これからの近未来経済(21):新しい資本主義を知ろう(4)

2023.01.10

「新しい資本主義」の最後、4番目の「GX(グリーン・トランスフォーメーション)及びDX(デジタル・トランス フォーメーション)への投資ですが、当の岸田首相の本気度が見えません。
たしかに、「脱炭素社会の実現のために、今後10年間にわたって官民協調で150兆円の関連投資を行う」などが羅列されていますが、数多くある石油や石炭火力発電所をどうやって削減するのか、天候不順が続く日本で太陽光発電が補助金や電気料値上げなしで採算ベースに乗るのか、稼働数を増やすとしている原子力発電所の再稼働をどうやって軌道に乗せるのか、などなどの具体的な政策が必要です。
しかし、国会でそうした議論が活発に行われている気配はなく、閣僚の不祥事の追求とその言い訳問答に終始している有様です。
私は、そもそも欧米の基準でエネルギー問題を考えるべきではなく、日本の技術をもっと活かす独自の取組みこそが必要だと思っています。
 
マスコミは、化石燃料を扱う企業に対して「ダイベストメント(投資撤退)」を宣言する世界の投資家・金融機関が急増しているという記事を流しています。
本当のこともあるでしょうが、彼ら投資家は、脱炭素がブームだからそれに乗っているだけで、真剣に環境問題を考えている結果の行動ではありません。
例えば、日本が「石炭火力発電所から出る炭素の100%固定化に成功し、稼働を開始」となれば、一気に投資の流れは日本に向かうでしょう。
ダイベストメントなんかを恐れて、自然を破壊するだけで採算に乗るあてのない太陽光発電などを推進する愚策は避けて欲しいものです。
悪徳業者と中国だけが儲かるビジネスになってしまいます。
 
「新しい資本主義」を知ろうと大上段に振りかぶってこの連載を始めましたが、今回の4回を前に書く気力が急速に落ちてしまいました。
この政策提言は、すぐに消えてしまう「泡沫の夢」として最後を締めます。