2019年7月15日号(国際、政治)
2019.07.16
HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2019年7月15日号
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発行日:2019年7月15日(月)
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2019年7月15日号の目次
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★日本の核武装
★日韓半導体戦争の裏側
◇戦争抑止力としての軍事同盟(2)
◇純粋な軍事の話(9)
<HAL通信アーカイブス>http://magazine.halsystem.co.jp
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こんにちは、安中眞介です。
今号は国際問題、政治問題をお送りします。
つくづく、トランプ大統領という人はパフォーマンスが上手な( 好きな?)人だと思いました。
先月末の板門店での電撃会見は、彼でなければ出来ない芸当です。
突然のツイッターでの呼びかけに金正恩が即応える・・なんて、出来レース以外にあり得ない話です。
よくまあ、こんな猿芝居を演じられるもんだと、半ば呆れ半ば感心しました。
この猿芝居に付き合ったということで、金正恩の焦りが相当なレベルであることが分かりました。
同時に、日本人に「米国頼みの防衛」の危うさを教えてくれたパフォーマンスでもあります。
「自国防衛は、まず自国で」という原則を封印してきた国、それが日本です。
今号は、そこから入るとします。
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┃★日本の核武装 ┃
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このテーマに、読者のみなさまは「ギョッ」とされたかもしれませんね。
平和主義者の方からは「極右」とか「軍国主義者」と攻撃もされるでしょう。
でも、あえて言います。
世界からは「日本の核武装は時間の問題」と見られているのです。
そのような論調に力を与えているのは、もちろん北朝鮮や中国の核戦力です。
それと、トランプという「カネのことしか頭にない」人が米国の大統領だという事実です。
トランプ大統領は、金正恩との個人的関係をやたら誇示していますが、米国の政権中枢はそんなに能天気ではありません。
現在は、北朝鮮への軍事攻撃に踏み切るか、北朝鮮の核保有を黙認するかの二者択一になっています。
もちろん、北朝鮮の非核化の望みを捨てたわけではありませんが、可能性は相当に小さくなっています。
で、その二者択一ですが、さすがに軍事攻撃はリスクが高すぎて具体策が絞れていません。
ただし、在韓米軍が撤退して米国人に被害が出ない状況となった場合には分かりません。
それより可能性が高いのは、北朝鮮の核を暗黙に認めることです。
かつ、韓国の核武装も容認し、半島を「核による均衡状態」に置くという戦略です。
これはこれで、平和共存となるわけです。
「どこが平和だ」と怒られるかもしれませんが、米ソが激しくぶつかった冷戦時代も、核戦争にはなりませんでした。
双方が核兵器という防御不可能な兵器を持つことが、戦争の抑止力になっていたのです。
もちろん、一つ間違えば、一気に人類滅亡となる「危うい平和共存」ですが・・
かつてケネディ大統領が、この状態を「ダモクレスの剣」と呼んでいたことは有名な話です。
話を戻します。
在韓米軍が撤退し、核武装した南北朝鮮が半島内で平和共存する事態になったと仮定します。
そうなった時の南北朝鮮は、どちらが主導を取るにせよ、やがて統一朝鮮となるでしょう。
この核武装した南北朝鮮の出現は、米国が容認すれば、すぐにでも現実となります。
日本国民と違い、韓国民の多数は核武装を望んでいます。
動き出したら、実現は早いでしょう。
それに対し、日本国民の核アレルギーははるかに強いですから、韓国ほど簡単ではありません。
しかし、決断すれば、早期に核兵器を開発できる国です。
米国の科学者の中には「日本は3日で開発できる」と言う者さえいます。
それは大げさとは言え、世界が日本をどう見ているかが分かる発言です。
核武装された統一朝鮮は、中国への傾倒を深めていくでしょう。
中国は、半島とともに日本に軍事的圧迫を深め、日本を支配下に置く戦略を本格化させるでしょう。
そして、そうした中国の太平洋進出を封じ込めるため、米国は日本と台湾の核武装を推進するでしょう。
しかし、皮肉な話ですが、こうした事態を最も望まないのが中国です。
核武装した統一朝鮮は、中国にとっても脅威となるからです。
その上、日本までが核武装したら、中国は、米、露、朝鮮、日本という核武装国に囲まれることになります。
それは悪夢です。
あまりも仮想の話なので、「あり得ない」と一蹴するのは簡単です。
でも、「あり得ない」話ではありません。
そこまで考慮した上で、日本は、これからの対米、対中、対半島との外交戦略を練り直す必要があるでしょう。
ゆえに、今は「核武装する」とも「しない」とも言わないほうが外交上、有利ということです。
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┃★日韓半導体戦争の裏側 ┃
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韓国が大騒ぎしている今回の半導体材料の輸出規制ですが、その裏側の事情を考察します。
今回の処置は、輸出禁止ではなく「輸出手続きの優遇処置を止めます」という宣言に過ぎません。
なのに、韓国の騒ぎようは尋常ではありません。
韓国は米国に泣きついていますが、そもそも、この黒幕は米国ですから、滑稽な姿です。
冷静に世界の半導体市況を見てみると、格別な動きはなく、至って平穏です。
「世界の半導体市場が混乱する」というような記事が、韓国紙だけでなく日本の各紙にも載っていますが、マスコミは冷静な記事を書いて欲しいものです。
現在の半導体市場は商品がだぶつき、メモリの価格は半値状態です。
ゆえに、世界の半導体ユーザーの中で、今回の騒動で製品の確保に走っている動きはありません。
サムスン電子の2019年3月末時点(つまり、今回の規制処置の3ヶ月前)のバランス・シートを見ると、在庫資産が前年比で8・8%も増えています。
これは、売れ残ったDRAMと見られ、市況が在庫過剰な状況になっていることを物語っています。
また、一般には、今回日本が優遇処置を止めた3品目が半導体の生産に欠かせない材料と報じられていますが、極めて高品質なものに限っていますので、普及型のメモリ製造用のものではありません。
ゆえに、韓国メーカーがメモリ生産に困ることはありません。
今回の処置は、NAND型と呼ばれる高品質のメモリや非メモリ分野という次世代に向けた戦いの火蓋が切られたという意味のほうが強いです。
この分野でも、サムスン電子、SKハイニックスといった韓国メーカーはシェアを持っていますが、DRAMメモリほどではありません。
しかも、米国のマイクロン・テクノロジーや日本の東芝メモリもある程度のシェアを持っていて、韓国を激しく追い上げています。
両社とも主力工場は日本にあり、DRAMを含めた生産能力の増強に動いています。
今回の日本の処置で、材料調達では圧倒的に有利な状況になったといえます
左派系の新聞は「日本の素材メーカーも打撃を受ける」と書いて、政府を批判していますが、増産体制に入った日米の半導体メーカーが買ってくれますから、打撃はありません。
材料だけでなく半導体製造装置の市場も日本メーカーの独壇場ですが、やはり困ることはありません。
こうした事態を受け、世界の半導体ユーザーは、韓国メーカーからの調達を危険視し出しています。
ユーザー企業にとっては、供給不安が最も危惧する事態です。
日韓の対立が激化すればするほど、韓国企業への依存を危険視するでしょう。
そうしたユーザーが、今、最も注目しているのは米国政府の動きです。
今回の日本の処置に米国が口を挟むかどうかを見ていますが、米国はまったく動く気配を見せません。
それを見た世界は、「日本は事前に米国に説明し、お墨付きをもらっている」と解釈しています。
韓国の康京和(カン・ギョンファ)外交部長官は、米国のポンペオ国務長官に電話し、日本を非難しました。
いつもの「告げ口外交」です。
韓国外交部は、ポンペオ長官は「理解する」と答えたと発表しましたが、実際は「話は聞いた」というレベルの返答だったということです。
さらに、韓国は政府高官を続々とワシントンに送り「日本を叱ってくれ」と米国に泣きついていますが、米政府は何の反応も示していません。
「日韓はともに米国の友人であり、同盟国だ」と木で鼻をくくったようなコメントしか出しません。
韓国の米国詣では逆効果となり、世界の半導体ユーザーは、「米国が韓国を助けることはない」と判断し、調達先を米国や日本に切り替えていくでしょう。
そもそも米国にとっての韓国は、北や中国に対する安全保障上の防波堤でした。
それなのに、北朝鮮を裏で援助するばかりか、公然と経済支援を行おうとしているのです。
米国にとって、韓国は意味の無い国になりつつあるのです。
今回の日本の処置の裏に米国の思惑があり、その考えを読み取った半導体ユーザーは「今のうちに購入先を変えておこう」と動き出しているのです。
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┃◇戦争抑止力としての軍事同盟(2) ┃
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トランプ大統領が日米安保条約を破棄する考えを側近に話した。
米国政府はすぐに打ち消したが、大統領はツイッターでも同様のことを投稿し、発言が真意であることを自ら証明した。
驚くほど浅はかな発言に見えるが、日米貿易交渉や武器購入を有利に進めるための発言であることは見え見えといえよう。
一部に、憲法改正を目指す安倍首相に対する援護射撃との論評もあるが、トランプ大統領は、そこまでの考えを巡らす人ではない。
逆に、最近の日中接近に対する警戒心の表れと解釈したほうが良いのかもしれない。
米軍のトップは大統領であるが、実際の戦略は、米国国家安全保障戦略、国家防衛戦略に明記されている。
その中で「中国、ロシアとの大国間競争に打ち勝つこと」、さらに、この両国とは長期間の戦略的競争関係になることを明言している。
特に、近年急速に軍事力を増強している中国は「地球規模で米国の主導的地位に取って代わろうとしている」とはっきりと警告している。
さらに、中国は、第1および第2列島線内で米軍に対抗する能力を着々と整備し、2025年までにインド太平洋全域で米軍に対抗できる能力を構築するであろうと、両戦略で明言している。
米軍の力が後退すれば、日本は中国の軍事的勢力圏内で孤立する恐れがある。
こうした事態の到来を、日本の新「防衛計画大綱」では「安全保障上の強い懸念」と表明している。
日本が踏み切った集団的自衛権の行使は、この米軍の新戦略と深い関係がある。
つまり、日米安保条約を日米軍事同盟へ進化させる布石である。
しかし、ここに来て、この動きにストップがかかった。
昨年10月に訪中した安倍首相が、「これからの日中関係は『競争から協調へ』を3原則の一つとして確認した」と発言したからである。
この発言は、米国に深い懸念を呼び起こした。
折しも、貿易戦争が激化の度合いを深めている中での発言である。
「日本の真意はどこにある」とした警戒感が米国に生じたのは当然である。
今後、新防衛大綱との矛盾や曖昧な点を米国から指摘されかねない。
こうした中でのトランプ大統領の「日本タダ乗り」発言である。
日本は、ますます激化していく米中の覇権争いという現実の中で、傍観者の立場でいることは許されなくなるであろう。
さらに、国内においても、安全保障の脅威に中国の軍事力があることを明確化し、中国とは「戦略的競争関係」にあることを国民に認識させなければならない。
尖閣諸島などへの領海侵犯といった明確な敵対行為が止まない限り、警戒を緩めるわけにはいかないのである。
次回、米軍のアジア戦略の要を解説し、日米が明確な軍事同盟に進むのか否かを述べたい。
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┃ ◇純粋な軍事の話(9) ┃
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板門店では上機嫌だったが、トランプ大統領の心理は、常に不安定な状態にあるように見える。
ツイッターへの煩雑な投稿を読んでいると、心理が一定していない。
文法やつづりの間違いが常態化しているところから、誰かに内容をチェックさせている様子もない。
つづりのミスなどお構いなしという無頓着な性格なのであろうが、自分の心の揺れを隠そうともしない姿勢には危うさがつきまとう。
何しろ、全世界を滅ぼす核戦力を有する国の大統領なのだから、「危なくってしょうがない」と言いたくなる。
その危うさが露呈したのが、先月、相次いで出されたイランへの攻撃命令と撤回命令である。
トランプ大統領は、米国の無人偵察機がイランに撃墜されたことに激怒して、報復の空爆を命じた。
大統領命令は絶対である。
米軍は直ちに攻撃準備に入り、イランの3ヶ所への攻撃体制を整えた。
しかし、戦争になることに恐怖を感じたトランプ大統領は、直前に攻撃の中止命令を出した。
トランプ大統領は、軍事に関してはド素人である。
軍事戦略の何たるかを勉強している節もない。
今回の攻撃命令と直前での中止命令は、大統領の素人さと精神的不安定さをさらけ出したものであり、軍は不信感を強めているであろう。
比較するのは酷だが、ナチスドイツのヒットラー総統に似ている。
ヒットラーは、第一次世界大戦に従軍していたが、階級は伍長という下っ端の下士官である。
「伍長」の語源は、5人部隊のリーダーである。
そんな経験しかないヒットラーは、最初は有能な将軍たちに軍の指揮は任せていた。
しかし、戦局が硬直化すると口を出し始め、突如ソ連への攻撃を指示した。
二方面への同時攻撃は、戦略上、最も行ってはならない手段である。
当然、ナチスの幕僚たちは反対したが、独裁者は言い出したら聞かない。
敗北への道の第一歩が始まってしまった。
今の米国がナチスドイツと違うのは、独裁国ではなく民主国家という点である。
しかし、トランプ大統領は、そんなことにはお構いなしに独裁者のように振る舞っている。
だが、イラン攻撃の時に露呈したように、本来は非常に気の小さい人である。
米軍は、あの時、イランへの出撃直前であった。
だが、その夜、「この攻撃での死者予想は150人」とのシミュレーション結果を聞いたトランプ大統領の心が崩れ、急に平和愛好者になったのである。
結果として戦争が回避されたことは良かったのだが、こうした大統領の激昂しやすいくせに臆病な性格が米軍に知れ渡ったことはマイナスである。
米軍の幕僚たちはどう思ったであろうか。
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<編集後記>
G20での韓国・中央日報紙の以下の記事をネットで読まれた方も多いと思います。
「習主席は安倍首相をスルー、トランプ大統領は文大統領にスキンシップ」
なんとかして安倍首相を貶(おとしめ)ようという“涙ぐましい”意図が露骨に出た表題。
今の韓国民の心情そのものだなと、半ば呆れ、半ば納得して読みました。
この負の感情から抜け出さないと韓国の明日は無いでしょう。
日本としては、半島とは距離を置くしかないようです。
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