2023年10月15日号(国際、政治)

2023.10.16

HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2023年10月15日号
┏━┓┏━┓┏━┓┏━┓┏━┓
   H  A  L  通  信
┗━┛┗━┛┗━┛┗━┛┗━┛ http://www.halsystem.co.jp
発行日:2023年10月16日(月)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2023年10月15日号の目次
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇中東問題に出口はないのか?
◇尖閣諸島の防衛
◇空母化する「いずも」「かが」は戦力となるのか(2)
 
http://magazine.halsystem.co.jp
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 
こんにちは、安中眞介です。
今号は国際問題、政治問題をお送りします。
 
ウクライナ侵攻の終結が見えない中、中東の火種が火を吹きました。
ニュースやSNSでの情報は錯綜していますが、ハマスとイスラエルの「どちらに正義があるか」という視点で見ることは危険です。
今号は、この問題から入ります。
 
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃◇中東問題に出口はないのか?               ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
ハマスによる突然のイスラエル攻撃。
不意を突かれた形のイスラエルは、多数の民間人の犠牲を出し、外国人を含む人質まで取られる事態となりました。
もちろん、イスラエル軍はすぐさま反撃し、ハマスが支配するガザ地区に激しい空爆を行い、同地区でも民間人の犠牲がかなりの数に上っています。
さらに、ガザとの国境に戦車の大部隊を配置し、大規模攻撃をすぐにも始める情勢です。
 
ハマスは、こうしたイスラエルの大規模反撃を想定した上で今回の奇襲攻撃を掛けたはずです。
ガザの地下に張り巡らしたトンネル網を駆使してのゲリラ戦やイスラエル領内へのロケット弾の波状攻撃にかなりの自信を持っていると考えられます。
また、後ろ盾になっているイランやシリアからの軍事、経済両面の支援の確約も得ています。
さらに、120人とも150人とも言われる人質やガザの住民を人間の盾に使い、イスラエルの攻撃を鈍らせるという戦術まで駆使するつもりです。
その人質に外国人が含まれていることは、国際社会がイスラエルの軍事行動に圧力を掛けることを狙っているといえます。
 
イスラエルのヤーコブ・アミドロール元首相補佐官(国家安全保障担当)は、奇襲攻撃を受けたことで、「情報機関と軍の大失態だ」と、対外情報機関モサドを批判しました。
たしかに、世界最高の秘密情報機関と言われてきた「モサド」の失態と言われても仕方ない事態です。
「モサド」は、ガザを支配するハマスに対し、人的ネットワーク(つまりスパイ)や通信傍受、無人機による偵察などの手段で徹底的に監視し、時には主要人物の暗殺まで行ってきたとされています。
それなのに、今回の奇襲攻撃を許し、多数の民間人の犠牲を出したことで、その評価は地に落ちたと言わざるを得ません。
 
同様に、世界最高を自負してきた米国の情報機関の評価にも疑問符がついています。
国家安全保障担当のサリバン大統領補佐官は、10日の記者会見で「攻撃が迫っていることを示す情報は何も目にしなかった」と述べたが、エジプトの情報機関が3日前に危険の兆候を掴み、米国に伝えたことが明らかになっています。
そうだとすると、ウクライナと台湾問題に気を取られ、中東の危険性に鈍感になっていたと言われるでしょう。
 
ただ、裏では、イスラエルはハマスによる襲撃情報を掴んでいながら、あの襲撃をわざと“やらせた”とする情報が出てきています。
「案の定・・」というような話ですが、それにしては、「あまりも犠牲者が多すぎる」という反論も当然にあります。
確証がない以上、この種の情報は聞き流すしかないと考えます。
 
今回のハマスの奇襲前に、サウジアラビアがイスラエルと外交交渉に入ったとの情報が流れ、イスラエルの承認がかなり現実味を帯びていると報道されましたが、これは確かな情報です。
近年、パレスチナ人にとっても浮いた存在になってきたハマスは、こうした情勢に相当に焦ったことが今回の襲撃の大きな要因だとする分析が一番妥当な見解だと言えます。
 
ハマスの後ろ盾であるイランは、シーア派の盟主を自認し、同じイスラム教国でも、スンニ派の盟主であるサウジアラビアとは対立する関係にあります。
近年、両国が和解の話し合いに入ったとの報道もありますが、イランとしては、イスラエルとの和解に動いた今回のサウジの姿勢は決して容認できないはずです。
イランがハマスの動きを暗にけしかけたとする見方も単純に否定できません。
 
このような火薬庫にハマスが火を投げ込んだ格好ですが、この火が野火のように中東全域に燃え広がるのか、国際社会がそれを消し止めるのかは分かりませんが、影で“ほくそ笑んでいる”国があります。
もちろん、それはロシアです。
日本は、こうした問題を対岸の火事として高みの見物はできないはずです。
さて、日本は“どうする”
 
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃◇尖閣諸島の防衛                     ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
中国海警局の船が尖閣沖の日本領海へ侵入することが常態化しています。
中国が発表し、各国で物議を醸している地図には、台湾だけでなく尖閣諸島も中国領とされています。
尖閣諸島に対して、中国は、よく使うフレーズ「核心的利益」に含まれると声高に主張しています。
「核心的利益」とは、軍事力を行使しても守るべき国益という意味です。
つまり、歴史的な事実や日本の実効支配は認めず、軍事力を行使するということです。
実際、中国の海警局は、日本の海上保安庁とは違い、中国海軍の下部組織となっていて、海警局の船は大型化し、かなりの武装もしています。
こんな艦船が、無防備の日本漁船を追い回しているのが尖閣の現状なのです。
海上保安庁の巡視船が必死に漁船を守っていますが、海警局の船が巡視船に武力攻撃をかける危険が高まり、いつ犠牲者が出るかも分からない情勢です。
 
さらに、こうした日本近海への領海侵犯は、尖閣に留まらず南西諸島や太平洋などの離島にまで拡大してきています。
それに対する日本政府の対応は、“いつもの”遺憾砲のみで、甚だ心もとないのが現状です。
 
ウクライナ侵攻や中東紛争などは、日本から遠いこともあって、どこか“よそ事”の感がありますが、尖閣は、すぐそこの危機です。
最前線である沖縄県知事の言動は明らかに中国寄りです。
もちろん、沖縄の置かれた現状から考えると全面的に玉城知事が悪いとは言えませんが、相手は、あの中国です。
このままでは、沖縄が中国に飲み込まれないまでも、利用されることは明らかです。
 
中国から見れば、日本が南西諸島に配備を始めているミサイル防衛網は、やっかいな存在です。
何度も言及していますが、台湾を侵攻する場合、断崖が多い大陸側への上陸は困難が予想されます。自ずと平場の多い東側の海岸からの上陸作戦となります。
しかし、その場合、日本の南西諸島に背後を取られる形となり、危険この上ない作戦となってしまいます。
 
となると、まず尖閣諸島を占領し、そこを橋頭堡に南西諸島のミサイル基地を叩き、背後を固めるという戦略が考えられます。
日本は、尖閣への上陸を許してしまったら、奪還はなかなかに難しく、沖縄が危険になります。
 
現実的な戦術としては、尖閣には米軍と共同使用する自衛隊の観測基地を設置し、要員の常駐化を実現、さらに南西諸島には射程1000kmの弾道ミサイルを配備するという二段構えの防衛線を敷くことです。
このことは台湾防衛への有効な手段にもなり、中国の軍事侵攻への大きな抑止力になります。
 
もちろん、現在の中国軍の軍事力を冷静に分析すれば、台湾はもちろん、南西諸島への攻撃は無謀すぎるので、実際に侵略する確率はかなり低いです。
しかし、可能性はゼロではないし、習近平独裁が強まる今の中国の危険度は高まる一方でしょう。
 
ロシアによるウクライナ侵攻の帰趨が大きな要素であることは勿論で、維新の会を離党した鈴木宗男議員が言うような「ロシアが勝つ」ことが現実化したら、日本の危機レベルが格段に上がることは確実です。
そうした現実を改めて確認させられた鈴木宗男議員の訪露は、彼の思惑とは逆に、ロシアや中国といった独裁国の危険性を浮かび上がらせたと言えるでしょう。
 
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃◇空母化する「いずも」「かが」は戦力となるのか(2)    ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
“いずも”型空母搭載のF35Bが装備する対艦ミサイルJSMは効果的な戦力です。
これは、ノルウェイが開発したものに改良を加えた射程500kmのミサイルで、中国は迎撃不可能と言われています。
海面スレスレを複雑な動きで飛ぶJSMの探知を中国はできないからです。
 
一方、スキージャンプ方式の中国の空母は、こうした長射程ミサイルを満載した状態の攻撃機を発艦させることはできません。
また、推進力の乏しい早期警戒機を発艦させることができないため、攻撃部隊に有効な情報を届ける能力が著しく劣ります。
 
無理と言われながら、3番艦の「福建」に電磁カタパルトを装備しようとしているのは、こうした“止むに止まれぬ”事情が大きいのです。
しかし、米国ですら安定した稼働に苦労している電磁カタパルトを、中国が稼働に成功するとはとても思えません。
しかも、「福建」の動力は原子力ではなくディーゼルエンジンです。
個人的な見方ですが、成功確率はほぼゼロと見ています。
中国が、なぜ、このような無理をするのか疑問ですが、国家主席の“鶴の一声”に逆らえないのかもしれません。
 
また、日中両軍のパイロットの質の差も大きいと言われています。
中国は、人民解放軍をハイテク軍隊にしようとやっきになっていますが、その背景には要員の質の低下に歯止めがかからないという現実があります。
空母艦載機の操縦は難しいのですが、最も難しいのが着艦です。
戦闘事態では、全速力で風上へ走る空母の甲板に着艦することが必要ですが、中国軍はパイロットの技量が低く、止まっているか低速での艦にしか着艦できないということです。
しかし、海が荒れている状態では、停止や低速状態の艦は揺れが大きくなり、着艦点がずれるという危険があります。
「遼寧」や「山東」の訓練の様子をネットの動画で見ることがありますが、海が凪状態の映像ばかりです。
実戦の戦闘状態を想起させるような映像は皆無ですが、そうした訓練ができる状態にないと言わざるを得ません。
 
戦前のプロペラ機の時代ですが、日本は豊富な本当の実戦経験を持つ国です。
米軍との激戦の中で多くの犠牲を払いましたが、その経験は戦後の自衛隊にも受け継がれています。
あの戦争を生き残ったパイロットの多くは自衛隊の教官となり、若いパイロットを指導してきました。
時代が違うとはいえ、こうした伝承の積み重ねの差は大きいものです。
実戦経験のまったく無い中国軍のパイロットの技量や軍全体の作戦能力は大きく落ちるのは当然です。
 
その上、先の大戦では激戦の相手であった米国と、今は同盟関係にあり全面的な支援を受けられます。
すでに、「いずも」型の艦載機に搭乗予定のパイロットは米国で訓練に入っています。
 
ただし、昨年「遼寧」は日本の石垣島などのすぐ近くで軍事演習を行いましたが、艦載機の発着回数は300回を超えました。
確実に中国海軍の練度が上がっていることは無視できない要素です。
もちろん、戦争を望むわけではありません。
しかし、中国が台湾侵攻の意志を公言し、尖閣諸島を「核心的利益」と呼ぶ間は、日本は、日中開戦が起きることを想定しなくてはならないのです。
 
----------------------------------------------------------------------
<編集後記>
秋田県の親子熊3頭の駆除に対し、県や町に抗議が殺到とのこと。
しかし、山に返した後で人的被害などが発生したら、この手の人たちは逆に「なんで山に返した」と抗議するのでしょうね。
「子熊まで、かわいそう」と思う気持ちは分かりますが、子熊はすぐに成長した熊になります。
駆除はやむを得ません。
 
若い頃、山でヒグマに襲われた経験があります。
長い時を経た今でも、その時の恐怖感は消えていません。
駆除を非難するクレーマーには「一度、間近でクマと対峙してみては」と言いたいです。
 
----------------------------------------------------------------------
◎[PC]配信中止、変更の手続きはこちら
http://www.halsystem.co.jp/mailmagazine/
このメールは送信専用です。お問い合わせはこちらからお願いします。
http://www.halsystem.co.jp/contact/
∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵
【編集・発行】
  株式会社ハルシステム設計
http://www.halsystem.co.jp
 
  〒111-0042 東京都台東区寿4-16-2 イワサワビル
  TEL.03-3843-8705 FAX.03-3843-8740
 
【HAL通信アーカイブス】
http://magazine.halsystem.co.jp
 
【お問合せ・資料請求】
email:halinfo@halsystem.co.jp
tel:03-3843-8705
 
Copyright(c)HAL SYSTEM All Rights Reserved.
∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵