2019年4月30日号(経済、経営)

2019.05.06

HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2019年4月30日号
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発行日:2019年4月30日(火)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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           2019年4月30日号の目次
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★人とシステムの衝突
◇温暖化の一つの側面
◇SNS関連企業の狙い
◇軍事の経済性
 
<HAL通信アーカイブス>http://magazine.halsystem.co.jp
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こんにちは、安中眞介です。
今号は、経済、経営の話題をお送りします。
 
平成から令和に代わるといっても、経済の実態は何も変わりません。
それでも景気にプラスになると思いたいのが人間心理というものでしょうか。
その心理が消費を喚起するのであれば結構なことですが・・
5月1日からの景気の動向を見ていきます。
 
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┃★人とシステムの衝突                       ┃
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4月11日にハイテクの塊ともいえる戦闘機のF-35Aが墜落してから3週間近く経ちます。
捜索が続いていますが、機体が回収されないと事故の原因究明は難しいと思われます。
また、最新鋭の旅客機であるボーイング737MAXが相次いで墜落し、数百人の乗客が犠牲になりました。
この旅客機もハイテクの塊と言われています。
両者に直接の関係はありませんが、ハイテク化が急速に進むことで危惧していることがあります。
それは、システムと人間の衝突です。
 
ボーイングのほうは、原因究明がある程度進んでいて、パイロットの操縦を支援する「MCAS」というシステムの不具合だとする説が有力になっています。
このシステムのソフトウェアに不具合があって、自動で誤った操作をした可能性があるとのことです。
おそらくパイロットは、この異常にすぐに気付いて反対の操作をしようとしたが、システムが従わず墜落したのではと言われています。
 
まったくの推測ですが、F-35Aにも同様のことが起こったのではないかと思います。
つまり、「人間とシステムの衝突」です。
これは、システムが高度化するにつれて、必然的に起こるパラドックスです。
このパラドックスを回避するため、人間とシステムのどちらに優先権を与えるのかが大きな課題となります。
墜落したこれらのハイテク機は、あまりにも高度化が進み、人間よりシステムに優先権を与えているのではないかということが疑われます。
その結果、人間であるパイロットの必死の操作をシステムが妨害したのではないかということです。
 
「それなら、人間に優先権を与えれば良いではないか」という意見が当然出てきます。
しかし、それも問題なのです。
米国スリーマイル島原発の事故が、その危険性を証明しています。
原子炉に不具合が発生した時、非常用停止装置はすべて正常に「自動」で作動し、冷却水が原子炉に注入されました。
そのままにしておけば、事故は起きずに原子炉は停止したはずです。
しかし、非常用停止装置の作動に慣れていない運転員が不安を覚え、手動で装置を停止させてしまったのです。
その結果、冷却水の注入が止まり事故に至ってしまいました。
つまり、人間を優先させた結果が事故につながったのです。
 
公式発表されていませんが、私は福島第一原発の事故も同様のことが原因だったのではと思っています。
地震と津波で全電源が喪失したことが主因ですが、そうした事態は想定されていました。
電源がなくても動く非常用停止装置が装備されていて、装置は正常に起動しました。
しかし、大量の冷却水が熱い原子炉に注ぎ込まれるわけですから、原子炉内部の水は激しく反応し、その振動と轟音が運転室に伝わってきたはずです。
非常訓練をしていない運転員たちは、そのストレスに耐え切れず装置を停止してしまったのです。
その後、装置を起動したり停止したりを繰り返したそうですが、やがて起動しなくなってしまったのです。
それはそうです。
燃料棒の被覆であるジルコニウムが溶け出して水素を発生させたことで、原子炉内部にガスが溜まり、そのガスの圧力で冷却水が入らなくなったのです。
慌てて、水素ガスを逃がすベントを開けたのですが、外部へのベントではなく、原子炉建屋内へのベントを開けてしまったのです。
そして、密閉された建屋内に溜まった水素は、当たり前のごとく爆発しました。
つまり、日米の両原発の事故は、システムより人間を優先させたことで起きたのです。
 
車の自動運転が実用化に向かって加速しています。
私の乗っている車も自動化が進んでいますが、逆に妙な不安感が大きくなっていることを感じます。
今のところは、人間優先で設計されているので使っていますが、反対になったら、乗れないですね。
人間とシステムの優先権というパラドックスを、この先、どう解決しようというのでしょうか。
 
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┃◇温暖化の一つの側面                       ┃
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読者のみなさんは、グレタ・トゥーンベリという女の子を知っていますか。
ネットで検索すればすぐに表示されます。
彼女は、スウェーデン人の9年生(日本の中学3年)で16才です。
ネットでは「地球温暖化と気候変動の阻止を求めるスウェーデン人活動家」と表示されます。
画像では、おさげ髪で、北欧人にしては子供っぽい、言い方は悪いですが「垢抜けていない子」という印象です。
しかし、動画では、まったくの無表情で「過激な内容のスピーチ」を淡々と述べています。
ちょっと不気味な印象すら覚えました。
 
彼女が有名になったのは、2018年に、米「Time」誌が「世界で一番影響力の強いティーンエイジャー25人」のリストにグレタを加えたからです。
さらに、今年の3月30日に、ドイツの『ゴールデンカメラ賞』の特別賞を受賞し、ベルリンに集合したスターたちや来賓から満場の喝采を受けたというのです。
この賞は、本来なら優秀な映画やテレビ作品、あるいは、映画やテレビで活躍した人に与えられる賞なので、異例中の異例でした。
 
彼女が、これほどまでに有名になったのは、2018年の8月から、毎週金曜日に学校へ行かずに町で「惑星を救うため」の抗議デモをしているからということです。
いつの間にか、彼女に呼応する子どもたちが増えて、その運動に“Fridays for future”という名前まで付きました。
それが、ドイツに飛び火し、ドイツの子供たちもそれに加わり、今では数万人の規模にまで膨らんでいるといいます。
 
彼らは、「惑星(地球という言い方ではなく、こう呼びます)」の危機的状態を世の人々に知らしめ、責任者である大人たちに早急に温暖化対策を実行させることだと主張していて、例えばCO2排出の元凶である「石炭火力発電所の即時停止」などを叫んでいます。
 
彼らの主張を聞いてみると、将来を徹底的に悲観的に捉えています。
それも極端な表現でです。
例えば、「自分たちに残された時間はあと10年」とか「21世紀のうちに、南の島や沿岸の都市は海面上昇により消えてしまう」とかの終末論のようなことを言っています。
 
今や小学生までもこの運動に参加していますが、彼らの動機には疑問があります。
要するに、毎週金曜日に学校をサボっているのです。
それを、大人たちが称賛していることに「しめしめ」となっているのではないかと思うのです。
 
あるレポーターが「学校をサボっているのではないか?」と訊いたところ、「数学よりもこっちの方が大切だ。勉強しても地球がなくなっていたらどうしようもないじゃないか」と言い切る子までいたとか。
こうした子どもたちを助長している欧州社会のほうが病んでいると思います。
日本には「欧州は良い国々」とする風潮が強いですが、私はそうは思いません。
「欧州は病んでいる」としか思えないのです。
 
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┃◇SNS関連企業の狙い                      ┃
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ネットでは、ヤフーやグーグルといった検索エンジンにとどまらず、ツイッターやラインといったSNSが全世界的に広がっています。
しかし、その大半は無料です。
となると、どこで稼いているのかが気になるところです。
昔から「タダより怖いものは無い」と言いますが、使っているみなさんは怖くは無いのでしょうか。
私は、相当に警戒しながら使っています。
防衛策の第一は「見るだけ」に徹していて、反応するのはごく一部にとどめています。
「怖がりすぎだよ」って言われそうですが、仕掛ける側のネット関連企業の狙いを考えると慎重にならざるを得ません。
 
今のところ、彼らの収益源の多くは「広告収入」です。
昔から、私はそうしたビジネスモデルを「野立て広告」と言って揶揄してきました。
つまり、列車の車窓から延々と見える看板広告と同じで、「古~い」ビジネスモデルだと言いたかったのです。
いまや、どの検索エンジンでも、うるさいくらい広告が派手になっています。
また誘導広告も増えていますが、思わずクリックする人が多いのでしょうね。
最近では動画が増えて、煩わしさが増しています。
もっとも、楽しんで見ている方もいらっしゃるので、一概に「悪い」というわけではありませんが。
 
それに加えてネット・オークションも収益源の一つになってきているようです。
ですが、やっている人たちに聞くと「掘り出し物」に当たる期待が大きいようで、実際は「がっかり」が多いと言っていますが・・
 
そうした中、徐々に彼らSNS企業の真の狙いが見えてきました。
それは、ずばり「決済ビジネスを手中に収める」ことではないでしょうか。
ネット時代を迎えても、企業間の決済は金融機関経由が大半です。
ネット決済は「まだ信用できるレベルにない」と多くの企業が認識しています。
時々発生する、ネット企業からの情報流出が、そうした警戒感を煽っていることもあります。
日本の金融機関の決済手数料は、欧米と比べても割高で、企業サイドの不満は大きいです。
そうしたこともあって、ネット決済が進んでいくことは間違いないでしょう。
ですが、ツイッターやラインなどが、企業決済の主流になるとはとても思えません。
彼らがどうやって、企業が信用できる高いレベルの信用を勝ち得るのか。
その姿は、まだまったく見えていません。
 
個人消費でも、日本は現金決済が主流です。
中国や韓国では、大半の決済がキャッシュレスになっていますが、日本での進展は限定的です。
こうした国民性も、ネット企業にとっては、やっかいな障壁なのでしょう。
 
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┃◇軍事の経済性                          ┃
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毎月1日に配信している「国際・政治編」では「純粋な軍事の話」を連載していますが、今号では経済の側面から軍事を論じてみようと思います。
 
国家の力、つまり「国力」は、軍事力と経済力に他なりません。
その軍事力にしても経済力がなければ維持することができません。
結局、「国力=経済力」に帰結するわけです。
もちろん「国民が平和に暮らす」ことも国力ですが、それとて経済力がなければ不可能なことです。
 
260年間の太平の世から激動の幕末を迎えた日本は、当時の軍事レベルからいえば弱小国でした。
当然、欧米列強は日本を手中に収めるべく様々な圧力を掛けてきました。
それを跳ね返すべく、徳川幕府や有力大名たちは軍隊の近代化に取り組み、短期間で相当な軍事力を整備していきました。
それが可能であったのは、徳川時代に大きく発達した経済力があったからです。
そして、たいした戦争もなく幕府から明治新政府へと移行できたことは幸いでした。
大きな戦争は、経済力を大きく損ないます。
しかし、幕末の戦闘は、近代の視点で見れば小規模な戦闘ばかりでした。
会津戦争や西南戦争などは、ドラマで大げさに表現されますが、たいした戦闘ではありませんでした。
 
たしかに、明治新政府自体は貧乏でしたが、民間の経済力はほぼ無傷で、その経済力をバックに日本は軍事大国へと上り詰めました。
ただ、そこに落とし穴がありました。
軍事力は目に見えることが大きい力ですが、経済力は見えにくい力です。
その結果、経済力を無視した軍事増強に走り勝ちになります。
日本が国力を結集して建造した戦艦「大和」の建造費は、当時の価格で約1億6300万円と言われています。
現在の価値だと、3兆円弱になるでしょうか。
一方、戦闘機であるゼロ戦は、明確ではありませんが、フル装備で1機8万円ぐらいと想定されます。
現在価値だと14億2000万円となります。
つまり、戦艦大和の建造費は、ゼロ戦2000機分に相当するといえます。
大和型は3艦建造されましたから、単純計算でゼロ戦6000機を作れたことになります。
もちろん、パイロットの養成なども考えれば単純な比較はできませんが、戦艦から航空機へと戦闘の主力が移っていった時代背景を考えると、経済力の使い方を間違えたと言えます。
 
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<編集後記>
今朝のTVは、天皇退位関連の放送一色でした。
王室は世界でも少なくなっていますが、古式豊かな王室が現代まで続いているという点で日本の皇室は世界に類を見ない存在といえます。
トランプ米大統領は、声明を発表し、「米国民を代表し、天皇皇后両陛下に心からの感謝を表明する」と述べ、続けて「平成の時代が終わろうとしている今、日本との緊密な関係の大いなる重要性を米国は認識したい」と述べた。
珍しくと言っては失礼になるが、トランプらしからぬこの発言に、改めて天皇制の意義を感じました。
新たに天皇となられる徳仁皇太子の第一声に注目したいと思います。
 
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