2020年1月15日号(国際、政治)
2020.01.16
HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2020年1月15日号
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発行日:2020年1月15日(水)
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2020年1月15日号の目次
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◇中国との付き合い方は単純ではダメだ
★隣りの国はとんでもない国になりつつある
★民主主義に軍事力は不要?(4)
★第一列島線の攻防(5)
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こんにちは、安中眞介です。
今号は国際問題、政治問題をお送りします。
今、世界は、米国と中国、この2つの大国の身勝手さに翻弄されています。
その大きな要因は、米中両国のトップの考え方にあります。
国家体制は全く違いますが、トランプ大統領と習近平主席は、よく似ています。
自国第一主義の考え方も同じですが、もっと言えるのは「自分第一主義」です。
己の欲望を剥き出しにしてきた2人ですが、その政権はまだまだ続きそうです。
褒められたやり方ではありませんが、その米国に真っ向から歯を向いているのがイランです。
しかし、イランの剥き出しの反発が無関係の国の旅客機の撃墜という不幸を生んでしまいました。
イランは、そのことの代償を払わなければなりません。
そのイランと対象的なのが台湾です。
武力ではなく、国民の民意によって中国に大きな打撃を与えました。
業を煮やした中国による武力侵攻を止めるため、日本を含めた民主主義国家の役割は大きくなっています。
新年最初の話題は、2つの隣国にします。
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┃◇中国との付き合い方は単純ではダメだ ┃
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今春、日本は中国の習近平国家主席を国賓として招待する予定です。
その招待に反対しませんが、単なる友好などという次元で捉えることは危険です。
明らかに、中国は天皇と会うことを政治利用しようと画策しています。
安倍首相には、中国のそうした姿勢を跳ね返し、尖閣諸島への脅しなどに日本は屈服しないことを習近平主席に直接伝えることを望みます。
台湾の蔡英文総統の再選に対し茂木敏充外相やポンペオ米国務長官らが祝意を発表しましたが、中国は、「一つの中国」という原則に反するとして「強烈な不満と断固とした反対を表明する」とのコメントを発表しました。
さらに、中国は、日本、米国、英国などに直接、抗議したと言及しました。
「台湾問題は中国の核心的利益に関わる問題だ」という常套文句は、中国の考え方なので良いとしても、こうした祝意にまで過剰反応し、他国を非難する態度は褒められたものではありません。
しかし、中国のこうした言動に対し、非難の応酬をすることは無意味です。
中国は、共産党の一党独裁の国ですが、誰もが知っているように14億人の国民が一枚岩になっているわけではありません。
独裁国家ゆえ、自由にモノを言うことができないので、表面的には不平・不満が封じ込められているだけです。
では、日本はどう外交を進めていくべきでしょうか。
韓国のように平身低頭するような外交は、もとより最悪です。
かといって、喧嘩腰も事態を悪化させるだけです。
最初の話題に戻りますが、中国は習近平国家主席の国賓来日を非常に重要視しています。
この国賓来日に対し、与野党の政治家以外にも、かなりの反対意見が出されています。
たしかに、中国の狙いが天皇の利用にあることは明白です。
しかし、それが分かっているなら、逆手に取ることが真の外交力です。
幸い、新天皇・皇后は、期待以上の存在感を発揮されています。
2000年近く続く皇統の重みは、世界の中でも際立っています。
その重みを受けての新天皇の精神が非常に強固で揺るがないことを、この1年未満の間で十分に感じさせてくれました。
天皇の政治関与は憲法で許されていませんが、存在そのものが十分な政治的力です。
習近平主席との会談には大きな意味があると思う所以です。
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┃★隣りの国はとんでもない国になりつつある ┃
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韓国の国会で「高官不正捜査庁」を設置するための法案が可決されました。
政治家や高級公務員の不正を暴くための捜査権限を検察から取り上げ、大統領府の管轄下に置くという法律です。
乱暴な言い方をすれば、「泥棒に縄をゆわせる」法律です。
この捜査庁は、2020年7月に設置の見込みです。
たしかに、これまで韓国の検察は、容疑のでっち上げ、保守政権への忖度と、およそ近代国家とは言えない酷さでした。
ゆえに、検察改革に賛同する韓国人が多いのは事実です。
しかし、文政権のやり方は、かつての保守政権のやり方を左右違えただけの同じ政策です。
もっと大きな問題は、「行政、立法、司法の三権力が互いに牽制し合う」という三権分立の意味を韓国民が理解していないことです。
大統領に強大な権限を与えている今の制度を変えようという声が国民から起きないことを見ても、未成熟な国民性がよく分かります。
この法律の採決に対し、野党の自由韓国党は、無記名投票を求めました。
与党の中にも、本法案に対する懸念があることを見越し、彼らの良心に期待したからです。
しかし、結局は記名投票となり、与党からの反対票は1票だけという結果です。
しかも、反対票を投じたこの議員は与党内で袋叩きになったということです。
どの国でも、政治家の多くは、国益よりも党派の争い、自分の利権に没頭するものです。
それゆえ、政治家の身分を不安定にすることが民主主義には欠かせない仕組み(つまり選挙制度)が何よりも大切なのです。
この点に関しては、日本も不備だらけです。
また昨年末に、韓国政府は、汚職政治家や労組の元委員長などを特別赦免しました。
今年4月の選挙をにらんでの露骨なまでの政権寄りの赦免です。
日本は、このような国家とまともに付き合っていく必要があるのでしょうか。
元徴用工問題で韓国が出してきている案は、どれも話にならない案ばかりです。
しかも、もし、こうした案で合意したとしても、後に反故にされるのを何度も経験してきました。
韓国は慰安婦問題や徴用問題だけでなく、竹島や旭日旗、日本海呼称、福島原発、さらには五輪に至るまで、あらゆることで、国際社会で執拗な日本非難を繰り返しています。
こうした行為の真の意図は、日本の評価をとことん貶めることにあります。
日本は、このような国に対し、70年にも渡って妥協を繰り返してきたのです。
こうした外交は、もう終りにすべきです。
半島は異国であることを念頭に外交戦略を考える時代になったのです。
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┃★民主主義に軍事力は不要?(4) ┃
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本シリーズの結論は、民主主義と軍事力は、まったく別の概念というところに行き着く。
民主主義は自国内の政治体制の選択であり、外交的な要素は少ない。
一方、軍事力は他国からの侵略に備える外交上の選択要素である。
ゆえに、この2つの概念は、直接的にはリンクしていない。
ところが、日本では現憲法のおかげで、「平和=民主主義=非軍事国家」という誤った図式が広まってしまった。
そして、この図式を掲げる政治勢力を平和・民主的な進歩派として評価してきた。
そろそろ、日本国民は、民主主義は国内問題であり、その国内の平和を守るため、軍事力が必要悪であることに気が付かなければならない。
今の日本は、憲法前文にある「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して・・・」が通じない国々に囲まれている。
こうした現状を冷静に考え、日本の民主主義を守るための外交・軍事力を強化する必要がある。
有名な言葉がある。
「最も弱い存在は、悪を知らない善である。最も強い存在は、悪を知り尽くした善である」
しかし、悪を知り尽くして、なお善でいることは、とても難しい。
映画のスターウォーズに出てくる「ダースベイダー」は、かつては善の心の持ち主であったが、母を思う心のスキを突かれ、暗黒の平面に落ち、悪の権化と化してしまった存在として描かれている。
個人も国家も、正義の心の裏側には暗黒面が広がることを心すべきなのである。
歴史は、悪を知らなかった国家の悲劇を教えてくれている。
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┃★第一列島線の攻防(5) ┃
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最近、「米国の空母艦隊は時代遅れ」とする論評がネットなどで拡散している。
そうした論者たちは、かつての日本の「大艦巨砲主義」と同じ道をたどると主張している。
表面的には、その通りかもしれないが、あまりにも“薄っペら”な見方といえる。
戦前の日本の大和、武蔵の悲劇を考えれば納得する面もあるが、そうした巨艦が意味なかったわけではない。
戦術面の失敗が、目指した結果を生まなかったのが真相である。
初期の制空権を得ていた時期に大和、武蔵を前線に投入していれば、その効果は絶大だったと予想される。
大敗北となったミッドウェー海戦でも、空母群の護衛として両戦艦を随伴させれば、現代のイージス艦のような役目が果たせて、あの敗北はなかったと思う。
結局、制空権を失った戦場に両戦艦を投入する羽目に陥り、その能力を発揮させることなく失った。
海軍軍令部の無策が招いた結果であった。
もちろん、現代の原子力空母といえども、裸で中国の対艦ミサイルの雨を浴びれば、大和、武蔵と同じ運命をたどるであろう。
しかし、現代の米軍の戦略中枢は、それほど愚かではない。
前号までに述べたように、中国が設定した第一列島線を逆手に取り、南西諸島に地上発射かつ移動型の中距離ミサイル戦力を配備する計画を自衛隊と共に実行に移しつつある。
驚異を感じた中国は、その配備を阻止せんとして、日本に急接近と脅しの両方を仕掛けてきている。
ただし、日本は、急を要しない限り、米国の中距離ミサイルの配備は行わないであろうし、それは堅持すべきである。
その代わり、自衛隊のミサイル戦力を充実させ、配備する計画でいる。
この計画を、中国としては非難しづらい。
お互い様だからである。
南西諸島のミサイル網を背景にすれば、米国の空母艦隊は行動の自由を得られる。
決して空母が時代遅れになったわけではないのである。
ここまで論評したことが実現するかは、正直、不明である。
あくまでも、米軍と自衛隊の戦略を解析し、妥当と思われる近未来を解説したものである。
私は、日米vs中国の戦争が実際に起こらないことを願っている。
しかし、中国が台湾への武力侵攻および尖閣諸島の占領を放棄していない現状では、侵攻に備える防衛体制を整備せざるを得ないことも確かである。
中国が冷静な判断をすることを期待するものである。
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<編集後記>
ゴーン被告のレバノンへの逃亡で明らかになったのは、日本の入出国管理の甘さと法整備の遅れです。
しかも、犯人引き渡し条約を、わずか2カ国としか結んでいないという怠慢ぶりに国民は呆れています。
野党は、こうした問題こそ厳しく政府を追及すべきなのですが、その能力に乏しいことがもっと大きな問題かもしれません。
逃亡後のゴーン被告のカネの亡者ぶりが浮き彫りになってきています。
そんな彼を、一時は、日産の救世主としてもてはやしたマスコミの見解(言い訳?)を聞きたいものです。
日本政府は、ゴーン被告の言い分をしっかりとした証拠を持って否定し、国際的な日本の名誉を守って欲しいものです。
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