原発の再稼働(その5)
2021.12.01
前回まで述べたように、私とチーム員は原発内で多くの問題に直面し、相当量の被曝をしてきました。
普通に考えれば、原発反対派になるだろうと思われるでしょう。
しかし、誰もそうなりませんでした。
原子力は、人類の未来にとり必要な科学技術だと信じていたからです。
石炭火力の是非で紛糾しているCOP26では、欧州諸国の手前勝手な意見が幅を聞かせ、迷走状態です。
欧州のエネルギーの中心はフランスの原発といっても過言ではありません。
陸続きの各国は、互いに電気の売り買いが容易にできます。
その中心にいるのがフランスで、そのエネルギー源の多くは原発です。
同国が、福島原発の事故以来止めていた原発の新設を再開すると発表しました。
隣国のドイツは、その原発による電気を大量に購入しています。
しかし、欧州各国はCOP26では原発問題に対して、まったく無視の姿勢です。
口を極めて各国の姿勢を攻撃している、例のスエーデンの少女も完全に無視です。
原発への依存度が40%に達し、原発の新設支持が広がる同国の事情が背景にあることは確かです。
平地が多く、風に恵まれた欧州でも、再生可能エネルギーの利用は限定的だとする意見が増えてきています。
立地条件がはるかに厳しい日本では、面積や立地の厳しさから主要エネルギー源にすることは絶望的です。
さらに、太陽光パネルなどが新たな公害になるという現象が各地で出てきています。
ガソリン車を禁止してすべての車を電気にという欧州の主張も、日本を狙い撃ちにした外交戦略の一環と捉える必要があります。
第一、膨大に必要となる電気をどうやって作るのかという問題があります。
一方で、化石燃料の発電を止めろという矛盾です。
それなら、解決策は原発しかないだろうとなるのですが、さすがにどの国も口をつぐんでしまいます。
国民の反対が皆無(?)の中国だけが高笑いしながら原発の増設を加速させています。
安全性に最も懸念の大きい中国が、原発によるエネルギー大国となり、日本が電力を買うはめになったらどうするというのでしょうか。
世界で一番安全な原発を造れる国は、まちがいなく日本です。
その力で、世界に貢献することが日本の採るべき道だと信じています。
ここで脱原発に舵を切ったら、技術は失われ、先人たちの苦労も犠牲も、すべて無駄となってしまいます。
福島第一原発の事故に至った深い要因も隠されたままとなって消えてしまうでしょう。
そうさせてはならないと思うからこそ、私は被曝の経験を乗り越えて前へ進むべきと主張するのです。
批判だけという安易な道は歩まないということで、本シリーズは終ります。