、北条政子や徳川家康が愛読したとも言われ、日本でも多くの権力者たちの参考書となった本です。
私も読みましたが、今でもリーダーの教則本となる優れた書です。
 
しかし、当時と現代では世界情勢や人権意識は大きく異なっているため、唐の栄華の再現という夢は、他国には迷惑千万といえます。
 
繰り返しウイルス禍の蔓延を許す中国政府の姿勢に、海外だけでなく、中国国民の意識にも変化が生じ始めています。
また、日本や米国など民主主義国家で働く中国人が増えるに従い、彼らを通じて知る情報で、中国政府の姿勢に対する疑念も大きくなっていると聞きます。
 
「中国の夢」が、習近平主席個人の夢であり、覇権国家への夢である限り、実現することはなく、中国国民のためにもなりません。
そのことを中国の国民ひとり一人が考えて欲しいと思います。
 
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┃★民主主義の欠陥                         ┃
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韓国の現状は、民主主義の欠陥がモロに出た現象といえます。
日本でもそうですが、左派勢力が民主主義の推進者とする誤った考えがあります。
マスコミが、左派をリベラルとか、革新、進歩勢力と呼ぶこともその現れです。
(この風潮、今でも改まっていませんね)
 
つまり、左派的な人は、意識の高い、理想に燃える、優れた人ということです。
朝日新聞などのマスコミがその典型といえます。
その昔、朝日新聞は「高学歴の人が読者」と自慢していました。
「大学入試の問題には天声人語からの引用が多い」などという話も、宣伝文句に使っていました。
 
ところが、今の左派の実態は、現実に目をつぶり、自分たちの理想だけが正しいとする独善的考えの持ち主だということです。
まず、こうした考えを白紙に戻す必要があります。
 
よく言われることですが、南米のベネズエラでは左派政権が誕生したことによって民主主義は崩壊し、治安は最悪状態です。
右派に限らず左派も暴力を肯定する傾向にあります。
日本でも、かつての学生運動がどんどん暴力的になっていった経験があります。
結局、右や左に限らず、行き詰まりを感じると「目的のためには手段を選ばず」という思想に傾倒していってしまうのです。
 
韓国では選挙で誕生した左派政権が、民主主義の根幹である三権分立を壊し、司法も立法も政権の下に置こうという独裁姿勢を強めています。
日本に対しては、攻撃することしか考えていないような政策に凝り固まっています。
4月の選挙で、こうした動きに国民がブレーキを掛けるか否かに韓国の民主主義の未来は掛かっていますが、情勢は五分五分です。
 
経済が豊かになれば民主化が進むとした考えも、中国の現状が否定しました。
経済の豊かさは、国民の政治意識をむしろ下げてしまうようです。
「自分さえ良ければ、あとは目をつぶる」という思考低下をもたらすのです。
そうです、これが民主主義の最大の欠陥です。
カネの力が民主主義の根幹の理念を麻痺させるのです。
 
しかし、カネを稼ぐ自由を民主主義は束縛できません。
民主主義の大きな要素が「個人の自由と尊厳の尊重、つまり人権」だからです。
この自由主義思想が資本主義を助長します。
そうして成功した資本家は、当然のごとく保守化します。
かくして貧富の格差が広がり、経済的な不満が民衆に溜まっていきます。
そうした国民の層が増えてくると、それを利用して政治的左翼勢力が支持を伸ばしていきます。
こうして、民主主義の多数決原理により、富裕層をバックにした保守勢力が選挙で破れ、左翼政権が誕生します。
 
しかし、こうした左翼勢力は経済オンチの集まりです。
ゆえに、すぐに経済衰退を招きます。
日本でも、かつての民主党政権がそうでした。
幸いか否かは別にして、日本は3年半で左翼政権は瓦解しました。
 
その反動で、安倍政権が誕生しましたが、ここにきて政権のおごりが出てきました。
だが、対抗する野党が、前政権時の反省もなく左翼思想に凝り固まり、国民の支持が得られていません。
健全な対立軸の存在が民主主義には必要なのですが、それが育たないのです。
こうなると、健全な民主主義のためには、与党が分裂して政権交代の受け皿を作るしかありません。
そのためには、今の野党が選挙で壊滅的打撃を受ける必要があります。
それが、日本の民主主義の本当の出発点ではないでしょうか。
 
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┃★第一列島線の攻防(6)                    ┃
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米国人は、異常なほどに契約違反を毛嫌いする。
私の仕事上の経験からも、「契約」という概念は、米国人の国民性であり、信念に近いということが言える。
ゆえに、日米安保条約が存在している限り、日本有事の際は、条約第5条に規定されている「日米共通の軍事的脅威に対処するための行動」を実施することは確かである。
 
しかし、「軍事的脅威に対処するための行動」を、ただちに戦闘行為と解釈することは危険である。
この「行動」の意味は、武器、弾薬、燃料などの後方支援や外交支援、軍事情報の提供など、非常に広範囲に渡るからである。
これは、国際的常識である。
日本で、国会の野党質問などを聞いていると、「軍事行動=戦闘」と短絡的に捉えている傾向が強いが、こうした幼稚な議論に終始していることに危惧を覚える。
 
想定される中国による尖閣列島の奪取等、対日軍事攻撃が発生した場合、米国がただちに戦闘部隊を派遣すると考えないほうが良い。
米国は、米中戦争を避けるという意味から、緒戦では、武器弾薬やミサイルなどの後方支援に回るであろう。
それでも、普段の弾薬備蓄量が極度に貧弱な自衛隊にとっては、ありがたいことではあるが・・
 
かなり前になるが、自衛隊の前線指揮官の方に有事の際の弾薬の備蓄量を聞いたことがある。
最初は「1ヶ月」と言っていたが、そのうち「実際に戦闘に入ったら、1週間も持たない」と本音を語ってくれた。
孫子の兵法を学ぶことがなくても、後方支援の重要性は理解できると思う。
その後方支援を米軍に頼るしかない自衛隊の現実がある。
まずは、この現実の劇的改善がなければ、米軍の支援が始まる前に事が決してしまうであろう。
 
第1列島線を守るミサイル網を構築するのであれば、砲弾以上に厄介なミサイルの備蓄という大きな問題が横たわる。
日米安保条約の限界を十分に吟味した上で、第一列島線の防衛を現実論で構築すべき時に来ている。
 
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<編集後記>
韓国では、映画「パラサイト 半地下の家族」が米国アカデミー賞の作品賞を取ったことで「日本に勝った」と大騒ぎです。
映画を見てはいませんが、韓国社会がそこまで日本を意識することに呆れ果てます。
 
この作品は、韓国の暗部を赤裸々に描いている映画であり、その現実を重く受け止めることが大事なはずです。
また、監督が「日本に勝つ」ことを目的に作ったとは思えないのに、韓国のマスコミが、曲がった方向に世論を誘導しようとする。
つくづく、いびつな国だと思います。
 
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