短期的変動に備える経営へ(1)

2017.02.17


2016年の倒産件数は8,446社ということで、3年連続で1万社を割り込みました。
しかし、倒産には至らない廃業が3万件弱という別の数字もあります。
中小企業の足元の不安定さは増していると考えたほうが良さそうです。
しかも、トランプ大統領という、日本経済にとって爆弾となりかねない要素が現実となる2017年は、一転して倒産件数が増えることが予想されています。
こうした時代に中小企業が採るべき戦略は何か。
弊社もそうした中小企業の一社なので、切実な問題です。
結論としては、長期的な視点と短期的な視点の2つをバランスさせる戦略となります。
「当たり前ではないか」とお叱りを受けそうなので、数回に分けて解説を行っていきます。
まず、長期的な視点で考えると、トランプ大統領を生んだ世界の潮流は一過性のものではなく、これからますます強くなることが予想されます。
自由経済が一気にグローバル化したことで、自由経済と対をなす資本市場が肥大化し、カネそのものが商品化してしまいました。
そもそものカネあまり(つまり、流通するドルのだぶつき)は、ベトナム戦争で米国が垂れ流したものです。
戦後も米国はそのカネの回収はせずに放置しました。
それどころか、その後もドルを世界中に垂れ流してきました。
しかし、「米国が悪い」とは言い切れません。
そのカネが世界経済を牽引して今日に至ったことも事実だからです。
EUも日本も中国も新興国も、その恩恵に預かってきたのですから、文句を言えるはずはありません。
ただ、カネがカネを生む「ポートフォリオ理論」がノーベル経済学賞を得たことで金融の世界は一変しました。
そもそも金融の役割は、実態経済を回すための補助的役割にありました。
しかし、「ポートフォリオ理論」によって、金融が実体経済の上に位置するようになってしまいました。
しかも、情報システムの発達によって、「ポートフォリオ理論」は、文字通り光速のパワーを得てしまいました。
一瞬のうちに、実際の通貨量の数倍のカネ(情報通貨)を動かすようになってしまったのです。
そして、実業を持たない億万長者をたくさん輩出し、ものづくりなどの実業企業の上に君臨してしまったのです。
トランプ大統領を生んだのは、こうした流れに取り残され地盤沈下していった多くの人々の怨念と不安です。
本来その怒りは、新興の億万長者たちに向けられるものなのですが、一般庶民からはあまりにも遠い存在で、怒りをぶつける対象にならないのです。
トランプ新大統領は、億万長者の仲間なので、本当は怒りをぶつけられる立場の人間です。
しかし、彼は、巧みに「悪いのは移民だ、イスラム教徒だ」と、より貧しい人たちへの攻撃へとすり替えさせてしまったのです。
でも、このことを嘆いても仕方ありません。
これらの現象は、資本主義経済の終焉を意味する現象だからです。
資本主義の終焉後に出てくる経済がどんなものかは分かりませんが、「新しい経済の仕組みが作られつつある」という実感はあります。
そして、「文化800年転換説」からいうと、その新しい経済の始まりは2025年ごろと言われています。
でも、「あと9年も待てるかよ」と言われるでしょうね。
私にしても、そんな”のんびり”とした経営が出来る余裕はありません。
でも、これからの9年を生き抜く目標にはなります。
経営者や経営幹部、自営業の方々に考えて欲しいのは、今ここで、9年後の目標を作ることです。
次回は、9年後の目標に向かう道筋、そして、その道をたどる「短期戦略」の話をしたいと思います。