短期的変動に備える経営へ(2)

2017.03.17


前回、新しい経済は2025年ごろから始まると書きました。
たしかに「あと9年も待てるかよ」と私も思いますが、これからの9年を生き抜くために、9年後の目標を作ることが必要なのです。
以下に箇条書きにしてみます。
1.これからの9年間の「経済環境の変化」を予測する。
2.その変化を利用する9年間の経営方針を決める。
3.経営方針に沿った経営戦略を明文化する。
4.各戦略ごとの戦術を作り、その数値目標を時間軸に沿って並べる。
5.数値目標の整合性をチェックし、是正を加える。
6.数値シミュレーションの仕組みを作る。
7.変化が予測から外れた場合の「代替戦術」を、最低2つは作っておく。
これで、9年後の目標に向かう道筋とその検証方法が作れます。
本章のテーマである「短期的変動に備える経営」が、最後の7番を指していることはお分かりかと思います。
具体例として、「金利」を取り上げて解説します。
1.今のマイナス金利政策は続かないので、今後は金利が上昇してくる。
2.金利上昇をネガティブに捉えず、投資のチャンスと考える。
この2番は、少し解説が必要ですね。
私たちは、長い間の低金利政策に慣らされ、安易な借入れに流されたり、投資利ざやの減少に投資意欲をなくしてきました。
しかし、「金利上昇は、経済が順調に推移する局面から起こる」という経済の基本原則に立ち返えれば、事業にとって追い風と考えることが出来るではないでしょうか。
具体的に言えば、金利上昇で債券利ザヤが確実に稼げるようになり、銀行の収益が拡大します。
特に、マイナス金利で喘いでいる地銀にとっては、まさに〝カンフル剤″となります。
当然、生保・損保などの資金運用も安定に向かいます。
低金利の下で、いい加減な資金調達をしていた企業も、実現性の高い投資計画のための資金調達をまじめに考えるようになるでしょう。
これで、低迷していた法人向け融資は確実に回り出します。
かくして、「雇用増or賃金上昇」→「消費増」→「設備投資」→「融資拡大」という好循環が生み出されていきます。
つまり、これからの9年間の経営方針で大事なことは、上記の経済循環にどう乗るかの方針です。
私なら、「設備投資」→「融資拡大」→「雇用増or賃金上昇」→「消費増」というサイクルにします。
長くなったので、3番以降の解説は次回にします。