経営者の愚痴(3):誰か代わってくれ

2014.11.30

「経営者の愚痴」コーナーの3回目です。
読者のみなさん(特に経営者の方)、本メルマガに「どうしようもない」愚痴をお寄せください。
勿論、匿名でその愚痴を紹介したいと思います。

「もうやだ、誰か経営を代わってくれ~」。
何人もの経営者から聞いた言葉です。
実際、半分以上経営に背を向けている経営者や気力が消滅しかけている経営者の方もいらっしゃいます。
私に、どうしようもない愚痴を並べる方もいらっしゃいます。

「ならば、辞めたら」と言うと、辞めるに辞められない事情をくどくど訴えます。
「ならば、やるしかないでしょう」と言うと・・・、と堂々巡りです。

その昔、さる大手企業の経営に失敗して、若くして退陣を余儀なくされた社長が記者会見で言った言葉が忘れられません。
「私は、なりたくて社長になったんじゃない」
その方は、はっきりとそう発言しました。
そのとき、私は、その会社の社員たちがかわいそうになりました。
こんな社長を信じて頑張ってきた社員たちの気持ちを思うとやりきれなくなりました。

会社の業績悪化の責任の99%は経営トップにあります。
それを認めないことには、「誰か代わって・・」と言っても、誰も代わってくれませんよ。
誰も支えてくれませんよ。

同じように「会社をたたむ」という言葉も、安易に発してはいけない言葉です。
会社を起業することは大変なことですが、会社をたたむことは、それ以上に大変なことです。
お客様や取引先への対処、社員の退職手当や再就職、資産の処分など、気が遠くなるはずです。

経営トップとは、最後の壁なのです。
その後ろには誰もいないのです。
この覚悟を持つことこそ「経営者になる」ということなのです。

私は、創業5~6年の頃、信頼する経営者にこう問うたことがあります。
「10年ぐらい経営をしたら、少しは気持ちが楽になれますか?」

即答で答えが返ってきました。
「経営者でいるうち“楽な日”など来ない。君も20年ぐらい経営をやったら、経営する意味が分かってくるだろう」

その時は、がっかりするやら、反発するやらのような気持ちでしたが、20年を超えたところで、この言葉の意味が分かってきました。

間もなく、経営者になって満24年になります。
20年を4年超えて、より深く意味を悟ってきました。
「誰か代わってくれ」などとは全く思いませんが、経営の大変さは減ることはありません。
それに、後継者づくりという最も大切な仕事が待っています。
この仕事が完成しないうちは辞めるに辞められません。
経営者の責任は、例えようもなく重いのです。
若い経営者の方々は、そのことだけでも考えて欲しいですね。