2018年2月15日号(国際、政治)

2018.03.02

HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2018年2月15日号
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                発行日:2018年2月15日(木)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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           2018年2月15日号の目次
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☆安倍首相訪韓の背景
☆日本の防衛
★現行憲法の不備
◇韓国の歴史を学ぶ(その7)
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こんにちは、安中眞介です。
今号は国際問題、政治問題をお送りします。
 
五輪を最大限に利用する北朝鮮、振り回される韓国。苦虫を噛み潰す日米。
第1ラウンドは北朝鮮の圧勝といえるでしょう。
さて、第2ラウンドは、主役交代で米国の出番となるのでしょうか。
 
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┃☆安倍首相訪韓の背景                      ┃
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大方の予想を覆し、安倍首相は訪韓したが、米国の強い要請が背景にあった。
米国は、日本とタッグを組み、文大統領の暴走をとにかく止めたかったのである。
 
北朝鮮は、金正恩の妹を送り込むという策で、米韓に「離間(りかん)の計」を仕掛けてきた。
彼女と文大統領との会談の内容は訪朝要請の話以外は漏れてきていないが、文大統領の前のめりの姿勢は隠しようもない。
推測に過ぎないが、文大統領は、北朝鮮の非核化をぼかしたままの半島統一をもくろんでいるのではないかとすら思える。
危惧すべきは、韓国民の間に「核保有国としての統一朝鮮」を歓迎する動きがあることである。
 
もちろん、文大統領の腹はそこまで固まってはいないと思うし、米国が許すとは思えない。
それは、日本にとっては最悪のシナリオだが、韓国が左翼政権になったことで「あり得ないことではない」と安倍政権は思っている。
安倍政権が、ときに、米国以上に強硬な姿勢を見せるのは、その危惧の現れである。
そうした危機感が首相の訪韓を決意させたのであろう。
 
今のまま、北朝鮮ペースで事が進めば、米韓合同軍事演習の再延期(もしくは規模の縮小)あるいは中止、文大統領の訪朝、韓国独自の制裁解除、北朝鮮の開城市にある工業団地などの共同プロジェクトの再開というように進む可能性がある。
なにより、文大統領がそれを望んでいる。
 
カギを握るのは、もちろん米国だが、トランプ政権内には南北対話支持派がかなりいる。
一方で、北朝鮮攻撃派は、鼻血作戦と称する限定攻撃で米国の軍事的優位を示し、北朝鮮に核・ミサイル開発を放棄させることの実行をトランプ大統領に進言している。
 
トランプ大統領のリーダーシップにはまったく一貫性がなく、不安定そのものである。
ある意味、首尾一貫している金正恩より、よほど危ないかもしれない。
北朝鮮の核保有容認も北朝鮮攻撃も、ともに過激な案であるが、トランプ大統領がどっちを取っても「あり得る話」なのが怖いところである。
 
おりしも、2月2日、アメリカ政府は新しい「核態勢の見直し(NPR:Nuclear Posture Review)」を公表し、戦術核の再整備に言及している。
メインターゲットはロシアであるが、北朝鮮情勢によっては使う決断を下すかもしれない。
誰にも先が読めないまま、事態だけが深刻化していくようである。
 
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┃☆日本の防衛                          ┃
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日本の2018年度の防衛費予算は5兆1911億円です。
6年連続の増加とはいえ、前年度比1.3%増ですから、実質的には横ばいです。
中国は、日本の防衛費増加を非難していますが、中国の防衛費は2016年度の比較で日本の4.6倍もあり、その後も増加の一途です。「何をか言わんや」です。
 
しかし、防衛とは武力だけでなく外交や謀略も駆使することが、孫子の兵法の時代からの常識です。
中国の日本非難もそう考えれば、当然の戦略なのです。
そこで、冷静に日本防衛のことを考えてみたいと思います。
 
ストックホルム国際平和研究所の2016年度データによると、日本の防衛費はドル換算461億ドルで、世界で8番目となっています。
トップは、もちろん米国ですが、6112億ドルですから文字通り「桁違い」です。
軍拡を進める中国は2152億ドルですが、「推定値」となっています。
巨額とはいえ、米国の1/3に過ぎないばかりか、質的にも大きく劣っています。
 
米国が主要相手である中国に対し、日本は北朝鮮と中国だけを相手として想定していれば良いという利点があります。
さらに、中国は、米国だけでなくロシアやインドも相手にしていますから、全方位の防衛体制の整備が欠かせない状態なのです。
日本の防衛費に敏感に反応するのは、そうした焦りから来ているのです。
 
局地的には、中国が尖閣諸島を奪いに来るというシナリオがあります。
たしかに、中国人民解放軍は、昨年、海軍陸戦隊(要するに海兵隊)を創設しました。
海兵隊は、敵前上陸の専門部隊です。
この部隊が尖閣諸島への急襲作戦も念頭に入れていることは事実です。
しかし、この部隊の主要任務は南シナ海の覇権確立であり、侵攻に使うとしたら、まずは台湾です。
 
そうは言っても、不測の事態に備えることが防衛ですから、尖閣ひいては沖縄諸島の防衛体制を強化することで、中国の意図を挫くことが大切になってきます。
 
日本は、現在は「平時」として、海上保安庁による「警察力」で尖閣周辺を守っていますが、中国が海兵隊を組織した今、このままでは中国に侵略の糸口を与える可能性があります。
政府は、海空自衛隊による尖閣防衛体制の補強を進め、さらに、長崎県佐世保市に、隊員3000人規模の日本版海兵隊の組織化を予定し、すでに米海兵隊からの訓練を受けています。
 
こうした政策を「戦争を煽(あお)るものだ」と非難する声もありますが、中国に侵略の糸口を掴ませないことが平和の維持に欠かせません。
中国が東シナ海の覇権を目論む限り、南西諸島防衛に穴を開けないことが必要です。
それが戦争を防ぐことになるのです。
 
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┃★現行憲法の不備                        ┃
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安倍首相は、自分の任期のうちに憲法改正をと明言していますが、どうにも議論が盛り上がりません。
国会の怠慢もそうですが、国民の関心が薄いことが最大の要因だと思います。
本来マスコミは、そうした国民の意識を啓蒙する役割があるはずですが、その役割を果たしているとは言い難い状態です。
 
一方で自衛隊のPKO派遣などが常態化していますが、国会は法的に危険な状態を放置したままです。
もりかけ問題よりよほど緊急性のある問題なのに、無責任としか言いようがありません。
 
世界の常識ですが、軍人が戦闘相手の軍人を殺傷しても罪になりませんが、捕虜や非戦闘員の殺傷は罪になります。
ただし、戦闘状態の中で捕虜や一般人に犠牲が出ても、実行した軍人が罪になるか否かの判定は非常に難しいのが現実です。
そのため、諸外国の多くは、一般の裁判とは別に軍人を裁く「特別裁判所」の設置を法制化しています。
この特別法廷が「軍事法廷」と呼ばれている司法の場なのです。
 
ところが、日本国憲法が9条2項で「交戦権」を認めていないため、日本では戦闘行為そのものが「起こり得ない」となっているのです。
この理由もあって、憲法76条で、特別裁判所の設置を禁じています。
その結果、自衛隊員が戦闘行為で相手を殺傷した場合、一般法廷で「正当防衛か否か」を裁かれることになるのです。
「戦闘行為なので無罪」とはならないのです。
自衛隊側に犠牲が出ない限り、過剰防衛として刑法で裁かれる可能性が高いのです。
 
実はドイツも軍事法廷が無いのですが、その代わり「軍刑法」があり、実質的に「軍事法廷」を開けるようにしています。
 
この他にも、現行憲法が複雑化した現代に合わなくなっている事例は増えています。
たとえば、24条にある「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し・・」はよく知られた条文ですが、これが同性婚を認めない根拠とされています。
しかし、民主主義国家の趨勢は、同性婚を認める方向に傾いています。日本は無視を続けるのでしょうか。
このような問題を無視してきた結果、国民も憲法を軽視し、考えなくなっています。
 
こうした事態は、法治国家の危機でもあります。
まずは、憲法に対する国民の関心を呼び起こす意味から、国会で憲法論議を開始すべきなのです。
憲法の問題点を「知る権利」は、21条で保障されています。
それなのに、国会で改憲を議論することさえ認めないという護憲派の主張は、憲法違反という自己矛盾なのです。
 
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┃◇韓国の歴史を学ぶ(その7)                  ┃
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1910年8月29日に公布施行された「日韓併合に関する条約」に基づき、大韓帝国は国際法上、日本の保護国となりました。
現代の韓国では「日本が武力で大韓帝国を植民地にした」と信じている人が多いのですが、教育でそう教えているからです。
しかし、日韓併合は、両国による話し合いによる合意であり、国際法に則った手続きで行われたものです。
 
ここで大事なことは、朝鮮が日本の植民地になったわけではなく、併合だったことです。
英国の例に例えてみます。
英国は、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドという独立した4つの国でした。
イングランドが他の3カ国を併合して、グレート・ブリテン(大英帝国)となり、現在に至っています。
たしかに他の3カ国には今でもわだかまりが残っていて、爆弾テロなどの悲劇も起きています。
再独立を問う選挙も行われていて、国家体制が揺らいでいることも事実です。
それでも、植民地との認識はなく、一つの国家だとして世界は認めています。
 
当時の日本は、併合したことで、朝鮮の借金を棒引きにし、さらにインフラ整備や学校建築などに膨大な資金を投じました。
さらに、日本は朝鮮王家を尊重し、日本の皇室の一員として遇しました。貴族たちの多くも元の地位にとどめました。
 
しかも、当時の日本は日清・日露の戦争に勝ったとはいえ、まだまだ弱小国でした。
三国干渉の苦い経験も身に沁みていました。
それゆえ、事前に主要国に対し日韓併合の賛否を打診しているのです。
結果、米英は賛成しました。清國は打診を無視しましたが反対はしませんでした。
ロシアは帝政が崩れようとしていた時代で、それどころではない状態で返答はありませんでした。
当の朝鮮においても、最大の政治団体「一進会」は併合に賛成でした。
もちろん、反対運動もありましたが、それはいつの世も当然に起きることです。
 
こうして、日本は42年の歳月と、2つの戦争で多大な犠牲を出して朝鮮半島との合併を果たし、西欧列強と戦う体制を整えたのです。
しかし、それが日本の悲劇の序章となったわけなので、歴史とは皮肉なものです。
 
私の父は陸軍将校でしたが、1939年から5年ぐらい朝鮮に赴任していました。父が率いていた部隊には、当然、朝鮮出身の兵が多くいましたが、待遇面で内地兵との差はなかったと聞いています。
勿論、併合したほう、されたほうの軋轢があったことは事実ですが、軍としては同等扱いで、将校にも、士官学校時代からの朝鮮出身の同僚が何人もいたと言っていました。
当時は、併合から30年経って日朝の融合も進んでいたと思われます。
 
しかし、そうしたことを一切無視して、今の韓国は、何が何でも日本が無理矢理朝鮮を植民地にしたとし、迫害を受け続けたと主張しているわけです。
そして、その象徴として慰安婦や徴用工を利用しているのです。
 
併合後は、当時の朝鮮の人たちも努力を続け半島の繁栄につくしてきたのです。それなのに、今はそのような人たちを「親日」と断罪しているのです。実に悲しいことだと思います。
 
次回は、朝鮮半島における最大の悲劇、朝鮮戦争の知り得る限りの事実をお送りしたいと思います。
 

<編集後記>
メダルは取っても、なかなか金メダルに届かない五輪の日本。
必死に頑張っている選手たちには悪いけど、フラストレーションが溜まってきています。
でも、一番フラストレーションが溜まっているのは選手自身でしょう。
競争とは過酷なもので、最終勝利者が一人しかいない世界です。
そうした競争の世界とは一線を画した、未知の世界を切り開くことに信念を燃やしています。