2019年2月15日号(国際、政治)

2019.02.18

HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2019年2月15日号
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発行日:2019年2月15日(金)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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           2019年2月15日号の目次
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◇日本の行く道は
★韓国よ、どこへ行く?
◇日本流の中国との付き合い方を(その4)
◇純粋な軍事の話(4)
 
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こんにちは、安中眞介です。
今号は国際問題、政治問題をお送りします。
 
明石市の泉房穂市長の「火付けてこい」などの暴言が問題になっています。
市職員に対する暴言は事実のようですが、その背景は単純ではないようです。
その背景が明らかになるにつれ、全面批判だった世論が賛否両論になってきました。
ことの是非より、事実の確認を抜きに単純に反応する世論に危惧を覚えます。
泉市長が市政に熱心に取り組んでいることは私も知っていましたが、熱血的な気質を心配していました。心配が当たってしまったことが残念です。
 
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┃◇日本の行く道は                        ┃
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日本国民は覚悟を決めなければならないようである。
日本を取り巻く東アジア情勢はこれから劇的に変わる。
 
あえて言いたい。
2回目の米朝首脳会談は、果たして日本にとって歓迎すべきことであろうか。
北朝鮮は「非核化に努力」と言うだけ、米国は「体制を保証する」と言うだけに終わる。
いや、もっとも危惧すべき要素は、具体的な成果が欲しいトランプ大統領の心理である。
コンサルタントの大前研一氏は「トランプ大統領はノーベル平和賞を狙っている」と指摘している。
あり得ない話ではないかもしれない。
来年の再選に黄色信号が灯っている大統領ゆえ「朝鮮戦争の終戦宣言」から在韓米軍の削減へと進み、ノーベル平和賞受賞、そして再選というシナリオを描いている可能性は否定できない。
その見返りは「北朝鮮の制裁解除」であり、金正恩は勿論、韓国の文大統領も願ったり叶ったりの結果となる。
もちろん、大統領の側近たちは反対だろうし、米国議会がすんなり承認するとは思えない。
しかし、この大統領は普通ではない神経の持ち主である。論理で予測はできない。
 
これらのことは可能性に過ぎないが、南北朝鮮の統一が現実的になってきているという認識は必要であろう。
日本政府は、そうなった時の国際情勢にどう立ち向かうかの戦略を考えているのか。
冷静に考えれば、一番大きな危険要素は南北朝鮮ではなく中国である。
中国が尖閣や台湾を武力で奪いに来るという危険も想定しなければならないが、早期の可能性は低い。
もっと長期に考える必要がある。
長期的に見れば中国は分裂するか連邦国家に変化していくと私は思っている。
チベットやウィグル、内モンゴルなどは、戦後、中国が併合していった国であり、戦前はそれぞれ独立した国であった。
もっと言えば、現在の東北部(旧満州)も、かつては中国の覇権が及んでいなかった地域である。
歴史上、大国であった唐や明の時代でも支配が及ばず、そこはいくつもの北方民族の国であった。
しかし、習近平主席は今の版図を維持することに満足できず、さらなる拡大を狙い、北は日本海、南はインド洋、東は西太平洋を支配する海洋大国になることを夢見ている。
まさに中華大帝国である。
だが、それは中国の衰退を意味する。
その道の途上で頓挫し、中国は分裂するであろう。
 
問題は、そこに至るまでの紆余曲折であり、日本の防衛にある。
中国が真の意図を隠し、経済立て直しに専念していけば、米国と肩を並べる強国となる可能性はある。
そうした様々な可能性を推測し、どんな事態になろうと日本の独立を守る国策を政府は用意すべきである。
その前提として憲法改正が必要ならば、政府は国民にそう説明すべきである。
自衛隊の明記がどうのという枝葉末節な話など全くもって無意味である。
まずは、半島情勢が動くことは日本の危機でもあるという認識を強く持つべきである。
次回、少々乱暴だが、私の考える戦略論を述べたいと思う。
 
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┃★韓国よ、どこへ行く?                     ┃
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いま、多くの日本人は韓国に怒っているが、それ以上に「韓国よ、どこへ行く?」という疑問のほうが大きいのではないか。
韓国は、火器管制レーダー照射から一転して「自衛隊機が威嚇飛行した」などという子供じみた開き直りに転換したが、その理由がカギである。
最初、遭難した北朝鮮の捜索にレーダーを使ったと言い訳したが、そもそも木造船はレーダーには映らない。
様々な憶測が出されているが、北朝鮮の船は、遭難した漁船ではなく機関故障か燃料切れを起こした工作船だったという説が一番納得がいく。
工作船は自力でなんとかしようとしているうちに流され、日本の排他的経済水域に入ってしまった。
このまま流されて日本の領海に入ってしまうと、拿捕される可能性が非常に高くなる。
それは北朝鮮の行っている悪事のかなりが日本、ひいては米国に暴露されてしまうことを意味する。
やむを得ず、指向性の強い秘密の波長帯で本国に救援信号を出したのであろう。
その信号をキャッチした北朝鮮上層部から韓国に要請が行き、韓国海軍が救難に向かったのであろう。
しかし、その現場を自衛隊の哨戒機に発見されてしまった。
現場は相当に狼狽し、火器管制レーダーで哨戒機を追い払おうとした。
哨戒機が本当にもっと接近していたら、実際に射撃された可能性があったと思われる。
 
米国は、こうした事実をすべて知っていて、横田にある国連軍司令部に韓国外交部の金泰珍(キム・テジン)局長を呼び出した。
しかも、当日、国連軍司令部のマーク・ジレット参謀長が同席したという。
今回の呼び出しは韓国に対する説教であったと思われる。
 
韓国には「恨(ハン)500年」という言葉がある。「恨みは500年忘れない」という意味である。
今は牢獄にある朴前大統領は「加害者、被害者は1000年経っても同じ」と言って日本を非難していた。
以前、仕事をした韓国人は、韓国人の意識の根底には「日本と戦争して勝ちたい」という気持ちがあると言う。
韓国人の日本に対する「恨み(ハン)」は、日本に支配されたことより、自力で日本と戦い独立を勝ち取れなかった自分たちのジレンマの裏返しだという。
だから、スポーツで日韓戦となると、擬似戦争と受け止め、異様な様相になるのである。
 
こうした、どうしようもない歴史上の恨みが、なにかある度に「戦争だ」という心理に変わり、高飛車な日本非難になっていく。
韓国マスコミは、そうした国民の心理を煽るため、日本に対し「戦犯国」「戦犯旗」「戦犯企業」など「戦犯」という言葉を頻発する。日本人には、韓国と戦争したという意識は全くないが、韓国人は「日本と戦争して勝った」つもりになりたいのである。
それが、日本を「戦犯・・」と落とし込める言葉につながっているのである。
普段から天皇を「日王」と蔑んだ呼び方をし、国会議長までが「慰安婦の手を取って謝罪せよ」などと発言する。
彼らの心の闇はそこまで暗いと思うしかない。
 
まもなく韓国では「3・1独立運動100周年」の大キャンペーンが始まる。
すでに韓国のTVや映画には、抗日テロや日本と戦った映像(架空の話ばかり)などが溢れている。
まあ、映像で「日本と戦って独立した!」という気分になって終わればよいが、嘘が現実にあったこととして定着していく恐れはある。
この国は、どこへ漂流していくのであろうか。
 
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┃◇日本流の中国との付き合い方を(その4)            ┃
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今回の米中貿易戦争は、米国の圧勝に終わるであろう。
事実が中国にとって圧倒的に不利だからである。
産業スパイやサイバー攻撃による技術窃取は、習政権が指示した事実である。
習近平主席は、自らの「中国の夢」を実現するため、人民解放軍や情報機関に技術搾取の指令を出した。
中国は、トウ小平が唱えた「猫の仮面をかぶり、虎の本性を隠す」という戦術を堅持してきたが、習近平主席は「トランプはアホだ」と確信して、「猫の仮面を脱ぎ捨て、虎の本性を表す」戦術に転換した。
それが「中国製造2025」の宣言であった。
だが、彼はトランプ大統領の力を見くびり過ぎた。
これほどの強硬姿勢で来るとは思わなかったのである。
 
やむなく習主席は妥協し、米国の圧力を一時的に弱める策に出た。
米国の攻撃は一時休止状態になったが、矛先は中国を向いたままである。
習主席にとって、それよりやっかいなのは、国内対策である。
もともと対立している派閥が「それ見たことか」と勢いを増すのは当然だが、米国に屈服した形になり、自らが駆り立てた対米強硬派の不満を抑え込むという新たな火種を抱え込むことになってしまった。
 
しかも、米国貿易戦争で合意できたとしても、米国がこれで圧力を緩和するはずがない。
貿易戦争で勝ったトランプ政権は、南シナ海などの安全保障面でより強硬な姿勢を鮮明にしてくると思われる。
習近平主席は、まさに「前門の虎、後門の狼」状態に陥っているのである。
 
この先、トランプ政権には幾つもの手がある。
追加の制裁関税をちらつかせることは勿論だが、中国要人たちの在米資産の凍結に踏み切るという切り札も持っている。
いま、パニック状態の中国要人たちは、すでに一部では在米資産の海外逃避を始めているという。
では、彼らは資産をどこに逃がすというのであろうか。
カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、さらに英国は、前号で伝えたように、諜報分野で一体となっている「ファイブ・アイズ」の国々である。
となると、逃げる先は日本しかない。
東京や大阪の高層タワーマンションが中国人による爆買い状態にあるというが、かなりの部分が共産党幹部の逃避資金ではないかと言われている。
 
中国経済の悪化は止まらず、経常収支は20年ぶりに283億ドルの赤字(2018年前期)に転落した。
皮肉なことに大幅な対米黒字がなんとか経済を支えているのが現状である。
トランプ大統領の攻撃に耐えうる力は急速に衰えているのである。
 
このまま経常赤字が続けば、外国からの資金が必要になるが、ファンドは警戒して動かないであろう。
となると外貨準備を取り崩すしかないが、金融恐慌への引き金になるのが怖い
習政権はトランプ政権によって追い詰められているのである。
 
そうした中国にとっての頼みの綱は日本である。
日本との関係を強硬姿勢から一転して「対等のパートナー」と手のひら返ししたのは、真意ではなく、追い詰められたからである。
安倍首相は新たな時代の3原則として、「競争から協調へ」、「お互いパートナーとして脅威にならない」、「自由で公正な貿易体制の発展」を日中首脳会談で謳い上げたが、その裏に確固たる戦略を秘めているのであろうか。
まさか本気で「お友だちになろう」と思っているわけではないと思うが、そこが心配である。
米国と良好な関係を保ってはいるが、ガラス細工のような脆さもある。
今の事態をどう利用して、日本の国益に結びつけるのか。
野党が国会で首相に問うのはそこであろう。
低レベル大臣の低レベル発言に噛み付くという低レベルさを脱してもらいたいものだ。
 
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┃◇純粋な軍事の話(4)                     ┃
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今後の日本の防衛を考えると、最大のリスクは「中国を後ろ盾とする統一朝鮮」の出現である。
そのときには在韓米軍は全面的に撤退していることになる。
日米同盟は存在しているであろうが、米軍に頼る今の枠組みではなく、対等な同盟関係に進化している必要がある。
もちろん、野党や平和団体は猛反対するし、読者の中にも眉をひそめる方もいらっしゃると思う。
ですが、本項は「純粋な軍事」の話なので、その認識で読んでいただくことをお願いする。
 
さて、日本を取り巻く国際情勢が、そのようになったとき、日本の西と北は、価値観も政治体制も異なる国々ばかりになる。
つまり、日本が自由主義国側の最前線となってしまう。
かつ、台湾を守るという意味で重要な役割を担うことになる。
沖縄を中心とする南西諸島は、その中で前線橋頭堡となってしまう。
 
中国は、現在、原子力空母を建造中だが、2030年代に6艦保有する計画である。
米国は原子力空母を11艦保有しているが、西太平洋に展開できるのは最大で4~5艦隊と言われている。
つまり、勢力は逆転するというわけである。
こうした事態を前に、日本はどう米国と連携を取るかということが、これからの日米安保の主要議題となるであろう。
日本が原子力空母を保有するのは現実的ではないが、通常型の正式空母を保有して、米中の戦力差を埋めるという要請は強まってくるであろう。
 
さらに、軍事的要素で、これから重みを増すのが、対艦ミサイル網の整備と潜水艦隊の増強である。
質的能力において、原子力艦を持たなくても日本の潜水艦は世界でも一級の能力を有する。
ただし量においては全くの不足である。
現在の16隻を20隻以上にすることが防衛大綱で決まっているが、それでも中国の1/3から1/4である。
米艦を足して、ようやく半分ぐらいと考えたほうがよい。
 
兵員の質に関しては、私の僅かな経験からも日米の優秀さは際立っていると確信できる。
しかし、それでも量の不利を補えるのは2倍までといえる。
つまり2030年代に、西太平洋において日米対中国の潜水艦隊の戦力は拮抗するということである。
 
しかし、平時はともかく実際の戦争となった場合は、潜水艦だけの戦いではなくなる。
水上戦闘および航空戦闘が大きな要素となる。
この点、量においては、同様に中国の優位は動かない。
となると質の問題だが、中国軍の艦艇や戦闘機の技術能力は正直、よく分からない。
報道やネットで伝えられている情報では、米軍に匹敵するのではと言われているが、それは誇張された情報に過ぎない。
兵員の質においてもである。
 
かつてのソ連の軍事能力も、同様に誇張された情報が日本で肥大化していた。
しかし、私が入手できたアングラ情報からは、ある程度、その実態が見えていた。
そこから見える純粋に軍事的な要素については、次回、解説する。
 
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<編集後記>
ジャーナリストの井上和彦氏がレポートしたSAPIO2019年1・2月号に以下のような話が載っていた。
1920年、ロシア革命のさなか、混乱に乗じた連合国によるシベリア出兵があった。
当時のシベリアには、ロシアによって属国にされていたポーランドの人々が多数送られていて、多くの死者を出す悲惨な状況にあった。
その時、孤児となった子供たちの救援をポーランドは日本に要請した。
日本政府はこれを快諾し、シベリアに出兵していた部隊に孤児の救援を指示した。
結果、765人の孤児が救われ、日本を経由して母国に帰還した。
孤児たちは、日本に滞在している間、手厚い介護を受け、人々に親切にされたという。
日本を離れるとき、孤児たちは涙を流し、その人達との別れを悲しんだという。
 
そのことを、今でもポーランドは日本に感謝し、ヨーロッパ一の親日国家となっている。
ポーランドは、東日本大震災の時、孤児となった日本の子供たちをポーランドに招待し、手厚く持てなした。今度は日本が感謝する番となった。
こうした縁は大事にしていきたいものだと思う。
 
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