2019年4月15日号(国際、政治)
2019.04.17
HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2019年4月15日号
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発行日:2019年4月15日(月)
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2019年4月15日号の目次
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★韓国のジャーナリストが語る今の韓国
☆日本は韓国の呪縛から解き放たれつつある
◇日本流の中国との付き合い方を(その5)
◇純粋な軍事の話(6)
<HAL通信アーカイブス>http://magazine.halsystem.co.jp
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こんにちは、安中眞介です。
今号は国際問題、政治問題をお送りします。
平成が間もなく終わります。
「平成は、災害も多く経済的には停滞期であった」と否定的に語る人がいます。
本当にそうでしょうか。
平成は、成長信仰の強かった開発途上型の日本人の心理を、成熟型に変えてきた時代だったのではと考えました。
新たに始まる令和の時代は、日本が成熟国家になることを世界に示す時代にすべきではないでしょうか。
今号は、アジア情勢を中心にお送りします。
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┃★韓国のジャーナリストが語る今の韓国 ┃
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朝鮮日報に寄稿した韓国のジャーナリスト柳根一(リュ・グンイル)氏の論文が興味深かった。
長文なので、その一部を抜粋する。
「うそも宣伝、扇動、催眠、洗脳、集団的狂気、集団心理、興奮、幻覚などを通じ、執拗(しつよう)に押し通せば、大衆がそれにうまく惑わされてしまうのだ。現在の社会運動勢力の現象を『左派ファシズム』と呼ぶのもそのためだ。うそを扇動する手法がファシズムに似ているからだ。
左派ファシズムは韓国的な風土に適しているようだ。韓国的な風土とは「覚醒している個人」の層が薄い社会だ。集落、家系、縁故が個人の自立を認めてこなかった。現代になっても韓国人は個人、自由、法治よりも宗族、地域、集団の情緒に縛られてきた。近代の産業社会よりもその自給自足的共同体の方が「より価値がある」かのように言われた。韓半島(朝鮮半島)の左翼はあらゆる「昔のもの」に執着してきた。それでも彼らは「進歩」を名乗る。
問題は彼らのファシズム的扇動政治が左派権威主義を超え、全体主義の傾向すら示していることだ。維新体制(独裁体制)や新軍部の権威主義に抵抗した彼らだ。彼らは権力をつかむや否や、過去も顔負けの権威主義、全体主義、恐怖政治に向かっている。三権分立ではない三権統合、暴民政治、積弊追及はいずれもそうだ。
(中略)
もし、文大統領の思惑通りに南北統一へと進んだら「ユナイテッド・コリア」として南北連合政府を作ることになるだろう。だが、今のところ、その統治機構がどのような形になるのか、という絵は全く描けない。北朝鮮でも民主的な選挙でユナイテッド・コリアのトップを選ぶことになり、南北の鉄道・道路が連結されて人や情報の交流が進めば、いずれ国民の本音が出てくるはずだ。となると“暴君”の金委員長が北の代表に選ばれることはないだろう。
金委員長もそれが分かっているから、アメリカに対して「体制の保障」を要求し、かつてのカンボジアのシアヌーク国王のような中国亡命の道を模索しているのではないかと思う。
そして、そうなれば、韓国に“核付き・金正恩抜きの労働植民地”が転がり込むことになる。言い換えれば、核武装した人口7700万人の南北統一国家が誕生するわけで、その高揚感が現在の「日本恐るるに足らず」という気運の高まりにつながっているのだ。
統一コリアにとっての“仮想敵”は日本だ。核保有国の中国やロシアと喧嘩するはずがないし、統一後に在韓米軍が撤退したら、反米感情も下火になるだろう。となれば、核ミサイルのターゲットは日本しかない。核保有国になることで日本の優位に立ち、いつでも寝首をかくことができるわけだ。その“妄想”があるから、韓国人は戦後70年で最も気分よく高揚しているのだ」
これほど核心をついて韓国人の心情を表した論評は無いというのが、私の正直な感想である。
そのことを、韓国人のジャーナリストが冷静に分析していることに感心した。
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┃☆日本は韓国の呪縛から解き放たれつつある ┃
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今の日本人の対韓感情には過去に見られなかった変化が起きている。
「断交だ!」「制裁だ!」という過激な発言に対しても、以前なら眉をひそめてきた人たちも、「そこまで言わなくても」と思いつつも「そう言いたくもなる」という心情が混じってきている。
このメルマガで何度も述べてきたが、歴史上、日本は半島に関わっては苦渋を舐めさせられてきた。
150年前、福沢諭吉は「半島には関与するな」と言ったが、その通りと思うしかない。
そう思いながら考えた。
逆説的な言い方だが、文政権の誕生と常軌を逸した反日姿勢は、日本に別の意味のプラス効果をもたらしているのではないか、とである。
日本人の多くは、過去の歴史から韓国に対して無意識的な負い目を感じていた。
GHQが日本人に行った「戦前の日本は悪の帝国」という徹底的な刷り込みの効果といえる。
そうして作られた日本人の負い目を良いことに、文政権の反日行動はエスカレートし続けた。
しかし、その行動が限界点を超えたことで、日本人は戦後74年間の呪縛から解かれつつあるのではないか。
そもそも「隣国同士は仲良く」などという子供だましが「おとぎ話」に過ぎないことは歴史が嫌というほど証明している。
戦前のフランスとドイツは、アルザス・ロレーヌを巡って戦争を繰り返してきた歴史を持つ。
今でこそ、大人の対応をしているが、両国は決して仲良し同士ではない。
英国とフランスは、中世時代「100年戦争」と呼ばれる不毛な時代を経験している。
フランスの救国の乙女ジャンヌ・ダルクは、英国では悪魔の娘である。
現代でも、北アイルランドで国境を接している英国とアイルランド、軍事衝突を繰り返すインドとパキスタン、イスラエルと中東諸国、バルカン諸国など、隣国との紛争を抱えていない国のほうが珍しいくらいである。
つまり、日本と韓国が仲良くする必然性は無いし、外交上あり得ない話と思うのが自然なのだ。
互いに儲ける儲け話があれば「一時、仲良くする『ふり』をする」程度で良いのであろう。
日本が一方的に譲歩する時代は終わったのである。
戦後の日本人は、敗戦のショックからか、個人間の付き合いの概念を国同士に持ち込む傾向が強い。
しかし、もっとドライに考えて良いのである。
ただし、日本が韓国のように敵意剥き出しの国民感情を煽ることは「百害あって一利なし」である。
国民感情を煽りに煽っている韓国の現政権は、韓国自身に計り知れない禍根を残す。
日本政府は、同じような愚は犯すべきではなく、実利で行動を決めればよいのである。
韓国の仕打ちに頭にきている日本人は多いが、感情を制御し冷静に対処したほうが勝ちだ。
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┃◇日本流の中国との付き合い方を(その5) ┃
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ソ連崩壊の頃から「中国もいずれは“崩壊”する」という予測が、欧米日の政治・経済の研究機関から何度も出されてきた。
しかし、中国は“崩壊”せず、経済規模で日本を抜き去り、軍事力でも米国に挑むという野心をあからさまに出してきた。
私も崩壊論を書いてきたが、「崩壊を望む」というより「変化を期待」してきた。
その変化が起こるか否か、今年の4月9日に習近平国家主席が発表した「論考」なる論文に注目した。
その中で、西側の思惑に反して中国が崩壊しなかった理由を、習主席は以下のように定義付けている。
習主席は、発表した「論考」の中で、中国が推進してきた「特色ある社会主義」こそが中国の発展という“歴史の結論”を導いたと述べ、中国の作家・魯迅が残した次の言葉を引用した。
「もともと地上に道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ」。
つまり、西洋からの借り物の社会主義ではなく、中国が独自に作ってきた「特色ある社会主義」の正当性を強調し、この路線を、自信を持って進むという宣言である。
その意思は「論考」の中の以下の文章に強く現れている。
「近年、国内外の一部世論は、今の中国は社会主義国家なのかという疑問を投げかけている。彼らは、“資本社会主義”“国家資本主義”“新官僚資本主義”といった表現を使うが、これらは完全に間違っている。 我々が言うところの中国の『特色ある社会主義』とは社会主義であり、どのような方法で改革、開放を行っていくにしても、中国の特色ある社会主義の進路、理論体系、制度を堅持していく」
さらに続けて、
「近年、わが国の総合国力と国際的地位が上昇するに伴い、国際社会では“北京コンセンサス”“チャイナモデル”“中国道路”といった議論や研究が増えてきている。その中には称賛する者もいる一方で、一部の海外の学者は『中国の急速な発展は一部西側の理論が疑問視される状況を作り出し、一種の新たなマルクス主義理論が西側の伝統的な理論を転覆している』と考えているようだ。だが、我々は、各国の発展の道は各国の人民によって選択されるべきであると考えている。いわゆる“チャイナモデル”というのは、中国人民が自らの奮闘と実践の中で創造した中国の特色ある社会主義の道に他ならないのである」
強烈な自信であるが、ここまで強く言うのは、西側の批判めいた論評が気になるのであろう。
西側でさかんに言われるようになった「国家資本主義」とか「チャイナモデル」という言葉や概念が、習主席の癇(かん)に障っているのである。
この論考で注目すべきは「各国がそれぞれの道を歩むべき」という中国の立場表明である。
これは何を意味するのであろうか。
習主席は、既存の社会主義国が次々と崩壊する過程を見て、ソ連が目指したような「世界を共産主義に」というイデオロギーでの勝負は無理ということは悟ったのであろう。
しかし、西側の価値観である「自由資本主義(グローバリズム)」に異を唱える国や人々の声が大きくなり、米国の大統領までもが「自国第一主義」を打ち出す“内向きな動きの現状”を見て、これを利用する戦略を考え出した。
それは「中国の特色ある社会主義」の優位性を証明し、その複製を世界のあちこちに植えていくという戦略である。
それが「一帯一路」の真の狙いである。
一帯一路が成功して、参加国にチャイナモデル式の社会主義が浸透すれば、結果的に「中国共産党の正統性の死守と強化」を世界に示すことにつながる。
そのことで、中国が米国にとってかわって世界のリーダーとなったことを世界が認める。
今回の「論考」を読んで、この狙いがはっきりと分かった。
さて、そうした中国の戦略に対して、日本はどのように対処すべきなのか。
次回は、もう一つの側面、台湾問題を論じてみたい。
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┃◇純粋な軍事の話(6) ┃
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日本では軍事の話は敬遠されがちです。
確かに世界が善意で満ちているならば、軍事は不要かもしれません。
しかし残念ながら、歴史上、善意が世界を覆っていた時代はありません。
人間の歴史は戦争の歴史であり、軍事力の弱い国は悲惨な歴史をたどってきました。
今回は「純粋な軍事の話」から少しそれますが、お読みください。
中国は、歴史上、常に軍事大国であり、朝鮮半島は従うしかありませんでした。
現代になっても、南北朝鮮の両国は中国の顔色を伺い、強い態度を打ち出せません。
そのやるせなさが、日本に対する強い態度になって出るのです。
半島の人々にとって、そのくらい中国は強大であり、恐怖の存在なのです。
だから、日清戦争で日本が中国を破った時、当時の半島の人々は大喜びしたのです。
今もソウルに建つ「独立門」がそのことを象徴しています。
しかし、朝鮮国はまとまらず内部抗争を繰り返したあげく、日本に併合されました。
軍事力で劣っても外交力で生き抜く手段はあったはずですが、朝鮮国の目は外に向かずに内側にしか向かず自滅したのです。
私には軍事経験はありませんが、若い頃の仕事で、最前線にいる自衛隊の人たちと語り合う機会がありました。
また、自衛隊の演習にオブザーバーとして参加したこともあります。
擬似的とはいえ実戦さながらの体感は、今でもリアルに思い出すことができるくらい衝撃でした。
その衝撃は、当時の20代の私では到底消化し切れませんでした。
ただ、学生時代は信じた「日本の平和」を信じることができなくなったのは確かでした。
私が直接体験した自衛隊の姿は、紛れもなく軍隊でした。
つまり、憲法違反の存在なのです。
でも、その自衛隊の存在が日本を守っていることも同時に実感しました。
そして、その任務に全力を傾けている隊員たちは、自分と同じ年代の若者たちでした。
こうした矛盾を真剣に考えることもせずに、日本国民は平和を貪ってきたわけです。
そして、その矛盾の根源が現行憲法にあることは、当時の自分でも分かりました。
それから長い時間が経ちましたが、国会はこの矛盾を放置したままにしてきました。
このままで良いわけはありません。
国会で、この矛盾を解決するための憲法改正論議を行うべきです。
こう言うと、すぐに「憲法改正反対」と攻撃されますが、そのようにして議論を封じようとすることが正しいとは、とても思えません。
しかし、改正ありきで強行突破しようと考えている安倍首相の対応も問題です。
「自分の代で憲法改正を」という名誉欲は捨て、国民の間に憲法と防衛を考える機運を盛り上げることが首相としての役割です。
私は、首相に以下のことを提案したいです。
「憲法改正の議論を国会で行うことの是非」を今年の参院選の争点に据えて欲しい。
“改正ありき”ではなく“改正の議論を行うことの是非”です。
野党が「改正の議論を行うこともダメ」と、国会での議論まで拒否することは、民主主義の否定につながります。
そのことをよく考えるべきです。
共産党の志位和夫委員長は、令和の新元号制定を天皇制にからめて批判しました。
共産党は、天皇制に反対の立場です。
しかし、現行憲法は、象徴とはいえ天皇を元首に定めています。
ならば、憲法改正の議論に積極的に加わるべきであり、護憲の主張は矛盾しています。
現行憲法が制定された当時に選挙権を持っていた国民は、ほぼゼロとなっています。
憲法改正議論を通じて、国民主権を取り戻したいものです。
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<編集後記>
11日の米韓首脳会談、二人だけの時間は2分間だったと報じられ、「インスタントラーメンも出来ない」と揶揄(やゆ)されています。
予想以上の米国の冷たさですが、左派系の韓国紙は、それでも「会談は成功。引き続き仲介役として頼りにされていることが確認できた」と苦しい強気です。
韓国は、次の南北首脳会談に希望をつなぎたいところですが、果たして金正恩が応じるか。
冷酷で実利主義の彼の性格を考えると切り捨てとなるでしょうが、まだ利用できる余地があると考えれば、その方法を考えていることでしょう。
次の展開を注視するしかありません。
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