2024年8月31日号(経済、経営)
2024.09.04
HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2024年8月31日号
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発行日:2024年8月31日(土)
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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2024年8月31日号の目次
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☆水商売からビジネスを学ぶ(その1)
◇2024年からの展望:責任あるAIってなんぞや?
☆社会インフラへの投資が経済成長へつながる
◇これからの中小企業の経営(9)
<HAL通信アーカイブス>http://magazine.halsystem.co.jp
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こんにちは、安中眞介です。
今号は、経済、経営の話題をお送りします。
先月号で、「日本の名目GDPは591兆円」と書きましたが、今月“ついに”というか、“ようやく”というべきか、600兆円を超えました。
これから、このGDPをどう伸ばしていくか。
その方策は、いたってシンプルです。
それが分かっている政治家に、次の首相になって欲しいものです。
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┃☆水商売からビジネスを学ぶ(その1) ┃
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「水商売」と聞いて、“まさか”「本当に、水を売る商売」と思われている方はいないでしょうね。
これは冗談ですが、それでも不思議な言葉だと思いませんか。
Wikipediaには、以下のように書かれています。
「先の見通しが立ちにくく、世間の人気や嗜好に大きく依存し、収入が不確定な業種や職業、およびそうしたものに従事する人を指す日本の俗語である。なお、日雇い労働者、農家、漁師など、収入が安定しない理由が世間の人気や嗜好でない職業は、水商売に含まない。」
なんだか、分かったような分からない解説ですね。
他の解説を探したら、こんな説明もありました。
「水商売とは、飲食業や接客業などお客様の好みや人気で売上や収入が左右する不安定な仕事の総称です。不安定な様子を水に例えたことからきている言葉です・・・」
この説明のほうが分かりやすいですね。
つまり、“水”のように形が定まらない「不安定さ」が、水商売という言葉の語源なのですね。
こんなことを“くだくだ”と書いたのは、水商売が多くのビジネスの原点だと思うからです。
水商売は不安定極まりないビジネスです。
「小売業も不安定な商売だよ」と反論されそうですが、それでも「きょう売れなかった商品は、明日売ることができる」商売です。
しかし水商売は「今日」という日にちが商品であり、日が変わって明日になったら、もう売ることができないのです。
実態の乏しい「泡沫(うたかた)に浮かぶ“あぶく”」のような商売なのです。
本メルマガで前にも書きましたが、私の商売の原点はその水商売です。
それも、お客に高いお金でお酒を飲ませ、女性に接待させるという典型的な“あぶく銭”商売です。
それ故、法律上「風俗業」という“怪しい”レッテルを張られている商売です。
当時の私はエンジニアを目指す20歳の大学生でした。
そんな私が水商売をすることになったのは、父が始めた小規模な「酒と女性接待のクラブ」が、開店3か月にして早くも行き詰ったことが要因です。
父は、かなりの資金を投じ、ビルの地下の店を借り、内装を整え、酒類を仕入れ、銀座のクラブのバーテンを支配人に雇い、他のバーテンやホステスだけでなく、ボーイまで雇いました。
つまり、初期投資が大きすぎたわけです。
なぜ、そこまで無理をしたのか。
そこには、父の焦りがあったように思います。
ここで、父の話をさせてください。
戦前の父は陸軍士官学校を出た後、陸軍工科学校でさらに兵器技術を学んだ技術将校で、明るい未来が待っているはずでした。
しかし終戦の翌年、激戦地から生還した父を待っていたのは、GHQによる「公職追放令」でした。
公職だけでなくGHQを恐れた民間企業にも就職できずに郷里の農村に帰った父を待っていたのは、農地解放により農地を失った実家の困窮でした。
そこで、父は技術知識を生かして工場を起ち上げました。
仕事は順調だったようですが、一緒に工場を起ち上げた義理の父(つまり私の母方の祖父)を工場の事故で亡くすという事態に見舞われ、工場は負債を抱えたまま倒産。
失意の父は、母と幼い私、生まれたばかりの弟を父の実家に預け、ひとりで東京に出て行きました。
といっても、東京に働ける職場はなく、拾い集めた屑鉄で作った道具を売ったりして少しずつお金を貯めたそうです。
技術将校としての経験が役に立ったということですね。
やがて、父は小さな店を借りて氷屋、つまり氷の小売り販売業を始めました。
当時の氷屋は重労働で、“やくざ”か在日の人の商売で、普通の日本人が敬遠する商売でした。
実際、私が子供の頃、家に来る同業の人や使用人は、そんな人ばかりでした。
ある無口な使用人を住み込みで雇ったことがありますが、1ヶ月ぐらいで姿を消しました。
その後、警察がやってきて、彼が殺人を犯した逃亡犯だとわかりました。
別の使用人が“やくざ”とトラブルになったこともあります。
しかし、戦場で受けた銃創(撃たれた傷)が残る父には「実際の戦場の匂い」がこびり付いていたのでしょうか、“やくざ”も一目置く存在となり、いつしか地元の氷屋のリーダー格になっていきました。
長くなりますので、この続きは次号で。
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┃◇2024年からの展望:責任あるAIってなんぞや? ┃
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今号は、お休みさせていただきます。
来月号をお待ちください。
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┃☆社会インフラへの投資が経済成長へつながる ┃
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言い方は悪いですが、自民党の総裁選が面白くなってきました。
立候補には国会議員20人の推薦がいるというハードルは高いですが、国会議員は衆参合わせて372名います。
本日現在、12名が名乗り上げていますが、全員が立候補可能といえる数字です。
とはいっても、様々な思惑や暗躍がからみ、5~6名ぐらいに絞られるかなと思っています。
政治面の解説は、来月15日号に書くとして、今号では経済面に絞って解説します。
報道によれば、2025年度に、政府はプライマリーバランスを達成するとのことです。
つまり、税収と国の支出(国債償還は除く)がバランスして、国が赤字を脱却するということです。
これが家計や企業収益であれば「良かった、良かった」となるわけですが、政府の場合は違います。
そもそも、政府の収入と支出の相手とはだれでしょうか。
収入の中には対外資産からの収益がありますが、この相手は海外なので、増加はたしかに「良かった」というべきです。
しかし、それらを除く収入の大半は税の徴収で、相手は国民と企業です。
つまり、個人と企業にしたら、おカネを“取られる”わけです。
そして、その徴収金額が、国が使う予算(国民や企業が得られる金額)を上回ることを意味します。
この意味、お分かりですね。
政府の黒字は、個人や企業の赤字なのです。
実際は、こんな単純な仕組みではありませんが、うんと簡略化すれば、こうなります。
「これが財政健全化であり、これで良いのだ」とする政治勢力が「緊縮財政派」です。
これに対し、「国はインフラ整備などの公共投資で企業の収入を増やし、減税して、家計や企業を黒字にするべき」と主張するのが積極財政派です。
ここまで書くと、私がどちらであるかは分かると思います。
ただし、「いくら国債を発行しても国は潰れない」とするMMT理論派ではありません。
やはり、財政規律は大事です。
「投資対効果」の大きなインフラ整備や企業支援を行い、かつ減税を行うべきと考えます。
特に、社会インフラへの投資は非常に大事ですが、単なるバラマキとなる危険があります。
過去に、公共事業が批判の対象となってきたのは、政治家が自分の利益のために、効果の乏しい事業を強引に持ってきたことが原因です。
ただし、インフラ投資の効果は短期間では測れません。
相当の年月がかかり、その間、政治のリーダーは何代も変わります。
しかし、日本は、長期に渡る費用対効果の検証を怠ってきたため、その判定が難しくなっています。
例えば、新幹線です。
東海道のようにドル箱となっている路線もあれば、永久に赤字だと言われる路線もあります。
しかし、日本の新幹線の評価は世界最高で、マネをした中国や韓国などの追随を許しません。
これからが収益を上げる本番ですが、どうなるでしょうか。
まだ判定は難しいですね。
では、どのくらいの収益を見込んで公共投資を行うべきなのか。
計量経済学者を自任する評論家で大学教授の高橋洋一氏は、この収益率を「4%」と言っています。
この数字、みなさんも少し考えてみませんか。
最後に一言。
12人の自民党総裁候補のうち、「緊縮財政派」は10人で、「積極財政派」は2人ということです。
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┃◇これからの中小企業の経営(9) ┃
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統計データによると、借入金の返済猶予(いわゆるリスケ)を実施した中小企業の数は、235万社に上ります。
350万社と言われる中小企業全体の67%がリスケを実行したことになります。
ということは、リスケをしなかった企業は33%しかなかったということです。
実は、この%数字は、これからの中小企業の経営にとって大きな意味があるのです。
公表されていませんが、今後、政府はリスケ企業ではなく、リスケをしなかった33%の企業を支援する方向に政策をチェンジするとのことです。
つまり「経営が苦しい企業を支援する」という、これまでの政府方針から「これから生きる可能性の高い企業を支援する」という180度の政策転換を意味しています。
少しだけ残している”これまで”の中小企業支援策は、単なる“目くらまし”なので、あてにするのは危険です。
日本が企業淘汰の時代に入ったことを自覚されている経営者の方は多いでしょうが、上記の政府方針の転換まで読み切れている方は少ないのかなと思います。
しかし、この方針転換は前月号で述べた「中小企業の淘汰を促進する」という方針と整合する政策といえるので、これからは、政府が打ち出す政策の裏を読み取っていかないと危険です。
つまり、政府の政策を利用することは良いですが、政府を信用し切ってはいけません。
歴史を学べば“手のひら返し”は、昔から「時の政権」の得意技であることは分かるはずです。
中小企業としては、もう安易なリスケは認めてもらえなくなることを資金計画の中心に据える必要があります。
もちろん、絶対ダメというわけではありませんが、敷居はかなり高くなるでしょう。
こうした経営環境の変化を肌で感じている経営者は多いでしょうが、それでも、これからの淘汰を潜り抜け自社を強化する具体策までは行き着けていないのではないでしょうか。
当社もそうした中小企業のひとつですから、本メルマガやネット発信を通じて、読者の皆さまと一緒に考えていきたいと思っています。
まず、現在の中小企業の商売の内容を考えてみましょう。
比率として、大企業あるいは中堅企業の下請け業が多いという実態があります。
顧客層の偏りと固定化が問題です。
次に、事業の質や技術の独自性の低さ、さらには営業能力の低さという中小の根本問題があります。
「そんなことは分かっているが、どうやって抜け出すんだよ」と反論されそうですね。
そう、どの問題も一朝一夕で解決できる問題ではありませんね。
では、中小企業に打つ手はないかというと、もちろん、そんなことはありません。
こうした実態を自覚し、解析し、できるところから自社の経営を変えれば良いのです。
こんなことを言うと「それが出来れば苦労はないよ」と反論されるでしょうが、しかし反論したって経営は良くなりませんよ(当たり前)。
経営者の中には、孫子の兵法を学ばれた方もいらっしゃるでしょう。
本メルマガで何度も書いていますが、私は、孫子研究の第一人者と言われた故武岡先生に10年近く師事し、一対一での教えも受けました。
何度か襲われた倒産の危機を潜り抜けられたのは、この教えのおかげと思うところがあります。
大事な教えはいくつもあり、大局から学ぶべきですが、あえて小局の「軍争篇」から取り上げてみます。
“軍争”とは、まさに実際の戦争になった事態を指す言葉です。
戦場で両軍が相対している状態を想像してください。
その中でとるべき戦術は「正奇詭」であると、孫子は説いています。
次号は、この解説を行います。
<追伸>
2番目の話題で取り上げたように、おりしも自民党総裁選が本番です。
私に投票権はありませんが、各候補者がどのような経済政策を唱えているかを注視しています。
ところが、名前が挙がっている候補者の多くは、親中、媚中と言われる人たちです。
つまり、「中国に媚を売ることで日本の経済は生き延びられる」と思っている政治家です。
「誰が?」は、ここで書くまでもなく、読者のみなさまはお分かりかと思います。
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<編集後記>
私がサボっています「儲かる建設会社になろう」のサイト、これから力を入れて書いていきます。
弊社のお客様に儲かって欲しいし、読者のみなさまにも儲かって欲しいし、もちろん弊社も儲かりたいです。
そんな思いを形にしていきます。
ぜひ、以下のサイトを覗いてみてください。
「儲かる建設会社になろう」https://realbiz.halsystem.co.jp/
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