日本の世界における役割とは?(7)最終回

2024.08.20


前回までに述べた一刀流の「隅落とし」は「切り落とし」ではないかとのご指摘がありました。
たしかに「切り落とし」の表現のほうが多いのですが「隅落とし」との表現もあり、私は、こちらのほうが「意味が明確」と思い、この表現を使っています。
あしからずご了解ください。
 
中国による台湾進攻が2027年(習近平主席の3期目の任期)までにあるとの意見が増えてきています。
しかし、私はその可能性はゼロではないけど低いと思っています。
習近平主席の意思が台湾進攻にあるのは確実ですが、中国軍の能力がそこまではないからです。
台湾の防衛能力はかなりの水準ですし、欧米からの武器や弾薬の支援が対ウクライナ並みにあれば、中国軍は上陸すらままならないでしょう。
中国軍の侵攻シナリオでは、1週間~1ヶ月で上陸を果たし、総統府の制圧まで進むとなっています。
しかし、こうした短期決戦が可能かは、はなはだ怪しいです。
第一に、台湾軍はウクライナ軍よりずっと強いし、迎撃の準備や兵站の整備状況は、ウクライナとは天と地ほど違います。
その上で、日本と米国が連携して防衛支援すれば、上陸前に撃退される可能性のほうが大きいです。
ならば、海上封鎖で台湾を締めあげるとしても、日米両国の海空軍相手に封鎖の輪の維持は不可能でしょう。
プーチンの失敗を学べば、「不可能だな」との賢明な判断が働くと思います。
 
しかし、日本としては、有事になった場合の備えが必須です。
まず、台湾にかなり滞在している邦人保護の問題があります。
非常事態法を早期に成立させ、具体的な方法と実際の行動規範をさらに補強する法案の制定が急務です。
さらに、中国の意図を挫くために中国の経済力を削ぐ必要があります。
眼の前の利益に目がくらんでいる経団連や親中派の与野党議員の訪問などは自粛すべきです。
そして、憲法改正です。
今の憲法のままでは、先にあげた軍事的行動は、すべて憲法違反となってしまう恐れが強いです。
南西諸島の防衛、日米の合同軍事演習の常態化、潜水艦隊の強化や空軍力の強化なども、すべて憲法違反となる可能性があり、おそらく平和団体等による訴訟が起こされるでしょう。
 
訴訟そのものは、民主主義国家として当然の権利ですから、否定できません。
しかし、日本の現憲法が中国やロシア、北朝鮮などによる攻撃の誘因事項となっていることは否定できません。
憲法前文の「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、・・」に信頼が置けない現実から目を背けることなく、いったんは現実直視の憲法に変えるべきと考えます。
やがて、平和な世界が築けるようになったときは、また変えていけば良いのです。
永遠に続くものはないのですから、現憲法を「永遠に・・」と思うこと自体無理なのです。
 
これをもって、このシリーズも最終回とします。
来年、台湾を訪問したいと考えています。
その訪問で自分の考えが変わるか否かも検証するテーマと考えます。