2019年1月15日号(国際、政治)

2019.01.16

HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2019年1月15日号
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発行日:2019年1月15日(火)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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           2019年1月15日号の目次
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★正か邪か
◇ファイブアイズ
◇日本流の中国との付き合い方を(その3)
◇純粋な軍事の話(3)
 
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こんにちは、安中眞介です。
今号は国際問題、政治問題をお送りします。
 
呆れるほど上から目線の韓国・文大統領の記者会見。
その言葉からも表情からも、関係改善に対する意欲は微塵も感じることが出来ませんでした。
日韓関係は修復不能なレベルにまで落ち込んだといえます。
安倍首相が本当に外交上手かどうか、そのお手並みを拝見するとしましょう。
 
新年最初のメルマガですが、暗い話題ばかりになりました。
 
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┃★正か邪か                           ┃
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何事にも「正か邪か」を断定したがるのが韓国民の心情です。
それも、対日本となると、必ず韓国が正で、日本は邪となります。
どの国の国民にもこうした傾向はありますが、韓国民の心情は異常とも思える強さです。
今回のレーダー照射問題でも“やはり”韓国流の幼稚な正邪論を振りかざし、あろうことか、日本に「謝れ」ですから、文字通り「開いた口がふさがらない」状況です。
 
若いときから韓国とのビジネスに携わってきましたが、韓国との商売では、この正邪論に悩まされ続けてきました。
うまくいっている時は良いのですが、ひとたび問題が起きると、この「自分は正義、そっちは邪悪」で強弁してくるのです。
とうとう、数年前、韓国とは一切の関係を絶つことにしました。
 
ある取引で、韓国側の契約違反が発覚した時のことです。
明確な契約違反の証拠を突きつけて説明を求めたのですが、自らの非を認めず、ウソの上塗りの言い逃れに終始した挙句、「そっちが悪い」と言い出す始末でした。
今回のレーダー照射事件とまったく同じ構図です。
呆れ果てた我々は、今後、韓国とは一切かかわらないことを決定するしかありませんでした。
 
このような韓国民の心情は、中露日米という大国に囲まれ、どこにも歯が立たないという“みじめさ”と相反する自意識の高さから生まれています。
こうしたジレンマの中で心理的な突破口を作ろうと思えば、日本を貶めることしかないわけです。
しかし、日本との力の差はいかんともし難く、併合された歴史が惨めさを倍増させています。
その打破を狙い、文大統領がたどり着いた結論は、核を持つ北朝鮮との統一です。
強い“正義”の統一朝鮮ができれば“邪”の日本を凌駕できると、本気で考えているのです。
 
韓国と取引している企業は、こうした正邪論に凝り固まっている韓国民の心情を甘くみないほうが良いと思います。
我々は甘く見ていたわけではありませんが、ビジネスの結果は悪いほうにしか出ませんでした。
徴用工問題で賠償を命じられた新日鉄は、韓国の鉄鋼事業に多大な貢献をした恩人企業です。
しかし、その恩に応えるどころか、真逆の仕打ちです。
日本企業は、この二の舞を避ける方向に舵を切ったほうが良いようです。
 
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┃◇ファイブアイズ                        ┃
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ファーウェイの副社長逮捕の報道の中で出てきた「ファイブアイズ」と言う言葉、今回初めて聞いた方も多いと思います。
これは、米国のNSA(国家安全保障局)が構築しているネットワーク名のことです。
このネットワークは、加盟国が通信上の情報に関して相互に連携して情報を一元化しようということで構築されました。
現在、アメリカ・カナダ・イギリス・ニュージーランド・オーストラリアの5ヶ国が加盟しているので、この呼び名があります。
アメリカ以外の4カ国は英連邦諸国ですから、強固な米英同盟といってよいでしょう。
つまり、この問題は「ファイブアイズVS中国」という構図なのです。
 
中国にしてみたら言い分があります。
「米国だってGoogleやYahoo!等を使って、勝手に情報を取るシステムを構築しているではないか。
わが国はそれを防ぐために中国独自で米国と同じような仕組みを作っただけだ。それなのに、なぜ中国だけがやり玉に挙げられるのか」
この言い分は、まったくその通りです。
米国NSAは、スーパーエシュロン(Super Echelon)と呼ばれるシステムを使って世界中の情報を吸い上げています。
我々が日常使っているパソコンやスマホはもちろん、音声電話、ETC、ネット通販情報等の全てがNSAには筒抜けになっているというわけです。
だから、中国の言い分にも一理あるわけです。
 
今回の一件は、米国も中国も引くに引けない状況であるのが表面化しただけのことです。
結局、どこに落としどころを作るかですが、現状は出口が無い状況です。
 
この図式は、戦前の世界と似たような構図です。
欧州列強が世界中で植民地を支配している状況の中で、新興の日本やドイツが植民地を持つことを列強は妨害しました。
これに対し、両国が怒って戦争になった構図と、そっくりというわけです。
当時の列強に代わり「ファイブアイズ」が新興の大国・中国と対立しているわけです。
 
日本を含めた周りの国は、どっちに付くかしかないわけです。
今回、EU各国や日本がファーウェイ排除に動いたということは、情報を取られるなら、米国のほうが“まだマシ”と判断したからです。
ということで、この第一ラウンドは米国の勝ちということでしょう。
さて、第二ラウンドで中国がどのような対抗策を打ち出すかが注目ですが、いまの中国には有効な手は無いようです。
 
現状は、ネット空間におけるCold War(冷戦)といってよい状況です。
かつての米ソによる冷戦は、Hot War(実際の戦争)になる瀬戸際まで行きました。
両国に核兵器がなかったら、間違いなく闘いの火蓋が切られていたと言われています。
米国の主要な相手がソ連から中国に変わっているわけですが、ロシアの軍事力も高いままです。
こうした「三すくみ」の中で、米国もおいそれとは実際の戦争に踏み切れません。
日本は「ファイブアイズプラスワン」として何とかそこに加わろうと水面下で画策しているといわれています。
それが良いか悪いか、判断が難しいところです。
 
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┃◇日本流の中国との付き合い方を(その3)            ┃
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ファーウェイは、カナダで逮捕された副会長の父親の任正非(レン・ツェンフェイ)CEO(最高経営責任者)が1987年に創業した会社である。
任正非氏は、わずか30年で社員数18万人の巨大企業を築き上げたわけだが、西側諸国の成功者たちと同列に見るわけにはいかない。
任氏が人民解放軍の出身ということは広く知られているが、今も軍との関係は密接である。
つまり、中国政府の影の企業といってよい存在である。
習近平主席が進めている、世界一の製造強国を目指す産業政策「中国製造2025」の核心企業のひとつということからも分かるであろう。
 
近年の中国軍の近代化は日本や欧米では考えられない速さで進行している。
中国が2040年に米国を追い落とすと豪語するのも本当に実現しそうな勢いである。
「中国製造2025」と中国軍の近代化が一体のものであり、欧米や日本の先端技術の盗用がそこで行われているとしたら、それも当然の話である。
 
ゆえに、トランプ政権が「ファーウェイつぶし」を本格化させ、欧米や日本が追随に動けば、「中国製造2025」の実現は難しくなる。
中国共産党の機関紙である人民日報系の環球時報は、英語版の社説で以下のような猛反発を示した。
「米国は(次世代通信規格)5Gでのファーウェイの前進を阻止できないため、卑劣な手段に訴えている」。
社説の中身を読むと、中国が相当に焦っていることがよく分かる。
政権内部には「中国製造2025の宣言は早すぎた」とする声も強くなっていると聞く。
「高くなりすぎた鼻は折れる」は時代を超えた教訓である。
 
トランプ大統領自身は、対中巨額赤字の削減や大型商談などによる目先の株価浮揚や支持率向上ばかりに関心がいっているが、国防総省や商務省の考えは違う。
トランプ大統領とは比べ物にならないくらいの危機感を持って、ハイテク分野で米国を猛追する中国を徹底的に封印する動きを先鋭化させている。
米国の戦略国際問題研究所の研究者は「ハイテク覇権争いに『一時休戦』はない」と言い切っている。
この問題が単なる貿易戦争では終わらないことを示す言葉である。
 
では、こうした中国と日本はどう付き合っていくべきか。
次号では、中国の内部での動きと日本との関係について述べたいと思う。
 
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┃◇純粋な軍事の話(3)                     ┃
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日本のヘリコプター空母「いずも」にF-35Bを搭載して本格的な空母にするという案が、策定中の防衛大綱骨子に盛り込まれることになった。
当然のように、中国や韓国が反発し、日本でも「憲法違反」という声があがっている。
本章は「純粋な軍事の話」なので、こうした政治や憲法のことは横に置き、純粋に軍事的な側面から解説を書いている。
そのことを念頭にお読みください。
 
日本が保有するヘリコプター空母「いずも」と「かが」の2艦に搭載できるF-35Bは、合わせて24~28機と言われている。
しかし、ヘリを積まなければ、40機程度は搭載できるかもしれない。
この数は、結構あなどれない戦力となる。
日本の場合、F-35Bを積んで遠洋に出ることはなく、日本近海での活動に限定される。
しかし逆に、地上基地との連携が密になるという利点が生まれ、防衛能力は格段に向上する。
 
戦闘機を積んだ空母は、もはや憲法の範囲である「防衛的兵器」とはいえず「攻撃的兵器」だという反対意見があるが、軍事的にはまったく意味を為さない意見である。
日本が国境付近にある島々のすべてに自衛隊を駐屯させることはできない中で、自由に移動できる航空基地としての空母保有は、理にかなった防衛策といえる。
そう解釈すれば「防衛的兵器」となるが、敵対する国の領海に近づき、そこから攻撃機を発進させれば、「攻撃的兵器」となる。
ゆえに、このようなナンセンスな議論は止めるべきだと言いたい。
 
話を元に戻す。
空母は、単独では防御能力が弱く、使い物にならない。
米国の巨大空母とて、同じである。
ゆえに、米国のように、護衛艦を周りに配置する「空母打撃群」を構成する必要がある。
イージス艦は、もともと、こうした空母の護衛用として設計されたものである。
最新鋭のイージス艦は、一艦で同時に100の目標を撃破できるというが、まさに空母を守るために必要な能力といえよう。
 
中国の空母も、同様な護衛艦に守られているが、中国版イージス艦の能力は推測の域を出ない。
従って、日中の空母艦隊が戦う場面になったときの優劣は、正直言って分からない。
ただ、中国は空母建造を急ピッチで進めていて、短期間で5艦体制になると言われている。
イージス艦の性能以前に、それは十分な脅威といえる。
 
世界は、戦前の日本が、世界に先駆けて空母艦隊を運用し、米国に並ぶ戦闘能力を保持していたことを知っている。
ゆえに、いずれ、6万トン級の本格空母を建造するであろうとの予測は多い。
当然、中国は反発を強めるであろうが、米国は支持するであろう。
欧州各国は、警戒心のほうが強かったが、ここに来て英国が艦艇を南シナ海に送り、フランスが北朝鮮の瀬取り監視で日本海に艦艇を送ることを発表した。
両国とも、補給基地としての日本に期待し、海自との共同訓練まで希望している。
日本の空母保有に関して反対する理由はないであろう。
 
ただし、空母艦隊の保有と運用は、人員面および予算面において負担が大きくなる。
政府は、そのことを含めて国民に丁寧な説明が必要である。
モリカケ問題のお粗末な対応を繰り返してはならない。
 
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<編集後記>
ロシアがあの手この手で日本を揺さぶってきています。
いつものことですが、効を焦った安倍首相が、選挙目当てに平和条約を結ぶことが危惧されます。
国際社会に「ロシアによる不法占拠」を訴え続けていく粘り強い戦略が必要です。
 
20歳の時、知床半島の最高峰・羅臼岳の山頂から見た風景が忘れられません。
眼下に、国後島が手を伸ばせば届くように、大きく広がっていました。
「この島は日本の島だ」と、心に強く感じたことが思い出されます。
 
占領されて73年、ならば、この先100年でも200年でも、粘り強く言い続けるべきだと
思います。
 
 
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