中国の思考法を学び、対処する(7)

2021.01.31


米国のラジオ放送「ボイス・オブ・アメリカ」は、「ワシントンには、ソウルが徐々に中国側へ傾きつつあるという疑念が存在する」と語りました。
また、キース・クラック国務次官は「中国は弱ったガゼルを狙う」として、韓国に警告のメッセージを送りました。
 
つまり、中国は韓国に狙いを定め、それを米国が警告したということです。
こうした米国の姿勢は、次のバイデン政権にも継がれていくと思われます。
かつて、オバマ政権は、北朝鮮問題の解決のために中国の役割を期待し、中国に甘い姿勢を取りました。
しかし、米国に取って代わって世界の覇権を狙う中国の姿勢が明らかになったいま、共和党・民主党を問わず反中国の流れが形成されています。
トランプ政権の反中経済ブロック「EPN(経済繁栄ネットワーク)」や中国けん制のため推進している多国間安全保障協議体「クアッド」、さらに華為技術(ファーウェイ)などの中国IT企業を排除する「クリーン・ネットワーク」などの政策は、そのままバイデン政権に受け継がれていくでしょう。
 
しかし、左派政権である韓国は、「クアッド」には背を向けていますし、「クリーン・ネットワーク」からも逃げ回っています。
文在寅大統領の真意は北朝鮮との一体化であり、その後ろ盾としての中国の力を頼りにしています。
中国は、自らの野望達成のため、韓国に中国寄りの現政権が存在し、さらには親中派の二階幹事長に牛耳られている日本の政権が続いている間に、東アジアの地歩を固める動きを加速させていくでしょう。
 
ナポレオンは「真に恐れるべきは有能な敵ではなく無能な味方である」という名言を述べましたが、いまの東アジア情勢は、まさにその方向に向かっています。
こうした中国の思惑を砕くのは、韓国の国民であり日本国民の意思表示なのですが、危ない情勢です。
4月のソウルと釜山の市長選挙が韓国民の意志の確認であり、今年中に行われる日本の総選挙が日本国民の意志を問う選挙となります。
ただ・・、韓国はともかく、日本の野党に政権担当能力が無く、国民に選択肢のないことが最大の危機です。
私の兵法の師である故武岡先生の口癖、「バカな指揮官、敵より怖い」を実感として感じるこの頃です。