2021年3月31日号(経済、経営)

2021.04.19


HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2021年3月31日号
┏━┓┏━┓┏━┓┏━┓┏━┓
 H  A  L  通  信
┗━┛┗━┛┗━┛┗━┛┗━┛ http://www.halsystem.co.jp
発行日:2021年3月31日(水)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2021年3月31日号の目次
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇これからの近未来経済(5):女性が活躍する社会はいつ来る
◇中国の思惑通りにはいかない(その12)
☆商品開発のおもしろさ(10)
★今後の建設需要(15)
 
<HAL通信アーカイブス>http://magazine.halsystem.co.jp
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 
こんにちは、安中眞介です。
今号は、経済、経営の話題をお送りします。
 
新年度がコロナ禍の第4波で始まりそうな現実に憂鬱さが募ります。
TVに登場する“いつもの”専門家も、“いつもの”同じ話ばかりで、少々“うんざり”です。
「専門家の肩書が泣くぞ」と言いたくなります。
 
かくして、我慢に飽きた人々は街へ繰り出し、厚労省の職員は深夜まで飲み会。
感染者が増えるのが当然の状態になっています。
ワクチン接種が行き渡り、効果を上げるまではお手上げかもしれません。
その日が来年度になることを覚悟して、経営戦略を練り直す日々です。
 
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃◇これからの近未来経済(5):女性が活躍する社会はいつ来る    ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
五輪組織委前会長の森氏の発言を機に、日本の女性差別が問題視されています。
「これが日本社会の本質」と発言した経団連の中西会長までもが批判される事態となっています。
中西会長の発言は、女性差別が残る日本社会を問題視した発言だったのでしょうが、言い方が若い世代には通用しなかったようです。
こうした世代間の感覚のズレは、ますます顕著になっていて、これもまた問題です。
 
成熟期に入った日本経済にとって、女性の活躍は欠かせない要素です。
それには、掛け声や標語ではなく、男性中心に作られてきたこれまでの制度や慣習の改革が必要です。
しかし、制度改革はともかく、慣習の改革は、人々の心の中の問題が大きく、簡単ではありません。
私自身、胸に手を当てて考えてみれば、「女性に負けたくない」という感情が強くあったことは否定できません。
「あった」と過去形で書いたのは、小学校時代が特にそうだったからです。
それは、周囲の大人たちから植え付けられた呪縛のようなものでした。
「男たるもの女に負けるなど、あってはならない」という強い圧力です。
ゆえに、成績で女の子に負けることは絶対に許されないのだと自らに課していました。
しかし、中学で初めて負けた時に、その呪縛はあっけなく解けました。
「頑張っても自分より成績が良い女の子がいるんだ」という当たり前のことを実感したからです。
負けた悔しさはなく、心からホッとしたのです。
 
不思議に思うのは、女性に負けた経験をした人は多いはずなのに、女性を男性と同等だとする感情が芽生えない人の多さです。
私なりに、その理由を考えてみました。
結論は「科学的思考」の欠如です。
人間の頭脳の構造からすれば、思考能力に男女の差はありません。
ゆえに、統計学的に考えれば、女性の半数は男性の半数より「頭がよい」となります。
つまり、女性が男性とまったく同等な立場で政治やビジネス社会に参戦すると、男性の半分は女性の下に置かれることになります。
男性には、こうした危機意識が潜在的にあり、女性差別に繋がっているのではないでしょうか。
その上、年配者ほど、周囲から「男は女より優れていて当然」と叩き込まれています。
森さんは、一応陳謝しましたが、本音では「なにが悪いんだ!」と憤慨しているそうです。
おそらく、こうした感情は「死んでも変わらない」でしょう。
このような感情の支配から逃れるためには、中学時代の私のように、早期に「優れた女性」のことを実感する経験が大事なのではないでしょうか。
 
若い頃、仕事した米国のオフィスには、女性がかなりの比率で働いていました。
軍関係の仕事で会った米軍の女性将校などは、その知性、知識、意識にただただ圧倒されました。
しかし、帰国した日本は、相変わらずの前近代的な職場環境でした。
 
あれからかなりの時間が経って、ようやく日本にも活躍する女性が出てきましたが、茶化したり叩かれたりする図式は変わっていないようです。
それも、表面では女性差別を批判するマスコミが、実は最も遅れていると感じます。
若くして実力を発揮する女性が出てくると、週刊誌やNetでは、「美しすぎる・・」とか「○○姫」のような侮蔑的な冠を付ける見出しが目立ちます。
マスコミ人には「社会を変革する先導者たらん」とする気概は無いのでしょうか。
「売れさえすれば、なんでもいい」という姿勢では、近未来の担い手にはなれません。
 
「これからの経済は、女性と若者が引っ張る」と言われて久しいですが、コロナ禍が明けた先にはそうした世界が見えてくるのでしょうか。
世界が180度方向を変える大きな曲がり角は2025年に来ると言われています。
しかし、もしかしたら、その時代は戦争で幕を開けるかもしれません。
でも、女性の活躍が進めば、そうした悲惨な未来は防げるかもしれません。
まだまだ差別は続きますが、女性にはこの厚い壁を打ち破ることを期待します。
 
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃◇中国の思惑通りにはいかない(その12)             ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
注目の米中2+2会談は、両国の距離を浮き彫りにした結果となりました。
中国は米国による経済制裁の緩和をこの会談に賭けていたはずですが、米国に真正面から人権問題を持ち出され、冒頭からその目論見は崩れました。
経済戦争の側面から言えば中国の立場のほうが苦しいので、外交で切り抜ける道を狙っていたはずです。
しかし、外交トップの楊潔篪(ヤン・チエチー)は、中国国内向け(というより、習近平主席への忠誠の証のような)強硬な演説で応戦しました。
 
近年、中国経済は驚異的な拡大を続けてきました。
経済評論家の意見は、拡大はまだ続くとする意見と、停滞から下降局面に入るという意見に二分されています。
世界がこれまで通り、中国に資本を投入し中国での生産を拡大すれば成長は続きます。
しかし、中国への資本投下が危険になると判断して投資や生産の抑制が起きれば、成長は止まり、資本が引き始めれば下降局面に入ります。
経済は、そうした単純な図式で動くものです。
 
中国自身の一番の問題は、経済成長を維持することに関して、習近平主席と李克強首相の考えがまったく噛み合っていないことです。
前号で、李克強首相が「双循環」にはまったく言及していないと書きましたが、むしろ習近平主席が李克強首相に関与させないようにしているように思います。
昨年8月に経済に関する専門家会議が開催されましたが、この会議に李克強首相の姿はありませんでした。
この会議は、3月の全人代で発表された第14次五か年計画の策定という重要な経済会議でした。
当時、習近平主席は、意図して李克強首相を外したという憶測がなされていましたが、その後、李首相外しが露骨になっている印象が強くなっています。
 
そもそも、李克強首相は民営経済(つまり中小零細企業)重視で改革開放推進派ですが、習近平主席は国有企業(つまり大企業)重視で計画経済(共産主義路線)回帰派という正反対の考えです。
習主席は、4桁までの数値をすべて暗記しているといわれる李首相が煙たくて仕方ないようです。
そこにつけ込んだ腹心の劉鶴(リウ・ホー)副首相などが「双循環」という「耳触りのよい」政策を主席に吹き込んだのです。
 
しかし、経済の活性化は、「双循環」というような言葉の遊びではなく、市場開放、公平な法治の徹底、そして民営企業の活力支援に尽きます。
2月に、李首相に近い楼継偉・前財政部長(財務相)が、経済専門誌『財政研究』に寄せた文章が話題になりました。
相当に詳細な数字データを挙げて、以下の如く中国経済の未来に警告を発しています。
1.2009年から2020年まで積極財政を11年も続けたため、政府の債務問題が未来の財政の安定と経済の安全を損なう因子となっていく。
2.債務規模の急激な拡大により、債務返済の一般予算支出に占める割合が2020年はおおよそ15%に上がり、支出部門で2番目となった。
3.地方債務は、第14次5ヵ年計画により大幅に膨れ上がり、終了年の2025年には、およそ4分の1の省級の財政の50%以上の収入が債務の返済に使われることになり、金融リスクが現実問題となる。
 
この衝撃的な文章は、李克強首相が書かせたとも言われています。
この前財政部長は、李首相と二人三脚で経済改革に取り組んできましたが、2016年11月に、習近平総書記によって電撃的に解任されました。
このような習近平独裁政権が続き、それに対し日米などの自由主義陣営が団結して対決する図式が続けば、中国の経済凋落は起きると考えます。
 
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃☆商品開発のおもしろさ(10)                  ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
親切なバーテンの話で強く記憶に残った「客が感じる別世界」という商品ですが、それがどんな商品なのかは、ド素人の私には難しすぎる課題でした。
しかし、ここで諦めたら、店は破産、家族は離散の地獄に堕ちるだけです。
私は必死でした。
そこで、考える方向を180度変え、現実を変えることから始めました。
まず着手したのは、この店にとっての悪い要素を潰すことでした。
それは、従業員全員の首を切ることを意味しました。
 
「そんなこと無理でしょ」と誰もが思うでしょう。
しかし、後のない崖っぷちに追い詰められている身です。
何でもやるしかなかったのです。
 
全員(といっても、6~7人だったか)を集めて、「みなさんには本日で辞めてもらいます。本日までの給料は一週間後に取りに来てください」と言い渡しました。
あっさり受け入れる人、血相を変えて食って掛かる人、こんな店に未練はないとばかり薄笑いする人、いろいろでした。
1人を除いて、知り合いにタダ酒を飲ませる者やレジから現金をくすねる者などばかりでしたから、抵抗する人には「警察に行こう」とまで言い、押し切りました。
結局、みな、捨て台詞とともに去っていきました。
 
ところで「1人を除いて」と言いましたが、一切の不正をしていない女性が1人だけいました。
皿洗いしながらの観察で、そのことは確認していました。
彼女は、カウンター内の仕事と外でのホステス業を兼任していました。
私は、全員を集める前に彼女を呼び出し、こう言いました。
「きょう、みんなには辞めてもらうことを告げます。でも貴女だけは不正もせず、一生懸命働いてくれていることが分かっています。どうか残ってこの店を助けてください」
 
さすがに、私と母の素人二人では店は回りません。
私の必死の説得が効いたのか、彼女は残ってくれました。
 
例のバーテンに、この顛末を話したら、呆れていましたが、カクテルの作り方などをまとめた手作りの冊子をくれ、氷の割り方やシェーカーの振り方などを特訓してくれました。
まさに「捨てる神あれば救う神あり」です。
それから、私はシェーカーを片時も離さず、少しでも時間があれば、振り方の練習を繰り返しました。
大学の授業中でも、机の下でシェーカーを振っていました。
 
しかし、接待する女性が1人では足りません。
そこで、当時付き合っていたガールフレンドにホステスの役割を頼みました。
ホステスは、普通のアルバイトに比べれば、かなりの高給ですから、ふたつ返事で引き受けてくれ、友達も連れて来てくれました。
助かりましたが、カウンターの中で私の内心はヒヤヒヤでした。
酔ったお客が彼女の背に手を廻したりすると、「このやろう」と言いそうになり困りました。
 
また、どんなに特訓を積んでも、お客様から注文されるカクテルを作ることは緊張の連続です。
一番最初に私の作ったカクテルをお客が飲んだときには、怖くてお客を直視できませんでした。
「なんだ、この酒は!」と言われるかと思うと、冷や汗が流れ、のどもカラカラでした。
 
駅前で店のチラシを配ったり、サービス週間を設けたり、店独自のカクテルを考案したりとか、考えつくことは何でもやりました。
そんなある日、例のバーテンが「きょうは休みだから」と言って、カウンターに入って手伝って(指導して?)くれました。
彼は、店じまいまで手伝ってくれた後、「客が楽しめる良い店になったな」と言ってくれました。
「客が感じる別世界になっていますか」とは聞けませんでしたが、苦境を脱する光が見えた気がしました。
変な話になってしまいましたが、次回以降、もう少し続けさせてください。
この水商売の経験が私のビジネスの原点といえることなのです。
 
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃★今後の建設需要(15)                     ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
少し前、NHKの女性アナウンサーの退職がニュースになりました。
本人が、他局への移籍ではなく、「今後は“まちづくり”などに関わっていきたい」と発言して、話題になっていました。
正直、「なんと軽い発言」と思いましたが、同時に「若い女性が考える“まちづくり”って何だろう」とも考えました。
 
数年前、住宅地開発のプロジェクトで、全国の開発住宅地を200箇所ぐらいサーベランスして回りました。
その中で、及第点を付けた“まち”の割合は5%ぐらいしかありませんでした。
サーベランスした住宅地が開発された時期は、1970年代から最近まで様々でした。
当時の販売価格と近年の売買価格も調べました。
当然、どこも年とともに下落していましたが、“まち”によって顕著な差が見られました。
中には、周囲の住宅地と1000万以上の高値で売買が成立している“まち”もありました。
改めて“まちづくり”の一番の難しさが「価値の持続性」にあることを痛感しました。
そして気が付きました。
「良い家」が売れるのではなく、「良い“まち”にある家」が売れているのだということにです。
億円単位の家でも、その“まち”の魅力が下落し、大きく値下がりしている例もありました。
 
しかし、持続性は長い年月を経た後でないと評価できない難しい指標です。
新たに購入するユーザーにとって、30年後の評価など無理に決まっています。
そうした市場の変化を感じたのか、最近の流行り言葉となっているSDGs(持続可能な開発目標)ですが、肝心の一般市民から見たら、まったく理解不能な言葉です。
どうして、専門家は、こうした空虚な言葉ばかりが好きなのでしょうか。
ちなみに、建設関係ではない知人たちに聞いてみましたが、知っている人は皆無でした。
私自身、この言葉を“まちづくり”に当てはめて考えてみましたが、何もイメージが湧いてきません。
それは、この言葉が業界内の言葉で、市場の言葉ではないからです。
 
“まちづくり”の中心にあるのは、人々の暮らしであり、人生です。
それも、住む人だけでなく、訪れる人も含めた人間社会のあり方そのものです。
SDGsという言葉は、本来脇役であるはずのデベロッパーや建設会社、行政寄りの言葉で無味乾燥過ぎるのです。
もっと人間味ある言葉が欲しいのです。
 
というより、こんな言葉遊びではなく、本質の討議をもっと重ねていくべきではないでしょうか。
次回は、そうした話の一端をお話ししましょう。
 
----------------------------------------------------------------------
<編集後記>
3月25日のサッカー韓国代表との国際親善試合は、日本の圧勝に終わりましたが、
うっぷんが収まらない韓国のマスコミやネット市民が過熱し、案の定、常軌を逸した様相を呈しています。
敗北した韓国チームを袋叩きにしただけでなく、「防疫では日本に勝った」などと訳のわからない日本叩きまで始める始末です。
試合後、両国選手や関係者に感染者は出なかったのだから「良かった」と言うだけで良いのにと、呆れるばかりです。
むしろ、試合中、指笛を吹いたり大声で声援したりしていたのは韓国サポーターばかりでしたが、そのことには知らん顔です。
 
親善試合のはずなのに、韓国民の反日感情は煽られ、日本国民は「韓国と付き合うのは諦めよう」という嫌韓論が強くなっただけでした。
 
唯一の救いは、韓国選手の肘打ちで口を負傷した富安選手が冷静なコメントを残し、また同選手のインスタグラムに韓国ユーザーからのものとみられる謝罪投稿が相次いだことです。
こうした気持ちが本物であることを願うのみです。
 
 
----------------------------------------------------------------------
◎[PC]配信中止、変更の手続きはこちら
http://www.halsystem.co.jp/mailmagazine/
このメールは送信専用です。お問い合わせはこちらからお願いします。
http://www.halsystem.co.jp/contact/
 
∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵
【編集・発行】
  株式会社ハルシステム設計
http://www.halsystem.co.jp
 
  〒111-0042 東京都台東区寿4-16-2 イワサワビル
  TEL.03-3843-8705 FAX.03-3843-8740
 
【HAL通信アーカイブス】
http://magazine.halsystem.co.jp
 
【お問合せ・資料請求】
email:halinfo@halsystem.co.jp
tel:03-3843-8705
 
Copyright(c)HAL SYSTEM All Rights Reserved.
∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵