日本の世界における役割とは?(5)
2024.06.18
時代劇に興味がない方でも、柳生新陰流の「真剣白刃取り」という技の名前を聞いたことはあるかもしれませんね。
自分の剣は抜かずに相手に対峙し、自分の頭上に振り下ろされてくる相手の剣の白刃部分を両手で合掌するように挟んで止めるという超人技です。
時代劇スターの千葉真一などが演じた柳生十兵衛を思い出す方もいらっしゃると思います。
でも、あのようなシーンは完全な作り物です。
天才剣豪でも「あんなこと出来るはずがない」のです。
(私の知る限りですが・・)
実際は、切りかかってくる相手の剣を横にかわしながら、相手の腕の逆を取り、剣を奪いとるという技です。
それでも、たいした技ですから、よほど肝が据わった剣豪でもなければ、やはり無理ですね。
一方、一刀流の「隅落とし」という奥義は、本当にスゴイ技です。
日本刀の断面を正面から見ると、下から上(峰といいます)に向かって、膨らみがあります。
この膨らみを鎬(しのぎ)と言います。
「しのぎを削る戦い」とは、この鎬同士がぶつかり合うほどの接近した切り合いから生まれた言葉で、究極の接近戦という意味です。
一刀流の達人は、自分と同等かそれ以上の相手と戦う時、自分の剣を下段に構えます。
すると、自分の頭上は無防備に空きます。
相手が、その頭上めがけて、一気に剣を振り下ろしてきます。
それに呼応した達人は、下段に構えた自分の剣をただ真っすぐに上に上げます。
その時、振り下ろしてくる相手の剣筋からほんの僅かにずらした軌道で上げるのです。
すると、互いの剣の鎬(しのぎ)が触れ合うことで、頭上めがけて振り下ろしてくる相手の剣の軌道が放物線を描いてずれ、自分の体に触れるギリギリで下に落ちます。
逆に自分の剣は、相手の頭上に上がります。
そこで「勝負あった」です。
これは本当に存在した技で、一番優れた弟子だけが伝承してきた奥義です。
他の流派にも似たような奥義が伝えられていますが、共通項は、いずれの技も「相手が攻めてこない限り使えない」という究極の「専守防衛」の技なのです。
ただし、相手が攻撃してきた場合には必殺の技となり、戦いを続ければ確実に相手は死にます。
さて、日本防衛の奥義とはなんでしょうか。
憲法9条を、こうした奥義に進化させることは可能なのでしょうか。