2026年3月31日号(経済、経営)
2026.04.01
HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2026年3月31日号
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発行日:2026年3月31日(火)
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2026年3月31日号の目次
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◇「責任ある積極財政」と2026年度予算案の行方(その2)
◇住宅価格の高騰
◇新車陸送の世界(11)
<HAL通信アーカイブス>http://magazine.halsystem.co.jp
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こんにちは、安中眞介です。
今号は、経済、経営の話題をお送りします。
米国のイラン攻撃は、当然の如くホルムズ海峡の封鎖を呼び、世界経済の足を引っ張っています。
仕掛けた張本人のトランプ大統領の思考は単純さとディール(取引)だけで、経済に対する深い洞察力はないようです。
このような事態にも関わらず、日本の国会は相変わらず不毛な“駆け引き”に終始しています。
早く意味のない“駆け引き”を終わらせ、次の舞台に移って欲しいものです。
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┃◇「責任ある積極財政」と2026年度予算案の行方(その2) ┃
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高市首相が頑なに主張し続けていた2026年度予算の年度内成立は時間切れになりました。
しかし、暫定予算が成立しているので、影響は無いと言ってよいでしょう。
参院の議決が無くても予算は衆院の優位性により4月11日で自然成立します。
おそらく、参院のメンツで、その前に承認となる可能性が高いですが・・
では、この間の与野党の攻防には何の意味があったのでしょうか。
与党が衆院選で絶対多数を占めていても、参院での過半数割れという事態は変わらず、野党が抵抗することは必然でした。
こんなことは1月の通常国会の冒頭解散を決意した時点で分かっていたことです。
それでも高市首相は、頑なに予算の年度内成立にこだわり続けました。
当初は、国民民主党などが最終的に賛成に回る仕掛けを考えているのだろうと思いました。
しかし、衆院での議決日を同党の主張する16日ではなく13日に強行したことで、それは無くなりました。
つまり、この時点で年度内成立はほぼ無理となったわけですが、首相の発言は変わらず、また、党幹部への交渉指示も強くはなかったようです。
首相の真意は不明ですが、通常国会の冒頭解散に対する批判を気にして、メンツにこだわったのでしょうか。
それとも首相なりの深い読みがあったのでしょうか。現時点では不明です。
私の知る限り、高市首相の経済ブレーンにはかなりの面々が揃っています。
彼らの助言で、「いまだ尾を引くデフレの残滓を払しょくし、強い日本経済を取り戻すことが出来れば、年度内成立など取るに足らない問題」と腹をくくったのかもしれません。
そもそも、予算の年度内成立はマスコミが騒ぐほどの意味は無いです。
予算の骨子は昨年末には決まっていて、年明けには各省庁へ予算の執行指示が出ています。
本予算の成立が1ヵ月程度ずれたところで、何の問題もないのです。
そこまで考えての結果であれば、首相の腹はなかなかに座っているなと評価しますが、メンツであれば、評価は別です。
これについては、本人が説明することは無いと思うので、これからの政策で判断していきます。
ところで、前回「円安は日本経済の供給サイドの弱さを表わしている」として、「生産性を向上させるイノベーションが決定的に足りない」と書きました。
そして、その典型的な例が農業で、これに対する高市首相の政策は「決定的に間違えている」とも書きました。
私自身は農業問題の素人ですが、故郷新潟の親族には農業関係者が何人もいますし、農業問題に熱心に取り組んでいる知人からの情報もあります。
それらの情報から推測すると、高市首相には、これまで連綿と続いてきた自民党の農業政策を根本から変える意思は乏しいように思えます。
あるいは、変えることへの抵抗の強さに取り組みを後回しにしているのでしょうか。
だが、昨年度から続くコメの価格高騰に振り回された国民は、「日本の農業はおかしい」と気付き始めています。
日本の農業政策は、先祖返りのように、かつての「減反政策」へ戻っているようにしか見えません。
世界標準からみれば、日本のコメ価格は異常に高い水準にあります。
しかし、外米の改良も進み、もう「日本のお米は美味しいから高い」は通用しません。
政府が長く続けた減反政策は「米の価格維持のため、補助金という税金を出して作付けを制限する」という、経済原則を無視した政策です。
「コメの生産性を上げて価格を下げる」ことはダメで、「コメを作る田んぼを減らせばカネを出す」という政策です。
つまり、「生産性の向上」を止めさせ、生産コストを高止まりさせろと言っているわけです。
ほぼ全ての農家は、これが「おかしい」ことは、分かっています。
でも、減反すればカネを払う(今は、農協による買い付け金を上げる)と言えば、大半の農家は沈黙します。
農家の多くは後を継ぐ者もなく、前途はありません。
だから、コメの作付け面積を減らすことでカネがもらえるなら従います。
首相が、この事態を良しとしているのかどうかは不明です。
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┃◇住宅価格の高騰 ┃
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住宅価格の高騰が止まらなくなっています。
2015年を100とする指標でみると、2025年は134となっています。
10年で34%上がったということです。
平均すると年3.4%ですが、ここ2、3年に限ると、生コンは4割、木材は3割と異常な値上がりを見せています。
政府は慌てて投機目的の不動産取得に制約を加えると言い出していますが、付け焼刃の感は免れません。
また、外国人による不動産買いの影響が価格高騰の主因であるとも思えません。
この10年間の住宅の着工面積は2割程度下がっていますから、住宅産業全体が長期低迷状態に陥っていると解釈すべきです。
これだけ少子化が進めば、これは当然の結果であり、この先はもっと落ちるということです。
一方、木材を始めとする建築資材の多くは輸入に頼っていますが、円安で輸入価格は高止まりし、下がる気配はありません。
また、プレカットなどの工場生産が進んだことで、現場での作業量は減りましたが、現場作業の自動化は思うようには進んではいません。
その一方で、働き方改革の影響で現場の作業時間は減り続けています。
つまり、住宅産業の生産性は上がらず、人件費単価は上がる一方なのです。
それは、当然に人件費の高騰となって建設会社の経営を圧迫しています。
中国からはロボット同士のボクシングやサッカーなどの刺激的な映像が流れ、
人型ロボットによる自動施工も間近のような印象を世間に与えますが、
当の建設会社や建設現場をよく知る人たちから見たら、ただのデモンストレーションに過ぎないことが分かります。
将来の可能性を感じさせる役には立つでしょうが、その将来がまだ遥か先にあるという現実から目を逸らさせる危険があります。
物騒な話ですが、実際の戦場でロボット兵士が主になって活動しているという衝撃的な映像を見ないうちは、「道は遠い」と思うのです。
家を建てる世代は、30代から40代が中心です。
その年代の人口が減り続け、収入は思ったほどには上がらないという現実が重たいです。
物価高だけでなく、この年代は子供の教育費が掛かる年代でもあります。
それなのに、税金と社会保険料の負担が増えていることで、手取りは増えず、賃上げの効果は相殺さてれてしまっています。
こうした現状に、この年代の多くは「家を建てるカネなんて・・」という状態なのです。
確かに国や自治体は住宅の再エネ補助金などの支援を増やしていますが、それは本質的な支援ではなく、住宅取得を促すような効果は上がっていません。
こうした中、住宅の所有そのものを諦める傾向が増えています。
特に、独身者や子供のいないカップルで、持ち家やマンション所有への意欲を持たない層が増えているという調査結果もあります。
これは、我慢するというより、人生観やライフスタイルの変化なのです。
高く長いローンで人生を縛られることを嫌い、金銭的にも自由な生活を楽しむという生き方です。
古くからあった「持ち家志向」は、潜在的にはまだありますが、現実には減っています。
つまり、市場の落ち込みを避けることは難しく、どこで平衡状態になるかなのです。
こうした国内市場の先細りを受けて、大手ハウスメーカーは海外市場への比重を増やしています。
それでも国内市場が消えるわけではありません。
技術と価格競争力を持つ中小企業にとっては、むしろ好機到来と考えています。
その話は、また。
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┃◇新車陸送の世界(11) ┃
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今回は、ちょっと美味しかった話ですが、危ない話でもあります
このバイトも3年目に入ったある日、社長に呼ばれました。
「福岡まで車を運んでくれないかな」
運ぶ車は特殊な改造を施した車だということでした。
社長は「君は学生だし、今は夏休みだろう。1泊2日で運んでくれないかな」
私は2つ返事で引き受けました。
2日分の日当の他に宿泊代や帰りの新幹線代、さらにその間の食事代まで支給されるという条件に惹かれたのです。
当時の私は、このバイトで学費などを賄っていた貧乏学生です。
おカネは喉から手が出そうなくらい欲しかったのです。
翌日、神奈川の藤沢工場に出向いた私は、興味津々で工場奥の一角に置いてあったその改造車に案内されました。
ピカピカに磨き上げられたその車は、外観はベースにした高級車と変わりないように見えましたが、内装はすっかり違っていました。
案内した技術主任の方は、少し誇らしげに改造内容を説明してくれました。
そして「御社から、あなたはレース経験もある優秀なドライバーだと聞いています。よろしくお願いします」と言いました。
私は『社長は、オレのこと、相当誇張して言ったんだろうな』と思いましたが、何も言わずに書類に記入しキーを受け取り、エンジンを掛けました。
瞬間、特徴的なエンジン音が工場内に響き、「相当な改造費が掛かっている」ことを実感しました。
私が「こんな高価な車、なんで輸送車を使わずに単騎(つまり単独運転)で運ばせるのですか」と聞いたところ、
主任は「大きな声では言えませんが、あなたに試運転を兼ねた輸送をお願いするのです。
途中、危険の無いところで、何度かエンジンの吹きあがりと加速をテストしてもらえますか。
後で、この報告書に状況と感想を書いてください」と言い、数枚のレポートを渡されました。
私は、なるほどと思いながら「分かりました」と返事し、工場を後にして、やがて東名高速に入りました。
そして、周りの車がいないところで、一気にアクセルを踏み込みました。
素晴らしいレスポンスでエンジンが噴きあがり、背中は座席に押し付けられ、あっという間に制限速度を超えました。
「すごい」と、思わず声が漏れました。
実際、そのまま加速したい誘惑に駆られましたが、さすがに自制して大人しく運転を続け、
時々エンジンや足回りのテスト走行を行いながら、名神を抜け、福岡に向って走りました。
結局、藤沢からの約1100kmの道のりを途中2回の給油以外はノンストップで走り切りました。
車は、実に運転しやすく快適で、注文主はどんな人だろうと想像が膨らみました。
福岡の工場で引渡し書類への書き込みや報告書の提出などが終わり、休憩室の自販機で飲み物を買っていた時でした。
背後から声を掛けられました。
振り向くと、スーツ姿の若い男が立っていました。
「東京に戻られるドライバーの方ですね」と言われて「はい」と答えると、「出来たらで良いのですが、東京へのレンタカーの回送をお願いできませんか」と言う。
疲れもあって一瞬迷いましたが、「いいですよ」と二つ返事で引き受けました。
この時、私の頭の中では、計算機が回っていました。
「この回送を引き受ければ、その日当ももらえるし、会社からもらった宿泊代や帰りの新幹線代も浮く。今月の稼ぎは結構な金額になるな」
1時間後、今度は回送するレンタカーを運転して東京へ向かいました。
なんと往復2200kmを1日で運転した計算になります。
今では考えられない無茶な行為でした。
それだけ、当時の私はおカネに飢えていたのです。
自分の学費だけでなく、弟や妹たち3人の学費も必要です。
必死に働いている父母のことを思うと、1円でもおカネが欲しいとの気持ちは切実でした。
しかし、若いとはいえ、1日で東京-福岡を往復することは無茶過ぎました。
大阪へ戻る中国道に入ったあたりから幻覚が出てきました。
真っ直ぐな道路が曲がってうねっているように見えたり、二重に見えたりしてきました。
「これは幻覚だ」と強く思い、片目をつぶったり、目をこすったりしながら必死に運転を続けました。
しかし、限界が来ました。
ついに力尽き、浜名湖サービスエリアで車を止めました。
そして、停車した瞬間、眠りに落ちました。
結果、命拾いしたのです。
思わぬおカネの代償は、自分の命だったのかもしれません。
今でも、浜名湖の付近を通ると、あの時のことが蘇ります。
次回は、なんともびっくり、そしてほろ苦さの残る話をお送りします。
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<編集後記>
高市首相の経済政策の骨格がまだよく見えません。
明日(4/1)からの新年度で、見えてくるのでしょうか。
冷静な論評をお届けできるように頑張っていきます。
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