2024年5月15日号(国際、政治)

2024.05.31


HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2024年5月15日号
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発行日:2024年5月15日(水)
 
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2024年5月15日号の目次
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◇大国は滅びる運命にある
◇日本の世界における役割とは?(4)
◇若い人の変化(その3)
 
<HAL通信アーカイブス>http://magazine.halsystem.co.jp
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こんにちは、安中眞介です。
今号は国際問題、政治問題をお送りします。
 
護衛艦いずもの上をドローンで飛びながら撮影した映像がネットに出回っています。
防衛省は「本物の映像のよう」と歯切れの悪い見解。
ネットでは「中国のドローン」との声が多いですが、可能性は高いです。
となると、中国はいつでも“いずも”を攻撃できることになります。
横須賀の自衛隊は即座に撃墜すべきだったのですが、何もしませんでした。
上から「ここは穏便に・・」の命令があったのか、それとも、現地がぼけーっとしていたのか。
どちらにしても、「至極、平和な軍隊だな」と思うばかりです。
 
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┃◇大国は滅びる運命にある                 ┃
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ロシアのプーチン大統領が5期目に入りましたが、先行きの斜陽化は止まりません。
ナチスに対する戦勝記念日(5/9)までにウクライナ東部の要衝チャシウ・ヤールの攻略を命令し、この就任式でその成果を誇示する予定でしたが、その思惑は外れました。
 
米国の支援ストップでウクライナの武器弾薬が枯渇し、かつ、制空権が完全にロシア側にある状況は、ロシア側にとっては攻勢をかける絶好の機会です。
さらに、東部戦線のチャシウ・ヤールは、北や西に延びる長い尾根の起点にあたり、ここの陥落はウクライナにとっては、ドニツク州全体を失いかねないピンチとなります。
その意味で、この要衝への攻撃は理にかなった作戦といえます。
 
しかし、「戦争記念日までに陥落させよ」という愚鈍な命令が、この作戦を台無しにしています。
この命令を遂行するため、現地のロシア軍は無謀な攻撃を繰り返し、大損害を出しています。
一方、ウクライナ軍は、ロシアの狙いが分かっても、弾薬不足や制空権のないことで防衛が困難な苦境にありました。
この状況での最大の問題は、ロシアの攻撃が、いつ、どのような形で行われるかが不明な点でした。
ところが、「5月9日までに・・」という“バカげた”命令がはっきりしている上、攻撃するロシア軍の規模や配置も事前に漏れていました。
なので、私でも的確な防衛作戦を練ることができると言いたいくらいの攻撃でした。
 
それは言い過ぎですが、結果として5月9日までにチャシウ・ヤールは陥落せず、戦線は膠着状態です。
ロシア側の損害は甚大で、海外ネットにはロシア兵の死体だらけの映像が流れています。
その一方で、日本のTVでも、バカみたいに大きな黄金色の両開き扉を開け、独裁者然としたプーチンが入ってくる映像が何度も流れます。
呆れるばかりの安直なプロパガンダですが、こうした国に未来はありません。
歴史を俯瞰すれば明らかですが、大国は必ず分割し、滅んでいきます。
ゆえに、現代のロシアも中国も、やがて分割し衰退していくことは確実といえます。
 
「では、米国も同じ運命か?」と思われそうですが、米国は一つの大国ではありません。
51州からなる合衆国(独立国家に近い自治体の集合体)です。
これらの州を日本の都道府県のように考えるのは間違いです。
各州は法律も違えば独自の軍隊すら持っている半独立国家なのです。
米国全体を一つの国として統括しているのは、POTUS(President of the United States of America=米国大統領)、FRB(Federal Reserve Board=連邦準備制度理事会)、FBI(Federal Bureau of Investigation=連邦捜査局)、United States Armed Forces(合衆国軍)の4つです(他にも国家組織はありますので、代表的な機構です)。
この仕組みで、大国として滅びることを阻止する狙いがあるのだと思います。
「なかなかの知恵だな」と感心しますが、まだ建国250年の国です。
千年、二千年先は見ることができませんが、見たいところですね。
 
戦前の日本は「皇紀二千年」と威張っていましたが、有力な学説では第26代継体天皇が今上天皇(浩宮徳仁)の最も古い先祖となっているようです。
そうだとすると、日本は1600年近く続いている国家ということになり、現代国家としては世界最古となります。
考えてみれば、奇跡のような国家ですね。
 
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┃◇日本の世界における役割とは?(4)           ┃
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今回は、前回に続き、剣法の奥義に基づく「必殺技を持つ専守防衛」で日本を守るについて考えてみたいと思います。
専守防衛を「こちらから攻撃は仕掛けず、守りに徹する」という意味に解釈すると、それで果たして守り切れるかが問題なわけです。
攻撃する側からいえば、相手は決して攻撃してこないのですから、「自分がやられる」という危険が無く、かなり気楽に攻撃できることになります。
こうしたことが成り立つのは、守る側の戦闘能力が攻める側の戦闘能力を圧倒的に上回っている場合です。
小さな弟が大きな強いお兄ちゃんに喧嘩を仕掛けても敵わないような図式ですね。
ですが、この図式は、弟が強いお兄ちゃんから、いきなり蹴っ飛ばされても反撃できない状況だといえます。
つまり、弱い者は、悪くて強い者に対しては「泣き寝入り」しかないということです。
現代の東アジアでは、中国がこの「悪くて強い者」です。
 
深く仏教を信仰しているチベットは、ダライ・ラマという指導者に率いられた独立国家でした。
チベットは、仏教の教えを守っていれば幸せになれると信じて、ほとんど軍隊を持たない平和国家でした。
あえて言えば、「憲法9条が目指す平和国家」だったのです。
そこに攻め入った中国人民解放軍は、幼稚園に乱入した暴漢のごとく、あっという間にチベット全土を制圧し、自国に組み入れてしまい、今もって弾圧を続けています。
同様にして、中国はウイグル、内モンゴルを侵略し、自国領土に組み入れてしまいました。
戦前の旧満州(現在の中国北東部)は中国の領土ではなく、多くの軍閥がバラバラに支配する無政府状態の土地でした。
日本は、そこに傀儡の満州国を作り自国版図にしたわけですが、その日本が戦争に負けたことで、中国は漁夫の利で満州全土を手に入れたわけです。
これらは、すべて第二次世界大戦後のことです。
 
日本国内でも、かつて独立国だった「琉球王国」は、徳川時代に島津に制圧され属国とされ、明治になり沖縄県として日本に編入されて現在に至っています。
それゆえ、もし沖縄県民の大半が、かつての独立国に戻りたいという意思を示すなら、日本国としては認めることが筋だと思います。
もちろん、他国の干渉なしの完全なる自由投票が必要で、独立した場合は自力で経済、防衛の仕組みを作るということが前提となりますが・・
 
話を戻します。
「専守防衛における必殺技」とは何かということですが、まず頭に浮かぶのは核兵器です。
現代における「必殺技」として、これ以上の武器はありません。
そして、この武器が日本を敵視している隣国に効くことは確実です。
しかし「専守防衛における・・」というところが引っ掛かりますね。
隣国の攻撃意図に関係なく、いきなり先制攻撃にも使える必殺武器だからです。
北朝鮮が、まさにこの思想で核武装しているわけですが、日本が同じ道を歩むことはできません。
 
妥協策として考えられるのは、「有事の際、米軍から核兵器を受け取る」という策です。
「なるほど」なのですが、この場合、主導権を持つのは日本ではなく米国です。
「ダメ」と言われる可能性も、必要なくとも「持て」と強制される可能性もあります。
実は、冷戦時代、これに近いことが実際に行われていました。
20代の頃、その実態を知る立場で仕事をした経験がありますが、「これは実際の戦争なんだ」という痺れるような感覚は、今でも残っています。
 
「ならば、どうするか」ですが、日本の代表的な剣法の奥義にそのヒントがあります。
次回は、その話をしたいと思います。
 
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┃◇若い人の変化(その3)                 ┃
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人は孤独に弱い生物です。
ヒトは、生物の中では巨大ともいえる大きな体を持っています。
しかし、運動能力は目を覆うばかりの低さです。
陸上100m競争の世界記録保持者ウサイン・ボルトでさえ、象やカバに負けるのです。
跳躍でも、ピューマは7m、トラは4mの高さをクリアします。
人間の世界記録は2m半ですし、一般人は自分の身長の高さすら飛べません。
海では、シャチが6m、イルカが5m、最高はアオザメの7.6mですから、シンクロ選手も遠く及びません。
 
こうした事実は何を物語っているのでしょうか。
「体は大きく、皮膚は柔らかい。そして動きはのろま」
つまり、捕食動物からみたら「捕まえるのが簡単で、食べやすい美味しいエサ」なのです。
その弱点を克服したのが、異常に大きく発達した大脳による深い思考力だったわけです。
しかし、いくら賢くなっても、単独で身を守ることには限界があります。
そこで、集団で防衛・攻撃するというシステムを確立して生き延びてきたわけです。
 
こうしたことから分かるように、ヒトは孤独に弱い生物なのですが、集団や個人間の情報共有で孤独を克服してきたわけです。
近年はコンピュータ・ネットワークという「離れていても繋がるテクノロジー」で、より広範な情報共有ができています。
だから、独裁国家は、個人間の情報ネットワークを、リアルな集会などはもちろん、ITの世界でも規制して、人々を孤独という檻に閉じ込めるのです。
そうして、「全体主義は孤独になった大衆の支持により維持される」という世界を作るのです。
ロシアや中国などの現状をみれば、よく分かりますね。
大衆を徹底的に孤独化した中で行われたロシアの大統領選挙、その選挙すら行わない中国、そしてトップが世襲の北朝鮮。
 
民主主義国家は、どうしても公平(一人一票)な選挙による政権選択などの非効率な政権運営を強いられるため、大衆を孤独化している独裁国家に比べてスピードに欠ける政治となります。
核戦争後の世界を想定して生まれたインターネットは、今では大きな人の輪を形成する手段となっていますが、今度は、若者がネットの世界に引きこもり孤独化が進行するというパラドックスが起きています。
心理学者は、これを「孤独の襲撃」と呼んでいますが、この襲撃への対処においては、男女に明確な差があると言われています。
 
若い男性ほど、この襲撃を受けて「引きこもり傾向が強まっている」というのです。
たしかに、会社の飲み会などに参加しない若者が増えているようですし、学校では部活動に入らない「帰宅部」の子供が増えていると言われます。
こうした孤独に閉じこもる傾向が強まると、政治への関心が減り、結果として「組織票」と呼ばれる独裁的な組織によって政治が左右されるようになります。
日本や米国では、すでにそうした傾向が顕著になってきています。
 
このような若者の傾向は強まっていくと思われますが、一条の光は女性にあります。
その話は次回で・・
 
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<編集後記>
前回の「若い人の変化」の章で、漢詩の一説「一寸の光陰軽んずべからず」の前の句を調べてみてくださいと書きました。
この漢詩は、中国の南宋時代(12世紀中ごろ)の儒学者で「朱子学」の創始者である朱喜が残した「偶成」の一節で、原文は以下です。
少年易老学難成
一寸光陰不可軽
未覚池塘春草夢
階前五葉巳秋声
 
この第一節「少年老いやすく学成り難し」は、あまりにも有名な言葉ですが、そこで終わっていると思っている人が多く、また「人間はすぐに老いてしまうのだから、早く勉強しろ」というように解釈されています。
しかし、その解釈は間違いです。
第二節から後ろに答えがありますが、作者がこの詩に込めた思いも間違って解釈されています。
それは、また次号で
 
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