中小企業は儲かっていない(3)
2023.03.16
トヨタやホンダの「満額回答の賃上げ」という発表や、最高40%アップというユニクロの年収発表など、大手企業の賃上げニュースが続いています。
商工リサーチの調査によると、中小企業でも賃上げを予定している企業の割合は8割となっています。
しかし、城南信用金庫と東京新聞の中小企業738社へのアンケートによると、7割以上の中小企業が「賃上げの予定なし」と回答しています。
これだけ極端な違いがあると、どちらを信用したら良いのか、判断に迷いますね。
実際のところ、中小企業の多くは、賃上げの余力が乏しいのではないかと思われます。
こうした企業も、政府機関の調査に対しては「賃上げを予定している」と回答します。
もちろん、「けしからん企業だ」との烙印を押されることを恐れているからです。
賃上げの原資は、もちろん利益向上であり、売上増進です。
しかし、大手企業を顧客とする中小企業にとり、顧客への値上げ要請は簡単ではありません。
「じゃあ、いいよ。他社に変えるから」との殺し文句が待っているからです。
前号で、以下のように書きました。
「下請側が優位に立つためには、大企業から見て『代替が効かない大事な会社』になるしかありません、しかし、多くの会社からは『そんなこと言ったって・・』と言われるでしょうね・・」
20年間のサラリーマン時代は大企業の側にいましたが、時代とともに元請・下請の関係がパートナー関係から上下関係に変わっていった過程を味わってきました。
コンピュータメーカーから建設会社に転職したのは1974年でしたが、その頃の年俸は100万円ぐらいだったと思います。
下っ端の監督として現場で働いていた時、下請け会社の棟梁の年収が「900万円ぐらいかな?」と聞いて、驚いた記憶があります。
その棟梁から、「どうだ、会社を辞めて、うちに来んか」と冗談とも本音ともつかぬことを言われて、一瞬、心が揺れました。
棟梁の話が本当かどうかは分かりませんでしたが、連れていってもらったキャバレーなどでの散財ぶりから、元請けの自分たちよりずっと高年収だったことは実感できました。
パートナーどころか、彼らのほうが上だったのです。
それは、当時の日本という国が元請の「管理仕事」より、下請の「技術仕事」に対して高い付加価値を付けていた時代だったということです。
昨年7月、経済同友会の櫻田代表幹事はメディアのインタビューで、こう発言していました。
「日本の賃金水準を引き上げるためには、中小企業が、合併や大企業の傘下に入るなどして中小企業を脱していくことが必要」と指摘し、さらに「賃上げできない利益率の低い企業の廃業を促すべき」と述べました。
その発言からは、中小企業の「技術仕事」に高い付加価値を付ける姿勢をまったく感じませんでした。
今の日本は、下請の「技術仕事」の価値を大きく落した国になってしまったのでしょうか。
昔の下請企業の棟梁のことを思い出しながら、考えてしまいました。
商工リサーチの調査によると、中小企業でも賃上げを予定している企業の割合は8割となっています。
しかし、城南信用金庫と東京新聞の中小企業738社へのアンケートによると、7割以上の中小企業が「賃上げの予定なし」と回答しています。
これだけ極端な違いがあると、どちらを信用したら良いのか、判断に迷いますね。
実際のところ、中小企業の多くは、賃上げの余力が乏しいのではないかと思われます。
こうした企業も、政府機関の調査に対しては「賃上げを予定している」と回答します。
もちろん、「けしからん企業だ」との烙印を押されることを恐れているからです。
賃上げの原資は、もちろん利益向上であり、売上増進です。
しかし、大手企業を顧客とする中小企業にとり、顧客への値上げ要請は簡単ではありません。
「じゃあ、いいよ。他社に変えるから」との殺し文句が待っているからです。
前号で、以下のように書きました。
「下請側が優位に立つためには、大企業から見て『代替が効かない大事な会社』になるしかありません、しかし、多くの会社からは『そんなこと言ったって・・』と言われるでしょうね・・」
20年間のサラリーマン時代は大企業の側にいましたが、時代とともに元請・下請の関係がパートナー関係から上下関係に変わっていった過程を味わってきました。
コンピュータメーカーから建設会社に転職したのは1974年でしたが、その頃の年俸は100万円ぐらいだったと思います。
下っ端の監督として現場で働いていた時、下請け会社の棟梁の年収が「900万円ぐらいかな?」と聞いて、驚いた記憶があります。
その棟梁から、「どうだ、会社を辞めて、うちに来んか」と冗談とも本音ともつかぬことを言われて、一瞬、心が揺れました。
棟梁の話が本当かどうかは分かりませんでしたが、連れていってもらったキャバレーなどでの散財ぶりから、元請けの自分たちよりずっと高年収だったことは実感できました。
パートナーどころか、彼らのほうが上だったのです。
それは、当時の日本という国が元請の「管理仕事」より、下請の「技術仕事」に対して高い付加価値を付けていた時代だったということです。
昨年7月、経済同友会の櫻田代表幹事はメディアのインタビューで、こう発言していました。
「日本の賃金水準を引き上げるためには、中小企業が、合併や大企業の傘下に入るなどして中小企業を脱していくことが必要」と指摘し、さらに「賃上げできない利益率の低い企業の廃業を促すべき」と述べました。
その発言からは、中小企業の「技術仕事」に高い付加価値を付ける姿勢をまったく感じませんでした。
今の日本は、下請の「技術仕事」の価値を大きく落した国になってしまったのでしょうか。
昔の下請企業の棟梁のことを思い出しながら、考えてしまいました。