2016年1月15日号(国際、政治)

2016.02.02

HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2016年1月15日号
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                発行日:2016年1月15日(金)
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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           2016年1月15日号の目次
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★北朝鮮の核実験
☆慰安婦問題での日韓合意
★戦争と平和(その15:最終回):そのジレンマ
http://magazine.halsystem.co.jp
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こんにちは、安中眞介です。
読者のみなさま、新年おめでとうございます。
本年も、本メルマガをよろしくお願い致します。
それでは、本年最初の号、国際問題、政治問題をお送りします。

昨年末の土壇場での日韓合意(慰安婦問題)が成ったと思ったら、新年早々、北朝鮮の核実験です。
さすがに、この核実験を事前に読み切ることはできませんでした。
今号はこれらの解説を中心にお送りします。

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┃★北朝鮮の核実験                        ┃
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北朝鮮による水爆実験報道を聞いて、まず頭に浮かんだのは、「ウソだろう!」でした。
報道がウソなのではなく、水爆がウソだと思ったのです。
地上での核実験ならば、その種類や規模はすぐに分かることですが、地下では容易に判別出来ません。
だから、北朝鮮の報道は本当かもしれません。
しかし、原爆に比べると水爆を開発する技術は格段に難しいものです。
北朝鮮の原爆を作る技術は、他国(パキスタンなど)から非合法的に手に入れたものです。
しかし、水爆を作る技術は、世界で5カ国(米、ロ、英、仏、中)しか有していません。
さすがに、この5カ国からの入手は無理と思われます。

案の定、米国や日本などの報道では「水爆はウソ」との見方が主流になっています。
そして、報道の関心は“北朝鮮の狙い”に絞られてきています。
しかし、この疑問に対し的確な答えを示している報道機関はありません。
それで、あえて無責任な憶測をしてみました。

今の北朝鮮は、1月8日に33歳になったばかりの金正恩が独裁者として全権を握っている国ですが、この若者が本当に国土全体を掌握できているかは疑問です。
また、残忍な政権運営のやり方から見て、耳障りのよい報告しか上がってきていないと思われます。
つまり、「裸の王様」というわけです。
ただ、八方塞がりの対外状況は分かっていますから、さすがに不安は増大しているのです。
そして、その最大の恐怖は米国による軍事行動ですから、「オレも水爆持っているぞ」という強がりを言いたかったのでしょう。

そんな子どもじみた(と言うより、本当に「子供」ですから)行為が出来るのも、中国という大甘の親がいるからです。
どんなに駄々をこねても、口先で叱るだけの親だと思えばこそのバカな行動なのです。

しかも、金正恩は50億ドルもの個人資産を海外に有しているとも言われていますので、いざとなれば、どこにでも逃げられると思っているのです。

となると、本当の問題は北朝鮮にあるのではなく、中国の姿勢、そして米国の姿勢なのです。
この両国が真剣にならない限り、北朝鮮(いや、金正恩)の駄々っ子ぶりは止まらないのです。

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┃☆慰安婦問題での日韓合意                    ┃
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2015年年末での、この土壇場合意は予想外でした。
急遽、岸田外相がソウルに飛んだ時でも、マスコミ報道は「無理でしょう」の空気一色でした。
ですから、今回の合意は、公平に見て安倍外交の成果と言って良いと思います。
反面、それだけ韓国経済の悪化が深刻で、朴槿恵政権が追い詰められているという証拠でもあります。
「外交力は経済力の裏返し」ということを改めて認識させられた思いです。

ただ、これで一件落着とはいかないところが対韓国外交の難しさです。
案の定、韓国の世論調査では賛否が大きく割れていますし、慰安婦像の撤去に至っては「反対」が賛成を圧倒しています。
この像は、「外国公館の品位を維持する義務を定めた『外交関係に関するウィーン条約』」に違反していることは明白なのですが、韓国政府は「民間が自発的に設置したもの」として撤去に応じてきませんでした。
近代国家としては、はなはだ無責任な態度で、日本としては苦々しい思いですが、ここは我慢のしどころです。
この問題は、すでに韓国側の国内問題になったのであり、日本としては静観するしかありません。

もちろん、韓国が、慰安婦問題を蒸し返してくる公算は大です。
政権が変われば、即、蒸し返すでしょう。
その時こそ、国際社会に対し、韓国の理不尽さを正論で訴えていくべきです。

ただ、過去に慰安婦が存在していたことは事実ですし、一部に強制的なことが行われ、日本の官憲が加担していたこともあったと思います。
その被害者に対する保障は日韓両国が責任をもって実施すべきことです。
しかし、過去を恨みの気持ちで捉え、未来への道を閉ざすことが韓国にとっての利益になるとは到底思えません。
韓国マスコミはようやく冷静になってきているようですが、世論の動向次第で簡単に元の木阿弥に戻ってしまう恐れがあります。
冷静な報道姿勢に徹することを望むのみです。

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┃★戦争と平和(その15:最終回):そのジレンマ         ┃
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このシリーズの結論として、以下のことを考えて欲しいのです。
「戦争と平和」は永遠のスパイラルのようなもので、どこまで行ってもキリのないジレンマです。
敵対する国どうしは、互いに相手より強力な武力を有していないと安心できないし、相手より先に武器を捨てられないのです。
武器を捨てられるのは、圧倒的に強力な武力を持つ統治者がいて、その統治者が平和を保証してくれる場合だけなのです。

日本だって、400~500年前までは庶民(村などのグループを含めて)の大半が武器を持っていたのです。
大きな寺院などは、僧兵などの専門の武装力を備え、抗争に明け暮れていたわけです。
そうした武力によって保護されていた内部では「平和」が保たれていましたが、その外の安全は保証されない平和だったのです。

日本国内が平和になったのは、戦国時代後期の3人の統治者のおかげです。
織田信長は、宗教勢力から武力を奪い取りました。
比叡山焼き討ち、伊勢長島の一向一揆殲滅などの、残酷とも思える施策は、そのくらい過激な実行力がなければ、宗教から牙(武力)を抜くことができなかったからです。
最後の仕上げともいえる石山本願寺攻めでは、本願寺の武力の前に一進一退を続けた挙句、ついに天皇の仲介を必要としたくらいです。
そのくらい、当時の宗教勢力の武力はスゴかったのです。

その後を継いだ格好の豊臣秀吉は、「刀狩り」政策で農民から武力を奪いました。
さきごろ始まったNHK大河ドラマ「真田丸」をご覧になられた方は、その第1回のラストで、主人公(真田信繁)一行が、武装した農民に襲われながら逃げるシーンを思い起こしてください。
あれが、当時の農民の普通の姿だったのです。
秀吉の刀狩りによって、ようやく農村に武器のない平和が訪れたのです。

その最終仕上げをしたのが徳川家康です。
大阪夏の陣で敵対する豊臣勢力を滅ぼし、ようやく日本に平和が訪れたのです。
しかし今でも“汚い手”を使ったと言われ、家康の人気はイマイチです。

この3人は、好きな人もいますが、それぞれ、暴君、傲慢、狡猾のイメージで嫌う人も多いです。
だが、この3人の努力で、最後に強大な武力を有する徳川幕府ができて日本は平和になったことは事実です。

しかし、歴史は皮肉です。
徳川時代の260年間の平和は、日本を武力的にはすっかり弱い国にしてしまいました。
そのことを、幕末にいやというほど思い知らされた日本は、明治以降、強大な武力国家になることを目指しました。
その結果、欧米列強に肩を並べるほどの軍事力を持ち、清國・ロシアという2つの強国との戦争にも勝ちました。
だが、その先に待っていたのが、悲惨な敗北です。
我々は、この歴史の教訓を学び、この先の日本を、世界を考えていかなければならないのです。

戦後の日本は、米国の強大な軍事力の傘で守られた平和を享受してきました。
しかし、米国に頼るだけではダメだと、軍事力を強化し、集団的自衛権で米国との共同作戦まで遂行出来るようにしようと、今の安倍政権は足を一歩前に踏み出したわけです。
戦後、期待を込めて設立された国連に世界を守る力が無いことは、誰もが分かっていることです。
かつ、米国が「世界の警察官」を辞めることを宣言している以上、世界には「平和を保証してくれる統治者」はいないのです。
あえて言えば、これからの世界は、戦国時代の日本のような状態かもしれません。
だから、「武力は必要なのだ」という意見が出るのは当然です。
しかし、その考えを庶民のレベルまで落としていくと、銃器所有が当然のアメリカ社会になってしまいます。
だから、「武力が良い」とは、とても言えません。

任期最後の1年を迎えた米国・オバマ大統領は、大統領権限という強権で武器所有に対する制限強化に乗り出しました。
オバマ氏が大統領になった最大の目的は、これにあったのではないかと思われますが、効果を上げる可能性は限りなく少ないでしょう。

「戦争と平和」は、永遠に解けないパラドックスのような気がしてなりません。
これが、今の私の結論です。

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<編集後記>
今年は参院選挙の年ですが、「衆参同時選挙」の声が絶えません。
しかし、当の安倍首相の心境は白紙でしょう。
与党で2/3の議席を持つ今の衆院の構成を変えることなく参院選を勝利し、かつ参院でも改憲勢力
が2/3を超える見通しがつくならば、衆院解散はしたくないのが道理です。
参院選が近づいた状況での上記の判断がカギになります。

ただ、年明けからの株価の下落が続き、景気に黄色信号が点滅するような事態になれば、状況は一変すると思われます。
消費税再増税の見送りなど、あらゆる手を打っての解散という選択肢もあると思っていたほうが良いかもしれません。
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