2026年2月28日号(経済、経営)

2026.03.02


HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2026年2月28日号
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発行日:2026年2月28日(土)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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2026年2月28日号の目次
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◇「責任ある積極財政」と2026年度予算案の行方(その1)
◇VAT減税?
 ◇新車陸送の世界(10)
 
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こんにちは、安中眞介です。
今号は、経済、経営の話題をお送りします。
 
トランプ大統領の「相互関税」が連邦最高裁から違法とされたことで無効となりました。
しかし、“めげない”大統領は、間髪を入れずに別の法律を持ち出し、全ての国・地域からの輸入品に対し10%の関税を発動し、さらに15%まで上げると発表しました(2/28現在、未発動)。
経済が政治的思惑に翻弄されるのは良いことではありませんが、この問題、もう少し動静を観察してから解説しようと思います。
 
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┃◇「責任ある積極財政」と2026年度予算案の行方(その1)   ┃
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民間企業においても、投資と財務規律は相反する難題です。
利益を上げる目的で行う積極投資は、短期的には財政のバランスを崩す危険があります。
ゆえに、その判断は経営トップ及び上級幹部の仕事となります。
国家予算も基本は同じで、首相が大筋の方向を指示して内閣が作成し、議会が承認となります。
その予算審議が国会で始まっています。
 
野党は「突然の選挙で予算審議入りが遅れた」と非難していますが、それは無理といえます。
なぜなら、来年度の政府予算(原案)はすでに発表され、各政党は目を通しているはずだからです。
それを「見ていない」と言うと、「サボっていたのですか?」となりますね。
野党は、こうした低次元の非難ではなく、原案精査の結果を基に的確な質問を行って欲しいものです。
 
その予算原案での一般会計歳出は122兆円と史上最大を更新していますが、前年度の116兆円から見れば、わずか6兆円(4.9%)の増額に過ぎません。
この予算原案は前石破政権による概算要求をベースにしているので、この程度になるのが通常です。
もちろん高市首相は、この予算枠組みを完全にひっくり返すことは可能でした。
しかし、それによる混乱を避けるため、前年度(2025年度)の補正予算で独自色を出すという手法に出ました。
結果として、2025年度の補正予算は18兆円を超える大型になりましたが、承認されました。
その反面、2026年度の予算原案は抑制的な内容になったため揉める要素は少なく、首相が「今年度中の成立を目指す」と言っているのも無理のない話ということです。
こうした経緯を分かっていながら、野党の「丁寧な議論を・・」の主張は、少々滑稽です。
国民民主党が、この議論に同調しないのは、こうした高市首相の意図を十分に理解しているからに他なりません。
 
この“やり方”は、公平に見て「なかなかに上手な手法だな」と思いますが、高市首相の策ではなく、片山さつき財務大臣の策だと思います。
片山大臣は、財務省の主計局主計官にまで上り詰めたエリート官僚だった人で、財政と金融の裏表を知り尽くした人物です。
その能力で、高市首相の掲げる「積極経済」の看板を維持しつつ、市場の信任を失わないように財務省との間で絶妙なバランスを取っています。
高市首相は、単なる積極財政ではなく“責任ある”という枕詞を付けた積極財政を掲げています。
ここが肝心なところです。
トップとしての首相は「積極財政を標榜」するが、片山氏は「プライマリーバランス(基礎的財政収支)」を視野に入れ、財務省や金融市場の心配を和らげるという役目を演じています。
これが「責任ある」という枕詞の意味です。
なかなかに賢い分担で、今年の大河ドラマ「豊臣兄弟」の秀吉と秀長のような関係のように見えます。
 
現在の日本経済は「株高」と「円安」が同時に進行するという奇妙な状態にあります。
この状態は、一見すると矛盾しているように思えますが、二つの根にある要素は同じです。
経済評論家は、株価が高いのは『市場が“期待インフレ”を織り込んでいるから』と言っています。
どういうことかというと、高市首相が掲げる積極経済によって名目成長率が上がり、企業の売り上げも増えるだろうという期待があり、一方で、片山大臣がプライマリーバランスも重視しているというバランスへの期待(雰囲気?)が、日経平均株価を史上最高値圏へと押し上げているということです。
「なるほど」と頷けますが、円安に対して納得できる理由はほとんど見当たらず、外国観光客による「インバウンド景気にプラス」というぐらいしか言っていません
先日、米国に住む妹が短期で日本に帰国しましたが、「何もかも安くて驚いた」と言っていました。
ネット情報などで円安のことは知っていましたが、帰国しての実感はまた違ったようです。
4月中旬に米国に帰国する予定ですが、今度は「アメリカの物価、高い!」となるでしょうね。
 
現在の円安は、日本経済における「供給サイドの弱さ」を表す指標と考えられます。
どういうことかと言うと、政府が補助金などで需要をプッシュしても、それに応えるだけの供給能力を向上させる力が今の日本企業に不足しているということです。
原因は、労働力が不足している上に、生産性を向上させるイノベーションが決定的に足りないのです(経営力と人材力の両面とも)。
 
この典型的な例が農業産業なのですが、これに対する高市首相の政策は“決定的に”間違えています。
それは次号で。
 
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┃◇VAT減税?                       ┃
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最近、VAT減税という聞きなれない言葉が、聞こえてきます。
VATとは“Value Added Tax”の頭文字を並べた言葉で、日本語で言うと「付加価値税」となります。
そうです。日本の消費税と同じような仕組みのEU加盟国が課している間接税のことです。
東南アジアでも導入している国は多数に及びます。
この税制、米国が「輸出奨励制度」だと批判しているように、輸出企業に大きな還付金が入ることも日本と同じです。
(ちなみに米国で買い物すると掛かるのは「物品税」で、これには還付の仕組みはありません)
 
経済鈍化に悩むEU各国は、この付加価値税を減税するVAT減税を打ち出しましたが、費用がかさむ割に効果が無いという結論になっているようです。
各国の物価上昇の要因は、供給網の制約や原材料のコストアップであり、小幅な一律減税の効果は無いということです。
いや、無いどころか、財政負担や販売業者のコストが増しただけという惨状のようです。
こうした現状に、一律減税のような薄く広い支援よりも、対象を絞った時限的な支援のほうが財政コストの負担が軽くて効果があると言われ出しています。
 
結論として、VAT減税はEUで試みられたが、物価対策には効果がなかったということです。
日本は、これから、それと同じような消費税減税を行おうとしているわけです。
しかも深刻なのは、先の総選挙で与野党の大半が消費税減税を掲げたことです。
その結果、「チームみらい」を除く与野党のどれに投票しても、消費税減税を阻止することができないということであり、国民の選択肢を奪ったことになります。
そして、国会はEUで失敗した消費税減税に取り組まなければならないのです。
僅かな救いは、高市政権が、食料品だけ、それも2年間だけの減税とした点です。
これは、片山財務大臣や自民党の小林鷹之政調会長等の財務省出身の幹部が抑え込んだ結果だと推測できます。
 
一律減税や強制的な価格統制、補助金などで物価上昇を抑えようとする政策は、予算への負担が大きいだけで効果が無いことは、世界各国の先例で実証されています。
さらに、外食産業では、これまで可能だった仕入れ食材の消費税控除ができなくなり、一方で売上には10%の消費税が掛かるという悪夢のようなことが起きる可能性があります。
これをどうやって回避しようというのでしょうか。
高市首相には、「公約違反だ」と言われても、この減税を実質的に無いものにすることを期待します。
 
ここで、読者の皆様には、誤解をしないようにお願いします。
決して「物価高対策を放棄しろ」と言いたいわけではありません。
EU各国は、VAT減税の失敗の後、厳しい財政姿勢を維持しつつも、社会的に厳しい人々を守ることの優先度で「ターゲットを絞った支援策」にシフトしています。
「誰が厳しい状況なのか」を判定する難しさがありますが、不可能ではありません。
日本でも、資産を持たない若い人、住居を購入しても多額の住宅ローンを抱えている人、シングルマザー、難病を抱えている人などが相対的に苦しいことは分かっています。
こうした人々を対象にした「脆弱性に応じた支援」が望ましいことは、OECD(Organisation for Economic Co-operation and Development=経済協力開発機構)も、「幅広い一律支援措置ではなく、特定の課題や対象に向けた税的支援にシフトすべき」と勧告しています。
高市首相の胸中はいかに・・
 
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┃◇新車陸送の世界(10)                 ┃
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前回、輸出用のスポーツカーを工場から本牧埠頭まで陸送運転した話をしましたが、他にも、4年間を通して事故を起こさなかったことで、輸出車だけでなくいろいろな車を運転する機会に恵まれました。
珍しい車としては、パトカーを運んだことがあります。
もちろん輸出用ではなく県警に納車するパトカーです。
工場を出る前に「サイレンを鳴らしてはならん、屋根の赤色灯を点灯してはならん」と厳重に言い渡されてから工場を出発、そして国道に出ました。
運転する私は、もちろん警官の制服は来ていません。
作業用のジャンパーを着ていたのですが、夜ですから他の車から車内の様子はよく見えません。
一般車は、本物のパトカーだと思って、慌ててスピードを落とします。
その様子に「なるほど!」と、一人納得しながら運転を続けました。
 
もちろんパトカー自体は本物で、黒白のツートンカラーのボディーには「〇〇警察」の文字がくっきりと描かれていますから、一般車が間違えるのも無理はありません。
私は、出発前に注意されたように大人しく国道を走っていましたが、前方に、乱暴に自転車を追い越したカローラを見つけました。
私は、スピードを上げ、そのカローラの後ろに近づき、マイクを取り上げ、スイッチを入れました。
そして、「前の赤いカローラ、自転車を追い抜くときは十分な距離を開けなさい」と声を掛けました。
その声にカローラは慌てたのか少し蛇行しながらスピードを落とし、車を路肩側に寄せました。
私は笑いそうになりながらマイクのスイッチを切り、その車を追い越しました。
『サイレンや赤色灯はダメと言われたが、マイクは言われなかったもんな』と、車内で一人、声を出して笑いました。
 
この話は笑い話ですが、無蓋(荷台のない)大型トラックの運転をしたときは、恐怖と緊張を強いられる地獄のような経験でした。
大型免許を持っていない私は、大型トラックは運転できませんが、会社からは「荷台のないトラックは普通免許で運転できる」と言われていました。
それが本当かウソかは今でも分かりませんが、今さら知りたくない話ですね。
 
しかし、無いのは荷台だけではありません。
運転席も無いのです。
「えっ」と思いますよね。
トラックのシャーシー(鉄骨の骨組み)の上に座席代わりの「ミカン箱」が縄で括り付けられているだけで、側面も背面もボディーはなく、剥き出しです。
前面のフロントガラスもなく、風に吹き曝しです。
目の前にはハンドルとむき出しのメーターパネルがあるだけで、ミカン箱の運転席(?)には背もたれも付いていません。
もちろんシートベルトなんてありません。
外部にまったくの剥き出しの姿でミカン箱に座り、数十キロ先の埠頭まで運転するのです。
 
さすがに高速で走ることは怖かったですが、それでも80km/hぐらいは出しました。
信号で再発進するとき、背もたれが無いことを忘れてアクセルを踏み、後ろに転げ落ちそうになり、慌ててハンドルにしがみ付くことが何度もありました。
高速でカーブを切る時は、尻が外側にずれていき、ミカン箱から外れそうになります。
運転しながら少しずつ、必死にお尻を元の位置に戻します。
 
荷台が付いていない大型トラックは前後のバランスが極端に悪くなります。
荷台の重さ分、後ろが軽いので当然です。
おまけに輸出用の車は、船で運ぶ間にタイヤの空気が抜けていくので、工場出荷時にタイヤの空気圧を目いっぱいに上げています。
パンパンに空気圧が上げられたトラックは、道路の少しの“でこぼこ”でも跳ね上がり、振り落とされそうになります。
暴れ馬に乗っているようなもので、埠頭に着くころにはへとへとです。
しかし、それより苦しいのは、排気ガスです。
フロントガラスが無いので、他車の排気ガスがもろに顔に当たります。
ゆえに、口をタオルで覆い、目をゴーグルで防護しながらの運転です。
 
「こりゃ、たまんねえな」なのですが、次第に、運ぶ車のカードに記された番号で、無蓋トラックを見分けられるようになりました。
その場合は、新参者に「お前の車はこれな」と、シカトして渡す術を覚えました。
『ひどい』と思われるでしょうが、それが、このチームの無言のルールでした。
 
このような“ひどい”車も運びましたが、反対に、とても“美味しい“経験もしました。
次回は、そうした話を。
 
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<編集後記>
アパグループ創業者の元谷敏夫会長が2月11日に、82歳で亡くなりました。
創業期は、倒産寸前のビジネスホテルの買収などで半ば強引にホテル数を拡大していきました。
私の知人もそうして買収された一人ですが、その詐欺まがいの約束破りには呆れました。
しかし、法的には罪に問えないその手法に呆れると同時に、「この人、スゴイな」と思ったことも事実です。
何より一代で、客室数8万室を誇るホテル群を有する成長型経営手法は称賛するしかありません。
ご冥福をお祈りいたします。
 
※追記
建設会社向けの新サイト「儲かる建設会社になろう」の第2節が始まります。
第1節同様、よろしくお願い致します。
 
 
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