2019年8月31日号(経済、経営)

2019.09.02


HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2019年8月31日号
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発行日:2019年8月31日(土)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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           2019年8月31日号の目次
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★日韓経済戦争の行方
◇これまでの経済、これからの経済(1)
☆今後の建設需要(1)
◇外国人受け入れで犯罪大国になる?(3)
 
<HAL通信アーカイブス>http://magazine.halsystem.co.jp
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こんにちは、安中眞介です。
今号は、経済、経営の話題をお送りします。
 
「やらないだろう」と思われた、日本とのGSOMIA(軍事情報包括保護協定)を韓国が破棄しました。
おかげで、日本では「ジー・ソミア」という呼び方まで一般化してしまいました。
政治的な論評は次号(9/15)で行うとして、今号は、日韓の対立を経済的な側面から論じます。
 
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┃★日韓経済戦争の行方                       ┃
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前号で解説したように、日韓の経済力にはGDP比で3倍の開きがあります。
孫子の兵法では「3倍の敵には正面からの戦いを挑むな、必ず負ける」と教えています。
韓国は、こうした常道を無視した正面戦を日本に仕掛けてきたわけです。
 
別の数字で見てみましょう。
経済戦争の兵粮米(ひょうろうまい)ともいえる外貨準備高は、日本の1兆4000億ドルに対し、韓国は4000億ドルと、やはり3分の1以下しかありません。
しかも、この数字は「水増しされている」と韓国紙が指摘するほど信用のない数字です。
例えば、両国の対外純資産額を比べてみると、世界一(3兆1000億ドル)の日本に対し、韓国の対外純資産額は、日本のわずか8.5%(約2400億ドル)しかないのです。
ここで、「あれっ」と思いますね。
そうです。韓国は、対外純資産額より外貨準備高のほうが多いのです。
これが真実の数字であるなら、韓国では、保有する外貨の多くが活用されず、タンス預金になっているということになります。
あり得ない話です。
だから、各国は韓国の発表数字を信用しないのです。
 
仮に、実態が日本並みだとすると、外貨準備高は1000億ドル程度しかないことになり、発表数字は4倍に水増しされていることになります。
韓国は「外貨は十分にある」と強がっていますが、投資家は信用していません。
いつ通貨危機が訪れてもおかしくないのが実態です。
 
こんな状態で経済強国の日本に正面から喧嘩を売る文在寅大統領は、とても正気とは思えません。
甚だしい経済オンチなのか、あるいは、そのくらい頭に血が上って、前後の見境がつかなくなっているのか。
それとも、本気で北朝鮮と一体になって日本を打ち負かす夢に浸っているのでしょうか。
韓国の国民が正気に戻らないと、とんでもないことになりそうです。
 
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┃◇これまでの経済、これからの経済(1)              ┃
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今号から数回に分け、経済の発達の歴史を概観し、近未来の経済予測までをお送りします。
本メルマガの読者の皆様には幼稚な内容になるかと思いますが、知識の整理や素人への説明には使えると思います。
読み飛ばしでいただいて結構ですが、少しでもご興味があれば、お付き合いください。
 
原始社会は自給自足経済から始まりました。
こうした経済下では、必要なものはすべて自力で獲得するしかありません。
経済とは呼べない状態です。
 
そのうち、不要なものや余ったものを、欲しいものと交換する物々交換経済が生まれました。
隣近所との交換から始まり、やがて遠くの村との交換に発展し、経済としての形が整ってきました。
しかし、重い物や数が多い物を遠くまで運ぶ手間が大変になり、また、交換できずに無駄足を踏むことも増えてきました。
 
そこで、どんな物とも交換できる「標準交換品」のようなものが発明されました。
最初は、特殊な石や珍しい小物が使われましたが、信用度や交換レートの問題がありました。
やがて国家が形成されるようになると、国内流通促進と交換の信用度を上げる必要から、国家が価値を保証する貨幣が生まれました。
貨幣経済の始まりです。
 
貨幣は、軽くて便利で、保管場所も取りません。
強い国家の貨幣は信用度も高く、その力で経済圏が広がり国力が増強するという好循環を生み出しました。
 
こうした貨幣経済が発達してくると、ある一つの経済現象が起きてきます。
それは「蓄財」です。
初期の段階では、貨幣経済といえども物々交換経済であることには変わりありません。
自分の作った物を売って貨幣を得、その貨幣で欲しい物を買うのですから、間接的な交換経済です。
しかし、その交換にタイムラグが生じることで、「売る物の価格=交換貨幣=買う物の価格」とはなりません。
タイムラグを考慮すると、欲しい時に欲しい物を買うためには、多めの貨幣を蓄えておく必要が出てきます。
つまり、貨幣の「過剰蓄財」という現象が生じてくるのです。
そうなると、交換経済を円滑に回すためには、実際の取引額以上の貨幣が必要になります。
しかも、取引量は刻々と変化し続けます。
この変化に耐えうる貨幣の蓄財が雪だるま式に増えていきます。
近代では、実体経済の2.5倍の貨幣量が必要と言われています。
 
第1回は、入門解説ということで、ここまでにします。
次号以降、貨幣経済の発達からどのようなことが起きたかを考察し、その考察から、近未来の経済がどうなっていくかの予測を解説していきたいと考えています。
こうご期待。
 
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┃☆今後の建設需要(1)                      ┃
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建設市場とは、人間が社会生活を円滑に、かつ快適に行うためのインフラを整備し、維持するための市場です。
しかし、ある段階に来ると、必然的に新設市場は縮小し、維持修繕市場が拡大してきます。
この市場変化は、建設需要の絶対量を縮小させ、建設不況となり、市場参加者の淘汰の時代に入ります。
ある程度の淘汰が進むと、生き残った企業は一息付けますが、建設市場自体は、低迷状態が続きます。
日本においては「失われた20年」と言われるような時代です。
 
そうした中、近年、異常気象が常態化し、各地で災害が多発しています。
老朽化し、古い設計思想で造られたインフラでは、こうした災害に対処できなくなり、政府は「国土強靭化」に予算を付けることを決定しました。
さらに、経済の質的変化が新たなインフラを必要とする時代に入ってきました。
建設業界には朗報と言えますが、それを受ける業界の体質は古いままで、過去の愚を繰り返してる有様です。
 
少し古い話題ですが、鉄骨造の建築に欠かせない高力ボルトが不足し、納期が大幅に遅れているというニュースがありました。
「それならRC(鉄筋コンクリート)造にしよう」という動きが起きましたが、「やれやれ、またか・・」との思いです。
4~5年前、型枠工や鉄筋工が不足し、RC造をS造(鉄骨構造)に変える例が相次ぎました。
今の逆です。
実際、弊社でもRC造で設計したビルをS造に変えた経験がありますが、その時、スタッフと「そのうち、今度は逆になるぞ」と話していました。
今はその通りになってきましたが、同じ思いを抱く方も多いと思います。
だが、「予想が当たった」と喜ぶわけにはいきません。
現状を「バカバカしい」と思いながらも、新たな建設の仕組みを考える毎日です。
 
しかし、マスコミや評論家諸氏のように原則論を言うだけでは経営は出来ません。
市場の変化を自社のビジネスに照らして分析し、「実際に出来る仕組み」を創り、実践することです。
その結果を基に、近未来の市場を洞察し、顧客との関係を強化し、ともに発展する道を採ることです。
大事なことは、「これから」を冷徹な数字で見て、数字でフォローしていくことです。
 
ここ数年、業界紙の紙面には、「大手・中堅は史上最高益」という文字が踊っています。
たしかに付き合いのある建設会社の業績は好調なところが多いようです。
アベノミクスの第二の矢の恩恵は、建設業界が最も享受してきたと言っても良いでしょう。
しかし、第三の矢は、的確に当たっているとは言い難い状況です。
この的こそ、アベノミクスの本当の狙いだったはずですから、今後の大きな課題です。
 
これは、「的を外している」というより、第三の矢の力が弱いことが原因です。
第三の矢とは民間投資の拡大なのですが、民間投資は政府の音頭取りで動くものではありません。
市場が安定的に拡大するとの期待がなければ動きません。
しかし、内外とも経済の不確実性が高まる現状では、この期待が広がらないのです。
 
建設市場は、公共と民間にまたがる市場です。
従って、公共投資は民間需要を呼び起こす起爆剤であることが必要です。
しかし、公共投資は政治の力で歪められるという構造的弱点を持っています。
さらに、地方、特に市町村行政は経済的にも技術的にも力が弱く、市場の牽引役になれません。
次回は、この解決策を論じ、新たな建設世界の創設を論じたいと思います。
 
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┃◇外国人受け入れで犯罪大国になる?(3)             ┃
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「外国人をこれ以上受け入れると犯罪大国になる」と主張する人たちがいます。
欧米のテロ事件の報道に接すると、その悲惨な状況と恐怖に、そう叫びたくなる気持ちはわかりますが、こうした短絡思考は危険です。
 
かつて、米国で逆のことが起きました。
先の戦争中、米国の日系人たちは「反米行動に走る危険が大きい」として、財産を没収された上、強制収容所に隔離されました。
米国籍を持つ二世たちも同様の扱いを受けました。
いかに戦争中とはいえ、理不尽だったということで、1988年レーガン大統領が通称「日系アメリカ人補償法」に署名し、連邦議会が日系アメリカ人へ謝罪し、生存者への損害賠償を行いました。
その後に追加賠償も行われ、1999年に最後の支払が実施され賠償は終わりました。
 
ここで言いたいのは、そうした補償のことではなく、次の2点です。
まず1点目。
日系人の隔離は、日本とアメリカが戦争になったことで始まりました。
当時の米国人の多くが「日系人が手引きして日本軍が米国に上陸してくる、あるいは破壊活動を行う」と思ったのです。
米国のマスコミも国民を煽る報道を繰り広げました。
「日本は、天皇ヒロヒトをホワイトハウスの椅子に座らせようとしている」と一面に書いた新聞も現れました。
当時の日本で、そんなことを考えている人は一人もいなかったと断言しても良いくらいなのに、海の向こうではそんな話が“まことしやかに”流布していたのです。
その声に押される格好で、当時の米国政府が日系人の隔離を決めたのです。
時のルーズベルト大統領が、有色人種嫌いだったと言われていますので、そんなことも影響したのかもしれません。
その話は、現在のトランプ大統領にも通じる話で、アメリカの深い病根ともいえます。
 
2点目は、いったん移民を敵視する方向に動けば、その修復に長い時間がかかるということです。
日系人の隔離が始まったのは1942年ですから、その修復には50年以上の歳月がかかったことになります。
 
この愚を犯してはならないのですが、今の日本には危うい点が随所に見られます。
外国人を単なる労働力としてではなく、日本人と同等の存在として処遇する企業も増えてきていますが、まだまだ少数派です。
低賃金の労働力という本音が根強いのが実情です。
 
送り出すほうの国々にも問題はあります。
概ね、人権に対する意識が低い国が多く、闇ブローカーが暗躍する土壌になっています。
技能実習生の大量脱走の裏には、そうしたこともあると思います。
ただ、こうした問題への対処は企業には荷が重く、日本政府が送り出す側の国と連携して解決策を作っていくしかありません。
 
日本で働く外国人が増えていけば、統計的に犯罪に走る者も増えてきます。
だが、それを「だから・・」とか「仕方ない」とするのではなく、世界一治安が良いとする日本の社会の一員として受け入れる仕組みを強化していくべきです。
彼らは日本での就労に希望を持って来日してきたのであり、また、来ようとしているのです。
そうした思いを受け止め、健全な働きや生活を送れるようにすることは、雇う側の企業責任です。
弊社も、外国人を貴重な戦力として積極的に受け入れる企業として成長していきたいと願っています。
 
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<編集後記>
円が一時、104円台に入りました。
その後は106円台に戻していますので、一気に円高に進む恐れはないと思います。
米中貿易問題が円高の最大の要因と言えますが、両国とも何らかの妥協点を見出そうと動き出しているので、中国発の世界大恐慌は来ないとみています。
それよりも大きな要因は、欧米が主導してきた近代資本主義が制度疲労を起こしているという現実です。
貨幣経済の章で述べたように、現代の世界経済を動かしているのは、世界中に溢れかえっている余剰マネーです。
生産を伴わないマネー資本主義は、超短期間の循環を繰り返し、「あっ」という間に肥大化してしまいました。
この循環が、どこかで壊れて終焉を迎える日は来るのでしょうか。
 
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