小さな会社の大きな手(9):戦略投資と戦術投資

2016.01.18

1回お休みしてしまったので、2ヶ月ぶりの本項です。
戦略投資は、表題の「小さな会社の大きな手」の中心になる話です。
わかりきった話ですが、戦略投資には「おカネ」と「リスク」がつきまといます。
それも、戦略の大きさに比例して大きくなる要素です。
経営者の真の資質が問われる問題でもあります。
それ故、戦略投資が出来ない経営者を「番頭経営者」、出来る経営者を「戦略経営者」と呼んでいます。

ここで誤解して欲しくないことがあります。
どちらが優れた経営者だという優劣はありません。
タイプの違いを表している言葉の遊びのようなものです。
ダメな「番頭経営者」であれば、企業は衰退する一方になります。
また、ダメな「戦略経営者」であれば、その企業は倒産するリスクが大きくなります。
どちらのタイプでも、ダメな者はダメなのです。
ただ、ここでは、戦略投資の話ですから、その線で話を進めていくとします。

さて、今号の表題ですが、初めに戦略と戦術の違いを定義しておきましょう。
戦略には大きな目的、そして目標が必要です。
ただ単に「会社を大きくしたい」とか「先鋭的な会社にするぞ」では戦略になりません。
より現実的で、実現可能で、しかしイノベーションにつながる目的と目標が必要なのです。
「下町ロケット」の後編を例にとると、「難病に苦しむ子どもたちを救いたい」という思いが目的であり、「心臓の人工弁を開発する」ということが目標になるわけです。
まず、この2つがリンクしていなければ「戦略」とは言えません。

では、戦術とは何でしょうか。
私は、「戦略を実現するための具体的な手段」と解釈しています。
実は、ほとんどの会社では、当たり前のように戦術投資を実行しているはずです。
「そろそろ新しい重機を買おう」とか「新入社員を採用して教育に力を入れよう」とか「支店を出そう」とか、たくさんあるはずです。
ただ、いつの間にか、その戦術投資の前にあったはずの「戦略」があいまいになってしまい、ルーチンワークのような投資になってしまっているケースが多いのです。
そのようなことに気づいたら、来年からは、一つ一つの戦術投資の基にあったはずの戦略を改めて思い起こしてみてはいかがでしょうか。
きっと経営強化の一つとなるはずです。

さて、来年(あるいは来年度)に計画している戦略投資はありますか。
弊社では、もちろんあります。
それも社運をかけるような大きな戦略です。
本メルマガをお読みの方であれば、そのような投資案が必ずあるはずです。
経営者や事業者の方はもちろんですが、社員の立場で働いている方であっても、そのようなプロジェクトに関わっていたり、あるいは個人的な目標をもっておられる方は多いでしょう。
年が改まる次号から、弊社の戦略実行を例に取りながら、「戦略投資」の具体論を論じていきたいと思っています。