2016年2月29日号(経済、経営)
2016.03.15
HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2016年2月29日号
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H A L 通 信
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発行日:2016年3月1日(火)
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発行日:2016年3月1日(火)
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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2016年2月29日号の目次
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★世界経済はどうなるの?(1)
★シャープの迷走と鴻海の狙い
☆ゼネコン業績の大幅アップ
☆小さな会社の大きな手(11):戦略投資の失敗(その2)
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2016年2月29日号の目次
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★世界経済はどうなるの?(1)
★シャープの迷走と鴻海の狙い
☆ゼネコン業績の大幅アップ
☆小さな会社の大きな手(11):戦略投資の失敗(その2)
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こんにちは、安中眞介です。
今号は経済、経営の話題をお送りします。
2015年の家庭消費が発表されましたが、マイナス2.3%と2年連続の下落です。
2014年4月の消費税増税の影響から消費者心理が抜けていない証拠です。
その上、世界経済は混乱の度合いを深めています。
来年4月の10%増税は無理と思いますが、安倍首相の心中は如何に。
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┃★世界経済はどうなるの?(1) ┃
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今年に入って世界経済の混乱が続いているが、その元凶が、中国のバブル崩壊現象と原油安にあることは誰もがわかっている。
だが、真の要因はグローバルに動く投資マネーにある。
今や、投資マネーは実体経済を遥かに凌駕する規模にまで膨れ上がっているが、誰も統治できず、制御不能状態になっている。
野党は、株価の大幅下落を、「アベノミクスは破綻した、日銀のマイナス金利政策は失敗した」と政権への批判材料にしているが、本気としたら、言い方は悪いが、頭の程度を疑う。
中国と原油市場から逃げた世界の投資マネーが、一挙に日本円と日本国債に逃げ込んだ結果の円高、株安、長期金利の低下である。
日銀のマイナス金利政策そのものは間違いではなかった。
それは、導入直後は円安・株高につながったことで証明されている。
だが、グローバルな投資マネーの力は、そのような一国の政策効果など一気に帳消しできるほどに強いのである。
安倍首相も黒田総裁も、その力の前には無力だったのである。
だが、最も影響を強く受け、ピンチになっているのは中国である。
中国の外貨準備高はピーク時の3兆9900億ドルから3兆2300億ドルにまで一気に落ち込んだ。
一方、中国の対外債務は4兆4000億ドルだから、外資が一気に引き上げると金庫は空っぽになる計算である。
最近は、月1000億ドルのペースで外貨は減っている。
単純計算で3年弱で外貨準備高はゼロになる。
実際には、そのはるか前に、投機筋から人民元の空売り攻勢を浴びせかけられ、中国は通貨危機に陥るであろう。
今や、中国の金持ち(多くは共産党幹部)は、人民元を売り払い、ドルやユーロを買い漁っている。
これを放置すれば、人民元相場が暴落する。
やむを得ず、中国人民銀行(日本の日銀に相当)は為替市場に介入し、ドル売り人民元買いで暴落を阻止しているのである。
外貨準備高が急減するのは当然である。
習近平政権は、不正蓄財を理由に共産党幹部たちを次々と粛清し、人民元売りを強引に阻止しようとしているが、そんなものは焼け石に水である。
しかも、摘発しているのは習近平主席の敵ばかりである。
やがて、政治闘争に発展する危険すら出てきている。
中国は、世界経済の火薬庫になりつつある。
噂のレベルだが、まもなく「年間10万元(日本円で180万円弱)以上の買い物を現金で行ってはならない」とする法律が施行されるという。
これは、爆買い禁止というより、資金の海外流出を食い止めようという処置である。
中国は、そこまで追い詰められているということである。
次号では、中国の政権が次に打つ政策を検証してみる。
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┃★シャープの迷走と鴻海の狙い ┃
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台湾の鴻海(ほんはい)によるシャープの買収劇は、“やはり”迷走し出しました。
鴻海は、7000億円ものカネをぽんと出し、しかも、経営陣はそのまま、企業分割もしません、従業員の雇用も守りますという破格の好条件。
しかし、海千山千で、一代で巨大な企業を創りあげた鴻海の創業会長の言葉です。
私には、とても信じられませんでした。
案の定、その後、鴻海からは「雇用を守るのは40歳以下」とかの条件変更が出されてきました。
それでも、官民ファンドの産業革新機構の「痛みを伴う」支援策よりは良いとして、シャープ経営陣は鴻海を選びました。
経営コンサルタントの大前研一氏も、ブログで、産業革新機構より鴻海を推していました。
私とは意見が違っていましたが、私ごときが解説することもないなと思っていました。
ところが、調印前日にシャープから出されたのは、最大で3500億円の偶発債務のリスト。
それを受けて、鴻海は、調印の延期を通告してきました。
にわかに三文芝居の展開になってきたので、今回の解説を行う気になったという次第です。
今から1年前、鴻海の郭会長は、経済誌のインタビューで次のような発言をしていました。
鴻海がシャープの経営に参画した場合の従業員の待遇や雇用についてですが、
「目標を達成できる従業員は豊かになるでしょう。しかし達成できない人には退いていただきます。その場合、退職金はありません」「絶対にリストラしないという保証はできません」。
この意見は、買収する側としては当然の意見です。
なのに、今回の買収を表明した時点では、郭会長は「リストラはしない」と明言しました。
私は、会長の言葉を信じることは出来ませんでした。
過去に、私の関与した案件でも、似たような展開は何度も経験しています。
買収側が口約束を守った例など皆無です。
そこへ出された偶発債務の問題。
おそらく、産業革新機構側は、この偶発債務を知っていたものと思われます。
だから、買収額も3000億円とし、メインバンクにも相応の負担を求めたのです。
一方の鴻海は、巨大企業ですが、郭会長の超ワンマン経営です。
この買収に疑問を持った役員はいたとは思いますが、鴻海で、それを表明することが不可能なことは想像できます。
ですから、偶発債務のことは郭会長の念頭には無かったのではないでしょうか。
つまり、最大で買収額が1兆円を超えるかもしれないということです。
鴻海は、売上高こそ15兆円ですが、純利益は5000億円弱です。
さすがに、郭会長の心理にブレーキがかかったものと思われます。
一方、鴻海がアップル製品の受託生産で業績を上げ続けてきたことは誰もが知る事実ですが、アップルの戦略変更の影が鴻海にも忍び寄ってきています。
鴻海は、シャープの液晶技術を手に入れることでアップルをつなぎ止めておこうと考えたのでしょう。
だから、あれほどシャープの買収に前のめりなのだと思われます。
この買収劇の結末は、ちょっと読めない情勢になってきました。
3月末までに決着がつかないという最悪のシナリオもあり得るかもしれません。
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┃☆ゼネコン業績の大幅アップ ┃
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2015年第3四半期の大手ゼネコン4社の業績が発表されましたが、各社の利益率の向上には目覚ましいものがあります。
この4社に続いて、非上場の竹中工務店の決算(12月決算)も公表されましたが、ほぼ同様の利益率アップです。
この大幅アップの背景には、大都市でのホテル建設ラッシュなど建設市場が好調に推移していることがありますが、無駄な競争を止めたことが一番の要因です。
競争を止めればみんなが潤う、競争すればみんなが落ち込む。
当たり前のことです。
かつて談合がまかり通っていた時代、公共工事での価格競争などは皆無に近いことでした。
ところが、談合禁止が厳しく問われるようになり、激しい価格競争に突入し、みんな落ち込みました。
今は、緩やかな(というより、暗黙の)談合復活状態なのです。
その状態が、市場の回復とともに民間市場においても働くようになり、無理な受注をしなくなったわけです。
大手が無理な競争をしなくなれば、玉突き現象のように、準大手、中小ゼネコンと波及していき、業績が向上する企業が増えていくのは道理です。
事実、そうなってきています。
また、経営陣の若返りが進み、売上高至上主義が影を潜めてきたことも大きい要素だと思われます。
若い頃より激しい競争時代を生き抜いてきた団塊の世代の経営者は、配下にも同じことを求め、組織を叱咤してきました。
しかし、世代交代を果たした若い経営者には、その意識は薄くなっています。
というより、団塊の世代の考え方に嫌悪感すら抱いているのだと思います。
売上よりも利益確保を重視する、のんびりゆったりした会社のほうが良いと思っているのです。
でも、今の建設市場がそのまま続く保障はありません。
グローバルな経済環境の激変に、やがて日本も巻き込まれていくでしょう。
建設産業が、これから取り組むべき課題について、次号から述べていこうと思います。
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┃☆小さな会社の大きな手(11):戦略投資の失敗(その2) ┃
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弊社の戦略投資の失敗の話を続けます。
このような話は、自分の恥をさらすことで正直つらいのですが、失敗を見つめ直すことは大事なことです。
なので、「自分のため」と思って書いています。
さて、最初の商品である「CADソフト」の開発投資に失敗した弊社は、いったん商品開発を断念しました。
ただ、商品開発そのものを諦めたわけではありません。
前号で書いた次のフレーズを思い起こしてください。
「商品としての製品を世に出すのは、圧倒的に優れた『何か』が無ければダメ。性能か、価格か、速さか・・の『何か』が必要」とのフレーズです。
その『何か』が見つかるまで、もっと財力をつけようと思ったのです。
まず、パッケージソフトウェアを汎用商品として開発するのに、どのくらいの投資資金が必要かを調べました。
その結果、1本のパッケージ商品を開発するには、およそ1億円は必要との答えが出ました。
それから考えると、最初の商品の開発費用は明らかに不足でした。
はっきりとコスト計算をしていませんでしたが、たぶん2000万円ぐらいだったと思います。
というより、そのくらいの資金しか調達できなかったのです。
ここで大事なことがあります。
すでに市場を捉え、ある程度の経験とユーザー、さらにサポート体制を持っている企業の場合は、新規投資に掛ける費用は少なくて済みます。
また、ソフトの機能がある程度のレベルでも販売できます。
しかし、販売するための組織や仕組み、サポートツールや体制、ノウハウなどを持っていない新規企業は、その全てを事前に作ることは難しいのです。
さりとて、圧倒的に優れた機能を持つソフトを開発することは、1億円でも足らないくらいです。
そうしたことも分からず、2000万円程度の開発費で、圧倒的に優れた『何か』を生み出すことなど出来るはずもなかったのです。
それで、しばらくは、建設業関係の受託ソフトの受注に力を注ぎました。
幸い、建設企業の実務を熟知し、かつ、ソフト開発の技術を高いレベルで有していたことで、受注は好調に推移しました。
こうして、1年で5000万円の利益を積み上げ、再度、パッケージソフトの開発に挑むことにしました。
しかし、CADソフトは、失敗のトラウマもあり、商品化は諦めました。
では、どの分野の商品を開発するかですが、答えは「市場が決める」でした。
受託開発の依頼で最も多かったのは、基幹業務ソフトでした。
つまり、建設業の原価管理、財務管理です。
当時、パソコンベースで動く同種のパッケージソフト商品は、すでに販売されていました。
しかし、全て「スタンドアローン」、つまり1台のパソコン上で単独で動くソフトです。
何しろ25年前の話です。
社内LAN環境で動くパッケージソフトは、当時オフコンと呼ばれていた、かなり高額のコンピュータ用しかありませんでした。
離れたところにある支店を回線で結んで動くソフトとなると、汎用という大型コンピュータが必要になる時代でした。
そんな時代でしたが、弊社は、パソコンベースで動くネットワーク対応の基幹業務ソフトの開発を目論んだのです。
しかも、広域回線網を使い、支店をも統括管理できるパッケージソフトです。
これが、弊社が見つけた「圧倒的に優れた『何か』」だったのです。
成功する自信はありました。
しかし、大きな落とし穴が待っていたのです。
その話は次号で・・
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<後記>
女子サッカーの五輪最終予選、初戦で日本はオーストラリアに完敗してしまいました。
4年前と大きく変わらないメンバー、精神的主柱であった澤選手の引退。
危惧された通りの展開になってしまいました。
かつて20代前半から半ばであった主力メンバーは、みなアラサーの年代になっています。
4年前とくらべ、明らかに運動量は落ち、痛々しいくらいでした。
あとがなくなった日本チーム。
佐々木監督の起死回生の戦略は・・
期待しています。
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