2026年6月30日号(経済、経営)
2026.07.21
HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2026年6月30日号
┏━┓┏━┓┏━┓┏━┓┏━┓
H A L 通 信
┗━┛┗━┛┗━┛┗━┛┗━┛ http://www.halsystem.co.jp
発行日:2026年6月30日(火)
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2026年6月30日号の目次
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇長期金利の上昇(前半)
◇SNSの危険性とNECの顔認証技術(その2)
◇新車陸送の世界(14)
<HAL通信アーカイブス>http://magazine.halsystem.co.jp
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
こんにちは、安中眞介です。
今号は、経済、経営の話題をお送りします。
高市政権初の「骨太の方針」が間もなく発表されます。
これまでの政策は、石破前政権が作成した「骨太の方針」に縛られていたわけですが、それが高市首相主導の方針へと変わるわけです
情報によれば、この「骨太の方針」の軸は「強い経済の実現に向け、適切な金融政策運営が行われることが非常に重要」となるようです。
つまり、日銀と連携してデフレへの後戻りを防ぎ、物価安定の下で持続的経済成長を目指すという趣旨が明記されることのようです。
しかし、金利上昇によって、物価上昇の速度が成長速度を上回ることが懸念されます。
今号は、そこから始めます。
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃◇長期金利の上昇(前半) ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
金利がじりじりと上がってきています。
長期金利の指標となる新発行の10年物国債の利回りは6月22日時点で、2.670%に上がりました。
マスコミは「30年ぶりの水準」と報道しますが、それだけ低金利の時代が長く、その間に日本は世界経済の成長の波に置いていかれたというわけです。
それゆえ、国民の意識は「まだデフレ状態にあり、インフレ時代に入る覚悟が決まっていない」という状態なのです。
こうした国民意識に負けて、政府は「食品の消費税を2年間ゼロ」にする方針を決めましたが、「システム改修の負担で実施が遅れる」としてゼロではなく1%とする案を公表しました。
しかもその1%分にあたる補助金を出すので「実質0%の選挙公約は守れる」という“いつもの”グダグダぶりです。
果断な政治を期待していた高市首相には、少々がっかりです。
首相は、自身が目指す政治の実現に、この程度のことで足を引っ張られたくないと思い、妥協したのでしょうか。
金利の話に戻ります。
長期金利上昇の第一の要因は、「高市首相は積極財政派で、拡張的な財政政策を行い財政悪化が進む」とみた債券市場が警戒感を募らせていることにあります。
そこに、人手不足や賃上げが重なり、消費者のインフレ警戒が高まるという懸念で長期金利が上昇しているわけです。
その上に、イラン戦争が引き起こした世界的な金利上昇が重なっており、日本の長期金利の上昇はこの先も続くと思われます。
たとえ、米国とイランの合意が成ったとしても、イラン及び湾岸諸国の石油インフラの被害の修復にはかなりの時間と費用がかかります。
ホルムズ海峡の不安定さも残り、イスラエルによるレバノンのヒズボラ勢力への攻撃は続くでしょう。
インフレがさらに進む材料が積み重なっています。
米国大統領の失策は、同国だけでなく世界経済へ大きな悪影響を及ぼします。
大統領には、少し長い時間を掛けて熟慮した末の政策をお願いしたいものです。
でも、トランプ大統領には「馬の耳に念仏」でしょうね。
トランプ大統領は、激しく対立したFRB(米連邦準備理事会)のパウエル議長の任期満了に伴い、自分の意に沿う人間と見られているウォーシュ新議長を任命しました。
しかし、利下げを望んだトランプ大統領の思惑に反し新議長は金利を据え置きました。それどころか、利上げを示唆する発言まで行っています。
この結果、日米の金利差が縮まるどころか、逆に広がるようだと、一段と円安が進むのは必然となります。
ただ、高市首相は「短期で考えるのでなく長期で考える」として短期的な金利上昇には振り回されない姿勢を明確にしています。
また、日本銀行は金融政策の正常化を念頭に、これまで続けてきた国債の買入額を段階的に減らしています。
国内の大手金融機関は、含み損を抱えていて積極的に国債を積み増せる状況にはありません。
つまり、国債の発行残高が増える要素は減っているわけです。
一方で、上場企業の定期預金は2026年3月時点で約77兆円と大幅に増加しています。
つまり、手持ち資金を投資に回さずに預金に回しているのです。
野党は、根拠の薄いスキャンダルのネタ探しに血道を上げるのではなく、こうした企業の資金塩漬けを解消させる策を政府に迫って欲しいものです。
でも、無理かな・・・
次回に続けます。
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃◇SNSの危険性とNECの顔認証技術(その2) ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
前月号はお休みしたので、4/30号の続きです。
先日、マイナンバーカードを作成しようと役所に行きました。
「今ごろ?」と言われそうですが、それまでは必要性を感じなかったからです。
病院は「医療資格確認書」のほうが便利ですし、ほとんどの身分証明は運転免許証で足ります。
政府は「マイナポイント」なる餌で国民を釣りましたが、まったく魅力を感じませんでした。
もちろん、家族や友人たちから呆れられましたが、本当に持つ意味を感じなかったのです。
では「今回はなぜ?」と思われるかもしれませんが、このカードを持ったら何が変わるのかを実感したかったからです。
たぶん、何も変わらないだろうと思っていますが・・
健康保険や免許などとの合体はするつもりはないし、他に使用する場面が思い浮かばないからです。
先日、病院の窓口で、高齢者女性の方がマイナンバーカードの読み取り機の前で困惑していました。
顔認証でダメと言われ、機械から「認証番号を」と言われて立往生していました。
受付の女性が出てきて、代わりに操作してあげていましたが、暗唱番号が違っていたらしく、何度もやり直していました。
その度に高齢女性は「すみません、すみません」と頭を下げて謝っていました。
なんとか承認が出来て処方箋を受け取り、女性は目的の診療窓口へ向かって去りました。
以前ならば紙の健康保険証を出せば済んだことが面倒なことになっていると思わされた場面でした。
私は、マイナンバー制度を批判したいわけではありません。
情報化時代を考えれば必須のことと認識しています。
そもそも、私はシステム開発会社を運営している身です。
必要性と有用性は十分に認識しています。
ただし、日本政府の進め方には多いに疑問を持っています。
マイナンバーカードの保有率は2026年5月末で83.1%となっています。
ということは、16.9%の人は保有していないわけです。
寝たきりの方などを除いても10%ぐらいの方が、私のように保有していないということです。
たぶん、私と同様、5年に1回の更新を「面倒くさい」と思い、その割には「メリットを感じない」のではないでしょうか。
経済評論家の大前研一氏が、4月2日のブログでインドの例を紹介していました。
それによると、インドでは「アドハー」と呼ばれる14億人の国民IDに、10本の指と目の虹彩で認証するシステムが導入されているということです。
同国はそれを基盤に決済プラットフォームまで構築しているということです。
実は、この顔認証には日本のNECの顔認証技術が使われています。
この技術は、アメリカ国立標準技術研究所の性能試験で世界首位となり、1200万人分の静止画テストでのエラー率が0.06%という驚異的な精度を誇っています。
NECは、顔や虹彩だけでなく、指紋、声・耳の音響などのいずれの分野でもトップクラスの技術を持っているとのことです。
私が50年以上の昔に最初に就職した会社がNECです。
同社で潜水艦の防衛システムの開発に携わりましたが、海中を伝う音響解析が要の技術でした。
この技術は、当時の仮想敵国であった旧ソ連の技術を遥かに凌駕していました。
我々は、本当に潜水艦同士の戦闘になった場合、この探知・解析技術の優位性で日本が勝つことを確信していました。
このNECの技術優位性は50年後も世界最高レベルを保っているのです。
しかし、日本政府は、この技術を使おうとしないのです。
次回に続けます。
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃◇新車陸送の世界(14) ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
ある日、陸送チームに一人の“おっさん”が入ってきました。
たぶん50代後半だったと思いますが、20代前半の私にはかなりの年配者のように見えました。
だから、「えっ」と思いました。
読者のみなさまも、このチームの狂ったような走りを知っていますから、「えっ」と思われたでしょう。
当時のチーム全員が『このおっさん、無理やろ!』と思ったはずですが、誰も何も言いません。
案の定、チームの狂ったような走りについてこられるはずはなく、“おっさん”は、かなり遅れて埠頭に到着。
マイクロバスの中や外で待っているチームの冷たい視線を感じてか、“おっさん”は身を小さくして「すみません、遅くなって」と、か細い声で何度も謝る。
しかし、言葉を返す者はなく、冷たい空気だけが流れる。
私は、『このおっさん、勤めていた会社をクビになって、こんなバイトに来たんだろうか。だけど無理だよ、続けられるわけはないし、ヘタしたら死んじまうぞ』と思った。
誰も口には出さないが、みな同じように思っている空気がマイクロバスの中を漂う。
やがてマイクロバスは工場に戻り、この日2回目の陸送が始まる。
すると、リーダーが私を呼んだ。
そして「次回のお前のカード、この“おっさん”に付けるぞ。いいな」と言った。
つまり、次回、私が運ぶ車は、私ではなく、くだんの”おっさん“が運んだことにするという意味である。
リーダーは“おっさん”に向かって「俺たちが戻るまで、その辺の車に潜り込んで寝てろや。おっさんの代わりに“こいつ”が運んでくれるとさ」と、私を指さして言う。
私は「そんなアホな・・」と言いたかったが、リーダーの鋭い視線に何も言えない。
リーダーと殴り合いのケンカまでする気の荒い先輩も『分かったな』と、口には出さず目線で私を黙らせる。
私は「はい」と言うしかなかった。
リーダーは別の若手を指さし、「その次はお前な」と言う。
彼も「はい」と言うしかない。
おそらく、一番驚いたのは、当の“おっさん”だったであろう。
だが、何も言えずに、私のほうを見て「すみません」とでもいうように手を合わせた。
私は、腹が立つというより、不思議な考えに囚われた。
交通法規や信号の全てを無視して暴走ともいえる走りを常態化しているチームの先輩たちの不思議な意識にである。
『この人たちの意識や善悪の概念は、いったい、どうなっているんだろう』と考え込んでしまった。
しかし走り出せば、そんな疑問などを抱えている余裕など無い。
チームはいつもの走りで埠頭まで走り抜け、そしてマイクロバスで工場に戻った。
くだんの“おっさん”は、我々を待っていた。
そして、私に向かって何度も何度も「すみません」と頭を下げた。
私は無視するのも大人げないと思い、「いいんですよ」と言った。
ずらりと新車が並ぶ広大な駐車場の一角で淡い照明に照らされた“おっさん”の顔を見ていると、怒る気にはなれなかった。
自分の父親のような年代のこの“おっさん”に対し、『この人の家族は、こんな“おっさん”の姿、知らないんだろうな』と考えると、何だか悲しくなってしまった。
こうして“おっさん”は、この夜1台運んだだけで、6台分の報酬を得ることになった。
その分、我々若手は1台分ずつ減ることになったが、不思議と腹は立たなかった。
次の日“おっさん”の姿はなかった。
若手の同僚が「あの“おっさん”いないな」と口にすると、
リーダーは「もう来ねえよ。社長に『無理に決まってるだろ』と言ったらよ、『タクシー運転手だったというから大丈夫と思ったんだがな』とさ」と言う。
そして我々に向かって言った。
「あのまま走らせたら、あのおっさん死ぬぜ。お前らだってそう思ったろう。だけど毎回、お前らに肩代わりさせるわけにはいかねえのも当然だ。社長に解雇してもらったよ」
平然と法規を無視する“とんでもない”走りをするリーダーたちの行為と、この奇妙な思いやり(?)とのギャップに、私は考え込んでしまった。
『人の優しさってなんだろう』と。
そして、『ものごとは、一面だけ見ていたのでは分からないな。先輩たちは、殴り合いの喧嘩までするのに、あの“おっさん”のような弱者に信じられない救いの手を出す。だけど、仲間とは認めず、追い出す。これが人間というものなんだろうか』と思うのであった。
年齢を重ね、多くの経験を経た今では「こうした矛盾の中で生きることが人生なんだ」と割り切っているが、答えを得られたわけではない。
この先、人生を終える瞬間に浮かぶ意識が、その答えなのだろうかと考えた。
----------------------------------------------------------------------
<編集後記>
ニュースで「シニア世代の起業が増えている」と言っていました。
私の創業は40代でしたが、「創業するなら45歳までだな」と考えていました。
時代が大きく変わっていますので断定はできませんが、創業の極端に低い成功率はそう変わっていないと思うだけです。
----------------------------------------------------------------------
◎[PC]配信中止、変更の手続きはこちら
https://www.halsystem.co.jp/mailmagazine/
このメールは送信専用です。お問い合わせはこちらからお願いします。
https://www.halsystem.co.jp/contact/
∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵
【編集・発行】
株式会社ハルシステム設計
https://www.halsystem.co.jp
〒111-0042 東京都台東区寿4-16-2 イワサワビル
TEL.03-3843-8705 FAX.03-3843-8740
【HAL通信アーカイブス】
https://magazine.halsystem.co.jp
【お問合せ・資料請求】
email:halinfo@halsystem.co.jp
tel:03-3843-8705
Copyright(c)HAL SYSTEM All Rights Reserved.
∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵

