2024年2月15日号(国際、政治)

2024.03.01


HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2024年2月15日号
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発行日:2024年2月16日(金)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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2024年2月15日号の目次
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◇日本の世界における役割とは?(1)
◇ウクライナ戦争は、時代を逆行させた戦いとなっている
◇自民党総裁選の行方
 
<HAL通信アーカイブス>http://magazine.halsystem.co.jp
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こんにちは、安中眞介です。
今号は国際問題、政治問題をお送りします。
 
国際政治学者の高坂正堯氏の新書「歴史としての二十世紀」が2023年11月に新潮社から発行されました。
ひと月後の12月に3刷ですから、この本の反響に驚きです。
高坂氏は1996年に亡くなっているので、それから27年も経っています。
しかし、現在の世界情勢が分かっていたかのような慧眼に頷きながら読み進んでいます。
特に強い印象を与えるのは、「問題だらけの資本主義がのさばってしまった理由とは」に関する部分です。
本メルマガで、いずれ取り上げていこうと思っています。
 
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┃◇日本の世界における役割とは?(1)           ┃
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ウクライナやガザの現状、中国や北朝鮮の自分勝手な振る舞いなどから明らかなことは、国連の存在意義が消滅に向かっているという現実です。
このことは、戦後日本が掲げてきた「国連中心主義」が意味を成さなくなっているということでもあります。
しかし、日本外交は、この惰性から抜け出せることができず、ずるずると世界における存在感を失いつつあります。
こうした事態に無能さをさらけ出している現在の政治を責める前に、国民一人ひとりが自らの意識を縛っている「見えない鎖」を断ち切る必要があります。
今号から数回に分けて、この問題を論じたいと思います。
 
この「見えない鎖」とは「79年前の敗戦」のことで、現在まで続く軍事防衛アレルギーの素となっています。
こう書くと「お前は軍拡論者か」と言われるでしょうが、「防衛」は国家を保つ原則であり、「軍拡」は、そのための手段のひとつです。
ですから、私は決して手段のみを申し上げているのではなく、まず原則を論じたいと思っています。
 
「たとえ他国から軍事攻撃を受けても、他国を軍事攻撃してはいけない」、いや「その準備をすることさえもいけない」、いやいや「そもそも軍備を持つこと自体がいけない」とする憲法9条を頑なに守ろうとする意識は、年配層を中心に今もって強いように感じます。
その憲法を強いた米国は、「日本は再独立を果たした際に改定するだろう」と考えていたことは、様々な戦後文書の公開によって明らかになっています。
ゆえに、米国は「まさか、現在に至るまで変えないとは・・」と、“とまどい”から”あきれ”、さらに”いらだち”をつのらせています。
 
もちろん、当時の吉田首相はバカではありません。
「軍事力がなければ国を守れない」ことは良く分かっていました。
しかし日本国民は、もともと「平和を愛する意識」が根底に根付いている民族です。
そこに、原爆まで落とされた悲惨な敗戦が重なりました。
「軍隊さえなければ戦争は起きなかった」とする国民の強い軍事アレルギーを前に、“ごまかし”に終始するしかなかったのです。
 
そうした中に浮上してきたのが「軍事力はいらない、国連に守ってもらえば良い」とする国連第一主義でした。
吉田内閣は、この国民感情を利用し、すべての経営資源を戦後経済の復興に投入し、成功しました。
そして「国土防衛は国連に託す」という政策を進めたわけです。
 
しかし、国連軍が組織されたのは、国連創設以来、たった一度だけです。
それが朝鮮戦争です。
戦争が始まった1950年当時の中国は共産党が政権を奪取していましたが、台湾に逃れた国民党が国連での議席を有していました(共産中国が台湾に代わって議席を得たのは1971年です)。
ゆえに、当時の中国(台湾政府)は米国に追随し、国連軍に賛成票を投じました。
ソ連は、北朝鮮の後ろ盾でしたが、米国との戦争になることを恐れ、棄権しました。
よって、安保理決議は、賛成4,反対0で成立したのです。
 
ちなみに、湾岸戦争における米英軍などは「多国籍軍」であり「国連軍」ではありません。
つまり、日本が国連に守ってもらえる可能性は限りなくゼロであり、現実は「米国に守ってもらう」しかなく、軍事同盟である日米安保条約に依存しているわけです。
しかし、軍事同盟は「相互防衛義務が常識」の同盟です。
米国には日本を守る義務があるが、日本には米国を守る義務はないとする「虫の良い条約」など有りはしないのです。
それゆえ、日本は米軍に基地を提供し、米軍が自由に使って良いとする交換条件が付いているのです。
その意味から考えれば、沖縄の普天間移設問題は「日本のわがまま」になるのが、国際常識です。
 
次回は、ここから抜け出る戦略の話をしたいと思います。
 
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┃◇ウクライナ戦争は、時代を逆行させた戦いとなっている   ┃
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ウクライナが、総司令官をザルジニーからシルスキーに変えました。
シルスキーは、バフムトでの撤退が遅れたことで、ウクライナの損害を増やしたと言われていますが、今度はどのような戦術を採るのでしょうか。
 
この戦争は、想定された近代戦とはほど遠い、第1次世界大戦というか明治の日露戦争の時代に戻ったような戦いになっています。
双方の陣地に縦横に掘られた塹壕の映像、歩兵の突撃などは、昔の映画を見ているような錯覚に陥ります。
もちろん、映画と違い実際に多くの人命が失われているので、軽々しいことは言えませんが・・
 
そして、何よりも重要になっているのが両国の兵站(補給)能力です。
昨年末、米国の下院がウクライナへの追加支援を否決したことで、ウクライナは明らかに砲弾不足に陥っています。
ドローン攻撃でこの不足を補っていますが、それにも限度があります。
秋の大統領選を睨んだ共和党の妨害工作といえますが、民主主義国家の弱点が露呈したものと考えることができます。
 
一方のロシアは、西側の経済制裁を喰らいながらも、「うまく対処」して、弾薬の生産量はむしろ増えています。
もちろん、中国、北朝鮮、イラン、ベラルーシなどから相当な軍事支援を受けてのことですが、この点でも、西側の支援は不足しています。
EU各国の足並みは揃わず、米国は党派対立で支援に陰りが出ています。
日本は憲法の縛りで武器援助は出来ず、民生援助が精一杯です。
もどかしいですが、法治国家である以上、法律を変えることが先決となります。
 
西側の誤算は、ロシアという国がここまで「人命を粗末にする国」との認識の欠如です。
ウクライナ陣地に最初に突撃するロシア兵は、ほぼ全滅します。
それでも、後から後から同じような波状攻撃を掛けてきます。
100人が突撃し90人が死んで、10人が次の塹壕なり掩蔽物に取り付きます。
同様の攻撃を10回繰り返すと、次の塹壕などに100人が溜まります。
そして、次の前進攻撃が始まります。
また90人が死んで、10人は少し前進したところに取り付きます。
こんな攻撃を繰り返し、少しずつ前進していくのです。
ウクライナ軍は、こうした兵士の命をまったく顧みない狂気の人海戦術への対抗が出来ず、膠着状態から押され気味となり、現在の最激戦地アウディーイウカも危うい状況となっています。
 
この事態は、米国バイデン政権の失態といえます。
ウクライナは昨年の反攻作戦時、必須となるF16戦闘機の供与を強く求めましたが、米国は渋りました。
反攻開始直前にようやくOKを出しましたが、パイロットの訓練に長期間を有する戦闘機の投入が間に合うはずはありません。
制空権のないままの反攻作戦の成功が難しいことは分かっていたはずなのに・・ですが、明らかにロシア軍の狂気じみた地上戦能力を軽視した米国の戦略ミスです。
 
1939年、日本と当時のソ連は満州のノモンハンで軍事衝突しました。
この時撃破したソ連軍の戦車は、外からカギが掛けられ中からは開けられないようになっていたと言われています。
これが、ロシアの人命に対する考えであり、甘く見ることは危険なのです。
戦局の劇的な転換は、もはやF16による制空権の確立とその支援を受けての反撃以外には無いと思われますが、米国の腰の引け具合が問題です。
 
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┃◇自民党総裁選の行方                   ┃
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上記の国際情勢とは裏腹に日本政治は泥沼状態です。
派閥と裏金問題で大騒ぎとなっていますが、自民党政権自体は倒れる様子がありません。
 
野党があまりにも弱いため、自民党は内部抗争に明け暮れる余裕(?)があります。
そこが日本政治の一番の問題です。
立憲民主党の泉健太代表が「次の総選挙で政権交代を」とか「150議席取れなければ代表を辞める」の発言をしているのは、野党のあまりの弱さへの危機感というより焦りの現れです。
しかし、今のままの野党が政権を取れると考えている国民はほとんどいないでしょう。
 
そんな低空飛行の野党に対する安心感もあって、自民党内の関心は9月の総裁選に集中しています。
その中でキーとなるのが、岸田首相と麻生氏の関係です。
岸田首相は、いち早く自分の派閥を解消し、他の派閥を追随させることを国民へのアピール材料としています。
これで若干支持率が上がりましたが、すぐに下がっています。
その上15日に、個人の確定申告が始まることに合わせ、
「確定申告および納税を適切に行うようお願いしたい」と言ったことで、さらに下がってきています。
となると、次の手は「企業・団体からの献金禁止」あるいは「裏金の使途の強制公開」となるのでしょうか。
 
この派閥解消に真っ向から反対し、自派閥の存続を宣言しているのが、麻生副総裁です。
麻生氏がここまで強気に出ている理由は2つあります。
ひとつは、「そもそも岸田首相を誕生させたのはオレだぞ」という自負と「それを裏切った岸田は許せん」という怒りです。
もうひとつは、麻生派の全議員は政治資金の収支をすべて「収支報告書」に記載しているということがあり「やましいカネの出入りはない」と言えるということがあるようです。
(裏が取れている情報ではないため、真偽は分かりませんが・・)
 
岸田首相は、さらに国民受けが良い(と思われる)策を打ち出し、裁選の前倒し、場合によっては衆院解散・総選挙に打って出ることを目論んでいると思われます。
 
しかし・・、ご本人自身の魅力に乏しい、あるいは「面白さ」に欠けるという弱点を補うことができるのでしょうか。
「面白さ」という点では麻生氏のほうが一枚上手で、数々の失言も支持者には結構受けています。
上川陽子外相への言及も、真意は「上川氏を担ぐこともあるぞ」という岸田首相へのブラフです。
 
早速、マスコミは「上川首相もあり・・」などと軽薄に囃し立てています。
上川氏の閣僚としての能力に疑問はありませんが、しかし首相となると話は別です。
なにより、ご本人には麻生氏のコマとなる気があるようには見えませんが・・
 
ネットでは高市早苗経済安保相を押す声が高いですが、総裁選挙がどのような形で行われるかがカギです。
総裁選前に党幹部の談合で決まれば、可能性はゼロです。
また、国会議員だけの選挙となれば、苦しいでしょうが、全党員による選挙となれば、その可能性は上がります。
20人の推薦人を、どのような顔ぶれで集められるかに注目しています。
さて、どうなるでしょうか。
 
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<編集後記>
マイナ保険証の利用率が4.36%ということです。
今年の12月に紙の保険証を廃止する方針ですが、できるのかな?
河野太郎デジタル担当相は、「イデオロギー的に反対される方は、いつまで経っても『不安だ』『不安だ』とおっしゃるでしょう」と発言し、批判を浴びました。
この方の「お坊っちゃま」発言は、いつもながら軽薄ですね。
 
私も反対ですが、別にイデオロギー的に反対しているわけではありません。
すべての個人情報を1枚のカードに収めることに対する不安が大きいのです。
現に、外務省が3.77%、防衛省が2.50%と、セキュリティに敏感な省庁の職員ほど後ろ向きです。
 
 
<お知らせ>
2/1の号外でお知らせしました、「儲かる建設会社になろう」のサイトのオープン。
まだ、2つのジャンルしかありませんが、順次拡充していきます。
 
ぜひ、一度、 儲かる建設会社になろう で検索してみてください。
 
 
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