2020年7月15日号(国際、政治)
2020.07.16
HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2020年7月15日号
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発行日:2020年7月15日(水)
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2020年7月15日号の目次
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◇中国の思考法を学び、対処する(1)
★韓国は狂ってしまったのか?(2)
◇抑止力という名の軍事力(3)
◇悲劇の価値
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こんにちは、安中眞介です。
今号は国際問題、政治問題をお送りします。
セクハラで訴えられたソウル市長の自殺で韓国は大騒ぎです。
市長は次の大統領候補とも言われていた人物だったので、政権与党は火消しに大わらわです。
一方で市長を訴えていた女性に対するSNS上での誹謗中傷も凄まじく、警察が捜査に乗り出すまでの騒ぎになっています。
朝鮮日報の社説の次の一節が、韓国社会のすべてを物語っています。
「自分たちが支持する人物を無条件で擁護し、相手を排斥する韓国社会の風土を改めて確認できる行為だ」
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┃◇中国の思考法を学び、対処する(1) ┃
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香港に対する「国家安全維持法」の強引な導入や南シナ海や尖閣海域での横暴な振る舞いなど、中国の攻撃的姿勢が一段と鮮明になっています。
中国は、世界から批判されることが分かっていながら、なぜ、こんな強引な手法を取るのでしょうか。
それを理解するには、中国の古代思想を学ぶことが有効です。
まずは、2つの思想を考察してみます。
その1:中華思想による上下関係で国や人を見る
中華思想とは、今では広く知れ渡っていますが、中国が世界の中心に位置する「主人」で、周辺国はすべて「家来」とする思想です。
この思想で、外の世界もすべて「国内の序列の延長」とみなしているのです。
今回の「国家安全維持法」38条には、海外に住む外国人でも、中国を批判する者は処罰の対象になるという、驚くべきことが書かれています。
つまり、日本人である私が“日本で”中国を批判する言動を行えば、中国が処罰できるということです。
さすがに日本にいる私を拉致し中国で処罰することはできないでしょうが、私が中国や香港に入国したならば、直ちに逮捕・監禁される恐れがあるということです。
諸外国からしたら「ふざけんなよ」ということですが、中華思想から言えば当然のことなのです。
今後、中国と「犯罪人引渡し条約」を結んでいる国は、破棄が増えるものと思われます。
その2:孫子の兵法が戦略・戦術の基本
古代中国の兵法書「孫子の兵法」は、私も学び、経営の指南書としていますが、生みの親である中国には脈々と受け継がれています。
自分が弱い立場の時には、徹底した臥薪嘗胆(我慢に我慢を重ねる)で歯を食いしばって耐える。
そのためにはあらゆるモノを利用する。
だから、民族主義だの共産主義だのというイデオロギーも、本気で信奉するのではなく、すべて利用するものであり便法なのです。
かつての日中国交回復もその文脈でなされ、中国は、日本から多額のODAを引き出すことに成功しました。
そして、ひとたび他を圧倒する力を得れば、今度は徹底した力の行使に転ずるのです。
孫子が説くところの「積水を千仞(せんじん)の谷に決するが如き・・」です。
つまり、ダムに貯めた水を一気に下流に流すように、全力で攻めよという意味です。
その場合、自分が弱い時の取り決めや条約などは考慮しません。
英国と50年は守ると約束した「一国二制度」など、紙くずになるのが当然です。
それは、日本の考えでは「ご都合主義」となりますが、中国の考えでは「現実主義」で正当化されるのです。
ゆえに、「ダブルスタンダードだ」との非難などは、どこ吹く風なのです。
なにしろ、「社会主義市場経済」などという矛盾する概念を平気で吹聴する国ですから、香港問題などは、中国の論理から言えば、当然の帰結に過ぎません。
「一国二制度」なんて、中国の力が弱かった時代の便法であり、最初から守る意思など無かったのです。
上記2点は、中国に古来伝わる思想であり、良い悪いで論じても意味はありません。
中国古典を学べば、そのことがよく分かります。
人としての道徳を説く論語と、人を欺く法を教える韓非子を読み比べてみれば分かります。
両者に共通項なんて微塵もありません。
しかし、その両者とも現代まで生き残っている中国の思想体系です。
それが中国なのです。
私は中国の悪口を言うつもりはありません。
中国の根底に流れている思想体系を知るべきと言っているのです。
では、どう対処すべきか。
それは次号で解説します。
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┃★韓国は狂ってしまったのか?(2) ┃
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金与正の狂気のような悪口雑言は、北朝鮮の苛立ち、焦りであり、韓国の文大統領の「裏切り」に対する糾弾です。
それでも、文大統領を始め、政権与党は、北朝鮮寄りの言動を改めようとはしません。
心底、核を持つ北朝鮮と一緒になりたいのです。
朝鮮戦争で北朝鮮は韓国の民間人を大量に虐殺しました。
しかし、文政権は、そのことには一切言及しません。
反対に、実際にはなかった日本による虐殺を、これでもかとばかり国民に吹き込んでいます。
与党の露骨な教育現場への介入により、年少者や若者に北朝鮮シンパが増えているといいます。
金正恩を英雄扱いする首長すら現れています。
亡国への道を走っているとしか思えない状態です。
経済音痴の文政権はこの先も経済運営の失敗が続き、下落傾向は止まらないでしょう。
さりとて、日本に頭を下げるわけにもいかず、結局、南北統一にすがるしか選択肢がないのです。
この先、半島情勢の不安定化懸念もあって、韓国からの資金流出は増えていくでしょう。
さらに、徴用工問題の現金化が実行されれば、日本が金融制裁を実行する可能性が高まります。
そうなったら、外国資本は一斉に韓国から手を引くという事態になるかもしれません。
結果、経済の悪化は進み、膨れ上がった家計及び企業債務の破綻が相次ぎ、一気に不況が深刻化する恐れがあります。
韓国国民は、自国が直面するリスクの深刻さを十分に理解し、文政権に対するスタンスを変えないと大変な事態に陥るでしょう。
しかし、「現実を直視せず、自分の都合でいいように解釈する」という国民性を考えると、それは難しいかもしれません。
日本は、政治でも経済でも、韓国側の「絶対に謝罪せず常に自分が正しいと主張する」姿勢に散々振り回されてきました。
善意はすべて仇となって帰ってくることを、嫌になるほど経験しました。
日本国としては、腹をくくって、離れたほうが良いでしょう。
最後に、朝鮮日報の金泰勲(キム・テフン)論説委員の言葉を借ります。
「北朝鮮は敗北を認めたことがない。私たちに平和を請うたこともない。むしろ委縮し、恐れているのは私たちの方だ。北朝鮮向けのビラを口実に攻撃するという言葉の爆弾にも恐れおののく大韓民国を北朝鮮はあざ笑っている。民主主義の柱である表現の自由すら放り出してしまった私たちは勝者ではなく敗者だ。こうしたあらゆる兆候がはっきり現れている事実はただ一つ、大韓民国精神の衰退だ。ギボンがよみがえって韓半島(朝鮮半島)の歴史を書いたとしたら、それが『大韓民国衰亡史』になることは明白だ。自由・民主・共和を掲げた建国精神を捨て、一介の低質な王朝の脅迫なんぞに屈従した精神の衰退がその原因だ。」
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┃◇抑止力という名の軍事力(3) ┃
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前号で「イージス・アシュアの軍事的効果は疑問」と書いたすぐ後に河野防衛大臣が計画の停止を発表しました。
私が事前に知っていたわけではありませんが、同様の論理に達したものと思われます。
ミサイル兵器の発達の速度を考えると、イージス・アシュアが、かつての戦艦大和の運命を辿ってしまう恐れが大きいということです。
ただ、イージス艦の増強案については批判的な記事も出ています。
イージス艦を常時海上に置いておくわけにはいかず、いつ飛来するかも分からない弾道ミサイル防衛には不向きということです。
それも道理で、どうしても、受け身の防衛は不利です。
そう考えると、現在の自衛隊の力では弾道ミサイルは防ぎきれないという現実に至り、敵基地攻撃論という過激な案が浮上してきます。
議論はおおいに結構ですが、現実的かというと、これも不可でしょう。
ここで改めて日本を取り巻く現実を認識する必要があります。
日本にとっての真の脅威は北朝鮮ではなく中国だという現実をです。
米国のシンクタンクなどから、中国による尖閣諸島の奪取シナリオなどが度々出てきますが、これは日本というより米国政府に対する警告の様相が濃いものです。
つまり、尖閣奪取計画に対して日米安保条約を発動することを中国に告げよという警告です。
同時に、日本に対しても防衛力をもっと強化せよという提言でもあります。
私は、中国政府は、まだ尖閣を武力奪取する自信が付いていないと見ています。
ただし、人民解放軍の強硬派は、そうではありません。
彼らは、尖閣奪取以上に、日本と戦争して勝ちたがっています。
そうした非常に危険な勢力が中国軍の中で徐々に存在感を増しています。
前号で書いたように、日本の歴代政権は、憲法9条を上手に利用して効率のよい防衛力を整備してきました。
しかし、電子誘導兵器の飛躍的な発達によって、防衛に対する考えを根本から変えなくてはならない時代になりました。
言うまでもなく、人間が主役の戦争からミサイルが主役の戦争になってきているのです。
「第一列島線の攻防」のシリーズで述べたように、日本は南西諸島にミサイル防衛網を整備するとともに、イージス艦や潜水艦の増強、F35の早期配備などを前倒しで進め、艦艇には高速巡航ミサイルを、戦闘機には極超音速ミサイルの搭載を急ぐべきです。
かつ、憲法改正を行うことが、中国の侵略意図を思いとどまらせる最大の抑止力になります。
もちろん、野党や平和団体などは「戦争になる」と反対するでしょうが、そうした姿勢が中国に尖閣奪取を決意させることにつながるのです。
習近平主席の国賓来日がほぼ消えた現在、中国は日本に対し容赦しない態度に出てくるでしょう。
現政権が続く限り、戦争の危険は続くと考えるべきです。
しかし、決して中国の挑発に乗らないことも大事です。
次回は、そのことについて述べたいと思います。
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┃◇悲劇の価値 ┃
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「戦艦大和の悲劇は、戦後の日本にとって必要だった」
と書いたら、非難が殺到することと思います。
大和の水上特攻に随伴した艦艇の戦死者を含めて4044名の犠牲を思えば、「必要だった」とはとても書けない言葉です。
それでも、あえて言及するのは、あの特攻が、敗戦に打ちひしがれていた戦後の日本人の心に、世界最大の戦艦を造ったという誇り、そして、悲劇的な戦闘の中でも必死に戦って散った4044名を誇りに思う気持ちを残したことがあるからです。
大和は、あの悲劇の故に、現代に至るまで、多くの日本人の心の隅に生き続けているのではないでしょうか。
その反対の事態を考えてみてください。
大和が生き残って米国に接収されたなら、あのビキニ環礁での水爆実験の標的艦として使われた可能性があります。
実際、大和級に次ぐ戦艦だった長門は、生き残ったあげく、水爆実験の標的に使われ、惨めに海底に没しました。
日本人の多くは、大和のそんな惨めな最後は想像もしたくないと思います。
たとえ、馬鹿げた水上特攻とはいえ、最後まで戦い抜いて沈んだからこそ、大和は永遠に日本人の心に残ったのです。
日本人は、世界で唯一と思えるくらい「滅びの美学」を尊ぶ国民です。
「判官びいき」の語源にもなっている源義経や新選組などへの思い入れを見れば、分かると思います。
非業の死を遂げた坂本龍馬、本懐を遂げたとはいえ切腹して果てた赤穂浪士、そして神風特攻隊、いくらでも例をあげることが出来ます。
ただし、惨めな死ではなく、雄々しく戦って散るというシナリオがないと美学とはなりません。
三条河原で処刑された石田三成や、農民に討たれた明智光秀などが、いまいち人気が無いのは、その死に様にあるのです。
ゆえに、米軍に接収され惨めな最後を迎えた大和ではなく、最後まで雄々しく戦い海に消えた大和であることの意味が大きいのです。
しかし、それでもなお、戦死者を思えば胸の痛みは取れません。
やはり、死は悲しく切ないものです。
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<編集後記>
東京のコロナウィルス感染者が再び増えだし、政府や都知事を非難する声が増えています。
しかし、死者や重篤者は間違いなく減っています。
関係者の必死の努力の賜物といえます。
行政には努力を続けてもらわなければなりませんが、マスコミやネット民の非難は身勝手に感じるものが多いです。
まずは、一人ひとりの意識を、再度引き締めることが第一のはずです。
その中で経済活動も再開させていかなければなりません。
ただし、元には戻らないことを前提に、新たな経済活動を考え、実行していくことが肝心です。
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