2019年9月15日号(国際、政治)
2019.09.17
HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2019年9月15日号
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発行日:2019年9月15日(日)
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2019年9月15日号の目次
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★民族主義につける薬はない
☆日本の採るべき道
★第一列島線の攻防(1)
◇やさしさと真面目さが繋がると
<HAL通信アーカイブス>http://magazine.halsystem.co.jp
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こんにちは、安中眞介です。
今号は国際問題、政治問題をお送りします。
韓国の文在寅大統領の頭の中は南北統一の夢で一杯なようです。
文在寅氏は、ものごとすべてを自分に都合よく解釈して「おとぎ話の未来」を信じ、語る人物と言われています。
「北と一緒になれば日本を凌駕できる」とした発言も本心です。
日本は、夢見る韓国とは距離を置いたほうが良さそうです。
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┃★民族主義につける薬はない ┃
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反日に染まる今の韓国を見れば分かるように、民族対立に抜本的な解決策はない。
日韓両国は、これまでギリギリのところで、決定的な対立になることは回避してきた。
それには米国の存在が大きかった。
東アジア安保に腐心する米国にとって、日韓との同盟は大きな意味を持っていたからである。
しかし、自国のことしか頭にないトランプ米大統領の出現と、民族主義に凝り固まった韓国の文大統領の出現が重なったことで、これまでガラス細工のように積み上げてきた両国の関係は粉々に砕けてしまった。
それをトランプ大統領のせい、あるいは文大統領のせいにしても、何の意味もない。
両大統領とも、当事国の国民が選んだ大統領である。
ゆえに、日本に解決する手段はない。
一部の大学教授や評論家の「日本が謝り続けるべき」という主張は、何の意味も持たない。
戦後70年、いったい何人の首相が謝罪してきたか。
多額の賠償金を払い、それでもなお、慰安婦財団などの資金を提供してきた。
しかし、全ては徒労に終わった。
少なからぬ日本国民は、嫌韓というより、韓国との付き合いに疲れてしまった。
それが証拠に、韓国で日本製品の不買運動が広がろうと、日本で韓国製品の不買運動などは皆無である。
それは韓国への理解ではなく、「もう付き合いたくない」という心境になっているからである。
そうした日本国民の意識を感じ取ったのか、抗議デモのスローガンが「反日」から「反安倍」になってきたと報道されている。
しかし、これも滑稽な話である。
安倍首相は独裁者でもなんでもない。
日本国民が民主選挙で選出した与党の首相である。
ゆえに「反安倍」は日本国民への批判になるという道理が、韓国には通用しないらしい。
韓国民が、過去の歴史へのやるせなさから、反日感情を募らせることは理解できる。
しかし、理解はできるが同調はできない。
過去の韓国は、内部抗争に明け暮れ弱体だったから、中国の、そして日本の属国になったのである。
歴史とは、そうした醒めた目で眺めなければ、教訓にはならない。
現代でもその構図は変わっていない。
自国より強大な米国、中国に振り回され、国力で上回る日本からは相手にされない。
せめて、日本に対してだけは上から目線でいたいと感情を募らせる。
しかし、弱者が「強者の論理」を振り回すという愚を犯しているということを理解できていない。
そうした論理に合わない行動を取らせているのが民族主義である。
民族主義に染まる今の韓国とは距離を置くべきだが、嫌韓という感情に振り回されてはならない。
あくまでも冷静に、国益に沿った論理的な対応を政府には望む。
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┃☆日本の採るべき道 ┃
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トランプ米大統領の奔放な発言に世界中が振り回されています。
金正恩から「美しい手紙をもらった」と自賛する姿は、トランプ流の戦略と理解していても、正直言って「気持ち悪い」
大統領執務室で「同盟国の危機? そんなこと知るか!」と喚く姿が目に浮かんでしまいます。
安倍首相とトランプ大統領の仲の良さなどは、日本側の幻想に過ぎません。
日本をどう利用するかは考えていても、日本のことなど念頭には無いでしょう。
我々は、感情を抑えて、大統領の発言の裏側を探ることが大事です。
まず、こうした内向き姿勢は大統領だけの思考ではないことを、日本は認識する必要があります。
米国人の多くは、海外のことには無知で関心もありません。
もちろん、日本のことなど頭の片隅にも無いでしょう。
こうした国に日本の安全を託している現状の危うさを考えるべきです。
日本は「米国に守ってもらっている」という幻想から脱し、「自国の安全は自国の手で確保する」という、国家として当然の道へ舵を切る覚悟を固めるべきです。
そうした冷徹な目で北東アジア情勢を眺めることが必要です。
今の米国の戦略の核心が対中国にあることは、誰が見ても明白です。
ならば、日本は米国一辺倒になるのではなく、中国とも冷静に付き合うべきです。
しかし、それは、中国と仲良くするのとは違います。
外交や軍事において、中国と対等の関係で付き合うという意味です。
もちろん、日本の国力で中国という軍事大国に正面切って対抗できるわけはありません。
しかし、兵法によれば、効果的な防衛力の整備で、3倍までの敵の攻撃に耐え得るとあります。
つまり、「効果的な防衛力の整備」がカギなわけです。
永世中立国のスイスやスエーデンの防衛力が優れているのは、自国が攻撃を受けた場合、国民全てが兵士となり戦う体制を整えていることです。
核兵器も持たず、どことも軍事同盟を結ばないが、いざという時には国民が一体となったハリネズミのような軍事国家になるのです。
ただし、日本は両国とは違う国際情勢の中にあり、米国とは軍事同盟を結んでいます。
この同盟を、日本自体の防衛力を核とした軍事同盟へ進化させていく必要があります。
その一環として、インド太平洋構想に積極的に加わることも大きな意味を持ちます。
F-35の大量導入や「いずも」の空母化は、国内では反対もありますが、半島と中国以外のアジア諸国からは期待されています。
実際、「インターナショナル・ビジネス・タイムズ」のインド版は、F-35等による日本の防衛力強化を、「中国の顕著な軍拡主義と包囲網の圧力にさらされているインドの恩恵になる」と書いています。
日本が今より強化した軍事力を背景にしない限り、中国は日本とのまともな対話に応じないでしょう。
武器を持たない平和主義は理想ですが、軍事国家相手には通用しません。
アジア太平洋の平和には、日本の軍事力の整備が欠かせないピースなのです。
かつ、中国とのあらゆるチャンネルを強化し、戦争の危機を可能な限り軽減していくべきです。
機密漏えいを防げる範囲での軍事交流も続けるべきでしょう。
まさに、孫子の言う「我を知り、彼を知らば・・」です。
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┃★第一列島線の攻防(1) ┃
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軍事を毛嫌いされている方でも、「第一列島線」という言葉を聞いたことがあると思います。
戦後、共産党政権となった中国ですが、同じ共産主義国のソ連と同盟を結びながら、一番の仮想敵国はソ連でした。
実際、中ソ両国は、何度も国境で軍事衝突を繰り返してきました。
それゆえ、中国軍(人民解放軍)の主力は世界一長い国境線を守る陸軍でした。
その反面、海軍は沿岸警備隊に毛が生えた程度の戦力でした。
それが1991年のソ連崩壊で、仮想敵国は米国へと変わりました。
米国は、ソ連とは異なり、海洋国家であり、伝統的に海軍大国です。
その米国と戦うためには、海軍の整備とともに海洋に防衛ラインを制定する必要がありました。
その最初の防衛ラインが、九州~沖縄~台湾~フィリピン~ボルネオ」を結ぶラインであり、これを「第一列島線」と名付けたのです。
さらに、日本列島~グアム~ニューギニアを結ぶラインを「第二列島線」と名付け、この二つのラインを中国防衛の基本ラインとしたのです。
さらに、ハワイ~サモア~ニュージランドを結ぶ線を「第三列島線」と呼んでいますが、具体的な戦略は無いと見られています。
中国は2010年までに「第一列島線」を確保するとしていましたが、それは夢と終わりました。
それはそうです。
公海はおろか日本やフィリピンなどの領海までをも犯す戦略ですから、許されるはずはありません。
もちろん、中国も平時にこの範囲を手中に収めようとしているわけではありません。
あくまでも自国の防衛ラインとして、有事にはこの範囲内の制海権、制空権を確保し、米国太平洋艦隊の接近を阻止することを目的としています。
しかし、有事に備えるためには平時においても制海権および制空権を確保する必要があります。
実際、1992年に中国は「領海法」を制定しましたが、この法律で一方的に尖閣諸島、南沙諸島、西沙諸島の領有権を主張したのです。
それだけでなく、中国の大陸棚が沖縄まで続いていると主張し、沖縄近海の海域までの東シナ海全域の管轄権を主張したのです。
実際、南シナ海を、一方的な島々の占領と埋め立てにより中国の内海とし、急ピッチの軍事要塞化を進めています。
次は東シナ海を狙っているのは明白です。
尖閣諸島への領海侵犯が急増していることが何よりの証拠です。
こうした中国の軍事侵攻の意図を挫くため、日本は米国と協力し、逆に「第一列島線」を中国による侵攻を防ぐ防衛ラインとする必要があります。
もとより私は中国との平和共存を望んでいます。
両国の友好を深めていくことは何よりも重要ですが、中国が「第一列島線」を中国の傘下に収める意図をむき出しにしている以上、侵攻の意図を諦めさせるための防衛力強化は必須なのです。
それが東アジアの平和に欠かせない重要なピースです。
次回以降、第一列島線の攻防戦を軍事の視点で論じていきたいと思っています。
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┃◇やさしさと真面目さが繋がると ┃
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団塊の世代である私には学生運動に身を投じた友人が何人もいた。
中には過激派組織のリーダーになった者や中東に渡った者もいた。
以前にも書いたが、赤軍派のリーダーだった重信房子は幼馴染である。
彼らには共通する性格があった。
それは“やさしさ”である。
子供の頃の重信房子は、年下の子の面倒をよく見る“やさしい”子であった。
彼女より少し年下だった私は、引っ込み思案で一人遊びの子供だった。
そんな私を彼女は、手を引き子どもたちの輪の中に入れてくれた。
60年以上が経った今でも、彼女の手のぬくもりを思い出すことができる。
彼女が高校生の頃、父親の借金が原因で一家は家を失い引っ越していった。
彼女を次に見たのは、新聞各紙に載った写真だった。
赤軍派のリーダーとして指名手配された彼女の写真を見た時は胸が痛くなった。
「あんな優しかった子がなぜ」としか思えなかった。
それから数十年の時が過ぎ、日本に戻って逮捕された彼女の顔はすっかり別人に変わっていた。
過酷な逃亡人生が人の顔を全く変えるのかと衝撃を受けた。
今は八王子医療刑務所でガン治療の身であるという。
また、過激派の内ゲバ殺人で指名手配された高校の同級生がいたが、彼も面倒見の良い“やさしい”子であった。
TVで彼の顔が大写しになった時の衝撃も忘れることができない。
今になって考えると、彼らには“やさしさ”と共に、純粋な真面目さがあった。
その2つが融合すると、世の中の理不尽さに耐えられなくなり、そうした苦悩がやがて信じられない凶暴さへと変わるのだと思う。
我々凡人は、彼らほど“やさしく”ないし、真面目でもない。
だから助かっているのかと思うと、複雑な思いに駆られる。
そして、世の父親や母親に言いたい。
我が子を、過度に「やさしい良い子」に育てようとしないことだ。
「悪い子」で良いと思うことだ。
重信房子の父親を、一度TVで観たことがあった。
「娘を誇りに思います」と言っていた。
子供の頃、毎日のように接していた“おじさん”である。
その心境は痛いほど理解できたが、「おじさんのその気持が彼女を不幸にしてしまったんだよ」と言いたかった。
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