2021年8月31日号(経済、経営)
2021.09.01
HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2021年8月31日号
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発行日:2021年8月31日(火)
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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2021年8月31日号の目次
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◇中国のZ世代
★今後の建設需要(19):土地規制法が可決
◇これからの近未来経済(10):山なり多重回帰曲線型経営(その1)
☆商品開発のおもしろさ(15):ワクチンの話(その2)
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こんにちは、安中眞介です。
今号は、経済、経営の話題をお送りします。
コロナ感染者が高止まりした感がある東京ですが、昼間の都心や繁華街の人通りは減っていません。
行き交う人々の表情にも不安感は見えません。
さすがにマスクはしていますが、肩を組んで歩く若者もいる普通の日常の風景です。
致死率が恐れていたほど高くはないと分かり、不安感が後退していることが背景にあるのでしょうか。
1年半前の非常事態宣言下での様子を思い返すと、ウソのような光景です。
大衆心理とは「こんなもの!」なのでしょう。
物事を深く考えるわけではなく、その場の空気に支配されるだけ。
こうした大衆心理に動かされる世界、それを巧みに利用する政治。
それが怖いと感じます。
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┃◇中国のZ世代 ┃
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中国で「Z世代」と呼ばれる20代の若者の思考、行動に注目が集まっています。
彼らは、日常で使う製品のほぼ全てについて、「日本製より中国製のほうがよい」と口にします。
中国政府が「国産品を愛用せよ」と煽っているわけではなく、本気でそう思っているのです。
日本人からすると、「そう思いたいだけだろう。日本製品より優れているなんて、ありえない」と言いたいところですが、実際、中国製品の品質は、この10年ぐらいの間に急激に向上しています。
これは当然といえます。
中国が「世界の工場」となり、欧米や日本の製品製造を一手に引き受けたことから、製品の品質が著しく向上したのです。
特に、日本企業は、設計・製造に関するノウハウを懇切丁寧に中国人技術者や工場技能者に教え込んできました。
その結果、日本国内を見ても、ブランド名は日本企業名でも「実は中国製」という製品がどんどん増えています。
しかも、その品質が国産と遜色ないことに驚かされます。
今や、日本製品が優れているのは「耐久性」だけと言ってもよい現実です。
日本で、一時話題となった「爆買」に代表される、このZ世代より上の年代の中国人が持っていた日本製品への憧れは、彼らには微塵もないと言えます。
若者のこうした急激な意識変化を促しているのがSNSであることは日本の若者と同じです。
さらにSNSだけでなく、ユーチューブ(中国ではライブコマース)のような動画サイトが消費の起爆剤となってきています。
こうした媒体の変化によって、従来型の広告が効かなくなり、インフルエンサーと呼ばれる者の影響が広がっています。
つまり、オタク行動が商品販売の大きな要素となってきているのです。
SNSを駆使する彼ら若者は、自分たち世代の情報交換のみで行動する傾向が強くなっています。
コロナ禍で人的接触が制限されたことで、この傾向はどんどんと加速していくように思われます。
その結果、これまでのように、一つの傾向がある程度の期間続くことはなくなり、一気に売れ筋商品が変わるというニーズの急変がますます加速されていくと思われます。
近年、商品の企画から製造・販売までの全工程を自社で抱えるユニクロ商法が勝ち組になってきましたが、その抱え込みが弱点になる時代が、予想以上に早く来そうな状況です。
SNSの世界は、自制が効かず、より刺激的なものが一気に拡散する世界です。
ユーチューブなどの動画サイトをご覧になっている方は分かると思いますが、ウケ狙いの過剰な映像がどんどん増えています。
それが市場にも影響を与え、過剰な化粧や奇抜な服装が受ける傾向が顕著になっています。
共産党一党独裁の中国でも、政府の規制が追いつかない一種の「無政府状態」になりつつあります。
制御が効かなくなった消費経済はバブル化し、そして盛大に弾けるという危険が高まります。
習近平政権は、そうした事態を最小限に抑えようとやっきですが、共産党幹部の金庫と化している国営企業に手を付ければ、政変は必定で、動けないでしょう。
果たして、Z世代が中国の政治を変える起爆剤となるのか、それとも中国政府が強引に抑え込むのか。
無責任なことを言えば、見ものではあります。
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┃★今後の建設需要(19):土地規制法が可決 ┃
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前号で、銀行の主張する「出口戦略」のことを続けると予告しましたが、今号では、それとは別の建設事業の障害のことを述べます。
少し前の話題になりますが、先の通常国会の最終日の深夜に、土地規制法が可決しました。
中国などの外国が、自衛隊や在日米軍の基地の周辺の土地を取得することを防ぐための法律ですが、
当然のごとく反対した野党や市民団体などの抗議を押し切っての可決でした。
もちろん、「基地への抗議活動を規制するものだ」というのが、その反対理由です。
たしかに、本法がそのような抗議行動の規制に使われることも想定されますが、外国人の不動産取得が野放図になっている現状に一定の制約を課すことは必要な処置だと思います。
安全保障上の問題は「国際問題、政治問題」の号で論じるとして、今号では民間事業上の問題を述べたいと思います。
弊社が扱っている案件で、敷地の境界確定が必要となりました。
しかし、隣接するマンションの理事長が、頑なに確定への立ち会いを拒否しました。
境界確定で揉める要素がまったく無かったので戸惑い、その理由を尋ねましたが、曖昧な返答ばかりで、交渉は暗礁に乗り上げました。
数カ月後、その理由がようやく分かってきました。
どうやら、マンションの2階にあるフィットネスクラブの所有者が外国人であることが理由のようでした。
その外国人がボルネオ人らしいということを聞いたので、さらに調査したところ、事態はもっと複雑でした。
そのボルネオ人はダミーであり、その後ろには中国の会社がいるというのです。
当のボルネオ人の住所には誰もいなくて、背後の中国人の会社に至っては、雲をつかむところまでもいかない有様です。
管轄する役所に聞いても、法務局に聞いても、明確な答えは得られず、計画は暗礁に乗り上げる寸前まで追い込まれました。
今度の土地規制法が、こうした事態に対する打開策になるかどうかは分かりませんが、外国人の所有に規制を掛け、少なくとも確かな情報入手と交渉ができるところまでは踏み込んで欲しいものだと思います。
コロナ禍の少し前に富士登山に行きましたが、登山口となる五合目の売店や食堂は中国語しか聞こえてこない有様でした。
入った食堂で注文したところ、そこの店員が「あ~、やっと日本人の客が来た」と言ったのに驚きました。
「このままでは、富士山が中国に実効支配される日が来るのかな」と、半分冗談、半分本気で思いました。
幸い(と言ってはいけませんが)、コロナ禍で外国人観光客の姿は消えましたが、この後、戻ってくるかどうかの心配より、土地所有に関する法律の未整備が心配です。
野党は、反対のための反対ではなく、国土を守るため、そして経済活性化の基盤となる土地関連法案の整備を国会に掛けることを政府に強く働きかけて欲しいものです。
これも一種の「出口戦略」ではないかと思います。
しかし、素人並みの知識、見識しかない今の野党には無理だなと思うことが虚しいです。
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┃◇これからの近未来経済(10):山なり多重回帰曲線型経営(その1)┃
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前号で予告した「山なり多重回帰曲線型経営」ですが、今回と次回は、その前提となる話をさせてもらいます。
弊社は、創業から31年目の中ほどに来ています。
それまでサラリーマンだった私は、当然ゼロからの出発でした。
起業する数ヶ月前、作成した事業計画書を、ある会計事務所の所長に見てもらいました。
計画書をざっと一瞥した所長は、私にこう言いました。
「1年ももたずに潰れるな」
そして、こう付け加えました。
「売上も経費もこの倍が出発点だよ。サラリーマン意識が抜けていない君には無理だと思うがな」
さすがにムッとした私は、こう反論しました。
「でも、株の30%を持たせてくれという大手企業もあるのです」
これは“はったり”ではなく、某大手企業の専務から直接申し出があった話です。
それを聞いた所長は、こう言いました。
「君は、企業経営の基本がまったく分かっていないな。30%の資本を持つということは、役員を送り込めるし、君の経営方針に異議申し立てができるということだ。君は、いったい誰の会社を作りたいのか、その大手企業の子会社か、君自身の会社か?」
「もちろん、私の会社です。では、どの程度の割合の持ち株だったら、その会社の影響力を排することができるのですか?」
そう反論した私に、所長は冷たく突き放しました。
「そんなことは自分で決めろ。自分で決められないのだったら、会社つくりなんて“遊び”は止めるんだな」
私は完全に打ちのめされましたが、所長の言われたことは至極もっともで、それ以上の反論はできませんでした。
しかし、一度決意した創業を止めるという気持ちは微塵も起きませんでした。
「よし、所長に『やってみろ』と言わせる計画を一から作り直そう」と、逆に闘志が湧きました。
まず、私は出資を約束してくれた大手企業の役員会に臨み、私の考えを述べました。
「御社からの出資比率は10%で考えさせてください」
その瞬間、役員室の空気は一変し、居並ぶ役員たちの顔には不快感が溢れていました。
「生意気な小僧め、たった10%だと。バカにしてんのか」
さすがに声には出しませんが、私の耳には実際に聞こえたように感じました。
専務はさすがに冷静で、一瞬表情を変えただけで、こう言われました。
「なるほど、それがあなたの最終回答と受け取ってよいですか」
私は「はい」とだけ答えました。
実際に10%の100万円がすぐに振り込まれましたが、後で総務部長から、こう言われました。
「専務からは、出資の300万円の他に、当座の運転資金として1億円を用意しろと言われていたんだがね。でも、10%の出資では無理だね」
それを聞いても、私には後悔の気持ちはまったく起きませんでした。
会計事務所の所長の言葉は、そのくらい重かったのです。
事業計画書も、強気の内容に一から作り直しました。
サラリーマン意識のままの創業であったなら、弊社は早期に無くなっていたと本気で思います。
現在は他界された所長さんには感謝しかありません。
次回は、もうひとつの前提となる話をさせていただきます。
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┃☆商品開発のおもしろさ(15):ワクチンの話(その2) ┃
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モデルナ製ワクチンの一部に異物が混入していたことで、ワクチンの製造過程が初めて明らかになりました。
日本の製薬会社が委託を受けて製造していると思われていましたが、その元はスペインで製造していたということです。
政府がこのことを知っていたのかどうかは分かりませんが、仮に知らなかったとしたら問題ですし、知っていたのなら、黙っていたことが問題となるでしょう。
時間的制約があったにせよ、全工程を日本で製造できるようにしてこなかったツケともいえます。
こうした問題の根底には、以前にも言及しましたが、ワクチン接種による障害裁判での、国や製薬会社の敗訴の積み重ねがあります。
1992年、東京高裁は、義務接種制度について「法は予防接種を義務付けているが、予防接種の結果として重篤な副反応事故が生ずることを容認してはいないのであるから、ある特定個人に対し予防接種をすれば必ず重篤な副反応が生ずるという関係にある場合には当該個人に対して予防接種を強制することは本来許されない」とした判決を下しました。
上記判決文は回りくどくて分かりづらいのですが、要約すれば「予防接種は義務接種ではなく勧奨接種であり、義務規定は廃止、努力規定とするように」という判決です。
先進国で予防接種を、このように「努力義務」とした国は日本だけです。
この判決を受けて、メディアがワクチンに対する副反応をセンセーショナルに取り上げた結果、日本国民の意識でワクチンへの忌避反応が膨らんでしまったといえます。
今回問題となったモデルナ製ワクチン接種者から2名の死亡者が出ていますが、因果関係は明らかになっていません。
しかし、報道では「そうに決まっている」との決めつけが多く、大多数の国民はそう思ってしまっています。
日本の製薬会社がワクチンの研究開発に及び腰になってしまったのは、こうした国民性が背景にあるのは確かであり、根拠なき報道を繰り返すマスコミの責任は大きいといえます。
新型コロナ用ワクチンの早期供給にこぎつけた独のビオンテック社は、30年もの研究と治験、応用を繰り返し、それを米国政府が支援してきていたので、緊急供給が可能になったのです。
「一人の犠牲も出してはならない」とする精神は大事ですが、国民の大多数への接種となる今回のパンデミックでは、冷徹な確率の法則が作用し、一定数の死者が出ることは避けられません。
「危険を受け入れることなく解決できることなど無い」という冷たい現実を受け入れなくてはならないのです。
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<編集後記>
長引くコロナ禍は、人間が心の底に持っている醜い面を浮き彫りにしていく側面があります。
医療関係者に対する差別、飲食業者に対する嫌がらせ、果ては夜間でも子供を預かる保育園に誹謗中傷の電話やSNSが入ると聞きます。
恐怖からの行動というより、歪んだ正義感に動かされ、気持ちの自制ができない人がこれだけいるということに暗い気分になります。
私は、昔から「正義」という言葉が嫌いでした。
独りよがりの一方的な意識が作る心理だと思うからです。
この言葉が大好きな隣の国との心理的乖離は大きくなる一方のように感じます。
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