2018年7月31日(経済、経営)
2018.08.01
HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2018年7月31日号
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発行日:2018年7月31日(水)
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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2018年7月31日号の目次
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★米中貿易戦争の行方
★中国製造2025(前半)
★日本経済へのとばっちりは
★企業における社長の力(1)
<HAL通信アーカイブス>http://magazine.halsystem.co.jp
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こんにちは、安中眞介です。
今号は経済、経営の話題をお送りします。
火星が本日、地球に大接近します。その距離は5759万km、月までの距離の約150倍です。
夜、南東の空の低い位置に明るく輝きますから、肉眼でも見えます。
しかし、そうした天体ショーとは無縁の貿易戦争がきな臭さを増しています。
今号は、この話題からお送りします。
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┃★米中貿易戦争の行方 ┃
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前号(6/30号)でトランプ大統領の仕掛けた貿易戦争に疑問を投げかけたが、だいぶ雲行きが変わってきた。
当初、中間選挙狙いと報道されてきたが、そうではなく2020年の再選狙いと考えたほうがよさそうである。
さらに、米国とEUが、和解とまではいかないが、一種の休戦状態に入った。
これで、今回の貿易戦争が中国に対する宣戦布告だということが鮮明になってきたといえる。
毎年、中国は7月に上半期の経済データを発表するが、かなり人為的に操作されたデータであることは周知のとおりである。
ただ、まったくの粉飾にするわけにもいかないので、6月下旬に、金融機関は一斉に貸し渋りや貸し剥がしにかかり、企業の資金需要は逼迫する。
さらに、7月は、8月初旬に開催されるといわれる北戴河(ほくたいが)会議を前に、中国指導部が政治的に緊張する時期でもある。
この会議、完全なる密室会議であるが、最高指導部だけでなく、引退した実力者たちが一同に会する事実上の最高決定会議とも言われる重要な会議である。
トランプ政権が、この時期を狙って対中経済制裁を実施してきたのは明らかである。
米国の考えを以下に整理してみた。
1.この貿易戦争の被害は米国経済よりも中国経済のほうが格段に大きい。
2.近年の中国の躍進は、米国の知的財産権を侵害してきた結果であり、これ以上放置できない。
3.経済力を背景にした中国の急激な軍事力増強がアジアを不安定にしている。このまま座視していると、アジアが中国の手に落ちかねない。
この考えは、トランプ大統領の個人的な考えではなく、全米的な考えになっている。
米国議会は与野党ともに今回の制裁を支持しているが、ここで中国を叩いておくという国民的合意が背景にあるとみてよい。
この空気は、太平洋戦争開始前の米国の空気とよく似ている。
よって、トランプ大統領の決意は固く、自国経済の被害が増えても、中国経済の被害が大きい限り、この戦争を継続させるであろう。
つまり、この貿易戦争は長期化する。
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┃★中国製造2025(前半) ┃
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一方、仕掛けられたほうの中国の現状は、これまでの過剰投資のつけが回って貸付の焦げ付きが増え、金融機関の貸し渋りが顕著になってきている。
当然、民営の中小企業の資金繰りは急速に悪化し、中小企業の倒産ラッシュが起きかねない状況にある。
こうした事態を防ぐため、中国人民銀行(中央銀行)は、7月5日から、預金準備率16%を15.5%に0.5%下げた。
この引き下げで、日本円にして約11兆8000億円のカネが市中に出回ることになる。
実施日が7月5日と米国の経済制裁の発動より早かったということは、「発動あり」と早くから察知していたことになる。
中国は世界第2位の経済大国になったが、その責任に見合う行動を取っているとは言いがたく、近隣諸国への経済および軍事的圧迫を強める一方になっている。
トランプ大統領の仕掛けた貿易戦争は迷惑だという見方はあっても、世界世論は中国にはなびかない。
近年の中国のやり方に不満と恐れを感じているからである。
ところで、米国はトランプ大統領が前面に出ているのに対し、中国は習近平主席の発言がまったく出てこない。
「経済に弱い」とうわさされるとおりなのか、それとも、じっと機をうかがっているのかは分からないが、北戴河会議が足かせになっていることは確かである。
現政権への反対勢力から見れば、今回の貿易戦争を習近平主席の失敗として利用することは確実である。
今年の会議は、相当に荒れ模様となるであろう。
今回の米国による貿易戦争をトランプ大統領の「困った性格」によるものとする意見があるが、そんな浅い動機ではない。
米国の真の意図は、2015年に中国が発表した「中国製造2025」を阻止することにある。
この構想は、中華人民共和国の建国100周年にあたる2049年までに、中国が「世界No.1の製造大国」になることを目標にしたロードマップである。
しかも、その中身はハイテク分野も包含するということで、このことは軍事面でも中国がNO.1になるという可能性も秘めることになる。
この構想を発表した当時の米国はオバマ政権だったが、オバマ大統領は何の反応も示さなかったため、米国内の強硬派は危機感を募らせていた。
こうしたことが、トランプ大統領を生んだ一因ともいえる。
「中国製造2025」は単なる産業政策ではない。
ITやロボット、航空宇宙技術など、本政策の重点分野の多くは軍事転用が可能である。
中国は、技術力の「軍民融合」の促進もうたっており、米国の警戒感を高める要因となっている。
中国は、中国製造2025を阻害しようとする米国の動きに危機感を募らせる。
製造業のハイテク化が進まなければ、習近平主席が唱える「強国」「強軍」路線に影響を与えかねない。経済成長が停滞することになれば、真の先進国にはなれない、いわゆる「中進国のわな」に陥る危険性が高まる。
中国の悩みは深い。
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┃★日本経済へのとばっちりは ┃
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経済評論家の中には、貿易戦争で中国経済が打撃を受ければ「日本にとってチャンスとなる」という人もいるが、そう単純なことではない。
中国の対米貿易黒字の6割は中国に進出した外国企業による輸出によるといわれている。
その中で日本企業の占める割合は大きい。
米国による対中関税引き上げは、中国に進出した日本製品への関税引き上げと同じことになる。
対中経済制裁が拡大し、かつ長期化するのであれば、日本企業は、中国にある生産拠点を第三国に移すか、日本に戻すか、あるいは米国に移転するかの選択を迫られることになる。
今のところ、日米の目立った衝突はないが、まもなく2国間交渉の動きが出るであろう。
米国は、この交渉をFTA交渉につなげ、自動車の対米輸出を議題に載せる腹づもりである。
対米貿易黒字の8割を自動車で稼いでいる日本としては死活問題といえる。
ただし、本当に実施するかどうかは疑問である。
米国は、自動車と部品の輸入増加が安全保障上の脅威になるかどうかを調査中である。
「なる」となれば、日本車に25%の追加関税を課すことになるが。
日本は、公式にこうした関税は世界経済に「破壊的な影響を及ぼし得る」と表明しているが、米国の自動車団体なども同様の表明をしている。
また、日本の製造業は、米国において大きく雇用に寄与しており、こうした指摘は各方面でデータを伴って認識されている。
しかし、異様に被害妄想が強く、都合の悪いデータを無視するトランプ大統領である。
日本の自動車輸出はやはり叩くべきと考える可能性も高い。
常識ある閣僚たちが大統領を説得できるか、また、大統領が日米関係の重要性を考えるかで結果は決まるであろう。
トランプ大統領は自身の再選のため、米国経済の建て直しに必死になっている。
中国に貿易戦争を仕掛ける一方で、北朝鮮やロシアなど、それまで敵対している国とは対立を回避して、米国への脅威を減らす。
そして、同盟国には、経済や安全保障面で米国への依存度を減らすことを求めているのである。
このことを考え、日本は粘り強く米国を説得していくべきである。
今の経済では、貿易戦争を勝ち抜けないのだから。
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┃★企業における社長の力(1) ┃
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サラリーマンとして20年間、さまざまなタイプの社長に仕え、社長として27年半、幾多の事態を乗り越え、そして、コンサルタントとしてシビアな場面で多くの社長と接してきました。
そうした経験を基に、社長業、とりわけ中小企業の社長業を数回に渡って論じていこうと思います。
創業して間もない頃、ある大企業の社長に言われてことがあります。
「大企業の社長の多くは経営者とは言えんよ。サラリーマンの延長線上におるだけだ。本当の経営者というのは、きみら中小企業の社長だよ」とです。
その頃は、サラリーマンから独立してまだ日も浅く、「大企業の社長は・・」という部分はなんとなく理解できましたが、中小企業の社長というものが実感として理解不足でした。
何年か経つうち、若くして創業し、一代で大企業に発展させた社長にお会いして話を聞く機会も出てきました。
そのとき感じたのは、「みな、同じことを言うな・・」でした。
もちろん、話の中身は違うのですが、ポイントとなるところは同じなのです。
規模はともあれ、新たに創業した会社が生き延びるのは社長しだいだな、と思いました。
当たり前のことですが、この「当たり前」が“くせもの”であることを、その後、いやと言うほど味わいましたから、この時点では「まったく分かっていなかった」ということになります。
その後、建設業の若手経営者を集めた「経営者の会」に入り、自分と同年代の経営者の方々と知り合いになりました。
建設業という業種が二世、三世の経営者が多いことは、自分も建設業出身ですから分かっていましたが、このような会に入ってみて、別の視点でそれを実感しました。
50社弱の会員数だったと思いますが、創業者は私を含めて3名ぐらいでした。
一番異質に感じたのは、多くの方がJC(日本青年会議所)のOBだったことです。
サラリーマンには縁のない組織でしたから当然なのですが、私には、地球ではない別の星の世界の話のようにしか思えませんでした。
今でも、その世界を経験していない私にとっては、別世界の話ですね。
ただ、多くの経営者の方と商売抜きで付き合えたことは財産です。
今でもお付き合いをさせていただいている社長さんもいますので、ありがたいことだと思っています。
さて、前段の話はこれくらいにして、次回から本質の話をさせていただこうと思います。
仕事の合間の息抜きに、どうかお付き合いください。
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<編集後記>
浅草がすぐ近くということもあって、弊社の周りでも外国人の姿が目立ちます。
平日の昼間、雷門から仲見世の中を抜けていくと、すれ違う人はほぼ外国人です。
少し前は圧倒的に中国系の方でしたが、最近は欧米系や中東系の方が増えて、ちょっとした国際社会になっています。
そうした客を狙ってホテルの建設ラッシュです。
アパホテルなどは、一度に3つのホテルを建設していますが、結構高めの料金で、ある程度の富裕層を狙っているようです。
しかし、安い民泊を利用する人が多いようで、朝などは、妙なところから観光客が出てきます。
安倍首相は、2020年には今の倍近い観光客をと息巻いていますが、
私などは「今の2倍? ウソでしょう」と思ってしまいます。
浅草は、外国人だらけになってしまい、日本人には敷居の高い街になりそうです。
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