2018年5月15日号(国際、政治)
2018.06.01
HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2018年5月15日号
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発行日:2018年5月15日(火)
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2018年5月15日号の目次
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◇米朝会談の行方
◇トランプの言い分にも一理ある
★日本の安全保障
◇植民地に対する誤解
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こんにちは、安中眞介です。
今号は、国際問題・政治問題をお送りします。
国会は再会されたが、緊迫の度合いを増す国際情勢など「どこ吹く風」のレベルの低さ。
相変わらずのモリカケ問答に、元次官のセクハラと中身は落ちる一方。
野党は、政権構想どころか、離れたりくっついたりと、三文芝居にもならないドタバタ騒ぎ。
緊張感の無さから、与党議員は失言ばかり。
まさに「平和ボケ」日本を象徴する政治の有様です。
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┃◇米朝会談の行方 ┃
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世界のマスコミも、6月の米朝会談の結果は予測がつかないようで、的を射た論評が見当たりません。
そこで、勝手に分析してみました。
北朝鮮が、経済制裁に音を上げ、米国の軍事攻撃を本気で恐れたことが今回の会談につながったことは明らかである。
金正恩は、圧倒的な軍事力を有する米国と交渉するには、北朝鮮を「核保有国」として認めさせる他はないと信じ、核開発に邁進し、長距離ミサイルの保有まで進んだ。
しかし、ミサイルを米国に到達させるまで射程を伸ばすことは出来たが、大気圏への再突入の技術は確立出来なかった。
それでも、米国本土を攻撃できるとして、「核戦力の完成」宣言までした。
しかし、その程度のウソは米国にバレバレで、かえって経済制裁は強化され、中国までも経済制裁の輪に入り、公海での密輸(瀬取り)取締りも徹底され、北朝鮮は窮地に陥った。
そこで、最も軟弱な韓国を狙い撃ちし、平昌五輪を利用し、文大統領を取り込む作戦に出た。
さらに、中国に抱きつき「いざという時は助けてくれ」と泣きついた。
中国の習近平主席は、中国をリスペクトしない金正恩を快く思っていないが、この泣きつきを利用しない手はないと考え、2回の訪問を受け入れた。
金正恩は「非核化と経済制裁の解除を同時並行にするよう米国に頼んでくれ」と要請したが、習近平主席の答えは「中国は応じてもいいが、米国は無理だろうな」であった。
こうして、金正恩は不安を抱えて会談に臨むことになったが、今でも執拗に中国に米国の説得を頼んでいるところである。
さて、一方のトランプ大統領だが、彼は政治も商売としてのdeal(対処、取引条件)と同じと考えている人物である。
その場その場で、180度態度を変えることを何とも思っていない。
ついさっき口汚く罵(ののし)った相手でも、相手が妥協したとたん「君は最高にいいヤツだ」と臆面もなく言える。 実に“うらやましい”性格である。
だから、あらかじめ確かな方針を決めて会談に臨むことはないと思われる。
この会談、圧倒的に米国に有利な情勢なのである。自分からカードを切る必要はない。
トランプ大統領は、会談が決裂したら「軍事攻撃で決着をつけるまでだ」と思っている。そのことに何の躊躇もないであろう。
金正恩は、非核化と引き換えに、経済制裁の緩和のみならず、経済援助の要求まで出すであろう。
もしかしたら、核兵器の全てを米国に引き渡すとまで言うかもしれない。
だが、トランプ大統領は、「完全非核化が先だ。その後のことはその後だ」と主張するであろう。
金正恩としては、決裂だけはなんとしても避けたいので、結局は押し切られる可能性が大きいと思う。
その上で、中国に膝を屈して、水面下の経済援助で切り抜けを図る戦略を描いているのではないか。
今のところは、このくらいしか予測ができない。
とにかくトランプ大統領は読めない人だから。
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┃◇トランプの言い分にも一理ある ┃
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金正恩との会談を控えて少しは慎重になるかと思われたが、トランプ大統領という人は常識では測れないようである。
突如、イランとの核合意から離脱した。
また、国交を回復したはずのキューバに対しても経済制裁の強化を打ち出している。
こうした処置に対する内外のマスコミの論調は、批判一色のようである。
だが、トランプ大統領の主張にも耳を傾けるのが公平な報道と思うのだが、現代のマスコミは感情で世論を動かそうという論調が主流になっている。
キューバやイランは、日本や欧米諸国とは違い、独裁国家である。
深刻な人権侵害の情報は、ほとんど我々には届かない。
だが、日本のような自由な国にいては分からないほど、こうした国の国家権力は暴力的である。
そうした過酷な状況が不法移民を生み、過激派の爆弾を生んでいる。
この土壌は、独裁国である限り決して改善されることはない。
前任のオバマ大統領は、そうした状況に目をつぶり、国交を結び、外交合意を結ぶことを優先した。
もちろん、その後に改善の交渉を行おうと考えていたとは思うが。
トランプ大統領は、そうした前任者のやり方ではダメだと考え、強引に入り口を変える戦略に切り替えたのである。
キューバへの制裁強化やイランとの核合意からの離脱の背景には、そうしたトランプ流の言い分がある。
たしかに「強引過ぎる」が、トランプ大統領の理屈にも一理あると考えるのが公平な見方ではないか。
不法移民の存在が、欧米の暗黒面を形勢しつつある現状は、日本にいては分からない。
不法移民は、不法ゆえ職も限られ、生活は厳しい。
犯罪に走る者が出るのは必然といえる。
ドイツのように移民を合法化すればと考えるが、過激派の入国を容易にするというマイナス面を無視できない。
トランプ大統領のように「壁を作れ、強制的に追い返せ」という主張が非人道的というのであれば、そもそも独裁国家に対して何もできない国際社会の仕組みのほうに問題があるのではと思うのである。
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┃★日本の安全保障 ┃
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米朝会談の行方に関心が集まっているが、米朝が和解した場合、さらにその後に統一朝鮮が出来た場合のことを考えておく必要がある。
最悪の事態(核を保有したままの統一朝鮮の誕生)が現実化した場合、一気に日本の安全保障は揺らぐことになる。
また、朝鮮半島の非核化は出来ても、朝鮮半島に対する中国の影響力が飛躍的に高まることは確実である。
軍事費を年8%も増大させ、巨大な軍事国家となっていく中国に対し、ほとんど横ばいの軍事費の日本が手も足も出なくなるのは時間の問題である。
しかも、統一朝鮮は、巨額の復興資金を日本に要求してくるであろう。
日本は喜んでいる場合ではないのである。
こうした国家存続の緊縛の問題が、国会ではまったく議論の場に載らないのである。
もしかしたら、10年もしないうちに、現実化するかもしれないのに。
いくら、安倍首相がトランプ大統領との仲をアピールしても、日米同盟にヒビが入り始めていることは否定できない。
日本への接近を鮮明にしてきた英国を巻き込んで、日米英の三国同盟(この名称には抵抗があるが・・)に進化させる、あるいはインドや東南アジア各国と相互安保条約を結ぶなどの選択肢もある。
もちろん、日本独自の防衛力の強化も戦争抑止の面から重要な議題である。
憲法改正問題は、こうした外交課題とセットで議論されるべきである。
しかし、こうした議論が国会で起きない現状が本当の危機なのであろう。
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┃◇植民地に対する誤解 ┃
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戦前の日本は韓国や台湾を植民地化したが、現代の両国の対日感情は正反対である。
普通に考えると「両国を差別したから」となりそうだが、日本は両国をまったく平等に扱った。
では、どうしてなのか。それを考えてみた。
実は、戦前の日本にとって両国を植民地化するメリットはまったく無かった。
当時の韓国も台湾も、等しく極貧状態であった。
搾取するにも、搾取するものがなかった。
日本は、道路を造り、鉄道を敷き、病院を建て、下水道を整備し、学校を建て、教員の養成を行なった。
特に、プサンやソウルの衛生状態は劣悪で、様々な感染症が蔓延していたため、日本は病院の建設など、医療体制の整備に最も力を入れたのである。
私ごとであるが、当時、陸軍士官学校を出たばかりの私の父は新婚の奥さん(私の母の姉)を連れてソウルに赴任したが、1年足らずで、その奥さんをチフスで失った。
陸軍将校という身分なので、それなりの宿舎に入ったのであるが、それでも感染したのである。
そのくらい衛生状態がひどく、日本は衛生状態の改善に必死だったのである。
要するに、日本は気の遠くなるような莫大な投資を行なったのである。
1965年に結ばれた日韓基本条約には「両国は、互いの請求権を棄却する」と書いてあるが、
この趣旨は、日本が戦前に行なった巨額の投資に対する請求権を捨てるということであった。
その代わり、韓国も個人を含めて日本に対する請求権を捨てるということであった。
しかし、韓国がそれを蒸し返しているのは承知のとおりである。
なぜ、日本は、こんな割の合わない植民地政策を遂行したのであろうか。
そうすることが植民地政策の理想と信じたからであった。
つまり、現地を近代化させることを使命と感じていたのである。
日本はヨーロッパ流の啓蒙思想を取り入れ、近代化に成功した。
ヨーロッパの啓蒙思想が、じつは侵略を隠すための建前であることに気付かずにである。
そして、建前を信じた植民地政策を展開したのである。
1995年、当時の村山富市首相は、「戦後50週年の終戦記念日にあたって」と題した、いわゆる「村山談話」で、こう述べた。
「植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました」
ここには、「植民地=収奪対象」というステレオタイプの浅い見識しかない。
多大の損害と苦痛を被ったのは、重税にあえいだ当時の日本国民のほうなのである。
韓国は、信奉する朱子学の華夷意識に裏づけられた「小中華」意識が邪魔して、格下に見ている日本の努力を否定するのである。
ところが、台湾にはそうした思想がないため、日本に対する感謝を持ち続けているのである。
これが両国の対日観を180度分けている理由である。
せめて、現代の日本人は、戦前の植民地政策への誤解を解くべきだと思うのである。
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<編集後記>
新潟で起きた女子児童殺害は、私の郷里にも近いことから驚いています。
のどかな田舎町にもこうした犯罪の芽が育つ原因のひとつが、過剰に膨らんだネット社会です。
ネットの世界は、非合法のオンパレードになっています。
内向的で屈折した精神の持ち主が、自分勝手な妄想を膨らませていくのは当然です。
そして、犠牲になるのは、彼らより力のない女性や子供など弱者であることも必然です。
冗談抜きで、サイバー警察が必要で、そのための法整備は待ったなしのはずです。
国会議員たちよ、いいかげん、国民を守るために働けよ。