2019年2月28日号(経済、経営)

2019.03.04

HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2019年2月28日号
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発行日:2019年3月2日(土)
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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           2019年2月28日号の目次
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◇借金と少子化
★EV車の時代は、もっと先になる
★中国の景気減速が止まらない(3)
☆企業における社長の力(7)
 
<HAL通信アーカイブス>http://magazine.halsystem.co.jp
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こんにちは、安中眞介です。
今号は経済、経営の話題をお送りします。
 
「大山鳴動してネズミ一匹も出なかった」2回目の米朝会談でした。
一言で言って「拍子抜け」で、「なに、これ?」が率直な感想です。
政治的な解説は、3/15号をお待ち下さい。
経済的には、「何も変わらない」ということです。
 
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┃◇借金と少子化                          ┃
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DIAMOND onlineの記事から。
投資家のジム・ロジャースが「50年後か100年後には日本が消えてしまう」、さらには「2050年の日本は犯罪大国になる」とした予測記事を書いています。
「また、いつもの日本滅亡論か」と思うかもしれませんが、日本好きの彼のことですから、誹謗中傷というより警告だと受け止めるべきでしょう。
 
彼は、その原因を「借金と少子化」だと言っています。
たしかに両方とも大きな問題ではありますが、私は国が滅ぶほどの問題とは思っていません。
もちろん、膨れ上がる国の借金を放置すれば、50年もしないうちに国はデフォルトの危機に陥ります。
ですが、海外に対する債権債務を見ると、日本は大幅な黒字です。
国債のデフォルトで破綻するのは日本の金融機関であり、海外の投資家の損失はわずかです。
そうなったら、政府は金融機関を守るため、一般国民の預貯金の引き出しを凍結するでしょう。
その上で、デノミ(通貨切り下げ)を断行し、国債を1/10あるいは1/100に圧縮してしまうでしょう。
 
上記は、知り合いの財務省OBに聞いた話を少々乱暴に書いたまでです。
つまり、財務省は、そうなった場合のシナリオまで用意しているということです。
終戦直後の日本は、このデノミを行い、戦時国債をすべてチャラにしましたから、出来るはずです。
 
私が言いたいことは、「通貨発行権を持つ国が借金でつぶれることはない」ということです。
同じ理屈で、世界で「ドルの発行権を持つ米国が借金でつぶれることはない」のです。
 
もうひとつの「少子化」ですが、これも国が潰れる理由にはなりません。
たしかに、人口減、それも生産年齢人口の減少は国の衰退を招きます。
しかし、長い道のりを考えれば、どこかで少子化は止まります。
単純な比例計算をすれば、やがて「人口ゼロ」になりますが、そんな事態になるわけはないです。
 
また、国際社会との垣根はどんどん低くなり、人の流動性は上がり続けていくでしょう。
「日本人は外国人アレルギーが強い」と言う人がいますが、そうでしょうか。
肌の色も習慣も違う外国人が隣近所に増えてくれば不安に思うでしょうが、犯罪者でないことがわかれば、基本的に親切心が高い(おせっかいな性格?)の日本人は、受け入れていくでしょう。
 
少し長くなるけど、40年も昔の話をしましょう。
当時、喫茶店を営んでいた母親から私に「HELP!」の電話が入りました。
店に見知らぬ外国人が入ってきて、カウンターに腰掛け、訳の分からない言葉でなにか言っている、助けてくれ、というのです。
「どういうこと?」と聞く間もなく、電話の相手が変わり、男の人の英語が飛び込んできました。
彼は英国の商社マンで、たまたま見かけた母の店に入って注文したのだが・・ということでした。
私が電話で通訳する形で、無事、注文が成立しましたが、しばらくしてまた電話がかかってきました。
彼が「良いお店なので、また来ていいか?」と聞くので「オフコース」と答え、母に伝えました。
母は、「ダメダメ」と言うかと思ったら「英語でなんて言えば良い」と聞くのです。
 
その夜、家で母からその後の様子を聞いたところ、ぜんぜん通じないはずなのに「いろいろ話したよ」と言うのです。
そして、「お店を出ていくとき『ツマロー』と言ったけど、あれはどんな意味だったんだろうね」と聞くので、「たぶん、『tomorrow(明日また来ます)』という意味だと思うよ」と答えました。
そうしたら、「明日も楽しみだね」と言うので、びっくりしました。
当時50歳だった母は、典型的な日本の“おばちゃん”です。
ほとんどの日本人は外国人に親切です。少子化を心配する必要はないと思っています。
 
「犯罪大国になる」話は、次号で。
 
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┃★EV車の時代は、もっと先になる                 ┃
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フランスや英国などが、将来はガソリン車やディーゼル車の販売を禁止すると発表しています。
中国も、そう遠くない時期にガソリン車の販売を禁止するコメントを出したことで、マスコミは一気にEV車の時代が来ると騒いでいます。
でも、早い時期にそうなるとは思えません。
そこには、各国の思惑が交錯しているという“きな臭い”事情と、技術的な壁が大きいからです。
 
フランスは「2040年に内燃機関で走る自動車の販売を終了させる」と大見得を切っていますが、
21年後のことです。
マクロン大統領が若いといっても、そこまで政権の座にいることはないでしょう。
つまり「責任を意識しない」軽い言葉に過ぎません。
 
英国は、そんな宣言をしたことで、ホンダから撤退の意思を告げられ大慌てになっています。
ホンダにしてみたら、かねてからの撤退戦略に格好の理由がつけられ「シメシメ」でしょう。
 
中国に至っては、やがては2000万台と言われる国内市場を抱えながら、欧州や日本に圧倒的に遅れている内燃機関エンジンの自動車では全く太刀打ちできません。
電気自動車なら主導権を採るチャンスがあると考えてのことです。
 
だが、欧州も中国も、技術的目処はまったく立っていないのです。
しかも、もし全自動車が電気になったら、電力が足らなくなります。
それで火力発電所を増やしたら、CO2はむしろ増えるでしょう。
中国は原発を大増設するとしていますが、一気に増える放射性廃棄物をどうするのでしょうか。
(大量の核兵器を作れるとは思いますが・・)
 
そもそも電力不足に悩む発展途上国では、ナンセンスな選択です。
発展途上国には内燃機関の自動車を大量に売りつけ、自分たちはEVだとしたら、エゴそのものです。
 
EVで先行していると言われる米国テスラ社も、赤字体質から抜けられず、先が見えない様子です。
私は、まだまだ先の話と考えていますので、ハイブリット車で満足しています。
 
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┃★中国の景気減速が止まらない(3)                ┃
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昨年の10月のことだが、中国のポータルサイト「網易」に、一瞬だけ興味深い記事が載った。
「2018年上半期で、504万社が倒産し、失業者数が200万人増えた」という内容であった。
だが、数時間後にはこの記事は削除されていた。当局の指示によるものとウワサされている。
 
それでも情報を完全にシャットすることは難しいらしく、米国との争いの渦中にある「華為(ファーウェイ)」やアリババが大幅な人員削減を計画という報道が次から次へと出てくる。
中国政府は、それでも「GDPは堅調に推移」との姿勢を崩していないが、求人数などは20%以上の減を示している。特にIT関連の採用数は50%以上の減という状況らしい。
 
習近平主席は、1期目の経済成長で自信を深めたが、投資と借金(共産国では、どっちも同じとなる)による成長モデルであることから、「新常態」なる新語でビジネスモデルの転換を図ってきた。
その目玉が「海外市場を我が手に」と目論んだ一帯一路なのだが、この成功を過信した地方政府が、さらなる投資アクセルを踏み込んだ。
 
しかし、一帯一路が伸び悩む中、勇み足となった地方政府のインフラ投資は財務体質の悪化を招き、銀行は、企業や地方政府にカネを貸せる状況ではなくなった。
借金返済に窮した企業や個人事業主は、ノンバンク(というより闇金に近い)のシャドーバンクから金を借りる。
そうした債権は、すぐに別のシャドーバンクに転売され、高利回りの「理財商品」に化ける。
損失を抱えた一般投資家は、そうした高利回りをうたう商品に手を出す。
 
共産主義経済は「いざとなったら、お上がなんとかしれくれる」という「暗黙保証経済」である。
一党独裁の「封建政権」がそのバックにある。
幕府が支配した江戸時代の経済を考えれば理解できるであろう、
多くの大名や武士たちは、現代中国と同様の「暗黙保証経済」を信仰したのである。
 
もちろん、中国政府の経済官僚はエリート揃いである。
政府の金融監督の外で膨張したシャドーバンクの金融のバルブを締め、「元本保証慣行」の禁止や簿外債務の財務諸表への取り込みなどの荒療治を施し出した。
一党独裁国家ならではの強引な政策だが、近年、分厚く成長した「ニューエコノミー」と言われる中間層(急増している日本への観光客はこの層である)の下支えもあって、こうした「金融のデレバレッジ」はうまくいくかに見えた。
 
しかし、そこに大誤算が生じた。
トランプ大統領から仕掛けられた米中貿易戦争である。
前述の金融引き締めの荒療治と重なったことで、まったく先が読めない展開となった。
もちろん、トランプ政権は、そこを見越して貿易戦争を仕掛けたのである。
 
このまま行けば、中国経済は日本の二の舞どころではない状態へと沈むであろう。
習近平主席は、米国の軍門に降るしかない状況に追い込まれているのである。
次の手はあるのか?
 
失敗に終わった米朝会談だが、金正恩が習近平主席から言われた「先に非核化を受け入れろ」の忠告を無視した結果という声がある。
だとすると、次の習・金会談が重要となる。
習近平主席は金正恩に対し「オレの忠告を聞かないからだ」と、強く叱責するのではないか。
それに恐れをなした金正恩が「すべての非核化を受け入れる」とでも言えば、中国の存在感は一気に上がり、米中貿易戦争の打開が見えてくる可能性がある。
さあ、どうなるやら。
 
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┃☆企業における社長の力(7)                   ┃
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弊社は、創業時のブルー・オーシャン戦略が功を奏し、建設業のシステム化において独自の市場を確立することが出来ました。
さらに、建設会社時代の経験を武器にした「現場に即したコンサル事業」を立ち上げ、順調に業績を伸ばしていきました。
 
しかし、創業10年を迎える頃から、自分が急峻な山の稜線を歩いているという感覚が鈍くなっていたのです。
いつしか、深い霧に巻かれるか夜の登山のようになっていったのです。
 
新規に起こしたコンサル事業は好調で、システム事業にも好影響を与えていました。
しかし、自分の手が回らなくなり、増えてきた社員のことも意識の外になっていきました。
 
創業者に共通に見られる傾向ですが、新規の事業への関心が高くなる反面、既存事業への関心は低くなっていきます。
私も同様でした。
「それではいかん」と思いつつも、既存事業は幹部にお任せ状態になっていきました。
当然、既存事業の収益は落ちていき、ついには赤字状態に転落するという事態になりました。
経営者として座視するわけにはいかない事態ですが、私は、経営の山の稜線から足を踏み外しました。
 
好調だった新規事業の利益を既存事業の赤字の穴埋めに使うという愚策を行ってしまったのです。
そこにあったのは、そうして支えているうちに幹部たちが奮起して盛り返してくれるだろうという「根拠のない」期待でした。
 
他社のコンサルをしていた自分が、自社のコンサルなら、どう言ったか。
それは明白でした。
「既存事業を縮小し、幹部たちの首を切るか幹部の体制を一新せよ」です。
しかし、私はそうした「自分の声」に逆らってしまい、淡い期待にすがりました。
 
結果は、もちろん明白です。
3年間、既存事業の赤字を補填しましたが、事態は悪化する一方。
ついに補填も底をつき、会社全体が大赤字に転落し、倒産の危機に直面しました。
まさに稜線から転落し、奈落の谷底へと落ちていったのです。
 
続きは次回に。
 
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<編集後記>
みなさんも同様かと思いますが、私のパソコンには“しょうもない”メール(いかがわしい内容や儲け話)が入ってきます。
応募もしていないのに、「30万円のプレゼントに当選しました」などのメールは、話題の社長の「1億円お年玉」にヒントを得た詐欺メールでしょうね。
あの社長の企画は、自分の宣伝かもしれませんが、社会的には悪意を呼び込みます。
悪口は言いたくありませんが、そうした影響を考えれば「良い会社」とは思えません。
違法スレスレで儲ける方法はいろいろ考えつきますが、どれも長くは続かない方法です。
若い頃は、「太く短く」生きる人生を標榜してきましたが、企業の生き様を考えると「細くとも長く」、そして、100年も200年も続く経営を標榜するようになりました。
 
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