2022年1月15日号(国際、政治)
2022.02.01
HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2022年1月15日号
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発行日:2022年1月14日(金)
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2022年1月15日号の目次
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★欧米のダブル・スタンダード
◇抑止力という名の軍事力(21)
★開戦直前の日本政治(4)
★隣国の悪意の発端は日本人が作った(2)
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こんにちは、安中眞介です。
今号は国際問題、政治問題をお送りします。
第6次コロナ感染の拡大から始まった憂鬱な年明けです。
感染拡大を抑え込もうとする各国の苦闘を横目に、腰の定まらない米国の姿勢を見下したかのようなロシア、北朝鮮の軍事挑発が起きています。
米国に依存してきた日本の防衛は大きな曲がり角を迎えています。
ただ、国の方向を決めるのは政府ではなく国民の意志です。
欧米を過度に美化してきた戦後日本人の意識から見直す必要があるのではと、自戒を込めて思っています。
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┃★欧米のダブル・スタンダード ┃
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日本では「欧米を模範とすべし」という意見がよく聞かれます。
私も若い頃は同じような意見でした。
そこに至った要因には次の二つが思い当たります。
一つは、マスコミ(当時は新聞やTV)による一種の洗脳です。
当時は「欧米を見習うべき」というような紙面や画面が溢れていました。
その背景には、まだ重くのしかかっていた敗戦ショックがあったのだと思います。
そして二つ目は、惨めな体験です。
半世紀前、自分の目で見たマンハッタンの高層ビル群は、この世のものとは思えませんでした。
無神論者の私でも、神の前に立たされたようで、恐怖と畏怖を同時に感じて声も出せませんでした。
仕事上でも、常に欧米人に引け目を感じることばかりでした。
体格は勿論、技術の上でも圧倒されるだけの惨めさでした。
私と同年代の団塊世代で、欧米でのビジネス経験を持つ方は同じような感じを持たれたのではないでしょうか。
しかし、今や団塊の世代の大半は現役を去り、時代は大きく変わりました。
若い世代は、こうした負の意識に縛られることは無いと思います。
遅まきながら、私は40代で、そうした意識から解き放たれました。
解き放たれてみると、今度は「欧米のダブル・スタンダード」が目に付くようになってきました。
自分たちに都合の良いルールを相手に押し付け、自分たちは別のルールで知らん顔というヤツです。
「ドイツは先の大戦を謝罪しているのに日本は・・」は韓国がよく使うフレーズですが、これもダブル・スタンダードです。
ドイツが謝っているのは「ユダヤ人に対するホロコースト」であり、戦争を起こしたことではありません。
しかも、そのホロコーストでさえ、「あれは、ナチスの仕業」として、一般のドイツ人も被害者だという論調です。
かと言って、ドイツ人を責めることは出来ません。
「戦争を起こしたことを罪」とする国際法が無いのですから、「悪かった」と謝る必要はないのです。
それなのに、日本人だけが「戦争を起こした罪」で裁かれたのです。
それに悪乗りして、戦前から続く日本企業を「戦犯企業」として国内の勝手な裁判で有罪としているのが韓国です。
欧米のマネをしたダブル・スタンダードには呆れるしかありません。
欧米の繁栄の基礎は、長年に渡り植民地から収奪した富の蓄積です。
日本は、戦争でアジアの国々を植民地にしましたが、収奪よりも投資が上回っていました。
もちろん、アジアの国々のためではなく、資源確保が狙いでしたが・・
でも、巨額の投資を行ったことは事実で、それがアジアの国々の経済インフラとなりました。
韓国が1965年の日韓条約を持ち出されるのを嫌がっているのは、日本からの巨額の援助金もさることながら、「併合中に日本が投資したインフラに対する賠償を放棄する」とした条項があるからです。
反日で固まる現政権が「日韓条約を破棄」と言わないのは、破棄となれば、この日本が放棄したインフラ投資への賠償が復活してしまうからです。
このように、日本のバカ正直は欧米のみならず、韓国や中国にも利用されてきたのです。
現代では、中国のダブル・スタンダードは世界に知れ渡っていますが、それも当然です。
中国の共産主義も欧米からの輸入思想であり、古代中国からの哲学思想ではありません。
「それをそのまま欧米にお返ししているだけ」と中国政府は言いたいのだと思います。
そこだけは同意します。
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┃◇抑止力という名の軍事力(21) ┃
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日本国民は「外交とは実弾の飛ばない戦争だ」と認識する必要があります。
かつての尖閣諸島の国有化の際、中国では日本製品の不買運動のみならず、日本資本の商業施設が市民に襲撃されたり、中国在駐の企業社員が逮捕されるという事態まで起きました。
こうした挑発は、戦争一歩手前といえる事態ですが、これが中国という国のやり方です。
ですが、私は単純に「中国は悪い」と言うつもりはありません。
こうした行為を政府自らが行ったらマズイですが、官制マスコミに煽られた国民による“自主的”な攻撃は「愛国心」として、政府は黙認可能だからです。
もちろん、中国マスコミは中国共産党の尖兵です。
かつ、こうした仕掛けは共産党のお家芸ともいえる行為です。
そして、これも外交戦術のひとつと考えるのが中国です。
さて、欧米各国が中国の人権問題を激しく非難していますが、日本は同調せず静観の姿勢です。
こうした“弱腰”と見える姿勢は、与党自民党の中からも批判が出ています。
しかし、日本政府は、上記のような中国の狡猾な報復を警戒して、国会で中国のウイグル弾圧や香港弾圧を「ジェノサイド」や「人道に対する罪」と欧米のように軽々しく決議できないのです。
米国やEU各国と違い、中国に対する日本の立ち位置は非常に微妙だからです。
この問題は複雑なので、まずは純粋な防衛面から考えていきましょう。
尖閣諸島への侵入を常態化させている中国ですが、中国の真の狙いは尖閣諸島の領有ではないと思われます。
(もちろん、可能性はゼロではありませんが・・)
中国は、日本列島を含む第一列島線まで自らの海洋覇権を及ぼそうとしています。
さらに、第一列島線を突破して第二列島線まで海洋覇権を広げることを目論んでいます。
この狙いを露骨に表したのが、昨年のロシアと組んでの日本周回軍事訓練です。
将来的には、ハワイ諸島を線引きとする第三列島線までの覇権を狙っています。
しかし、第一列島線に属する日本としては、領海はもちろん、EEZ(排他的経済水域)に防衛ラインを引きたいのです。
つまり、日本と中国の軍事衝突は回避不可能であることを認識する必要があるのです。
このことは、日本国民として理解しなければならない現実の第一歩なのです。
中国は、尖閣の領海侵犯を常態化するだけでなく、さらなる軍事挑発を実施してくるでしょう。
それでも、中国が明らかな軍事侵略をためらう理由は3つあります。
その第一は、当然、米国との軍事衝突に勝てる見込みがないことです。
第二は、国際社会からの非難や経済制裁です。
そして第三は、日本の自衛隊に勝てる見込みが立たないことです。
もちろん、全面戦争となれば日本に分はありませんが、米国の介入は必至です。
ゆえに、軍事挑発をするとしても米軍が介入しない“だろう”と見込まれる範囲となります。
しかし、こうした局地戦での中国海空軍の力量は自衛隊に劣ると推定されます。
量ではなく質において、その差が顕著だからです。
それでも中国の軍事増強を考えると、油断はできません。
さらにロシアと組むとなると、質における日本の優位は覆ります。
そのことは次号で。
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┃★開戦直前の日本政治(4) ┃
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先の戦争を仕掛けた責任者として真っ先に名前が上がるのは東条英機でしょう。
たしかに、開戦当時の首相として彼の責任は免れようもありません。
しかし、彼の経歴を眺めてみると、それほどの人物であるとの印象は受けません。
たしかに、陸軍士官学校から陸軍大学という経歴は、当時としては優秀な部類に入るでしょう。
しかし、卒業時に成績優秀者が天皇から授与される「恩賜(おんし)の軍刀」は受けていませんし、陸軍の勤務でも目立った功績は見当たりません。
2・26事件の直前、陸軍省内で相澤中佐によって惨殺された永田鉄山のような陸軍きっての秀才でもなく、「出来の悪い軍人」との評価もあるくらいです。
満州事変の首謀者とされる石原莞爾(かんじ)は東條とは同年代の陸軍幹部でした。
戦後、戦争責任を問う事情聴取の法務官が石原に「東条と意見が対立していたか?」と尋ねた時、即座に 「違う。意見のない者と意見の対立などない」と言われたくらいの人物だったのです。
ただ、熱烈な天皇信奉者で、米国に対する開戦論者だったと言われています。
このように、さして優秀とはいえない東条英機が首相になったのは、内務大臣の木戸幸一(明治の元勲、木戸孝允=桂小五郎の甥にあたる)の工作と言われています。
木戸は東條の対米戦争論に危惧を持っていて、東條を首相にすれば、そうそう軽々しいことは言えなくなるだろうと考えた末の工作だったということです。
この説の信偽は定かではありませんが、あり得る話とは思います。
昭和天皇は開戦には乗り気ではなく、それを知る木戸は、天皇信奉者の東條は天皇の意を汲んで開戦に慎重になるだろうと考えたという説を否定できないからです。
長々と書きましたが、東條英樹は、この程度の力量の人物だったのです。
そして、木戸幸一の思惑通り、東條は開戦に踏み切ることはできなかったのです。
しかし、当時のマスメディアが、開戦に踏み切れない東条内閣を「何をぐずぐずしているのか」と連日、激しく煽ったのです。
こうしたマスメディアに煽られた国民の多数の声が東條内閣を開戦へと追い込んだのです。
戦前・戦後に関係なく、日本という国は常に上からの強権的圧力よりも下から湧出する民の力の方が強い国なのです。
実際、強力な独裁者と思われている戦国時代の織田信長、豊臣秀吉、徳川家康たち戦国大名が、民の支持を取り付けるために並々ならぬ努力を傾けていたことは、様々な歴史資料から伺えます。
穿った見方かもしれませんが、日本は昔から民が力を持つ「民主国家」だったのです。
こうした強い国民の意識を管理することに欠かせないのが官僚組織です。
実際、戦国大名たちが最も腐心したのが、この官僚組織の構成です。
それを軽んじた独断先行型の織田信長が明智光秀の反逆にあったのは当然の結果です。
一方、内政を担当した秀吉の弟、秀長が石田三成や大谷吉継たちを抜擢したことで豊臣政権は早期に盤石となりました。
しかし、その秀長の急死が豊臣政権の凋落につながってしまいました。
そうした二人の先輩の成功と失敗を見た家康は、少数の精鋭だけでなく、広く人材を登用した幕閣と称される官僚組織を造りあげました。
今日にも通じる官僚連合体です。
この官僚を操縦するのが政治家ですが、戦前の制度には大きな弱点がありました。
軍隊が内閣の統制下になかったことです。
当時の日本軍は天皇の軍隊であり、天皇の統帥権を盾に内閣の統治の外にあったのです。
それを分かっているから、東条英機は首相職とともに陸軍大臣と参謀総長を兼任したのです。
しかし、彼には、その三役を兼ね備えるだけの力量がありませんでした。
これって、現代の中国に酷似していると思いませんか。
習近平国家主席が、党主席とともに軍の最高司令官をも兼務しています。
中国人民解放軍が政府の統制下になく、共産党の軍隊だからです。
ということは、習近平の力量が問題となります。
さて、どうなることやら。
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┃★隣国の悪意の発端は日本人が作った(2) ┃
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前号の本章(1)の記事で間違いがありました。
お詫びと訂正をさせていただきます。
以下の箇所です。
『2011年4月に、日本製薬工業協会の長谷川閑史会長(当時の武田薬品社長)の音頭で「第1回アジア連帯会議」が開かれました』
ここを、『2012年4月に、日本製薬工業協会・・(中略)・・「第1回アジア製薬団体連携会議」が開かれました』に訂正します。
それに続く記事の内容に訂正はありません。
なお、「アジア連帯会議」は、慰安婦問題で日本を糾弾する目的で、1993年ソウルで第1回会議が開かれ、今日まで続いております。
こちらの会議は、当然ながら日本非難のオンパレードです。
詳しい内容を知りたい方は、日本共産党の機関紙「赤旗」のWeb版をご覧ください。
こうした韓国主導の会議が慰安婦問題で日本を執拗に攻撃するのは当然と言えますが、前号で取り上げた朝日新聞元記者の松井やより氏や福島瑞穂氏たちは、それだけでは飽き足らないのか、本来、アジアの人たちに製薬を届ける目的で開催された「アジア製薬団体連携会議」にまで乗り込んできたのです。
その会議に一緒に乗り込んだ元慰安婦の女性たちは、事前に日本人と韓国人のスタッフから指導されたとおりに、自身の悲劇的な体験を語り、日本政府を非難しました。
それに対し、台湾人の元慰安婦が日本兵に優しくしてもらったことを話し出したところ、松井氏や福島氏は慌てて発言を遮ろうとしたといいます。
他にも、タイの女性は「日本の軍隊ばかり叩くな!」、「イギリス兵はもっと悪いことをした」と異論を述べましたが、松井氏や福島氏が強引に抑え込んだと言われています。
おかげで、この会議の本来の目的が阻害されるという苦い結果に終わりました。
近年まで女性が不当に差別されてきたことは事実であり、現代でも改善されたとは言い難いことは認めます。
しかし、彼らが、男女平等を唱えながら、逆の意味での男性差別、女尊男卑的な活動をしている事も問題なのではないでしょうか。
こうした問題は、証拠をもとにした正当な議論が必要ですが、こうした運動家は端から受け付けようとはしません。
弱者の人権を唱えてさえいれば、どんな突飛な言い草も許され、非難の矢面に立たされた人は反論すら許されない風潮は、恐ろしく思います。
昨年、ハーバード大学のJ・マーク・ラムザイヤー教授が「太平洋戦争における性サービスの契約」という論文で慰安婦の「性奴隷説」を否定したことで、韓国で猛烈な非難に晒されました。
米国内でも、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)政治学部の学部長と称するマイケル・チェ教授の起草になるラムザイヤー論文撤回声明などが出されました。
この声明には、「慰安婦は主として11歳から20歳の少女で、強姦、拷問、強制中絶などにより75%が死亡した」という根拠のない一文が加えられていました。
例の慰安婦像が少女の姿であることをなぞって、このような文章になったと思われます。
韓国民や韓国系米国人が、慰安婦の強制連行説に固執するのは、民族的感情としてある程度は理解できますが、日本人の中に、これに乗り日本を非難する人たちがいることが残念です。
慰安婦問題のそもそもは、朝日新聞の虚偽の連載や福島氏らの言動から始まったのです。
次回は、南京大虐殺について書きたいと思います。
この虐殺説も日本の新聞記事が発端です。
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<編集後記>
ファーストリテイリングの会長兼社長の柳井正氏の発言が「日本経済新聞」に載りました。
「米中衝突など起きない」という主旨です。
詳しくは同紙を見てもらいますが、中国に進出している経済人としては当然の発言です。
ですが、戦前の日本も米国との経済的結びつきは強く、とても戦争できる情勢ではなかったのです。
しかし、事実は真逆となりました。
その面を考えると、柳井氏の意見に全面的に同調はできないなと思いました。
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