2018年9月15日号(国際、政治)
2018.09.18
HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2018年9月15日号
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発行日:2018年9月15日(土)
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2018年9月15日号の目次
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◇自民党総裁選に思うこと
◇憲法9条が俎上に載る?
◇中国の政権内部で起きていること
◇核兵器という兵器の持つ意味
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こんにちは、安中眞介です。
今号は国際問題、政治問題をお送りします。
ロシアのプーチン大統領、さすがはKGB(ソ連国家保安委員会、ロシア語で「カーゲーベー」)出身と言うしかありません。
「今年中に前提条件無しの平和条約を」と、いきなり安倍首相に吹っかけてきました。
同席していた中国の習近平主席を意識しての発言です。
日露の接近を中国がいやがることを承知の上というのがミソです。
さて、安倍首相、どう切り替えしますか?
それでは、今号は国内政治の話題から入るとしましょう。
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┃◇自民党総裁選に思うこと ┃
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国民がまったく関心を寄せない今回の自民党総裁選、報道も低調。
余裕しゃくしゃくの安倍首相は、選挙戦のさなかだというのにロシアの会議に出席。
石破氏は地方行脚で活路を見出そうとしているが、独り相撲の感は否めない。
石破氏は、今でこそ20人程度の派閥を持っているが、そもそも一匹狼で政界を生き抜いてきた政治家である。
ならば、「なぜ、孤高の政治家に徹しないのか」と言いたい。
20人の小派閥を持ったところで勝ち目が無いことくらい分かるだろう。
無手勝流で捨て身の勝負を賭けるという気概を持てなかったところで勝負はあった。
同じような一匹狼の政治家に小泉元首相がいるが、風貌も性格も真反対である。
石破氏は真面目で正直な性格である。
それに対し、小泉氏は不真面目で「ウソも方便」と言い切れる性格である。
安倍首相は、小泉氏とは違うが「ウソも方便」の政治家である。
でも、それが政治家として成功する要素なのである。
こんなことは、400年も昔にイタリアのマキャベリが説いている。
石破氏は、分かっていないのか、分かっていてもできないのか。
いずれにしても、それでは首相にはなれない。
大昔から日本人は、ものごとを大きく捉え、大きく構想を考えることが苦手である。
ゆえに、一般大衆はこう考えてきた。
「そういうことは偉い人が考えればエエ。オラたちは、それに従って飯が食えればそれでエエ」。
かくして、ただの一度も市民革命が起きなかった国なのである。
一方で、イベントが大好きな国民である。
各地で、これほど祭りが根付いている国があるだろうか。
祇園祭や三社、山笠、どんたく、ねぷた・・と、有名な祭りだけでも幾つも挙げられる。
小さな村々で古くから伝わる祭りがいくつあるか、気が遠くなる数であろう。
そこを巧みに突いたのが小泉氏であった。
「自民党をぶっ壊す!」と雄たけびを上げ、「郵政改革」というお祭りを仕掛けて、まんまと総裁の座を獲得してしまった。
国民は、小泉氏の政治信条に共感したわけではなく、仕掛けられた祭りを楽しんだだけなのである。
歴史を顧みれば分かるように、戦国の織田信長や明治維新の西郷隆盛等に共通する要素である。
真面目な石破氏に、それを期待するのは無理であろう。
断言できるが、彼はトップには向かない政治家である。
むしろ、NO.2やNO.3に徹してこそ才能が生きる人物である。
そう言ってくれる「師と仰ぐ人」を持たなかったのであろうか。
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┃◇憲法9条が俎上に載る? ┃
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安倍首相は、来年の参院選前に自民党として憲法改正案を国会に上程すると明言しています。
当然、野党は改正案の上程そのものに反対し、護憲勢力も街頭で上程反対を叫ぶであろうと思われます。
憲法改正に反対するのは当然の権利ですが、しかし、改正案の上程にまで反対するというのは、議会制民主主義の否定になるのではないでしょうか。
それこそ、野党が批判する「議会軽視」を自らが行うことになってしまいます。
ここで、憲法9条のことを、世界を俯瞰して考えてみたいと思います。
左派勢力は「憲法9条を持って戦争をしない国であること“だけで”世界平和に貢献している」と主張しています。
その根底にあるのは、「日本は第2次世界大戦を起こした犯罪国家であり、その前科を負っている。だから、とにかくおとなしくして、過去の罪を償うことに徹するべき」という意見です。
「ゆえに、9条を外すことを世界は納得しない」と続くのでしょう。
たしかに、中国や韓国は、似たような意見を言い、日本を終身刑の牢獄につないで置くつもりです。
しかし、両国の意見は、国際世論の多数意見ではありません。
また、中韓両国とも、日本のことに関して“自由に意見が言えない”国家です。
こうした狭い意見に囚われることなく、広く国際世論を知ることが大事なのではないでしょうか。
冷静に考えれば分かることですが、憲法9条を外したからといって、今の日本が好戦的な国家に変貌するでしょうか。
韓国は「日本は、竹島を武力で奪い返しに来る」と世論を煽り、防衛訓練を繰り返していますが、
そんなことを考えている日本人は、ほぼ皆無でしょう。
いや、竹島そのものへの関心がほとんど無いと言ったほうが正解でしょう。
そんな今の日本を信じず、「憲法9条が無いと日本はまた戦争を起こす」と、当の日本人が言うのは悲しいことです。
憲法9条は「戦力の不保持」を明記しています。
よって、世界でも有数の軍事力を有する自衛隊が違憲であることは、法学上の当然の解釈です。
たしかに9条を消すことで、国際社会は「日本が他国を攻撃できるようになった」と解釈する可能性があります。
だから、安倍首相は9条を残しつつ、自衛隊の存在も認める改正案を出そうとしているのです。
それは現実的な妥協案と言えますが、「戦力は持たないが、自衛隊は持つ」という矛盾を固定化してしまう恐れがあり、あまり良い案とはいえません。
どうせ、改正案を出すのであれば、9条の全文を書き換えて欲しいと思います。
「国際紛争の解決手段としては使わないが、自国防衛に徹する戦力は保持する」とです。
そして、内外の世論における議論を活発化させて欲しいものです。
まずは、国民の間で賛成・反対の自由な論戦が展開するよう、その起爆剤として、国会での議論を活発化させることを期待します。
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┃◇中国の政権内部で起きていること ┃
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安倍首相と中国の習近平主席が、ロシアで「日中関係は正常な軌道に乗った」と発言した。
そして、安倍首相が10月に訪中し、8回目の会談を行う予定で調整中とのことである。
もちろん、そんな言葉を信じる人はだれ一人もいない。
トランプ政権が仕掛けた貿易戦争は、中国の予想をはるかに超えた効果を及ぼしつつある。
中国に展開しているスターバックスやマクドナルドの価格は日本の価格を超えたと聞く。
賃金レベルが日本の半分くらいであるから、庶民にはきつい上昇で、中国経済がスタブレーションに陥りつつあるのは確かなようである。
つまり、景気下降面での物価上昇である。
最近の中国関連の話題で興味を引いたのは、「?多多(ピンドゥオドゥオ)」というネット通販の爆発的な人気上昇である。
中国のネット通販というと「アリババ」が有名だが、こちらは正規の商品を扱っている。
それに対し「?多多」は「パクリ商品のアリババ」というニックネームが付いているように、偽ブランド品だらけなのである。電化製品のサイトを見ると「SOMY」「立日」「SHAASUING(サムソンもどき)」などがずらりと出てくる。
もちろん、超格安な価格である。
購買者は、偽モノと承知して購入するから、クレームは無いという。
2015年創業というが、わずか2年半でユーザー数は3億人を突破した。
中国の一般大衆が、急速に生活防衛に傾いてきている現れであろう。
政治問題に話を戻す。
8月の北戴河会議は、当然、トランプ政権から仕掛けられた貿易戦争が主要議題になり、かなり激しい論戦が行われたと聞く。
しぶしぶ長老たちの意見を入れた習近平主席は、表向きは米国に対して一歩も引かないという姿勢を見せつつ、日本と米国の離反を誘導する「離間の計」を仕掛けてきたのである。
尖閣問題などを、いったん棚上げし、外交的な「雪解け戦略」で日本を篭絡しようという作戦である。
こんな見え見えの戦略に乗るほど日本政府が愚かだと思いたくはないが、中国の打つ手は巧妙さを増してくるであろう。
その一方で、日本に対する軍事的圧力は強める一方なので、こちらが習政権の本音であるとの認識を国民は持たねばならない。
懸念されるのは、習政権が八方塞りに陥ったとき、台湾侵攻という手に出るかもしれないことである。
トランプ政権もそのことは十分に念頭に置いていて、西太平洋における軍事力強化を進めているが、最大の危険要素はトランプ大統領その人である。
ツイッターで「台湾を国家として承認する用意がある」などとつぶやくかもしれない。
こうなると習政権としては引くに引けなくなり、一気に東シナ海波高しとなる。
まだ微動とはいえ、中国が揺らぎ出していることは確かである。
日本政府には、徹底的な冷静かつ論理的な外交を期待する。
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┃◇核兵器という兵器の持つ意味 ┃
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2回目の米朝会談の話が浮上しているが、1回目と比べて世界の関心は大きく落ちている。
はたして、“誰も何も期待していない”「意味の薄い」会談に対して、トランプ大統領は本気になっているのであろうか。
金正恩が何度「非核化」と言おうが、本気度が微塵もないことくらい、世界はお見通しである。
トランプ大統領も金正恩の言葉を信じてはいないであろう。
彼は、中間選挙まで「米朝会談を実現した大統領」という称号を保持していたいだけなのである。
中間選挙が終わったら、「や~めた」と言うのではなかろうか。
金正恩は、自らの核兵器が米国からの攻撃を防いでいると固く信じている。
それは、半分以上ほんとうである。
通常兵器で米国に脅しをかけることはまったく不可能だが、たった一発の核兵器で脅しをかけられるのである。
貧乏な国の病的な独裁者にとって、これほど魅力的な兵器はない。
このことは、なにも北朝鮮に限ったことではない。
2018年現在、原発保有国は31カ国に上るが、核兵器非保有国でも、これらの国はその気になれば核兵器保有国になれるであろう。
皮肉なことだが、広島・長崎の悲劇は核兵器の恐ろしさを人類に示す一方で、最大の効果を生む兵器であることも示した。
原発保有国のリストを見ると、旧東欧圏が多く、またスエーデンやスイスといった永世中立国が含まれている。
もうお分かりのように、これらの国は、旧ソ連から続くロシアからの攻撃を極度に警戒している。
しかし、通常兵器での圧倒的な差は埋めようがなく、侵略されればお手上げである。
だから、「きな臭くなったら核武装を」と原発を稼動しているのである。
そのように、北朝鮮の予備軍ともいえる国家がたくさんあるのである。
実は、核兵器という兵器は原理的には単純な兵器であり、材料さえ手に入れば、一定の技術水準を有する国なら、どこでも作れる代物である。
北朝鮮は、世界でも有数の天然ウランの産出国である。
材料はいくらでも手に入るので、比較的容易に開発に成功したのである。
多くの原発が止まっているとはいえ、日本は世界第3位の原発大国である。
いま世界は、福島原発事故の収束に取り組む日本に多大な関心を寄せている。
何十年かかろうと、福島原発の廃炉作業を成し遂げた日本は、世界一の核技術を有することになるからである。
可能性が高いとは言えないが、廃炉の過程で核汚染の無害化につながる技術を見つけるかもしれない。
世界第2位の原発大国のフランスが、さかんに「廃炉作業への協力を」と言ってきているが、善意ではなく、この技術がのどから手が出るほど欲しいからである。
日本が福島原発事故を克服する技術を確立したとき、良い方向にも悪い方向にも世界は変わるであろう。
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<編集後記>
立憲民主党の枝野代表が、2年前、民主党候補指名をクリントン氏と争ったサンダース上院議員と会談したことが小さなニュースとして伝えられました。
枝野代表は「世界的に民主主義が危機にあり、民主主義の回復が重要との認識で一致した」と語ったが、自分にとって不利な状況になると「民主主義の危機」とのステレオタイプの発言を繰り返す姿勢にうんざりです。
枝野氏の発言は、「悪いのは選挙民」だと言っているに等しく、とても同意できません。
内紛に明け暮れ、選挙民を失望させ、自民党に投票するか棄権するしかなかったところに追い込んだ自分たちに責任は無いのか、と言いたいです。
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