靖国参拝を論ずる 第3回:東京裁判(その1)
2014.04.17
今回から数回に分けて、靖国問題に影を落とし続けている極東軍事裁判(通称、東京裁判)の話をします。
ただし、表の話はよく知られていますので、裏面の話を中心にしたいと思います。
ただし、表の話はよく知られていますので、裏面の話を中心にしたいと思います。
中韓は、首相や閣僚の靖国参拝を批判する時、常套文句として「A級戦犯が祀られている靖国神社を参拝することは、先の戦争を肯定し、戦後秩序を否定する行為だ」と非難する。
ここで、事実は「靖国神社にはA級戦犯が祀られている」ということだけで、あとは「言い掛かり」である。
それも正しくは「A級戦犯が合祀されている」のであって、彼らだけが祀られているのではない。
日本人には常識の、この事実さえ外国では曲解されている。
靖国神社を「戦犯だけを祀っている」神社と誤認している外国人が大勢いるのである。
中国などは、明らかに、自国民にそう思い込むような教育をしている。
日本政府は、根気よく、これらの間違いを正す広報を続けていかなければならないのに、このことをサボり続けてきた。
歴代自民党政権の責任は重いのである。
東京裁判のことについても、同様に日本政府はサボり続けてきた。
中国の習近平主席がさかんに喧伝する「日本は、ポツダム宣言に謳(うた)われた戦後秩序を破壊している」という非難だが、これは間違えた認識である。
ポツダム宣言は「戦争の終結と戦後処理」の方法を記したものである。
日本はそれを受け入れ、戦争は終結し、海外の領土を放棄した。
きちんとポツダム宣言を守ったのである。
戦後秩序を規定したのは、ポツダム宣言ではなく、サンフランシスコ講和条約である。
日本が主権を回復し、独立国家として結んだ条約こそが、日本をめぐる戦後秩序なのである。
政府は、声を大にして、このことを国際社会に訴え、中国の間違いを正していくべきである。
この声がほとんど聞かれないことが残念である。
もっと重要なことがある。
サンフランシスコ講和条約の第11条である。まずは、11条の原文を読んでもらいたい。
『Article 11』
Japan accepts the judgments of the International Military Tribunal for the Far East and of other Allied War Crimes Courts both within and outside Japan, and will carry out the sentences imposed thereby upon Japanese nationals imprisoned in Japan. The power to grant clemency, to reduce sentences and to parole with respect to such prisoners may not be exercised except on the decision of the Government or Governments which imposed the sentence in each instance, and on the recommendation of Japan. In the case of persons sentenced by the International Military Tribunal for the Far
East, such power may not be exercised except on the decision of a majority of the Governments represented on the Tribunal, and on the recommendation of Japan.
英語が得意な方には不必要だと思うが、外務省訳の日本語を以下に記しておく。
『第十一条』
日本国は、極東国際軍事裁判所並びに日本国内及び国外の他の連合国戦争犯罪法廷の裁判を受諾し、且つ、日本国で拘禁されている日本国民にこれらの法廷が課した刑を執行するものとする。
これらの拘禁されている者を赦免し、減刑し、及び仮出獄させる権限は、各事件について刑を課した一又は二以上の政府の決定及び日本国の勧告に基くの外、行使することができない。
極東国際軍事裁判所が刑を宣告した者については、この権限は、裁判所に代表者を出した政府の過半数の決定及び日本国の勧告に基くの外、行使することができない。
この解釈については、次号で詳しく述べたいと思う。