トランプ大統領の米国とどう付き合うか(1)

2017.02.01


いよいよ今月20日にトランプ大統領が出現する。
報道内容を鵜呑みにしていると「ゴジラ出現」みたいに感じてしまうが、しばらくは冷静に観察していくしか手はない。
トランプ氏の人間性や考え方は、当選当時よりは鮮明になってきた。
短気、独りよがり、自惚れ屋、差別主義、古い価値観・・と、短所のオンパレードである。
長所を探すのは難しいが、家族思い、平気で前言を翻(ひるがえ)す(短所とも言えるが・・)などの性格を、日本はうまく利用するしかないであろう。
トランプ氏の発言で「おもしろい」と思ったことがある。以下である。
「他人を挑発するのは大好きだね。それは本当だ。競うのが大好きだし、競争はときに他人を挑発する。挑発することは厭わない。特にそれが正しい種類の人間を対象にしているときはね」
つまり、「正しいことをして、正しいことを言う人間」が嫌いなのである。
そうした人間を見つけると、「挑発したくなる」のである。
このようなことを平気で公言できる人間、これがトランプ氏である。
日本ではそうではないが、米国では、「正しい(と思われる)人」が、グローバル社会で「先端的な知的労働者」として評価され、巨万の富を得ている一方で、多くの市民はジリ貧を感じている。
ヒラリー氏は、そのような国民に対し「再分配に期待するか、学び直しをしなさい」と言った。
それに対し、トランプ氏は、「この国を再び、強く豊かにしたいんだ」と言った。
そのための方策として「アメリカ・ファースト」と主張した。
ヒラリー氏の意味不明で回りくどい言い方よりも、トランプ氏の直線的な言い方のほうが大衆に受けるのは当然である。
より深刻なことは、従来の「先進国モデル」を否定するトランプ現象が21世紀の世界共通の課題となり、米国がその課題の真っ只中に突っ込んだということである。
その米国のこれからであるが、米国は大統領だけで動かせる国ではなく、議会の力も同等に強い。
しかも、与党共和党は上下院を制している。
日本は、1月20日以降の米国議会の動きを注視していくことが肝心で、ここであわてて動くのは損である。
次回は、トランプ時代の日本の外交・軍事戦略を論じてみたい。