2017年7月31日号(経済、経営)
2017.08.18
HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2017年7月31日号
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発行日:2017年8月2日(水)
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2017年7月31日号の目次
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★今の「働き方改革」は”おかしい”よ
☆日本経済は新次元の入り口にある(その2)
★「同一労働同一賃金」制度って何?
☆短期的変動に備える経営へ(7)
これからの商売(3):怪しい商売(中半)
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こんにちは、安中眞介です。
配信が遅れましたが、今号は経済、経営の話題をお送りします。
「働き方改革」という言葉、正直な気持ちを言うと「不快」です。
「働け」と強制されることはもちろん嫌ですが、「働くな」と強制されることも嫌です。
何より、みんなが同じ時間だけ働き、同じ休みを取るって・・どこか変です。
人はもっと自由なはずです。
今号は、そんな話題からお送りします。
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┃★今の「働き方改革」は”おかしい”よ ┃
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政府が唱える「働き方改革」だが、働く時間のことばかりが話題になっている。
残業規制や週休2日制、有給休暇の完全取得などが、そんなに大事なことなのか。
おかしいと思うのは私だけなのか。
自分が納得して10時間働くことは喜びにつながるが、納得できずに1時間働くことは苦痛以外の何物でもないと思う。
問題を時間規制に押し込めてしまうことで、「納得できない労働の強制」という根本の問題に蓋をしてしまう危険があるのではないか。
そもそも、こうした「納得できない労働」の発生は、労使関係や双方が置かれた立場や事情の違いから発生する。
断言するが、時間の長短ではないはずである。
しかし、自分の労働に納得できるかできないかの境界線の見極めは難しい。
働く側の意識の問題だからである。
こうした問題の一つの解が、職人仕事ではないか。
職人仕事というと、TVで紹介される「匠の技」を思い描くであろうが、それだけではない。
「何を作るのか」という目的が明確で、「いつまでに作るのか」という時間も明確で、それを作り出すプロセスの全てが分かっていて、その中での自分の“有益な”役割が理解できて、それを全うする自分の技量や経験が有効に機能している、そのように感じ取れる仕事を「職人仕事」というのではないか。
そうなると、匠職人だけでなく、農業や林業、水産業、現場の作業者や監督、商人や事務職まで、実に幅広い職業が「職人仕事」となる。
つまり、「働き方改革」とは、この納得感の醸成でなければならず、時間規制ではないはずである。
もちろん、子育てや介護との両立などの難しい課題もあるが、それでも上記の「納得ある働き方」の中で考えなくては、真の解決策は作られないのではないか。
しかし、時間管理や最低賃金の強制で解決策を作ろうとしている昨今の議論は、それとは逆行しているように思う。
「納得ある働き方」を第一に据えれば、一面では低収入な労働や長時間労働をもたらしたりするかもしれない。
それでも、時間管理から開放されて自由に働けることの方が、それを望む人たちにとっては意味のあることではないか。
もちろん、それが際限のない低賃金や長時間労働という「社会正義に反する」事態に落ちないように法の縛りをかけることは必要である。
しかし、今議論されている残業時間規制などは、「100時間だ、いや80時間だ」とかの意味のない応酬になっている。
一律の時間規制ではなく、働く側の意思を雇用側の意思の上位に置くことでしか解決はないように思う。
時には月200時間超の残業も「望むところ」という人もいれば、残業どころか「1日3時間が限界」という人もいるのだから。
これほどの幅の広さを一つの規制法でカバーすることは不可能である。
ただし、この議論にも、大きな、そして一番難しい問題がある。
それは次号で・・
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┃☆日本経済は新次元の入り口にある(その2) ┃
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内閣支持率が落ちたことで一部に「アベノミクスの破綻」という声が聞かれますが、政治的な失策イコール「経済策の失敗」とするのはおかしいと思うのです。
とはいえ、アベノミクスの足元がふらついていることも事実です。
前号で日本の経済見通しを解説し、プラス要素は「外国からの観光客の増加とITの進展」、マイナス要素は、「消費税の増税と中国経済の破綻」と述べました。
しかし、それらが「決定的な要素」ではなく、日本が「新次元の入り口」をくぐるためには、別の要素があると述べました。
今号では、その要素について論じていきます。
来年の総裁選を意識してか、自民党の石破氏がアベノミクス批判を加速させています。
石破氏の主張を一言で言うと、「アベノミクスの金融緩和を続ければ、いつかハイパーインフレとなる」というものです。
しかし、この批判は当たっていません。
世界では1200兆ドルという空前のマネーが投機先を探して動いています。
想像することが困難な額ですが、しかし、先進国ではどこもハイパーインフレは起きていません。
日本でも日銀黒田総裁の「異次元の金融緩和」が5年目に入っていますが、ハイパーインフレはおろか、2%のインフレ目標すら達成できていません。
ゆえに、石破氏の批判は、この点では的が外れています。
石破氏は、さらに「プライマリーバランスの2020年度の黒字化目標」にもこだわっています。
これが達成できないと国債の暴落を招くとして、消費税増税の必要性を訴えています。
たしかに、プライマリーバランスの黒字化は目標として大事ですが、2020年度にこだわる必要はなく、まずは、国債発行が天井知らずに上がることを防止する策を講じることです。
消費税の10%増税は2019年10月に延期されましたが、それまで約2年です。
その間に衆議院の解散・総選挙があるのは確実です。
景気の動向や政治情勢によっては、与党は増税の再々延期を掲げて戦う可能性があります。
いずれにしても、増税で景気が上がることはないため、石破氏の主張は無理があります。
断っておきますが、私は石破氏の批判をしたいわけではありません。
氏の主張は、いずれも「古い経済理論」から抜け出せていないため「新次元の扉」を開けられないということです。
この問題は、もう少し続けます。
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┃★「同一労働同一賃金」制度って何? ┃
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あまり話題に上ることはないが、2019年度から「同一労働同一賃金」制度が導入される。
議論が盛り上がらないのは国民の無関心さにある。
国民の大半はこう思っているのではないか。
「同一労働なら同じ賃金をもらうことが当たり前」と・・
「たしかに・・」と思うが、この制度は実施できないと断言してもよい。
たとえば、間もなく全員が70歳以上となる団塊の世代より上の年代だが、その多くは働いていない。
それでも、ある程度の年金をもらい、日本の個人金融資産の2/3を保有している。
働いていないのに「それなりの年金収入」はおかしい、労働ゼロなら「収入もゼロ」にという声が若年層から上がるのも当然である。
もちろん、「もらっているのは年金で、賃金ではない」という言い分も正当性はある。
しかし、年金は「労働者が貯めたカネ」ではない。
現役の労働者が払っている「社会保険料」が原資である。
つまり、その分、彼らは「労働で得た対価」を減らされているわけである。
だが、高齢者が、この年金受取りを諦めるわけはない。
しかも数が多い(有権者の44%)。
ここからして、「同一労働同一賃金」は早くも崩れている。
また、正規雇用労働者が既得の権利を手放し、非正規雇用労働者と同一待遇になることを望んでいるとはとても思えない。
逆に、非正規雇用労働者の待遇を正規雇用労働者と同一にすれば、多くの企業は経営が行き詰まる。
結局、「同一労働同一賃金」の取り組みは妥協まみれの案になり、実施しても失敗に終わる公算が強い。
こうした「耳あたりの良い言葉」を政策にするのは間違えている。
「良薬は口に苦し」と言うではないか。
既得権益者の「口に苦い」政策でない限り、改革はできないのである。
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┃☆短期的変動に備える経営へ(7) ┃
┃ これからの商売(3):怪しい商売(続けて) ┃
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「怪しい商売」の代表として水商売をあげましたが、「欲望の開放を利用して儲ける」ということは、どの商売にも当てはまりますから、参考にすべきです。
もう一つ、水商売は「本日限り」の商売です。
「今日の稼ぎは、明日は挙げられない」のです。
「明日は明日の稼ぎの場」なのですから。
ホステスの常套文句の一つに「明日も来てね!」という甘言がありますが、それで明日も来る客はほぼ皆無です。
今日のうちにお客の財布からカネを抜き取っておかなければならない商売なのです。
もちろん、ぼったくり過ぎて、客に「二度と来るもんか」と思わせては最悪です。
また、風営法に引っかかって警察に目を付けられても困ります。
合法かつお客の納得づくで、「今日のうちに利益を挙げる」ことが水商売の命題です。
私は、これを数字として捉えるため「3分の計」を徹底したのです。
「原価30%、人件費30%、経費30%、純利10%」を頑なに守ることで、商売を継続させました。
3年後には、お客のリピート率は80%を超え、営業的経費が必要なくなりました。
しかし、これを利益として溜め込むことをせず、その分をお客様への還元経費に使うことを考えました。
そこで、その還元の一貫として近くの喫茶店を買収しました。
「えっ、それって『還元』なの?」と思われるでしょうね。
実は、商売を続けるうち、他店のホステスさんたちが、自分のお客様を私の店に連れてきてくれるようになったのです。
「どうやって?」の疑問には、別の機会でお答えしましょう。
もちろん、来店するのは閉店近くの遅い時間ですが、これが“本日”の売上の最後のひと押しとなったのです。
なにしろ他店のホステスさんですから、給料を払う必要はなく、お客さんのお相手もそのホステスさんがしてくれます。
ありがたい話です。
それで、こんな大事なホステスさんに対し、店として何が出来るかを考えたのです。
ホステスさんは夜が仕事の時間です(当たり前ですが・・)。
昼間はOLや学生の方もいますが、何も仕事をしていない方も結構います。
喫茶店を始めてしばらくすると、そんなホステスさんが寄ってくれるようになりました。
そんな時、コーヒーをサービスしたのです。
最初はびっくりされましたが、
「いつもお客様を連れてきてくださりありがとうございます。これはサービスです」
と言うと、とてもうれしそうにしてくれました。
喫茶店のほうは、別に責任者を雇っていて、私はたまにしか行かなかったのですが、店でそうしたホステスさんを見かけると、必ず声を掛け、何かサービスすることにしていました。
特に、ホステスを専業にしている方には、この一言、二言の声掛けがうれしかったようです。
夜にお客さんを連れて店に寄ってくれる回数が増えたことで、それは分かります。
これも「欲望の開放」の一つなのです。
水商売は、「騙し、騙され・・」の商売です。
でも、そのことはお互いに分かっているのです。
ならば、上手に気持ちよく「騙し、騙され」れば良いのです。
20代そこそこで、水商売から学んだ商売の原則です。
この話、もうちょっと続けさせてください。
読者のみなさまがお客様として行かれる場合に役に立つでしょうから・・
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<編集後記>
政治問題として扱われてきた森友学園問題ですが、経済詐欺事件の様相になってきました。
というより、最初から詐欺事件だったのです。
それが、首相夫人の行動と野党の思惑、マスコミのから騒ぎで政治問題とされてしまいました。
国会で感情むき出しの答弁をした首相を含めて、関係者には猛省して欲しいものです。
<建設ビジネスサロン>
次のOFFサイトサロンを7月後半~8月前半と予告しましたが、9月に延期させていただきます。
やはり8月は夏休みもあって難しいですね。
参加を予定されていた方には申し訳ありませんでした。
会員のみなさまには改めて事務局より開催日時をメールさせていただきます。
テーマは、予告通り「建設業の営業」です。
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