2020年1月31日号(経済、経営)
2020.02.06
HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2020年1月31日号
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発行日:2020年2月4日(火)
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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2020年1月31日号の目次
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★日立と東芝
★環境保護運動の過激化はビジネス?
◇これまでの経済、これからの経済(6)
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こんにちは、安中眞介です。
今号は、経済、経営の話題をお送りします。
1月ボケで、配信が遅れました。すみません。
連日、新型のコロナウィルスの話題で溢れていますが、正直な話、実感が薄くて人々の警戒心も中途半端な気がします。
街で見かけるマスク姿も半分以下ですし、感染を恐れる様子もありません。
日本での患者数が劇的に増えでもしない限り、こんな様子が続くのでしょうか。
それより、今後影響が出てくる経済面のほうが心配です。
と言うことで、ウィルスの解説はパスします。
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┃★日立と東芝 ┃
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私が大学を卒業した1970年代、日本は高度成長期でした。
機械工学科に在籍していましたが、卒業生70名に対し求人は2000名を超えていました。
今より就職バブルでしたね。
その卒業生の中で、成績一番が選んだ会社は東芝でした。
ちなみに、2~4番は日立製作所を選びました。
つまり、その時代、理工系学生の人気を2分していたのが、日立、東芝の2社でした。
それから半世紀、両社の命運は分かれました。
日立は今も有力企業ですが、東芝は無残な状況にあえいでいます。
そうした今日の両社の明暗の芽を、私は40年ぐらい前に感じていました。
その頃、私は福島第一原子力発電所において、放射能調査チームの一員として働いていました。
私達は、仕事柄、6基あった原子炉の全てに立ち入る権限を持っていました。
以前、本メルマガにも書きましたが、1号基は米国GE社製、2号基はGEと東芝、3号基はGEと日立が共同で建設しました。
4号基からは、東芝と日立両社が交互に建設した国産炉でした。
つまり、あの事故を起こした3つの原子炉は、すべてGE社の設計によるものだったのです。
国産の4号基は3号基の爆発の余波で破壊されたのであり、原子炉は定期点検中で停止していました。
我々は、毎日、原発内で残留放射能を調査していましたが、あることに気が付いていました。
それは、原子炉建屋内の清掃状態が号基によって、著しく違っていたことです。
危険箇所にも立ち入る我々は、当然、かなりの線量を被曝します。
建屋内の清掃状態は、被曝線量に直結する大きな問題でした。
その清掃状態ですが、日立が管理を請け負っていた原子炉が良好だったのに対し、東芝が請け負っていた原子炉は劣悪だったのです。
建屋内の至る所にほこりが溜まったままであったり、使わなくなった道具がそのまま放置されていたりとか、枚挙にいとまがないくらいでした。
レベル2という、比較的危険度の少ないエリア内に、高濃度に汚染されたワイヤーロープが積まれたまま放置されていたこともあります。
たまたま、私がそのロープの近くで作業をしていて、多量の被曝をしたことで分かりました。
1ヶ月の許容値を超える線量を、たった1日で被曝したのです。
つまり、今日の東芝の苦境の源は、その頃からあったのです。
当然、我々は調査結果を東電に報告しましたが、その後の経緯については何も聞かされず、また現場に改善の兆しはありませんでした。
監督すべき東電の、こうした体質も、あの事故を引き起こした原因の一つと言えます。
それ以上に、東芝の会社としての劣化はひどかったわけです。
企業は、単年度の決算内容に一喜一憂しますが、良いことも悪いことも、相当の時間の経過後に顕在化するものです。
そのことを、東芝の例は教えてくれています。
その昔、原発チーム員同士で話していました。
「東芝はヤバいね」とです。
その予言が当たるとは・・が、今の感想です。
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┃★環境保護運動の過激化はビジネス? ┃
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地球温暖化の話題となると、真っ先に思い浮かぶのが、スウェーデンの少女、グレタさんではないでしょうか。
環境保護運動家からは、ジャンヌ・ダルクのように持ち上げられている彼女ですが、「人類は絶滅する」というような、激しい言葉使いには、正直、引いてしまいます。
たしかに、産業革命からの300年間で気温は1~2度上昇したと言われていますが、そのことで、農業生産が拡大し、寒冷地にも人が住めるようになったりとかの恩恵もあったわけです。
すべてを悪い方向に過度に解釈すれば「人類滅亡」というような言葉も出るのでしょうが、それでは建設的な議論ができません。
グレタさんの発言からは、マネーや経済成長を敵視する言葉も多いですが、経済的に恵まれない発展途上国での野焼き等による環境汚染は、相当に深刻です。
経済的な発展がなければ、こうした汚染を食い止めることは難しいです。
そうした国々の発展は禁じるとでも言うのでしょうか。
かつて、日本でも原発反対派の人たちによる「電気か安全か」というような過激な選択を迫る言動がありましたが、環境保護活動家の言動にそれと同等の無責任さを感じます。
環境問題は、経済的な力が付かないと取り組めないのではないでしょうか。
いろいろな方が指摘していますが、グレタさんの周りの大人たちが彼女の思いを利用しているのではないかという違和感を、彼女のスピーチから感じます。
また、あのように過激で攻撃的なスピーチを続ければ、その反対側にいる人たちの憎しみや反感をつのるだけのような気がします。
そうした危惧を、周りの大人たちが教え、考えてやる必要があると思いますが、彼女を利用することしか考えていない人たちは、聞く耳を持っていないでしょう。
欧米の環境運動は、今やビジネスと化しているのではないでしょうか。
小泉環境大臣に言いたい。
賢く、かつ冷静に対処していかないと、日本が、こうしたビジネスの餌食にされますよ。
育休を取られるなら、その間、じっくりと考えてください。
一人の父親の役目より、大臣の責務は重いのです。
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┃◇これまでの経済、これからの経済(6) ┃
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日本経済をドン底に落とす要因となったバブルの期間は、1986年12月から1991年1月までと言われています。
私が建設会社の管理職として過ごした時期と重なります。
つまり、バブルを起こした側の人間だったわけです。
会社全体が浮かれていました。
社内では、「10億円以下はクズ工事」と公然と言われていました。
一晩100万円、200万円の接待など当たり前の雰囲気の中で、正常な感覚が麻痺していきました。
経理へ行き、「今度、重要な接待がある」と言うと、経理から「1つですか2つですか」と聞き返されます。
1つとは100万円の現金の束を意味します。
「今回は2つ」と言って、現金の束を受け取り、銀座に出向くわけです。
当時の銀座は、そんな社用族であふれ、タクシーを捕まえることが一仕事でした。
でも、高級クラブからだと、不思議とタクシーが捕まります。
それはそうです。我々は3~4万円のタクシー代を払う客でしたから上客でした。
さて、そんな思い出話はどうでもよく、本題に入ります。
バブルを一言で表現すると、「本来の価値とはかけ離れた値段を付けること」となります。
銀座の10坪の寿司屋の土地が10億円で売れました。
しかし、銀座とはいえ、寿司商売で、1坪1億円の儲けは容易には作れません。
実際の儲けが1000万円だとすると、10坪で1億円。
その差額9億円がバブルとなるわけです。
でも、その土地を20億円で転売したとすると、バブルは19億円となります。
こうしてバブルは膨れ上がりますが、実商売の価値は1億円のままです。
お分かりのように、バブル時には、良識を持っている人はそれほど儲けることができません。
「このバブルは異常だよ。いつかは弾ける」ということを理解し、無茶をしないからです。
バブル真っ盛りの頃、著名な経済評論家が、こう発言しました。
「いま、大きな投資をしない経営者は経営者じゃない!」
このような評論家に煽られて、無茶な投資を続ける人がバブル時には勝者となります。
しかし、いつか誰かが言い出します。
「あの銀座の10坪の本当の価値は、せいぜい1億円だよ」
札束に狂奔していた人々が、ハタと気が付きます。
「そうだよ、もともと、あの土地は1億円もしなかったんだよ」
その瞬間、20億円のうち19億円が泡と消えます。
バブル崩壊は、こうして一気に起こります。
現代は、投資バブルの時代です。
この時代の寵児は、間違いなくソフトバンクグループを率いる孫正義氏です。
ひたすら多額の借金をして投資を続けてきましたが、追い風が吹きアリババ等の投資先の大成功が続き、綱渡りに成功しました。
しかし、ウィーワークスの失敗に見られるような逆風が吹き始めています。
孫さんは、グループ内の資金の流れを複雑にしているので、全容は分かりません。
また、携帯事業やヤフー以外のビジネスの実態も見えません。
こうした煙幕作戦が功を奏して再び、「破竹の快進撃」になるのか。
それとも「自転車操業」に陥るのか。
これから見えてくるのでしょうか。
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<編集後記>
現代社会にコンビニは欠かせない存在となっていますが、かなりの店舗が経営状態の悪化に直面しているといわれています。
加盟店の約4割が店主夫婦だけの勤務で年収400万円以下という報道もなされています。
実家の近くにあるコンビニの棚から乾電池が消えたので店主に聞いたところ、「万引がひどいので、カウンターで直接売ることにしました」との答え。
薄利で頑張っているコンビニに万引の追い打ちとは・・
店主に掛ける言葉もありませんでした。
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