これからの近未来経済(21):新しい資本主義を知ろう(3)

2022.11.02

「新しい資本主義」3番目の「スタートアップの起業加速及びオープンイノベーションの推進」ですが、中身の薄さは隠しようもありません。
この中で「スタートアップ育成5か年計画の策定」を挙げていますが、丸投げされた官僚の困り顔が目に浮かぶようです。
結局、「新興企業への投資額を5年で10倍に増やすことを視野に入れた『5カ年計画』を年末に策定する」としていますが、「カネ以外の策は無いのか」と“やじ”を飛ばしたくなります。
 
ある評論家が以下のように述べています。
「日本政府のスタートアップ支援は他の先進国に比べて相当に遅れており、今さら『新しいことをやっている』とアピールしていることに違和感を覚えざるを得ない。また、スタートアップに対するM&A(企業の合併・買収)も同様で、2018年時点での日本における件数はわずか15件で、米国の約1%にすぎなかった」として、2022年4月12日付け産経新聞の『スタートアップ支援、政府に司令塔、新しい資本主義実現会議、実行計画に反映へ』を題材に批判しています。
続けて、
「岸田首相は、今年を『スタートアップ創出元年』とする意向だという。だが、元年だといっていること自体が、世界からすれば笑いもののレベルなのだ。これだけ後れを取っている中、投資額を増やすだけで、世界と伍して戦えるスタートアップが出てくるのか。教育面など、他の領域においても抜本的なテコ入れが不可欠である。 」と批判を強めています。
 
私は、この意見に概ね賛同しますが、M&Aの部分には賛同しかねます。
小企業なれど、創業者の端くれとして思うことがあります。
32年前の創業時とそれ以降も、いくつかの大企業からM&Aではありませんが、資金提供の申し出がありました。
かなりの金額に心が動きましたが、結局、資金提供の申し出はすべて断りました。
資金提供を受けていれば、「もっと事業を大きくできたのでは」とか「今ごろは楽々だったのでは」と思うことはありますが、経営の主体を取られていた可能性もあり、後悔はありません。
M&Aが一種のブームになっている感がありますが、後悔しているという話も耳にします。
経営トップにしかできない判断なので、「是も否もない」が私の考えです。
 
もうひとつの「オープンイノベーションの推進」ですが、首相の意図はまったく分かりません。
よって論評しようもありません。
企業の経営陣が理解できる具体的な施策を発表して欲しいです。